2025年選抜2回戦 横浜vs沖縄尚学(7日目第1試合)

2025年

大会7日目第1試合

横浜

1 2 3 4 5 6 7 8 9
3 0 2 0 1 0 2 0 0 8
0 0 4 0 0 0 2 1 0 7

沖縄尚学

 

横浜    織田→前田→山脇→奥村頼→片山→奥村頼

沖縄尚学  新垣有→末吉→久高

地区大会優勝校同士のカードは両チームの打線が活発で、予想外の乱打戦に!終盤の沖縄尚学の猛追を振り切った横浜が、13年ぶりの8強進出を決めた。

試合

横浜は初戦に続いて2年生右腕の織田が先発。一方、沖縄尚学は大会初登板となる右腕・新垣有をマウンドに送った。

沖縄尚学の比嘉監督としては、新垣有に少しでもイニングを消費してほしいところだっただろう。上手から投げ下ろすボールには非常に角度がある印象だ。しかし、1回表にいきなり横浜の強力打線が襲い掛かる。

この日、打球を組み替え、1番に入った奥村淩が死球で出塁。すると、2番為永の打席でバスターを敢行し、これが1,2塁間を破るライト前ヒットに!往年の横浜野球が戻ってきたと感じさせる攻撃だ。打席にはキーマンの3番阿部葉。カウント0-1から真ん中寄りに入った速球を救い上げると、打球は右中間スタンドに飛び込む先制3ラン!。痛烈な一発で九州王者の度胆を抜いた。

一方、横浜の先発はこの日も2年生の織田。初回から球威のある速球で押していくが、初戦ほどはボールのスピードは乗っていないイメージ。1回裏の攻撃は無得点に終わるが、沖尚の上位打線のコンタクトもそう悪くない感じがある。2回裏には5番阿波根、7番宜野座にヒットが飛び出し、1アウト満塁のビッグチャンスに。9番末吉への強攻が裏目に出て得点には至らないが、とらえた当たりが多く、どうもいつもの織田のボールではない感がある。

一方、2回からマウンドに上がった沖尚のエース左腕・末吉。しかし、立ち上がりから火のついた横浜打線が再び襲い掛かる。3回表、1番奥村淩が綺麗な流し打ちでレフトへヒットを放つと、今度はきっちり犠飛を決める。序盤から上位打線の攻撃の流れが非常にいい。続く3番阿部葉に対し、バッテリーは思い切ってインコースを突くが、これを阿部葉は巧みな打撃で、これまた逆方向への打撃!レフトへのタイムリーとなり、送球間に阿部葉も2塁へ進む。

ハイレベルな横浜の攻撃。続く4番奥村頼は初球のスライダーを今度は引っ張って、右中間へのタイムリー!この回、2点を追加し、試合を優位に進める。末吉の軸となる速球もスライダーも攻略し、ここまでは完全に横浜ペースであった。

ところが、3回裏、いきなり横浜が暗転する。1アウトから2番宮城が速球をとらえ、ライト線への当たり。宮城は好走塁で一気に2塁を奪う。3番新垣瑞は三振に倒れるも、4番比嘉は初球の真っすぐをとらえると、打球はセンターの頭上を越すタイムリー3塁打となって1点を返す!差し込まれたような打撃だったため、センター阿部葉も一度前へ出たが、打球が思いのほか伸びた。さらに、5番阿波根も初球の高めスライダーをとらえ、連続タイムリー!ついに織田をとらえ始める。

続く6番安谷屋に死球を与えると、ここでついに村田監督は2番手の右腕・前田にスイッチ。しかし、その代わり端を7番宜野座がとらえ、3塁線を鋭く破る2点タイムリー2塁打に!一気呵成の猛攻で、あっという間に点差は1点に縮まる。

まさかの乱打戦となった試合。しかし、横浜はエースナンバーの奥村頼をまだ送らない。代わって3番手で登板した右腕・山脇が4回裏からマウンドに上がると、9番末吉、1番真喜志、2番宮城をなんと3者連続三振!沖尚にいきかけた流れを呼び戻すと、5回表には沖尚守備陣のミスにも付け込み、4番奥村頼の犠飛で1点を追加。6-4と横浜の2点リードで後半戦に入る。

互いに次の1点を早く取りたい展開。先に手をかけたのは横浜だった。7回表、1番奥村淩が粘って8球目を叩き、三遊間を破るヒットで出塁。左打者が末吉の外に逃げるスライダーを苦にしない。犠打と3番阿部葉の敬遠四球でランナーをためると、2アウト後に5番小野が仕事を果たす。アウトコースのスライダーをうまく当てて二遊間に転がした打球は、セカンド比嘉のグラブに惜しくも収まらず。打球が転々とする間に、2塁ランナーもホームを駆け抜け、横浜が8-4と再びリードを広げる。

