2025年選抜1回戦 東海大札幌vs日本航空石川(6日目第1試合)

2025年

大会6日目第1試合

東海大札幌

1 2 3 4 5 6 7 8 9
1 0 4 0 0 0 0 0 2 7
0 3 0 2 0 0 0 1 0 6

日本航空石川

 

東海大札幌   石戸

日本航空石川  長崎→土田

1回戦最終カードは、複数の好投手を擁するチーム同士の対戦に。しかし、投手戦かと思われた試合は、序盤から激しい点の取り合いとなり、同点のまま終盤戦へ突入。最終回の土壇場で連続タイムリーが飛び出した東海大札幌が準優勝した9年前に続いて、この6日目第1試合をものにし、2回戦進出を決めた。

試合

東海大札幌は矢吹、日本航空石川は蜂谷が先発。それぞれ昨秋の公式戦では圧倒的な成績を残しており、大量失点をした試合はほぼない。しかし、投手戦が予想された試合は、初回から荒れ模様となる。

1回表、蜂谷は140キロ台の速球をマークするも、ややボールが高い印象。東海大札幌は、1アウトから2番山田が右打ちでライトへのヒットを放つと、3番太田勝心の打席で盗塁を成功させる。仕掛けていきたいと話していた遠藤監督の狙い通り。太田勝心がセンターへのヒットで繋ぐと、注目の4番太田勝馬の打席でも盗塁を決め、2,3塁と初回からかき回す。ここで太田勝馬もセンターへのヒットを放ち、1点先制!3人共ストレートをとらえた打撃であり、狙いがはまる。

これに対し、1回裏、本格派左腕の矢吹がマウンドへ。いきなり先頭打者に四球を与え、こちらもやや不安定な立ち上がり。犠打で二進後、中軸を打ち取るが、彼本来の投球ではない印象だ。すると、2回裏、日本航空石川打線が反撃を開始する。

1アウトから6番福原が高めのスライダーを引っ張って出塁。犠打もあるかと思われたが、中村監督は強攻を選択する。打撃ではやや優位と言われていた日本航空石川、自信があるのだろう。高めのボールが浮きがちな矢吹に対し、7番高橋がレフト前へのテキサス性のヒットで繋ぐ。さらに8番蜂谷が真ん中寄りの速球をレフト前に運んで、下位打線で3連打とすると、9番大橋のスクイズを矢吹がはじき、送球も悪送球となって逆転!さらに、1番北川も犠飛を放ち、この回一挙3点で試合をひっくり返す。

矢吹はこの後も、失点にこそつながらなかったものの、2番菅野、3番生田目に連打を許し、この回だけで被安打5。ボールに力はあるが、どうしても高めに入る分、力のある日本航空石川に運ばれてしまった。

これで勢いに乗りたい日本航空石川・蜂谷。しかし、こちらも波に乗れない。四球を出しながらも2アウトまでこぎつけるが、3番太田勝心にまたストレートをライト前に運ばれる。球速は出ているが、東海大札幌の積極的なスイングの前に捕まる。ここで4番太田勝馬をショートゴロに打ち取るのだが、焦ったショートがファンブル。痛恨の失策で満塁となると、5番鈴木が押し出しを選んで1点差。さらに、6番八鍬が押し出し後の初球狙いの鉄則通り、ストレートを叩くと、打球はセンター横を抜ける満塁走者一掃打となって、再び2点をリードする。

序盤から思わぬ乱戦。3回裏、4回表と両チームとも併殺でチャンスを潰すが、まだ守りから落ち着く雰囲気がない。4回裏、日本航空石川は先頭打者がセカンドゴロエラーで出塁すると、9番大橋が四球で続く。さらに、1番北川の打席で暴投が飛び出したところで、ついに遠藤監督が観念し、2枚看板のもう一人、高橋を送る。しかし、この機を逃さない航空石川は、1番北川が代わり端の初球をとらえ、左中間を抜くタイムリー2塁打を放って同点!さらにホームまでも狙った北川はタッチアウトになったが、三度試合は振り出しに戻った。

