2026年選手権1回戦 佐野日大vs聖隷クリストファー(2日目第2試合)

2026年

大会2日目第2試合

佐野日大

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 0 0 0 0 0 1 0 0 1
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

聖隷クリストファー

 

佐野日大      鈴木

聖隷クリストファー 高部

大会2日目の第2試合は、佐野日大・鈴木と聖隷クリストファー・高部という左右の実力派投手同士の投手戦に。終盤に相手のミスから得た虎の子の1点を守り抜いた佐野日大が、2001年以来25年ぶりとなる夏の1勝を手にした。

試合

佐野日大は選抜でも強打の三重打線を相手に好投した右腕・鈴木が先発。栃木大会では準決勝まで無失点投球を続け、一回り大きくなって帰ってきた。一方、聖隷クリストファーは、もう高校野球ファンなら知らない人はいない、注目左腕・高部がマウンドへ。昨年は2回戦で涙を飲んだだけに、今年はさらなる上位進出を狙っていた。

1回表、その高部はいきなり先頭の1番桜岡を四球で出してしまうが、続く2番小林の打席で桜岡をけん制で刺してタッチアウトにする。このあたりは昨年の経験も生きているか、全く慌てるそぶりがない。後続も落ち着いた投球で打ち取り、結局三人で攻撃を片付ける。

一方、佐野日大・鈴木は、多彩な変化球で丁寧にコーナーを突いて打たせて取る技巧派。右打者のインコースにきっちり投げ切るコントロールを持っており、ストライクゾーンの横幅を使った投球ができるのが彼の強みだ。聖隷クリストファーの上位打線に対し、淡々と低めを突きながら、こちらも三者凡退で封じて見せる。

ここから試合は引き締まった投手戦に突入。まだ大会は始まったばかりだが、おそらく振り返ってみると屈指の投手戦と言われるだろうという展開になる。特に、高部の投球は圧巻の一言。球速は県大会の方が出ていたように思うが、それでも短いテークバックから繰り出す速球のキレは抜群だ。佐野日大の各打者が明らかに差し込まれた打席が多く、どうしてもポイントを前に置かざるを得なくなる。そうすると、決め球のスライダーに対して接点がなくなり、空振りしてしまうため、なかなか両球種を追いかけての攻略は困難。さすが、大会注目の好投手である。

これだけ注目された投手が額面通りの投球を見せると、相手としてはプレッシャーがかかるものだが、佐野日大・鈴木は自分のペースを守って投げ続ける。この試合が素晴らしい内容になったのは、間違いなく彼の投球によるものだ。コーナーを投げ分けながら、時に3球勝負を繰り出すなど、大胆不敵な投球で聖隷クリストファー打線を翻弄する。高部のような圧倒的なボールはないが、速球と変化球で腕の振りが変わらないため、打者からするとどうしても的が絞りづらくなる。配球・出し入れで相手を支配していく、そんな投球を見せる。

両投手譲らず、0-0のまま前半戦を終了。どちらが先にチャンスを作るかという中、最初にスコアリングポジションにランナーを進めたのは聖隷クリストファーであった。4回裏、先頭の2番松谷が速球をとらえてレフトへ快打。犠打できっちり2塁へ進め、先制のチャンスを迎える。しかし、ここでも鈴木の投球は崩れず。第1打席でインコースを突いた、その残像をうまく生かし、今度はアウトコース一辺倒で4番宮本を空振り三振に。5番小金沢もボール球を打たせ、ピンチを難なく乗り切る。このあたりは、1試合通しての配球も佐野日大バッテリーはきっちり考えてきている。

すると、このエースの投球に呼応するかのように打線が高部をとらえ始める。

5回裏、2アウトを取られるも、各打者がきっちり粘っていくと、6番小島がアウトコースの速球を理想的な流し打ちでレフト前に運ぶ。これが高部からのチーム初ヒット。攻略の糸口をつかむような打撃である。さらに、7番荒川は初球、インサイドの速球を引っ張り、レフト前に運び、連打!速球に狙いを絞って、各打者がタイミングを合わせ始めた。8番高橋は粘って四球を選び、2アウトながら満塁とチャンスを拡大して打席には、9番中村。しかし、ここはカウント2-2から低めのスライダーに空振り三振となってしまい、得点には至らず。だが、佐野日大としては後半戦へ向けて手ごたえを感じたイニングだったのは間違いないだろう。

0-0のまま試合は後半戦へ。カギとなる大事な6回は、高部が再び気合を入れなおしたかのように、さらにギアを上げていく。1番桜岡から始まる上位打線をなんと3者連続三振。コーナーいっぱいに決まるストレートの前に手が出ないケースが多く、特に左打者のアウトコースへのボールは絶品だ。腕の振りが素晴らしいため、球速は130キロ台でもそう感じさせないほどの「威力」と「差し込み」がある。ここに切れ味抜群のスライダーを混ぜられると、手が出ないのは仕方ないだろう。

