大会5日目第2試合
常葉大菊川
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 計 |
0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 1 | 0 | 3 |
0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 1 | 1× | 4 |
聖光学院
常葉大菊川 大村→佐藤
聖光学院 大嶋→菅野
常連校同士の対戦は、両先発左腕の好投で0-0のまま延長タイブレークに突入。終盤の激しい点の奪い合いを制した聖光学院がサヨナラ勝ちを収め、3年ぶりの選抜勝利を上げた。
試合
聖光学院は大嶋、常葉大菊川は大村と、ともに技巧派タイプの左腕が先発した。
聖光学院の左腕・大嶋は左スリークオーター気味から繰り出すスライダーを武器に、ストライクゾーンの内外を幅広く使った攻めが持ち味。強打が武器に常葉大菊川打線に対し、バッテリーでフルスイングをさせないことを意識し、低めを突いて内野ゴロを打たせていく。塁に出ると機動力も絡めてくる打線だが、ランナーが出ても2アウトからの単打のことが多く、なかなか相手にきっかけをつかませない。
一方、常葉大菊川の左腕・大村は大嶋よりは上手から投げ下ろすタイプで、縦に落ちるボールとチェンジアップを武器に、試合巧者の聖光学院打線を封じる。秋は打線の助けもあって勝った試合が多かったが、こちらもコースを丁寧に突き、打たせて取っていく。
両チームとも守りのリズムも非常によく、5回を終わって1時間も経過しないまま。基本に忠実な守備で知られる両校だけあって、お手本のような内野守備が続く。常葉大菊川の全盛期だった2008年~2009年は強打が目立ったが、その強さは支えていたのは守備であり、内野手が無理のないワンバウンド送球で、アウトを重ねていた。その時代の伝統が今にも息づいている感がある。
聖光学院は3番菊池、常葉大菊川は4番橘木とそれぞれ打線のキーマンとなる打者がいるのだが、さすがにバッテリーも慎重な配球でなかなか甘いコースにボールは投じない。時折、甘く入るボールがあっても、次のボールではしっかり修正し、後半戦に入ってもなかなか得点につながりそうな気配がない。
そうこうしているうちに試合はあっという間に9回へ。常葉大菊川は先頭の1番佐藤大介が真ん中寄りに入った速球を逃さずセンター前へ。しかし、2番児玉の打席でランナーを進めることができず。後続も三振ゲッツーとなり、なかなか聖光学院の牙城を突き崩せない。対する聖光学院もその裏、こちらも先頭打者がヒットで出塁し、こちらは犠打で二進。しかし、安定して低めを突く大村の前に打たされる格好となり、6番竹内、7番石沢と打ち取られてサヨナラにはつながらない。
試合は両者無得点でタイブレークへ。流れが一気に切り替わるタイブレーク。似たような展開での守り合いが一転して両者激しく攻めあう攻防となる。
10回表、常葉大菊川は先頭の4番橘木が強攻に出るも、ライトフライで進塁ならず。ところが、直後の5番今泉の打席で暴投が飛び出し、ランナーがそれぞれ進塁すると、その今泉がきっちり犠飛を打ち上げてついに均衡が破れる。さらに、2アウト3塁から6番小川がアウトコースの速球を素直にセンターに返し、2点目。決定的とも思われる得点が常葉大菊川に刻まれたが…
10回裏、聖光学院は対照的に8番仁平が犠打を決め、1アウト2,3塁。ここで聖光学院は勝負をかけ、先発の大嶋に代打横山を送るも、大村が低めのチェンジアップで空振り三振に。勝利まであとアウト1つに迫る。しかし、1番鈴木は粘ってフルカウントから四球を選び、満塁とすると、打席には2番猪俣。すると、ここでなんと大村の投球がセットポジションで止まっておらず、ボークで1点が入る。さらに、猪俣が巧みな右打ちでライトへタイムリーを放ち、ついに聖光学院が同点に追いつく。
両者2点を奪い合い、11回へ。激しい攻防はまだ終わらない。聖光学院は先ほど代打を送った関係で右腕の菅野が登板する。前年はストッパーとして登板を重ねており、実力も経験も十分だが、いかんせん初登板がタイブレークというのはどうしもて緊張感がある。11回表、8番鈴木がショートゴロで1アウト1,3塁となると、常葉大菊川も先発・大村に代えて代打・青木を送る。これが功を奏し、センターへの犠飛となって1点を勝ち越し。再び常葉大菊川が前に出る。
リードされた聖光学院だが、右腕・菅野が後続を抑え、1点差のまま11回裏へ突入。常葉大菊川は左腕の佐藤大介をマウンドに送るも、途中出場の4番細谷にストライクが入らず、無死満塁と大ピンチになる。ここで同じく途中から出場の芳賀がストレートを流し打った打球はレフトとセンターの間にぽとりと落ち、再び同点!なお無死満塁でサヨナラのチャンスと絶好機になる。
ところが、ここから常葉守備陣が素晴らしかった。聖光学院が立て続けに犠飛になってもおかしくない外野フライを放つが、センター小川、レフト青木がそれぞれ好返球を見せ、サヨナラにはさせず。さらに後続もフライに打ち取り、絶体絶命のピンチをしのいで見せた。
この流れになんとか乗りたい常葉大菊川だが、12回表、先頭の2番児玉は外野フライで進塁はならず。ここまでの攻防からやはり複数得点が欲しいところだったのだろう。続く3番佐藤大加がショートゴロ併殺となり、ついに無得点で裏の守りに入ることとなる。
戻ってきた選手たちを笑顔で迎える聖光学院・斎藤監督。頭の中にはもうすでにサヨナラへの絵図が浮かんでいたか。先頭は2番手でマウンドに上がっていた菅野。バスターでとらえた打球は、バント守備で動いていた内野陣の間を抜け、ライトへ!ところが、これをライト児玉が好返球でホーム刺殺とし、サヨナラを許さない。最後の最後まで素晴らしい両者の守備であった。
しかし、試合の決着はいつかは付くものである。続く1番に入っていた鈴木がセンターに打ち上げた打球は、ほぼ定位置の打球に。バックホームも及ばず、3塁ランナーが生還し、聖光学院が大熱戦を制して、2回戦へコマを進めた。
まとめ
聖光学院は、斎藤監督が試合前に思い描いた通りの守り合いを制し、サヨナラで2回戦へ進んだ。先発の左腕・大嶋が持ち味を発揮し、強打が武器の常葉大菊川になかなかまともなスイングをさせなかった。また、守っても堅守で投手陣を支え、延長12回を戦って無失策。聖光学院らしい手堅く、スキのない野球を見せた。
甲子園常連校となり、負けない強さを持つ、聖光学院の野球を確立してきた斎藤監督。その歩んできた道のりが誤っていなかったことを証明するような試合であった。
一方、常葉大菊川も堅守で応戦し、聖光学院に一歩も引けを取らなかった。また、エース大村の投球も素晴らしく、9回を投げ切って100球余りで完封。タイブレークで失点は喫したものの、低めを丹念に突く投球は安定感抜群であった。惜しむらくは、自慢の打線が聖光学院・大嶋をとらえきれなかったことか。それでも大観衆を沸かす好ゲームを演じたナインには、確かな手ごたえが残ったはずだ。
聖光学院 vs 常葉大菊川 【センバツ 1回戦 全打席ハイライト】 好プレー続出!これぞまさに死闘!タイブレークで決着!! 2025.3.22 甲子園 高校野球 選抜高校野球 高校野球ニュース
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