2025年選抜1回戦
東海大札幌vs日本航空石川
51% 49%
1回戦最終カードは大会屈指の投手力を持つチーム同士の顔合わせとなる。
東海大札幌の投手陣は、左腕・矢吹と右腕・高橋の強力な左右2枚看板で形成する。ともに140キロ台中盤のストレートと決め球となる鋭い変化球を持っており、防御率は矢吹が0.87、高橋が1.13と素晴らしい成績を残している。秋の大会を見ても、ほとんどの試合で相手を2点以下に抑えており、とにかく無駄な四死球を出さず、大事な場面では三振を奪える。内外野の守備陣も安定しており、ディフェンス面に全く不安はない。
対する日本航空石川打線は、2年生が多く若い陣容ではあるが、決して攻撃力は低くはない。特に俊足の1番北川、何でもできるタイプの2番菅野のコンビには定評があり、この二人で試合開始から相手を混乱に陥れられればしめたものだ。秋の戦いを見てもそう大量点を奪うタイプのスタイルではないが、主砲・木下を中心にパンチ力のある打者も数人並んでおり、うまく自分たちの得点パターンにはめ込めれば、4~5点は計算できる打線と言えるだろう。相手投手陣のレベルは非常に高いが、上位打線を中心に風穴を開けていきたい。
一方で、日本航空石川の投手陣も盤石である。エース蜂谷は経験豊富な右腕であり、最速145キロの速球を武器に試合を作る安定感、ピンチで踏ん張る勝負度胸とも、大会屈指の存在だ。特にストレートの質にはこだわりがあり、アウトコース低めに突き刺さるボールは、本調子ならそう打てるものではない。カットボールを武器にする右腕・長井、野手兼任のキャプテン及川もおり、投手陣は非常に分厚い。バックも公式戦9試合で6失策と安定しており、守り合いに自信を持つ。
対する東海大札幌打線は、チーム打率2割7分台とやや数字の上では低かったが、遠藤監督の東海大相模時代のコーチ時代から受け継いだアグレッシブベースボールが徐々に浸透しつつある。とにかく初球から打てると思ったボールには積極的にスイングをかけ、序盤で先行して逃げ切るという得意の展開に持ち込むのが信条だ。秋は流動的だったオーダーも選抜に向けて徐々に固まってきている様相である。準優勝した2015年のように、少ないチャンスを確実にものにする勝負強い攻撃を目指す。
攻撃力では日本航空石川が、投手力では東海大札幌が上回るか。ただ、東海大札幌の投手力が素晴らしすぎるので、少し優勢とした。日本航空石川としては昨年に続く1回戦最終カードで、リベンジを果たせるか。
主なOB
東海大札幌…伏見寅威(日本ハム)、今川優馬(日本ハム)、門別啓人(阪神)
日本航空石川…角中勝也(ロッテ)、内藤鵬(オリックス)、荒張裕司(日本ハム)、嘉手苅浩太(ヤクルト)
北海道 石川
春 0勝 0勝
夏 0勝 4勝
計 0勝 4勝
対戦はすべて夏のみで、石川勢の4戦全勝。選抜では初対戦となる。
1996年夏は2回戦で金沢vs北海の伝統校対決が実現。左打者を多く並べた金沢打線が、北海のアンダーハンド右腕・五十嵐を中盤にとらえ、中盤5回に3連打と敵失で2点を勝ち越し。エース深谷の好投で4-2と古豪を退け、7年ぶりの夏1勝を手にした。
石川勢の5連勝か、北海道勢の初勝利か。結末やいかに。
思い出名勝負
2019年夏1回戦
星稜
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 |
0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 |
0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
旭川大
星稜 奥川
旭川大 能登
奇しくも昨年タイブレークで涙をのんだチーム同士の対戦となった。両投手の好投で白熱した投手戦となったが、星稜のエース奥川(ヤクルト)の快投で星稜が2年連続初戦を突破した。
この大会で4季連続の甲子園となる星稜・奥川。今大会NO.1の目されるエースの投球に注目が集まった。また、打線も2年生ながら昨年から経験豊富な内山や知田を中心に力がある。これまでの北信越勢でも最も前評判が高く、走攻守にスカがない。石川県勢初の全国制覇に待ったなしだ。
一方、旭川大も昨年のエース沼田(巨人)ほどのスピードはないが、制球力抜群のエース能登がチームを引っ張る。捕手で攻撃的2番も務める持丸を中心に打線もチーム打率3割4分台と力がある。2年連続出場の経験値も大きい。
初回は両投手とも素晴らしい立ち上がり。能登が低めのスライダーを武器に星稜の東海林、知田と好打者を打ち取れば、奥川は150キロ台の速球を武器に相手打者を全く寄せ付けない。特に奥川の投球は初回を見ただけでもはや次元が違うと言わざるをえない内容である。
すると、奥川の投球に呼応するかのように2回表、星稜打線がつながる。1アウトから奥川が四球を選ぶと、6番岡田はファースト横を痛烈に破る2塁打で1アウト2,3塁とチャンスメーク。さすがの振りの鋭さで能登に圧力をかけると、ここで7番・大高がアウトコース高めのスライダーを引っ張ってレフトへ先制タイムリーを放つ。星稜にとってはのどから手は出るほど欲しかった先制点をものにする。
これで勢いに乗った奥川は県大会での不調が嘘のような快投を披露。1点のリードが2点、3点に感じられるような難攻不落の投球で旭川大に付け入るスキを与えない。4回裏には2本のヒットを浴びるものの、すぐに配球を切り替える器用さも併せ持つ。
一方、1点は失ったものの、能登も変化球主体に星稜打線に立ち向かう。ストレートの最速は144キロと球威のある投手だが、この日は勝つ投球に徹し、与えた四球も3つと無駄なランナーは許さない。バックも能登の投球に応え、8回には2アウト1,2塁のピンチで3番知田にライト前ヒットを許すも、ライト樋口の好返球でタッチアウト。優勝候補を相手に自慢の堅守で堂々渡り合った。
しかし、如何せんこの日は相手が悪かった。プロでも打つのが難しいのではないかと思わせるスピードボールをコーナーに決められては、さすがに昨年の経験者を多く残す打線でも厳しかった。この日2安打と唯一当たっていた4番脇田の前にランナーをためる展開にも持って行けず。奥川が3安打、わずか94球の省エネピッチングで旭川大を完封し、点差以上に危なげない内容で初戦をものにした。
奥川は前評判通りの投球内容。相手打者を観察する余裕があり、4季連続出場の経験値を感じさせる内容であった。守備陣もしっかり守ってエースの好投を援護。選抜と同じ轍は踏まなかった。一方、打線は9安打を放ちながら、3度の走塁死もあって1点どまり。次戦以降にむけて、やや課題を残す内容となった。
旭川大は戦前の予想以上の善戦を見せた。能登は再三ランナーを背負ったが、変化球主体に土壇場で踏ん張ってホームへの生還は一度しか許さなかった。守備陣も樋口の好返球などで能登を懸命に援護。やはり、ジャイアントキリングを起こすには守りで相手に点を与えないことが第一条件、そう思わせる旭川大の素晴らしい堅守であった。
高校野球2019【星稜vs旭川大高】奥川投手完封勝利153km/h甲子園ハイライト映像
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