2026年選手権準決勝予想 健大高崎vs天理

2026年

2026年選手権準々決勝

健大高崎vs天理

52%   48%

〇7-1  八幡商   〇7-2  福山

〇1-0  東海大甲府 〇6-3  高川学園

〇4-1  佐野日大  〇7-0  三重

〇1-0  有明

投攻守に厚い選手層を見せる健大高崎と、大会に入って如実に力をつけ始めた上り調子の天理。東西の強豪が決勝進出をかけてぶつかり合う。

天理は、準々決勝で左腕・橋本が大会初登板。ぶっつけでのマウンドだったが、左腕からのキレのあるボールで強打の三重打線に9安打を浴びながらも完封して見せた。球速は120キロ台であってもmベース板上でのスピードが明らかに早く、手元で差し込まれるケースが目立つ。また、左打者のインサイドに、やや抜け気味にも見えるが投げ込み、ここでファウルを誘えるのが大きい。140キロ台の速球とスライダーを武器にするエース長尾とは全くタイプが異なっており、この二人が継投したらかなり効果的だろう。藤原監督がどちらを先発に起用するか、非常に楽しみだ。

対する健大高崎打線は、準々決勝で有明の左腕・斉藤に苦しめられたが、最後は延長10回裏でサヨナラ勝ち!結果は1得点に終わったが、これは相手の投球内容を褒めるしかないだろう。それだけ、有明・斉藤の投球が素晴らしかった。ただ、少し気がかりがあるとすれば、3番石田翔の当たりが止まってきていることか。2番石田雄と主砲・佐藤の間をつなぐ大事な打順だけに、今後を見据えても彼の復調は不可欠だ。青柳監督のことだけに、おそらく打順は変更せずに3番を任せるはず。まずは、初回の彼の第1打席に注目したい。

一方、健大高崎は、2年生エース石垣が、初戦以来となる先発マウンドで有明打線を10回5安打で完封。やはり、彼のポテンシャルはすさまじいものがあった。速球の威力、変化球の精度、コントロール、スタミナ、終盤になっても慌てない精神力とすべてにおいて完成されており、3年生なのではないかと思ってしまうほどだ。彼が完投したことで、その他の投手を温存することにも成功しており、今後の投手運用を考えてもこれは大きかった。左腕・北田をはじめとして、バリエーション豊かな投手陣であり、次戦は誰を先発に持ってくるか非常に楽しみだが、エース石垣の出番は必ずどこかでありそうだ。

対する天理打線は、4番金本が非常に好調なのが心強い。先輩のオリックス・太田をイメージさせるような打撃フォームから、綺麗なレベルスイングで打球を運んでいく。準々決勝では今大会2本目のアーチを描き、チームに流れを呼び込んだ。また、2,3回戦に続き、準々決勝でも終盤に得点をあげる粘り強さを発揮。この辺りは、今年のチームの特色なのかもしれないが、終盤にわっしょいの雰囲気に乗って襲い掛かってくる雰囲気は相手にとって怖いものがある。三重戦では相手の継投に惑わされずに積極打法で得点を重ねており、次戦でも健大高崎相手に同じように襲い掛かっていきたいところだ。

ここまで1試合多く戦っている健大高崎だが、うまく投手陣に疲労をためずに戦ってきている。投手・野手ともに層の厚さではやはり、健大高崎に分があるだろう。天理としては、前半戦をうまく立ち上がって、後半勝負に持ち込めれば十分勝機はありそうだ。

主なOB

健大高崎…長坂拳弥(阪神)、柘植世那(西武)、湯浅大(巨人)、下慎之介(ヤクルト)、三ツ間卓也(中日)

天理…門田博光(南海)、鈴木康友(巨人)、関本賢太郎(阪神)、中村奨吾(ロッテ)、太田椋(オリックス)

 