エースの投球になんとか応えたい打線は、6回裏、この試合最大のチャンスを迎える。1アウトからキーマンの一人の1番大島がアウトコースのスライダーをうまく拾ってレフトへのヒットで出塁。2番松谷は三振で2アウトとなるが、3番峯田も同じようにスライダーを引っ張り、ヒットで続く。このあたりは、打者3巡目になって狙いを絞り出し始めたか。インコースの後の外の変化球をしっかりとらえていった。ここで、聖隷・田中監督は、この日タイミングが合っていなかった4番宮本に代えて代打・浅川を選択。しかし、最後はアウトコースいっぱいのスライダーを前に見逃し三振!分かっていても打てないコースにボールを投じ、鈴木がピンチを脱することに成功した。

すると、7回表、聖隷に魔のイニングがやってくる。高部は2アウトを簡単にとるが、ここから先ほど捉えられた下位打線を迎える。6番小島を強烈なサードゴロに打ち取るが、これをはじいてしまい、エラーで出塁(これは、強襲ヒットと言ってもよいかもしれない)。さらに、7番荒川がまたも浅いカウントから打って出て、ストレートをとらえると、打球は盗塁軽快で広く空いていた三遊間を破る。2アウト1,2塁となり、打席には8番高橋。聖隷バッテリーはストレートを打ち上げさせ、センターフライで3アウトかと思ったつかの間、ナイターの難しさもある中でセンターが落球してしまい、2塁ランナーがホームイン!佐野日大が思わぬ形で先制点を手にすることとなった。

ミスで失った痛すぎる1点。ただ、野球は得点が入ると相手側に入りだすこともよくある。しかし、そんな中でも佐野日大・鈴木の冷静さは変わらず。自分の狙ったコース・高さにきっちり投げ分け、想定通りの内容で聖隷の打者を打ち取り続ける。7回裏は5番から始まる攻撃をわずか7球で終了。選抜からここまで成長したかと思わせる内容で、大事なイニングを無失点で切り抜けた。

なんとか反撃したい聖隷は8回裏、先頭の8番小坂が当たりそこないの内野安打で出塁。犠打できっちり2塁へ送り、大事な場面で最も頼りになる1番大島を迎える。大島は果敢に初球を打って出るが、インコースの速球を打ち返した打球は痛烈なセンターライナー。どちらかにそれていれば、タイムリー2塁打になってもおかしくない打球だったが、球運は佐野日大に味方した。続く2番松谷も打ち取り、この回も無失点。ここに来ても全くぶれることのないコントロールの良さで、相手に主導権を渡さなかった。

先制点を許した高部だが、8回・9回は持ち味のキレを活かした投球で無失点。最後まで笑顔でチームを牽引し続けた。ただ、この日は相手が悪かったとしか言いようがない。最終回、中軸から始まる聖隷クリストファーの攻撃を前にしても、鈴木の投球は全く変わらなかった。3番峯田を外角のカーブで見逃し三振に取ると、その後もアウトコース中心の配球で淡々と追い込んでいく。前の打席でインサイドを意識させており、この場面ではすでに餌巻きは終わっているのだ。4番浅川、5番小金沢と打ち取り、試合終了。佐野日大が虎の子の1点を守り抜き、完封で2回戦へ進出することとなった。

まとめ

佐野日大・鈴木としては、相手が高部であるため、絶対に先に点はやれないというプレッシャーの中での投球になったが、それでこの投球というのは、もう素晴らしいとしか言いようがない。内外の出し入れ、抜群のコントロール、1試合を通して考え抜いた配球と、どれを取っても技巧派投手の最高峰と呼べる内容であった。また、打線は高部の前になかなか連打は難しかったが、6番小島・7番荒川の二人が攻略の起点に。彼らのシャープな打撃が好投手攻略の糸口となった。

選抜では鈴木を援護できずに敗れた佐野日大。しかし、その教訓をエースも打線もしっかり活かし、夏の舞台で雪辱の1勝をつかみ取った。

一方、聖隷クリストファーは高部が素晴らしい投球を見せただけに、悔しい結果に終わったが、この日の鈴木の投球は付け入る隙がほとんどなかっただけに、致し方ない部分はあるだろう。失点の場面も、エラーをしたくてする選手はおらず、初めての甲子園でなおかつナイターという中での難しさもあったはずだ。苦しい状況の中でも笑顔で引っ張ったエース高部の投球も昨年から着実にステップアップしていることを感じさせるものであった。

2022年の選抜で不運な落選を経験したところから、2年連続で自力での出場を勝ち取った聖隷クリストファー。ここ数年でのチームとしての成長を感じさせた、夏の戦いぶりだったと言えるだろう。

【高校野球 甲子園】 聖隷クリストファー vs 佐野日大 1点が遠い…息詰まる緊迫の投手戦 【第108回全国高等学校野球選手権大会 全打席ハイライト】 2026.8.6

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