終盤にきての痛い4点差。しかし、この日の沖尚打線は引き離されてからがしぶとい。

細かい継投策に出ていた横浜に対し、4番手のエース奥村頼から1番真喜志がヒットで出塁。続く2番比嘉はドラッグバントを仕掛けると、これがファーストの頭を超すバントヒットとなって1,2塁とチャンスを広げる。あの2度目の優勝を飾った2008年選抜を思い起こさせるスピード感ある攻撃。犠打でそれぞれランナーを進めると、4番比嘉がアウトコースのスライダーを捕まえた打球はショートの横を抜き、タイムリーに。ランナーとやや交錯する難しい打球であり、沖縄尚学にツキが味方し始める。さらに、5番阿波根の打席では、1塁ランナーが飛び出す間に3塁ランナーが生還!2点と取られた直後にすぐに2点を返す。

勢いの出てきた沖縄尚学。8回裏、先頭の6番安谷屋がヒットで出塁する。2点差で下位打線と判断の難しい場面だが、比嘉監督は強攻を選択。7番宜野座の詰まらされた当たりがライト線にぽとりと落ち、1.3塁とチャンスを広げる。ここで、8番山川のスクイズは打ちあがってしまうが、これも内野の間にぽとりと落ちる当たりに。3塁ランナーが生還し、ついに1点差に迫る。

なおも無死1,2塁で沖尚ベンチは勝負をかけ、末吉に代打・伊波を送る。伊波が見事に送って1アウト2,3塁となると、ここで横浜ベンチも勝負をかける。エース奥村頼に代えて左腕・片山をマウンドへ。これが功を奏し、1番真喜志はスライダーで空振り三振!さらに、2番宮城が四球で満塁となると、今度は一転して降板していた奥村頼を再びマウンドへ送るという、なりふり構わぬ継投である。これにエースが応え、3番新垣瑞はフルカウントから差し込まれた当たりのショートゴロに。絶体絶命のピンチをしのぎ切った。

最終回、沖尚は3番手の久高が先頭打者に四球を与えるも、怖い3番の阿部葉を投手ゴロ併殺に打ち取り、2アウト。後続も打ち取り、差は1点のままで9回裏に突入した。

9回裏、沖尚は4番比嘉から。二転三転した試合でまだ一波乱ある可能性はプンプンしていた。しかし、8回裏、最大のピンチをしのいだエース奥村頼は落ち着きを取り戻していた。比嘉を低めのチェンジアップで仕留めると、この日ヒットの出ている、5番阿波根、6番安谷屋に対しても低めの制球は崩れなかった。最後は安谷屋にファースト強襲の当たりを打たれるも、しっかりベースカバーに入っており、ゲームセット!

熱戦を制した横浜が13年ぶりの8強進出を決めた。

まとめ

横浜は自慢の投手陣が打ち込まれる苦しい展開。織田は指の故障の影響があったそうで、やはり本来のボールではなかった。その後は細かい継投策に出ざるをえず、エース奥村頼も沖尚打線の勢いに押され気味だった。ただ、このチームの絶対的な基盤だった投手陣が崩れても負けなかったのが、ある意味、強さの証明でもある。阿部葉奥村淩小野の中軸をはじめとする左打者が相手左腕・末吉の決め球をきっちり攻略し、ベンチワークにもきっちり応えてそつなく得点を重ね、打線がカバーしての勝利をもぎ取って見せた。

また、無失策で守り切った守備陣、終盤のなりふり構わぬ継投など、ここ一番で1点差の攻防を制する、勝負強い横浜が帰ってきた感のある試合でもあった。公式戦無敗が続く関東の雄が、4度目の選抜制覇に向け、また一つ歩みを進めた。

 

一方、沖縄尚学も敗れはしたものの、驚異的な追い上げで王者を追い詰めた。5点のビハインドを1点差に追い上げ、4点差に離されても、また追いすがる。打線のつながりに関しては横浜以上であり、上位から下位まで満遍なく、バントヒットなど絡めたスピード感あふれる攻撃を見せた。惜しむらくは初回に、落ち着く前に浴びた3ランと、満塁機を2度逃したことか。ただ、これに関しては横浜のしぶとさを褒めるしかないだろう。

神宮大会では敦賀気比に5-11と差をつけられ、課題の残った沖縄尚学。しかし、この日は王者をあと一歩まで追い詰め、成長を感じさせる試合であった。熱戦を演じた九州王者に、観衆から万雷の拍手が贈られ、聖地を後にすることとなった。

横浜高校 阿部葉太 ホームラン(沖縄尚学戦/第97回選抜)

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