2025年選抜1回戦 智辯和歌山vs千葉黎明(4日目第3試合)

2025年

大会4日目第3試合

智辯和歌山

1 2 3 4 5 6 7 8 9
3 0 0 0 0 1 1 0 1 6
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

千葉黎明

 

智辯和歌山   渡辺

千葉黎明    飯高→米良→田代→岩下

常連校と初出場校の対戦は、初回から智辯和歌山打線が千葉黎明の先発・飯高を捕まえ、着実にリードを築く。エース渡辺は、千葉黎明打線につけ入るスキを与えず、90球の4安打で完封!投打でがっちり流れを掴んだ強豪が、全国制覇を果たした2021年夏以来となる聖地での1勝をつかんだ。

試合

智辯和歌山は2枚エースの一人である右腕・渡辺が先発。一方、多彩な投手陣を擁する千葉黎明は長身の2年生左腕・飯高を指名した。

千葉黎明としては飯高に序盤、のらりくらりと智辯和歌山打線をかわしてほしいところ。ここのところ3連敗中の智辯和歌山はいずれも序盤に相手投手にうまくかわされて、リズムを掴み損ねている。

しかし、この日の智辯は違った。1番藤田が初球セーフティで出塁。2番の打席で仕掛けた盗塁はアウトになるが、仕掛けていく姿勢が光る。が四球で歩くと、3番山下はアウトコースのボールを強引に引っ張って、三遊間を破る。4番福元がセンター深い位置へのフライを放って、タッチアップで2アウト1,3塁とすると、ここで5番荒井は真ん中寄りの速球を逆らわずに流してレフト線へ落とす。スタートを切っていた1塁ランナーまでホームを突き、2点を先行。さらに、6番山田も外から入ってくる変化球を1,2塁間へ流し、タイムリー内野安打で3点目を手にする。

昨年の霞ケ浦戦では、ポップフライが続き、序盤から嫌な流れになったが、この日は相手の緩いボールに対しても、しっかりタイミングを取って逆方向へ打ち返す。ここ数年の屈辱を晴らさんとする、本来の智辯の打撃のを見せてくれた。

このリードをもらった先発・渡辺は140キロ台中盤の速球を武器に飛ばしていく。2回裏には2アウトから下位打線に連打を許し、ピンチを招くが、代打・今井は力でねじ伏せ、三振に切って取る。2回以降、智辯打線がチャンスを犠打失敗などでなかなか活かしきれなかったが、この渡辺の投球が嫌な流れになりそうなところを引き戻していた。

千葉黎明は、3回からもう一人の左腕・米良をマウンドに送る。軟投派の飯高と比較すると、ストレート・スライダーともに力があり、智辯和歌山打線に真っ向勝負を挑む。向こう気の強さが出た投球で4,5回とランナーを出しながらも0封。セカンド篠原のファインプレーもあって、追加点を許さなかった。

こうなると、次の1点の重みはより増してくる。特に、グランド整備の終わった6回はキーとなるイニングだ。そこで、得点を上げたのは、常連の智辯和歌山であった。

米良に対し、4イニング目となり、打者一巡して迎えるこの回。7番大谷は極端にバットを短く持ち、外から入ってくるスライダーを右方向へ。犠打で二進すると、9番黒川の打席、カウント1-1で2塁ランナーがスタート!中谷監督の指示に応え、スライダーを右方向へ打ち返した打球は、1,2塁間を破る。ライトがボールを取った瞬間にあきらめるタイミングで走者がホームへ向かい、下位打線で智辯が1点を追加する。

この1点が与えた影響は殊の外大きい。6回裏、1番から始まる千葉黎明打線を渡辺が2三振を奪って、三者凡退に切る。ストレート主体の攻めで千葉黎明打線を圧倒した。すると、守りの流れに乗って、7回表、今度は上位打線が仕事を果たす。2番が痛烈なセンター返しで出塁すると、犠打で2塁へ。ここでついに千葉黎明打線が、米良をあきらめる。3番手で右腕の田代を送るが、その代わり端、初球のアウトコース真っすぐを4番福元は見事な流し打ちでレフト前へ。これもランナーのスタートが素晴らしく、5点目のホームを奥が駆け抜けた。

智辯和歌山は9回表にも俊足の1番藤田が四球で出塁すると、暴投と犠打で3塁へ。3番山下の内野ゴロの間に生還し、決定的な6点目を上げる。ここ数年、力を出し切れなかった智辯和歌山の姿はもうない。投げてはエース渡辺が最後まで危なげない内容で4安打完封。ストライク先行の投球で、4安打は許したものの、完ぺきに攻略されたと思うような打球はほとんどなし。貫禄の「マダックス」で相手を封じ切ったエースが、真紅の強豪校に久々の甲子園1勝をもたらした。

まとめ

智辯和歌山は投打で力を示し、貫禄の内容で初戦を突破。安定して実力を出し切れたのは、やはり初回の先制点が大きかっただろう。2022年の国学院栃木、2023年の英明、2024年の霞ケ浦といずれも相手に先行を許し、リズムを掴めなかったが、この日は初回から相手の軟投派左腕を攻略するイメージを打線がしっかり共有できていた。緩いボールを打たされるのではなく、自分のポイントまで呼び込んで叩く、智辯の打撃が戻ってきた。

また、投げては渡辺がヒットわずか4本で完封。ボールの力に自信があるため、ゾーンの中で勝負でき、球数をかけずに打たせて取っていった。まさに理想の投球である。甲子園での連敗を3で止め、快勝で果たした初戦突破。今大会で狙うは、もちろん1994年以来2度目となる選抜の優勝だ。

一方、千葉黎明は敗れはしたものの、登板した4投手はそれぞれに持ち味を発揮していた。また、バックは1失策はあったものの、セカンド篠原の好守など、堅い守りで投手陣を支えた。拓大紅陵時代に好捕手として注目された中野監督の目指す、守りの野球はできていたと言えるだろう。初めての甲子園は完敗に終わったが、これまで多くの強豪校が初出場で苦汁をなめ、強くなってきたのも、また事実。この敗戦が、千葉黎明の明日への糧となっていくことだろう。

千葉黎明 vs 智弁和歌山 【センバツ 1回戦 全打席ハイライト】 前評判高いタレント軍団の初陣!名門に初出場が挑む! 2025.3.21 甲子園 高校野球 選抜高校野球 高校野球ニュース

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