2025年選抜2回戦 浦和実vs東海大札幌(8日目第3試合)

2025年

大会8日目第3試合

浦和実

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 1 2 0 0 0 0 5 0 8
0 1 1 0 0 0 0 0 0 2

東海大札幌

 

浦和実   駒木根→石戸

東海大札幌 砂田→高橋→矢吹

2回戦最後のカードはともにエースナンバーでない投手の先発で幕を開けた。常に先手を取って試合をリードした浦和実が、終盤についに東海大札幌の2番手・高橋を攻略。一挙5点の猛攻で試合を決定づけ、初出場でベスト8進出の快挙を成し遂げた。

試合

東海大札幌は左右2枚看板の矢吹高橋ではなく、第3の男・砂田が先発。一方、浦和実は昨秋に石戸と2枚看板を形成していた本格派タイプの左腕・駒木根をマウンドに送った。

砂田は独特のフォームから140キロ台の速球とスライダーで勝負する本格派。緊張の1回表、2番佐々木に粘られて四球を与えるも、盗塁を捕手・鈴木が落ち着いて刺して難を逃れる。

一方、浦和実の駒木根が1回裏、いきなり先頭打者の山口にセンターへヒットを浴びる。アグレッシブな野球をする東海大札幌に対し、駒木根は執拗にけん制球を投げる。結果、犠打で進塁を許すが、東海大札幌の攻撃に対し、しっかり対策はしてきたようだ。

ともにエースを温存しており、先制点が欲しい展開。先に手をかけたのは浦和実だった。

2回表、1アウトから5番野本が死球で出塁。浦和実は堅実に犠打で送り、2アウトながらスコアリングポジションにランナーを送る。ここで7番橋口はコンパクトな打撃で三遊間を突破。バットを短く持ち、ミートに徹した打撃だ。さらに8番深谷はこちらもアウトコースのスライダーが甘くなるのを逃さず、ライト前へ!下位打線が巧みな打撃で先制点を奪う。

しかし、東海大札幌もすぐに反撃。2回裏、先頭の5番鈴木が真ん中寄りに入った速球を引っ張り、レフト線への2塁打。6番八鍬は進塁させることはできなかったが、7番伊藤が高めの速球を引っ張り、レフトオーバーのタイムリー2塁打としてすぐさま同点に追いつく。初戦で日本航空石川の本格派投手を打ち込んだだけあって、速球にはめっぽう強い。

これで波に乗りたい東海大札幌だが、これも初戦と同様で守備が乱れてしまう。3回表、1アウトから2番佐々木が3塁横を抜くヒットで出塁。逆らわない打撃で塁に出ると、続く3番山根の打席でけん制悪送球が飛び出す。浦和実としては労せず2塁へ進塁。ここで山根は初球のアウトコースの速球をこれも逆方向への打撃でライト前へ運ぶ。1,3塁とチャンスを拡大すると、4番三島の打球は、これまら逆方向ながら、今度はレフトの頭を超すタイムリー2塁打に!ホームを狙った山根は刺されたが、佐々木が生還し、1点を勝ち越す。

初戦で滋賀学園の本格派・長崎を攻略した自信か、非常に振れている浦和実打線。この圧力が効いたか、続く5番野本を四球で歩かせると、6番工藤のファーストフライをなんと太田勝馬が落球。まさかの展開で点差は2点に広がる。東海大札幌は、どうも初戦から守備で勢いに乗れない。

それでも打線が当たっている東海大札幌は、3回裏に2番山田の2塁打でチャンスを作ると、4番太田勝馬が先ほどの汚名返上とばかりに初球をたたいてサードの横を抜くタイムリー。やはり速球には強く、少し甘く入ると容赦ない。

