2025年選抜1回戦予想 二松学舎大付vs柳ヶ浦

2025年

2025年選抜1回戦

二松学舎大付vs柳ヶ浦

52%  48%

栄えある開幕カードを引いた両校。ともに2002年選抜、1991年夏に開幕戦を戦った経験もある。緊張感あふれる中で先にリズムをつかむのはどちらか。

 

二松学舎大付は河内-及川の両右腕による継投策が基本線。河内が先発し、終盤の勝負所で及川に繋ぐのが必勝パターンとなる。二人とも140キロ台で球威のあるボールを投じ、カーブやスライダーを織り交ぜるオーソドックスなタイプと言えるだろう。左腕エースの多い同校だが、今年は右投手が軸となる。カギを握るのはやはり継投のタイミングか。ベテラン市原監督の老練な手腕で、流れを変える場面での及川へのスイッチがありそうだ。

対する柳ヶ浦打線はチーム打率2割4分台と秋は打撃で苦労した。これはレギュラー陣にけが人が続出したことも関係しており、選抜では陣容ががらりと変わる可能性がある。しかし、秋はそんな中でも少ないヒットを確実に得点に結びつけるうまさを見せた。打撃もいい投手の宮城、同じく投手野手兼任の杉本らポイントゲッターの前にランナーをためたいところだ。まずは二松学舎大付投手陣の速球に振りまけないようにしたいところ。

 

一方、柳ヶ浦は昨秋の戦いを通じて2年生左腕の宮城が急成長を見せた。県大会終盤からエース格となり、九州大会では2勝をマーク。特に選抜切符のかかった育徳館戦では、小気味いい投球で相手打線を6回2安打に封じ、完封勝ちに貢献した。その他、右腕・宮原、左腕・杉本も計算が立ち、継投を視野にいれながらの戦いになりそうだ。圧倒的なボールを持つ投手はいないが、いずれもコントロールが安定しており、試合を壊さない安心感がある。

対する二松学舎大付打線はフルスイングが信条のチームカラー通り、今年も強力打線を形成する。小柄ながらパンチ力のある入山が出塁し、塁上からもかき回していく。中軸の花澤、永尾、大橋はいずれもパワフルなスイングで2塁打、3塁打を放ち、塁上の走者を一掃する。永年、ライバル帝京に行く末を阻まれてきた同校だが、この振っていくスタイルを浸透させ、徹底したことで2010年代に東東京の覇権を手にした。伝統の攻撃力で全国を席巻したい。

 

総合力では二松学舎大付が少し上回る感は否めない。大量得点の試合では柳ヶ浦に勝ち目は薄いだけに、2年生エース宮城が試合を作り、先手先手の継投で目先をかわしていきたい。一方、準優勝の経験がある二松学舎大付もここのところ選抜では初戦敗退が続いている。この大会で勝利を挙げ、流れを変えたいところだ。

主なOB

二松学舎大付…初芝清(ロッテ)、鈴木誠也(カブス)、大江竜聖(巨人)、秋広優人(巨人)、秋山正雲(ロッテ)

柳ヶ浦…山下和彦(近鉄)、脇谷亮太(巨人)、山口俊(DeNA)、田中瑛斗(巨人)、上間永遠(西武)

 

東京  大分

春  1勝  1勝

夏  5勝  2勝

計  6勝    3勝

対戦成績は春は五分、夏は東京勢が大きくリードしている。

1988年選抜では剛腕・川崎(ヤクルト)を擁する津久見と早稲田実が対戦。津久見が佐藤のホームランなどで得た4点のリードを川崎が完封で守って、4-0と勝利した。

大分を代表する強豪で唯一県内で優勝経験を持つ津久見だが、この昭和最後の年の春夏連続出場を最後に甲子園から遠ざかっている。一方、早稲田実も1982年に荒木大輔(ヤクルト)で5季連続出場を果たしてから、2006年に斎藤佑樹(日本ハム)を擁して全国制覇を果たすまでの24年の間、出場はこの年の選抜と1996年夏の2度だけ。スマートな野球の早実がパワー全盛となってきていた高校野球の時代に追いつくにはそれなりに時間を要したということだろうか。

2001年夏は準々決勝第1試合で日大三と明豊が対戦。3回戦で1番都築(中日)、3番内田(ヤクルト)、4番原島(3試合連発)と3人の主軸に一発が飛び出していた日大三は、この試合でも打棒が爆発。明豊は虚を突いて、普段3番手で登板するサイド右腕・酒井を先発に持ってきたが、日大三は3番内田の2ランなどで着々と加点。投げては、こちらも普段リリーフながら先発に抜擢されたサイド右腕・千葉(横浜)がスライダーを武器に好投し、9-2と大差で準決勝進出を決めた。

日大三は勢いそのままに初優勝を達成。一方、今や大分屈指の強豪となった明豊はこの年が初出場であった。3人のタイプの違う投手と強力打線を擁し、初出場とは思えない貫禄の戦いで8強入り。強豪校の仲間入りを果たしていくこととなる。

思い出名勝負

2013年夏1回戦

大分商

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 0 2 0 0 0 0 0 0 2
0 0 0 1 0 2 1 4 × 8

修徳

 

大分商   笠谷→中野

修徳    西林→桜井→遊佐

 

2013年の夏は初戦で神宮王者・仙台育英と選抜王者の浦和学院が激突するなど波乱の様相で幕を開けた。また、この大会から抽選形式が変更となり、勝ち上がるたびに抽選をし直す方法となっていた。展開が読みづらい状況のなか、好投手vs強力打線の好勝負が1回戦で実現した。

