大会8日目第1試合
智辯和歌山
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 |
1 | 2 | 1 | 4 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 9 |
0 | 1 | 0 | 1 | 0 | 0 | 1 | 1 | 0 | 4 |
エナジック
智辯和歌山 渡辺→田中→宮口
エナジック 久高→福本
実力校同士の好カードは、智辯和歌山打線が序盤からエナジックの先発・久高を攻略。エナジック打線の猛烈な追い上げを継投策でかわし、2019年以来の8強進出を決めた。
試合
エナジックは左腕・久高、智辯和歌山は右腕・渡辺と1回戦と同様に先発投手がマウンドに上がった。
エナジックの好左腕・久高の速球、スライダーに対し、智辯和歌山打線は序盤から対策万全で襲い掛かる。1回表、1番藤田が真ん中寄りのスライダーを体を開かずに打って逆方向へ。犠打で2塁へ進むと、3番山下の打席でなんと三盗を敢行。機動力で好左腕を揺さぶる。その3番山下のセカンドゴロの間に1点を先制。打撃でも走塁でも研究の成果が出る。
一方、智辯和歌山の先発・渡辺は立ち上がり、先頭の1番イーマンをセカンドゴロに打ち取り、相手のキーマンとなる打者を打ち取る。140キロ台の球速を誇りながら、コントロールよく内外もつけるのが渡辺の強み。初回は三者凡退で立ち上がる。
いい流れで試合に入った智辯和歌山は、2回表、6番山田が高めの速球をレフト前へ。久高は1回戦と比較すると、ややボールが高いか。犠打で2塁へ進むと、打撃にも自信のある8番渡辺がヒットを放ち、1,3塁とチャンスを拡大する。ここで9番黒川のセーフティスクイズは失敗に終わるも、1番藤田が四球で繋ぎ、満塁に。執拗な智辯和歌山の攻撃が続く。2番奥の打席で捕手・山城の3塁へのけん制悪送球がランナーに当たる不運があり、1点を追加。さらに、奥が流し打ちのタイムリーを放ち、この回3-0とリードを広げる。
久高のアウトコースのボールに対し、左打者が逆らわずにレフト前へはじき返す打撃。神谷監督としても想定外の展開だっただろう。
早めに反撃したいエナジック。2回裏、先頭の富盛が真ん中寄りの速球をレフト前へ引っ張って3塁強襲のヒットで出塁。5番平良はショートへのラッキーな内野安打で繋ぐと、6番伊佐の犠打で捕手の送球を取った三塁手が前に出てきてしまい、無死満塁と大チャンスになる。しかし、この場面でも智辯守備陣の落ち着きは崩れず、7番福本を併殺にとって、1点を返されるも、2アウト3塁に。さらに、8番久高のショートゴロを黒川が好捕し、最少失点で抑える。
相手にリズムを与えない智辯は3回表にも4安打を集中して加点。エナジックの外野手の好プレーがありながらも、打って繋いで奪った得点に智辯らしさがにじむ。4回表には、3番山下の犠飛で5点目を奪い、久高をKOすると、変わった2番手の右腕・福元からも連続暴投と7番大谷のタイムリーで8-1と大量リードを奪う。
これで智辯和歌山ペースかと思われたが、ここからエナジックの攻撃が徐々に本領を発揮する。4回裏に四球で出塁した5番平良が盗塁と捕手の悪送球で3塁へ進むと、7番福本の犠飛で1点を返す。智辯和歌山の渡辺はこの回でマウンドを降りたが、投げた球数は80球以上。数字以上に相手を苦しめていたことがわかる。
すると、代わり端につかまった右腕・福本も徐々に調子を上げていく。本来の伸びのある速球で四死球は出しながらも要所を締めていく。
終盤以降は、智辯和歌山守備陣とエナジック攻撃陣の激しい攻防が展開。5回から継投に入り、山田、宮口と本格派右腕がマウンドに登るが、エナジックは1番イーマンを中心に積極果敢な走塁で襲い掛かる。2-9と7点差になった7回裏には、四球で出た8番照屋が盗塁で2塁へ進むと、1番イーマンは見事なセーフティバントで1,3塁に。イーマンも盗塁を決めて、次々と仕掛けていくと、2番山城のタイムリーで1点を返す。しかし、智辯もライト福元が好返球で2塁ランナーを刺し、エナジックの勢いを止めに行く。
ノーサイン野球vs堅守のしびれる攻防。さらに2アウト2,3塁とチャンスが広がったところで、今度は2塁けん制の間に、イーマンがホームスチールを仕掛けるが、ここは智辯守備陣の落ち着いた守りの前に追加点は奪えない。しかし、このイニングだけで3盗塁を決めたエナジックと落ち着いた守りで2つ相手の走塁を阻止した智辯の守りの攻防は非常に見ごたえがあった。
エナジックは8回裏に、2番手で好投していた7番福本がタイムリーを放ち、投打両面で活躍を見せるが、智辯投手陣も出てきた3人全員が140キロ台の速球をマーク。3番手の宮口に至っては、150キロ台を記録した。潤沢な投手力を武器に、エナジックの執拗な追い上げをかわした智辯和歌山が近畿然として唯一の8強進出を決めた。
まとめ
智辯和歌山は打線が、序盤からエナジックの先発左腕・久高を攻略。試合前から狙いを持って攻めていったことで、特に左打者がいい仕事を果たした。また、この日はエナジックが機動力野球を仕掛けていく場面が多かったが、落ち着いた守りでしのいで見せた。やはり、智辯が強い時は、守備がしっかりして、腰を据えて打撃に集中できる状態になっていると言えるだろう。
ここまでは、初出場ながら強敵の2校を相手に盤石の勝ち上がりを見せている。3連敗中だった呪縛から解き放たれた平成の常勝軍団が、さらなる上位進出を狙う。
一方、エナジックは先発・久高が捕まって、いつもの展開にはできなかったが、そんな中でもノーサインでの機動力野球を見せ、果敢に攻めたのは素晴らしかった。特に1番イーマンは2試合で10打数8安打の大活躍!彼を中心に野球脳の高い選手がそろい、自分たちで考えて1つ先の塁を狙う野球を実践できていた。夏は沖縄尚学など強豪がひしめくが、春夏連続出場の可能性は十分ありそうだ。
エナジック vs 智弁和歌山 【センバツ 2回戦 全打席ハイライト】 強力打線の名門vs創部3年目ノーサイン野球! 2025.3.25 甲子園 高校野球 選抜高校野球 高校野球ニュース
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