ともに得点を奪い合った両チーム。しかし、中盤に入ってともに継投に入ると、試合が落ち着きだす。東海大札幌は4回から右腕・高橋がマウンドへ。先発の砂田以上の球威があり、速球主体にガンガン飛ばす。これでリズムをつかんだか、東海大札幌は4回裏にも四球と継投した9番高橋自身のヒットでチャンスをつかむと、1番山口の打席でなんと重盗を敢行!さらに満塁とチャンスを広げて、駒木根に襲い掛かる。結局3番太田勝心が打ち取られ、得点こそならなかったが、浦和実サイドとしても駒木根はここが限界と思ったのだろう。5回から石戸をマウンドに送る。

東海大札幌・高橋は1回戦よりも明らかに状態が良く、浦和実打線は5~7回といずれも三人で攻撃終了。速球とフォークの組み合わせで、力で圧倒する投球を見せ、完全に相手を沈黙させる。

これに対し、浦和実の石戸は初戦ほどは状態が良くない様子。浦和実・辻川監督曰く、初戦を終えて想像以上に疲れがたまっていたとのこと。先発を避けたのもそういう事情があったそうだ。ただ、いざマウンドに立つと、東海大札幌の各打者も戸惑う様子が伝わってくる。独特の体重移動の前に、なかなか自分のタイミングで振り出すことができず。両者、無得点のまま試合は終盤戦へ入ってくる。

東海大札幌の方がやや押し気味だった中盤戦。しかし、わからないもので、そこで得点を上げられないと流れが相手に傾くのが野球というスポーツだ。

8回表、打者2巡目に入り、やや疲れも出てきた高橋が捕まってしまう。先頭の2番佐々木がインサイド高めのスライダーをとらえると、打球はライトの頭上をはるかに超す当たりとなって、佐々木は一気に3塁へ。これが高橋からの初ヒットである。続く3番山根が粘って四球で歩くと、続くは最も頼りになる4番三島高橋の速球を真芯でとらえると、打球はセンターの横を速い球足で抜ける2点タイムリー3塁打に!終盤にきて、大きな追加点が入った。

東海大札幌の遠藤監督としては、高橋の状態が非常に良かっただけに代え時は難しかっただろう。その後も、6番工藤のタイムリー、8番深谷のスクイズ、1番田谷野のタイムリーと浦和実打線が次々と畳みかけ、このイニング5点が入って試合は決した。

石戸は状態はそれほど良くないなかでも、5イニングを3安打無失点に抑える好投。巧みな試合運びと確かな実力で終盤まで接戦だった試合をものにした浦和実がベスト8最後の椅子をつかみ取った。

まとめ

浦和実は、もともとそう打力の高いチームではないが、この試合では10安打8得点。各自がミートに徹し、主軸の三島にチャンスで回す攻撃で結果を残した。身の丈にあった野球というか、各人が自分にできることを忠実に実行する攻撃は、相手にとっては嫌なものだろう。

また、投げては駒木根石戸のリレーで2桁安打を浴びながらも2失点にまとめた。駒木根は速球をとらえられ、再三ランナーを背負ったが、4回2失点と試合を作った。石戸も持ち味を出した投球で活気づきかけていた東海大札幌を封じ込めることに成功。辻川監督の狙い通り、相手打線の勢いを寸断した。初出場ながら、そう感じさせないほどのしたたかさを見せる浦和実。次戦も非常に楽しみな存在だ。

一方、東海大札幌は初戦に続いて守備が乱れたのが痛かったか。2試合で9失策は遠藤監督も想定外だっただろう。昨秋は守り勝ってきたチームだけに、リズムに乗れなかった。打線は、2試合連続2桁安打と好調だったが、欲を言えば、先発の駒木根がマウンドにいるうちに逆転したかったところだろう。

ただ、そうは言っても、9年ぶりの選抜で1勝を上げ、収穫も多くあったことだろう。強力投手陣と太田兄弟を中心に機動力も使える打線がかみ合えば、夏も再び甲子園に戻ってこれるはずだ。

浦和実 vs 東海大札幌 【センバツ 2回戦 全打席ハイライト】 終盤怒涛のビッグイニング!2025.3.25 甲子園 高校野球 選抜高校野球 高校野球ニュース

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