荒れ模様の試合は、その後も毎回のように両校が複数ランナーを出す展開となる。しかし、それぞれ2番手で登板した日本航空石川・長井、東海大札幌・高橋がなんとか踏ん張り、勝ち越しを許さない。両チームのディフェンス陣が本来の出来ではなかったのは確かだが、昨秋に投手陣を援護できなかったことを反省し、鍛え上げてきた攻撃力が互いに花開いたとも言える状況だった。

5-5の同点のまま、試合は最終盤へ。昨年のリベンジを果たしたい航空石川は、8回裏、ついに捕まえきれなかった高橋をとらえる。航空石川の先頭の7番高橋が死球で出塁すると、8番長井の犠打が失策を呼んで1,2塁に。犠打でそれぞれ進塁すると、打席には当たっている1番北川。アウトコースのボールを引っかけた打球はサードゴロとなるが、これをバックホームしたボールがキャッチャーミットをはじいて、転々。勝ち越しのランナーがホームを駆け抜け、航空石川がついに勝ち越しに成功する。

しかし、続く1アウト2,3塁のピンチで高橋が渾身の投球で追加点を与えない。これが最後の最後に生きてくることとなる。

9回表、東海大札幌は、2番手で登板していた高橋に代打を送り、勝負をかける。その代打・藤根は期待にこたえてヒットを放つが、続く1番山口は痛恨の犠打失敗。さらに2番山田もセンターフライに倒れ、土俵際まで追い込まれる。しかし、続く打者は期待の太田ブラザーズ。3番太田勝心が死球でつなぐと、打席には4番太田勝馬。航空石川の2番手・長屋の低めのボールをよく見極め、ファウルで粘る。すると、カウント2-2からアウトコースのボールに目付をして叩いた打球は、三遊間を破るタイムリーとなり、2塁ランナーが生還!4度目となる同点劇で、あと一歩まで迫っていた航空石川の勝利は逃げていった。

勢いに乗る東海大札幌は、「COME ON」が鳴り響く中、5番鈴木もアウトコースのボールを引っ張る。先ほどのリプレーのような打球がレフト前に転がり、2塁から太田勝心が生還!土壇場で試合をひっくり返すことに成功した。しかし、航空石川守備陣も続く6番八鍬のセカンドゴロエラーでホームを突いた太田勝馬を好返球で刺し、さらなる追加点は阻止した。

リードを奪った東海大札幌は、5回から外野に退いていた矢吹が再登板。しかし、先頭の4番木下には四球を与えてしまう。最後まで荒れ模様の今日の試合。さらにもう一波乱あるかと思われたが、最後は1アウトから6番福原がとらえた当たりは、高めに弾んでショートのグラブへ。この試合5個目となる併殺を完成させて東海大札幌が乱戦を制し、2回戦進出を決めた。

まとめ

東海大札幌は自慢の投手陣が攻略され、守備陣も5失策と大いに乱れたが、打線が底力を見せ、逆転勝ちに成功した。ディフェンス主体で勝ち上がった東海大札幌にとって、今日の試合は、内容的には完全に負け試合であったが、それがゆえにひっくり返したところにチームの底力を感じさせた。特に初回から積極的にしかけた遠藤監督の采配、ベンチの期待に応えた太田兄弟の活躍が光った攻撃であった。

今後に向けて、課題は残る試合であったが、勝った者には次があるのが甲子園。いかに守りを修正して臨めるか、東海大札幌の真価が問われる試合になりそうだ。

一方、日本航空石川は2年連続で1点差での惜敗となった。攻撃陣は東海大札幌の左右の好投手をよく攻略したが、相手の失策も5を数える中、犠打失敗などでなかなか勝負所でつながらなかった。また、先発した蜂谷はストレートが高めに浮いたところを狙われ、序盤から痛打を浴びることに。力のある投手ゆえに、もったいない感は否めなかった。

投打に悔いの残る試合となった日本航空石川。このままでは終われないはずであり、夏は星稜などライバルのひしめく石川大会を勝ちぬくべく、再び鍛錬の日々が始まる。

日本航空石川 vs 東海大札幌 【センバツ 1回戦 全打席ハイライト】 両チーム2桁安打!打撃戦に甲子園が沸く!  2025.3.23 甲子園 高校野球 選抜高校野球 高校野球ニュース

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