群馬  奈良

春  6勝  2勝

夏  3勝  5勝

計  9勝  7勝

対戦成績は、春は群馬勢が、夏は奈良勢がリード。今回、対戦する健大高崎と天理は過去に選抜で3度対戦があり、健大高崎が2勝1敗とリードしている。

2015年の選抜では、健大高崎と天理が2度目の対戦。昨年の甲子園を経験した左腕・川合に対し、スラッガー坂口や俊足のトップバッター船曳と好打者を擁した天理打線がどう対峙するかが注目された。しかし、試合を決めたのは、意外にも決して俊足とは言えない健大高崎の4番柴引の好走塁であった。1-1の同点で迎えた7回裏、1アウト2,3塁のチャンスで、打者はファーストゴロに倒れる。ここで3塁走者の柴引は、一度帰塁する素振りを見せてからファーストが背を向けて送球するや否や、再スタート!相手の一瞬の隙をついて生還し、勝ち越しに成功した。

スタメンで一番足の遅いとされた打者の敢行した、この好走塁が健大高崎の「機動破壊」の脅威を物語っていた。

一方、2021年の選抜2回戦では健大高崎と天理が対戦。健大高崎は、もともと機動力が持ち味のチームであったが、この時期は、打力優位にチーム強化をしている時期であった。2010年代後半は、夏の大会でなかなか前橋育英の壁を破れず、方針の軌道変更を迫られていた。この代は、4番小沢を中心に強打で前年秋の関東大会を制覇しており、本戦でも優勝候補の一角に数え上げられていた。しかし、その前に立ちはだかったのが、今やローテーション投手となっている天理の長身右腕・達(日本ハム)。長身から繰り出す剛球で強力打線をわずか2安打に封し、4番瀬のタイムリーなどで挙げた4点を守り抜いた。

天理は、決して前評判は高くなかったが、この大会で4強へ進出。県内のライバル智辯学園をはじめとして、強豪ひしめいていた近畿地区で最も最後まで大会に残った。

4度目の対戦となる両校。ベスト8以上での対戦は初めてとなる。ファイナルへ進むのはどちらだ!?

思い出名勝負

2024年夏2回戦

智辯学園

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 1 0 0 0 0 0 0 1 2
1 0 0 0 0 0 0 0 0 1

健大高崎

 

智辯学園   田近

健大高崎   杉山→仲本→石垣

2024年の選抜で、念願の全国制覇を果たした健大高崎。春夏連覇を狙って乗り込んだ甲子園初戦を1-0と完封で突破し、迎えた2回戦の相手は、常連校の智辯学園であった。

健大高崎は、2年生の左腕・佐藤(オリックス)と右腕・石垣(ロッテ)の2枚看板を中心に鉄壁の投手陣を誇り、高山・箱山・森山の強打者を並べた中軸を中心に打線も充実していた。持ち前の機動力と強打をMIXした攻撃力は安定感があり、現実的な目標としてとらえていただろう。しかし、県大会準決勝では前橋育英を相手に、8-2から9回裏に同点に追いつかれる苦しい試合も経験した。

そして、大会終了後には、佐藤の故障が発覚して、離脱することに。投手陣の再編を迫られる中、初戦は香川・英明を相手に、下重から石垣への2年零リレーで完封勝ち。苦難の発進にはなったが、まずは1回戦をものにしてみせた。

対する智辯学園は2年連続での甲子園出場。しかし、スラッガー松本や二刀流の中山がいた昨年と比べると、個々の能力では劣る点は否めなかった。ただ、主将・知花を中心に団結する力は昨年以上。エース左腕・田近は魔球チェンジアップを武器に空振りが取れるのが強みで、大会前からひそかに注目されている投手であった。

