2025年選抜2回戦
健大高崎vs敦賀気比
51% 49%
〇3-1 明徳義塾 〇15-0 滋賀短大付
1回戦は対照的な勝ち上がりとなった両チーム。力の差は拮抗しており、好勝負の予感だ。
健大高崎は初戦は左腕・下重が好投。140キロ台を記録する力のある速球とチェンジアップのコンビネーションで、粘っこい明徳打線をわずか3安打で料理して見せた。時折、変化球が高めに抜けていたところは気がかりだが、その失投を減らせば、そう多くの失点はしないだろう。また、1回戦は投球練習のみだった右腕・石垣の状態は気がかり。投げれないわけではなさそうだが、試合の緊張感の中でどれだけのパフォーマンスが出せるかはまた別物だ。
対する敦賀気比打線は、1回戦は15得点の猛攻を見せた。左右の軟投派投手が相手だったが、遅いボールはきっちり引き付けてとらえ、基本通りの打撃で攻略した。特に左腕・櫻本から2安打を放った5番岩崎は、しっかり引き付けてボールをとらえられており、左投手も苦にしないだろう。下位にも3安打の清水がいるなど、満遍なく振れており、完全に抑え込まれるイメージは沸きにくい打線だ。また、派手な攻撃に隠れて目立たないが、要所で好走塁で一つ先の塁を奪っており、このあたりが得点を倍増させることになりそうだ。
一方、敦賀気比の2年生右腕・五十子は必殺のスライダーを武器に、アウトコース主体の投球で滋賀短大付打線を抑えきった。立ち上がりにやや乱れはあったものの、中盤以降は危なげなし。ただ、やや配球が外に偏りすぎたきらいはあり、これが健大高崎相手となると、後半攻略される恐れはある。1回戦は、これで抑えられると判断しての敢えての投球だったのか、それともインサイドに投げるのが少し難しいのか。2回戦で真価が問われる。また、左腕・菅田は点差が空いたこともあって、隠すことに成功。2回戦での先発起用も十分ありえる。
対する健大高崎打線は、昨年の箱山のような長距離砲はいないが、1番石田、2番加藤を中心に巧打者が揃う。1回戦で対戦した明徳義塾・池崎は、「打ちにくさ」という点では、大会種t上投手でもトップクラスであり、その投手を後半きっちりとらえてきた打撃技術はやはりさすがの一言であった。っまた、走塁技術も相変わらず鍛えられており、明徳戦の9回は2アウト2塁からの単打で刺されはしたものの、スタート・回り方ともに完ぺきな走塁であった。敦賀気比の鍛えられた守備陣をどうかいくぐってくるかも見ものである。
両チーム打線に力はあり、4~5点前後での接戦になるのでは。健大高崎の石垣が本調子なら、健大の優勢は揺るがないが、登板が厳しいようなら、後半勝負で敦賀気比にも十分、勝機が出てきそうだ。
主なOB
健大高崎…長坂拳弥(阪神)、柘植世那(西武)、湯浅大(巨人)、是澤涼輔(西武)、清水叶人(広島)
敦賀気比…東出輝裕(広島)、内海哲也(巨人)、吉田正尚(レッドソックス)、西川龍馬(オリックス)、平沼翔太(西武)
福井 群馬
春 1勝 1勝
夏 1勝 2勝
計 2勝 3勝
対戦成績は春は1勝1敗のタイで夏は群馬勢がリードしている。
1978年の選抜では福井商と前橋が対戦。前橋は1回戦の比叡山戦で、エース松本稔が史上初となる完全試合を達成し、一躍時の人となっていた。しかし、プレッシャーの中で、平常心を保つのは、高校生には難しかっただろう。2回戦は福井商の強力打線に序盤から捕まり、14-0と大敗。逆に勢いに乗った福井商はアンダーハンドのエース板倉の好投と強力打線の爆発で快進撃を見せ、準決勝では前年覇者の箕島も9-3で撃破。決勝は惜敗したが、同校最高成績の準優勝を成し遂げた。
一方、2001年夏は1回戦で福井商と前橋工が対戦。福井商打線はタレントぞろいで、この年の出場校の中でも上位に位置する強打であったが、大会中の練習で1番杉田がまさかの骨折。出場こそかなったものの、打順は9番に下がり、3番を打っていた天谷(広島)が1番に、4番を打っていた南部が3番にと打順の変更を余儀なくされた。
試合は序盤から福井商打線が前橋工のエース江原をとらえて4点を先行するが、じわじわと追い上げを食らい、終盤についに6-7と逆転。強力打線の威力は十分見せはしたものの、やはり、けが人なしのベストオーダーでの試合を見たかったな~と思った試合だった。
その他にも2017年選抜2回戦での健大高崎vs福井工大福井の延長引き分け再試合など、もつれる展開が多い両県の対戦。今年はどちらに軍配が上がるのか…