大分商は県内屈指の伝統校ながら、夏は実に16年ぶりとなる出場。2年生エース笠谷(ソフトバンク)は九州屈指の本格派左腕であり140キロ台の速球とスライダーで三振を奪える。一方、打線は左打者が多く並び、機動力豊か。準決勝では同じく2年生エース佐野(オリックス)を擁する大分との接戦を7-6とサヨナラ勝ちで制し、大一番をものにした。久しぶりの全国の舞台でオールドファンも気合が乗っていた。

一方、修徳は9年ぶりの夏出場。この年は東東京ではちょうど帝京時代が終焉し、関東一・二松学舎大付の2強時代が幕を開けるちょうど間の時期であった。そんな中、修徳は投打ともに総合力の高いチームに仕上がり、しぶとく勝ち抜いてきた。西林・遊佐・桜井とタイプの違う3投手で継投し、飯野・山下ら好打者の並んだ打線が大量点を奪取。また、こちらもスタメンのほとんどが盗塁を決めており、まさに全員野球・全員攻撃のチームカラーで、8強入りした2004年に続く快進撃を狙っていた。

 

修徳は制球力のある右腕・西林、大分商はもちろん2年生エースの笠谷が先発のマウンドに上がった。西林は立ち上がりヒットこそ許すものの、大分商打線の左打者陣の内角を果敢に突き、バックも堅守で機動力を絡めた大分商の攻撃をしのぐ。一方、笠谷はしなやかなフォームから繰り出す力のあるボールで強打の修徳打線を序盤は完全に封じ込めていく。

序盤はやや大分商が押し気味に進める展開に。右スリークオーターの西林のボールはやはり左打者には少し相性が悪いか。2,3回といずれも3塁までランナーを進められる。すると、3回裏2アウトランナー2,3塁から大分大会で打率5割を記録した注目の強打者福地が高めに浮いたボールをセンター返し。これがランナー二人を返す2点タイムリーとなって、大分商が2点を先制する。

これに対し、大分商の笠谷は序盤は絶好調。ヒット1本は打たれたものの、球持ちのいいフォームから繰り出す速球とスライダーで修徳打線をきりきり舞いにする。打者よりでボールを離すため、どうしても各打者が差し込まれてしまい、快打が出ない。さしもの試合巧者・修徳をもってしても攻略困難なほど笠谷の投球は素晴らしかった。

しかし、中盤に入ると、修徳の強力打線が目を覚ます。4回裏、先頭の1番小沢が四球を選ぶと、2番森田がきっちり送る。ここで2塁ランナーの小沢は3番飯野への投球で三盗を敢行。左投手の一瞬のスキをついて第2リードを大きく奪い、見事に3塁を陥れた。続く3番飯野はセカンドへのゴロを放ち、セカンド乙津の懸命のバックホームも高くそれる。小沢が好スタートでホームに生還。両者の間の流れを変える、地味ながらも大きな1点が入った。

これで勢いに乗った修徳は5回表に投手を2番手の左腕・桜井にスイッチ。これは左打者の多い大分商打線に実に効果的であり、クロスで逃げていく速球と変化球に全くタイミングが合わない。序盤攻勢に出ていた大分商打線の勢いを完全に鎮火させる投球を見せた。

すると、修徳はここから毎イニングヒットのランナーを連ねていく。笠谷も2度にわたってけん制アウトを奪うなど踏ん張りを見せるが、勢いづいた修徳打線はなおも襲い掛かる。そして、6回裏、グラウンド整備後の流れの変わりやすいイニングで試合が動く。先頭の9番桜井が自らライトへのヒットを放って出塁。しかも、笠谷の生命線のスライダーをとらえての一打だ。ここでも阿保監督は犠打で確実に進塁させると、2番森田は真ん中高めに入ったスライダーを強振!これがレフトスタンドへ飛び込む逆転2ランとなって、ついに修徳がリードを奪った。

この攻撃で完全に流れを掴んだ修徳は7回裏、8回裏と打線がつながり計5点を追加。ついに九州屈指の好左腕をマウンドから引きずり下ろした。一方、投げては地方大会では出番の少なかった桜井が3回1/3を無安打に抑える好投。彼の投球で守りのリズムを作り、攻撃の勢いに変えて見せた。最終回は予定通り、3番手の右腕・遊佐にスイッチ。終わってみれば、狙い通りの試合展開で8-2と大分商を下し、2回戦進出を決めた。

 

修徳は2回戦では3季連続出場の鳴門と対戦。四国随一の破壊力を誇る打線に5点を先行されるが、じわじわと相手エース板東(ソフトバンク)を追い詰め、終盤についに同点に追いついた。延長10回に遊佐が打たれ、サヨナラ負けにはなったが、自力で上回る相手を全員野球で追い詰めた試合内容は素晴らしいものであった。

一方、大分商は序盤の攻勢時にもう少し得点が欲しかったところだが、致し方ないだろう。エース笠谷を二巡目以降で攻略した相手打線を褒めるべきだ。その後は、2023年の選抜出場のみだが、2015年夏はエース森下(広島)を擁して県決勝まで進むなど、安定した実力を見せている。昭和から県内を牽引してきた強豪校だが、今も県内での存在感は随一だ。

修徳 森田寛之輔・ホームラン(大分商業戦/第95回選手権)

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