甲子園初戦では、岐阜城北と対戦。中盤に先制され、1-3とリードを許したまま、最終回を迎えるが、土壇場で4番中道のタイムリーなどで追いつくことに成功。10回表裏は3点ずつを奪い合う激戦になったが、最後は知花の犠飛などで再度3点を奪い、試合を決めた。田近の後を受けた2投手が良く粘り、打線も1番佐坂が5安打、7番山崎が4安打と固め打ちをした選手が飛び出して、奇跡の逆転劇を起こして見せた。選抜王者が待ち構える2回戦へ向け、勢いをつけて臨むこととなった。

 

健大高崎は左腕・杉山を先発に指名。リリーバーに回す石垣の負担を減らすためにも、イニングを稼ぎたいところ。一方、智辯学園は初戦に続いてエース左腕の田近を先発に送った。

智辯学園は初戦から大きく打順を変更し、主将の知花を3番、1回戦で4安打と好調の山崎を5番に挙げ、上位打線での得点を試みる。これに対し、健大高崎の杉山は1回表、大きく縦に割れるカーブを武器に、打たせて取る投球を見せ、内野安打1本を打たれたものの、無難に無失点で立ち上がる。

すると、1回裏、初戦で5安打1得点に終わっていた健大高崎打線が幸先よく先取点を奪う。智辯の好左腕・田近に対し、1番田中が高めに浮いた変化球をうまく拾い、ライト線への2塁打で出塁。低めのボールを振らせる田近に対し、その変化球が浮いたところを逃さないあたりはさすがである。犠打でアウト3塁とすると、3番高山はストレートをたたきつける打撃で三遊間を破り、1点を先制。まずは試合の主導権を握る。

リードを奪った状態で石垣に繋げたい健大高崎だったが、今大会の智辯学園打線は下位から攻撃で得点が入る。

2回表、先頭の5番山崎が今大会早くも5本目となるヒットで出塁。ここから犠打失敗や7番小泉が右中間を破った打球で2塁を狙い、憤死するなど、智辯学園サイドも攻撃がかみ合わない形で2アウト3塁となる。しかし、8番西川が粘って四球を選ぶと、9番田近はカウント2-0と追い込まれながら、スライダーをうまく拾い、センターへのタイムリーを放つ。ここは追い込んでいただけに、捕手・箱山はボールを要求していたが、やや内寄りに入ってしまった。

失点直後の同点でリズムを取り戻した田近は勢いに乗る。選抜優勝校の打線に対し、低めに落とすチェンジアップで泳がせ、キレのある真っすぐでコーナーをついて詰まらせる投球で真っ向勝負。健大打線にヒットこそ打たれるものの、要所を締める投球で失点はせず、特に4番の箱山に対しては徹底してチェンジアップを低めに投じ、相手の攻守の要に対して、仕事をさせない。

一方、同点には追いつかれたが、健大高崎の扇の要にはこの男がいる。4番で主将・女房役と一人三役をこなす箱山は、3回表には2番国島にヒットを打たれるが、続く3番知花の打席で仕掛けてきた単独スチールを見事に刺す。相手の犠打の構えにも惑わされることなく、余裕をもってアウトにして見せた。

健大高崎は4回から2番手で右腕・仲本をマウンドへ送る。時折右サイドの投げ方を混ぜる技巧的な投球が光る右腕だ。この仲本もできるだけ長いイニングを投げて石垣に繋ぎたいところだったとは思うが、智辯のエース田近の出来が、青柳監督に1点勝負の展開を想起させたのだろう。5回表、智辯学園打線が粘って2つの四球を選び、ランナーをためたところでついに石垣をマウンドへ送る。イニング数としては、先の二人は十分仕事を果たしたとは思うが、青柳監督としてはもう少し後ろまで行ってからつなぎたかった気持ちもあっただろう。

その石垣は150キロを超す速球とスライダーを武器に、その圧倒的な球威で智辯学園打線を抑え込む。グランド整備を挟んで6回表には2本のヒットでランナーを許すが、ここでまたしても箱山が素晴らしいけん制球で飛び出した1塁ランナーを出す。バッテリーがつないだ流れで、健大高崎にいつもの勝利へのムードを呼び込む。