2017年選抜2回戦 健大高崎vs福井工大福井(7日目第3試合) | 世界一の甲子園ブログ
思い出名勝負
1997年夏準々決勝
敦賀気比
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 計 |
0 | 0 | 1 | 2 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 4 |
3 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1× | 5 |
前橋工
敦賀気比 三上
前橋工 佐藤
智辯和歌山の強力打線や平安の左腕・川口(オリックス)の熱投に沸いた1997年の選手権大会。その準々決勝第4試合は強力打線と好投手の白熱の攻防が展開された。
大会No.1右腕三上(ヤクルト)を擁し、福井県勢として3年連続のベスト8入りを果たした敦賀気比。三上は140キロ台の力のある速球と縦に大きく割れるカーブで2年前のエース内藤(ヤクルト)に勝るとも劣らない実力の持ち主だった。3試合で失点はわずか2と平安の川口(オリックス)と並んで大会屈指の剛腕であった。
1回戦は堀越と1-0と息詰まる投手戦であったが、2回戦は3番主将の金岡の2ホームランなどで打線が爆発。2年生トップバッターの東出(広島)や1年生の4番吉岡など若い編成ながら、強力打線を形成して3回戦は11得点。投打に高い実力を発揮し、勝ち上がってきた。
対して前年夏ベスト4の前橋工も2年連続の4強を狙ってまずはベスト8入り。。前年は好左腕・斎藤を中心に守りのチームだったが、今年は打って変わって打撃のチーム。1番大須賀(巨人)、4番主将の寺内を中心に打ちまくり、3回戦では選抜優勝の天理を下していた強打の智弁学園に堂々打ち勝って8強入りを決めた。
エース佐藤は打たせて取るタイプの技巧派だが、打線の強力援護をもらって安定感ある投球を披露。敦賀気比の強力打線に対して打たれ強い投球でしのげるか。
焦点は3試合で2完封しわずか2失点の敦賀気比・エース三上を強打の前橋工がいかに攻略するかだった。三上の140キロ台の速球と大きく縦に割れるカーブのどちらに的を絞るかが重要だった。
1回裏、前橋工がいきなり三上を急襲。先頭の大須賀がいきなり甘く入った変化球をレフトに2塁打。三上もこれまでの相手とは違うとプレッシャーがかかったか、2番滝沢のバントを悪送球していきなり1点が入った。なお、ノーアウト1,3塁から今度は4番の寺内がスクイズ。好投手・三上相手にそう点は取れないと踏んだか、ここは確実に1点を取りに行った。さらに後続も続き、もう1点追加。3試合で2失点のエースからいきなり3点を先取した。
2回表、敦賀気比の強力打線も前橋工の技巧派右腕・佐藤に襲い掛かり、満塁のチャンスを作るもダブルプレーでしのぐ。しかし、3回に1点ずつを取り合った後は、落ち着きを取り戻した三上の前に前橋工打線が封じられていく。
すると、ここから試合は完全に敦賀気比ペースへ。4回に東出のショートタイムリー内野安打などで2点を返すと、前橋工は防戦一方に。7回にはバッテリーエラーなどでピンチを招くと、警戒していた1年生4番吉岡に見事にレフト線にはじき返されてついに試合は振り出しに戻った。
だが、その後捕手としても佐藤をけん引する寺内の好リードでなんとか敦賀気比の反撃を断つと、10回裏に運命の瞬間が訪れる。
前橋工は2番滝沢がショート内野安打で出塁し、送って1アウト2塁から4番寺内の当たりはぼてぼてのキャッチャーゴロ。捕手が1塁に送球し、2アウト3塁かと思いきや、がら空きのホームへ滝沢が猛然とダッシュ。カバーに入ろうとした三上が間に合わず、ホームに滝沢が滑り込んで劇的なサヨナラ勝ちで前橋工が2年連続のベスト4進出を決めた。
試合中盤から後半にかけてを見ていると、投打とも力は敦賀気比が上かとも思わされたが、初回と10回のわずかなスキをついた前橋工のしたたかさが光った。さすが前年4強を経験しただけはあると思われる試合だった。敗れはしたが、福井県勢はこの3年でベスト4、ベスト4、ベスト8。福井県黄金期ともいえる時期だった。
大会No.1投手と強力打線の対峙したナイトゲームはこの大会でも屈指の好ゲーム。最後に滝沢がホームインしたシーンは大会のハイライトともいえるシーンになった。
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