勝ち越し点の欲しい健大高崎。しかし、智辯学園のディフェンス陣もしぶとい。6回裏に1塁ランナー箱山の盗塁を刺すと、7回裏には1アウト3塁のピンチでスリーバントスクイズを失敗させる。盗塁、暴投で進めてきたランナーであり、このチャンスを得点に結びつけられれば大きく流れを引き寄せられるところだったが、低めを丹念に突き、コースもなかなか間違えない田近の投球の前にあと一押しができない。

両者譲らない展開は同点のまま最終盤に。8回裏にも健大高崎は2アウトランナー2塁から4番箱山がチェンジアップをとらえながら、レフト中道の好守備に阻まれ、得点を挙げることはできない。ただ、箱山はチェンジアップに徐々にタイミングが合い始めており、智辯バッテリーとしても次の打席が回ると危ないと感じ始めていただろう。

タイブレークを目前に控えた9回表、智辯学園は1アウトから7番巴田が四球を選ぶ。続く8番西川は守備が評価されてレギュラーをつかんだ選手だが、アウトコースのストレートを打ち上げた打球は、ふらふらっと上がってレフトの前にポトリ。智辯に流れが傾いていることを表すような一打でチャンスを拡大する。続く9番田近の犠打が、またしても箱山の好フィールディングで刺され、2アウトとなるが、その後に生じた一瞬のスキを1番佐坂は逃さなかった。初球、石垣のスライダーが甘く入ったところをとらえると、打球はセンター前に弾むタイムリーに!西川がホームを駆け抜け、智辯が待望の勝ち越し点を手にした。

援護をもらった田近は9回裏、健大高崎の攻撃を2人内野ゴロに打ち取って2アウト。7番斎藤にはたたきつける打撃で内野安打を許したが、最後まで落ち着いたマウンドさばきは崩れなかった。最後は代打・川名を伝家の宝刀・チェンジアップで三振に仕留め、ゲームセット。健大高崎の春夏連覇の夢を止め、智辯学園が昨年に続いてベスト16の座を射止めた。

智辯学園の勝因は何といってもエース田近の好投だろう。機動力も長打力も兼ね備え、多彩なバリエーションを誇る健大高崎の攻撃陣に対し、冷静さを失わず、低めとコーナーに丁寧に投げ続けた。特に右打者のアウトコースに逃げながら落ちるチェンジアップは天下一品。狙っていてもなかなか攻略できず、困った時に頼れるボールがあるからこそ、思い切った投球を可能にした。

また、打線は1回戦に続いて9回に貴重な一打が飛び出し、粘りの攻撃で勝利を手にした。昨年と比較すると、決して大物打ちがいるわけではないが、小阪監督の言葉通り、「束になってかかっていく」スタイルで、際どい試合をものにしてみせた。しぶといチームカラーで、この大会では8強に進出した智辯学園。大会を彩った好チームであった。

一方、健大高崎は自慢の打線が2試合でわずか2得点と不発に終わった。大会前にエース左腕の佐藤が離脱したことで必要以上にプレッシャーもかかってしまったのかもしれないが、やはり初戦の英明・清家、そして、この日の田近と全国クラスの好投手を相手に得点を挙げるのはそう容易ではなかったということだろう。投手陣はこの日も2点に抑え、仕事をしていたが、青柳監督も継投を含めた投手起用にやや苦しさがでたことは否めなかった。

その後、翌年選抜には左腕・佐藤のTJ手術による離脱もあった中、右腕・石垣がエースに成長し、4強へ進出。夏も初戦敗退に終わったものの、4季連続での甲子園出場を果たした。思い描いていた結末とは違ったかもしれないが、この2年間は間違いなく健大高崎が高校球界の中心に位置した期間であった。

健大高崎―智弁学園 9回表【第106回全国高校野球選手権大会】 (youtube.com)

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