大会4日目第3試合
大分商
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 |
| 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 2 | 2 | 0 | 0 | 6 |
| 1 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 4 |
日本文理
大分商 米田→平田
日本文理 染谷→浅井→渡部

好投手と強力打線の対決が注目された第3試合は、中盤から登場した大分商のエース平田の投球は球場を支配。打線の反撃を呼び、見事な逆転勝利を呼び込んで、1997年以来となる1勝を手にした。
試合
日本文理は、選抜に続いてエース右腕の染谷を先発に指名。一方、大分商は県大会と同様に、まずは技巧派右腕の米田を先発に持ってきた。
すでに選抜で大舞台を経験済みの染谷は落ち着いた試合の入りを見せる。いきなり先頭の1番河野にセカンド後方への不運な当たりのヒットを打たれるも、強打の2番平田はインサイドの速球で詰まらせてセンターフライ。後続も内角主体の投球で丁寧に抑え、大事な試合の入りを無失点に封じる。
その裏、大分商のマウンドには右腕・米田。日本文理としてはエース平田が出てくる前に、この投手を早めに叩いておきたいところだ。1回裏、こちらも1番土屋がセカンドへの内野安打で出塁。犠打で2塁へ進むと、3番秦はライトフライに打ち取ったものの、4番吉田が粘る。ファウルで簡単に凡退せず、たっぷり10球投げさせて四球を奪取。このあたりが打つだけではない、日本文理の攻撃力の高さだ。続く5番臼木は四球後の初球狙いの鉄則通り、高めの速球を叩き、三遊間突破のタイムリー!まずは、狙い通りに先制攻撃を成功させる。
2回、3回と染谷が丁寧な投球を見せ、3人ずつで片づけると、打者2巡目に入って文理の打線が完全に米田を捕まえる。2番安達が内角の速球を詰まりながらもレフトへ流し打って出塁すると、さらに続く3番の巨漢・秦には当然強攻策を選択。これに応え、再び速球をとらえてセンターへ痛烈なヒットを放つ。続く4番吉田はカウント2-1と追い込まれるが、変化球が高めに浮くところを逃さず叩く。打球は、1,2塁間を破るヒットとなり、2塁から安達が生還。日本文理に2点目が入る。
すると、続く5番臼木に0-2となったところで大分商ベンチは早くもエース平田を召喚(まるでダイヤのエースに出てくる薬師。轟監督がエース真田をマウンドに送るような展開、分かる人には分かるかな)。この期待に応え、平田が球場の空気を変えに行く。いきなり初球で150キロをマークして、観衆をどよめかせると、臼木はアウトコースの速球を打たせて6-4-3の併殺に。さらに6番大地も速球で詰まらせ、セカンドゴロで2アウト3塁のピンチを脱出する。
このエースの投球が打線には勢いを、相手投手にはプレッシャーを与える。4回までは12人連続で打ち取られていた大分商打線は、5回に入って突如として目を覚ます。
まずは、先頭の5番杉山がアウトコースのスライダーを綺麗にセンター返しし、ヒットで出塁。続く6番萱嶋は三振に倒れるが、7番中津熊の犠打がエラーを呼び、1,2塁とチャンスを広げる。文理に動揺が見られる場面。ここで畳みかけるかのように、8番中野がセーフティバントを敢行すると、これが悪送球を誘って、2塁からランナーがホームイン。まずは1点を返すことに成功する。さらに、続く打席には県大会で3塁打2本とパンチ力のある9番菅原。カウント0-1から真ん中寄りに入った速球を鋭く振りぬくと、打球はサード横を抜けるタイムリーに!大分商が、中盤に入って試合を振り出しに戻す。
追いつかれた日本文理は、交代してから速球主体に押す平田を前に、ヒットはおろかランナーすら出ない展開。大分商ナインにとっては安心して攻撃に集中できる雰囲気が整っていく。
すると、グランド整備明けの6回表。文理のエース染谷を完全に攻略する。先頭の3番木村が初球のアウトコース真っすぐを引っ張り、レフトへのヒットで出塁。相手投手に対し、そのボールに対しても、配球に対しても迷いのないスイングだ。きっちり送って1アウト2塁とすると、5番杉山、6番萱嶋がいずれもスライダーを狙い打って、連続短長打で2点を勝ち越す。オーソドックスなタイプの染谷は、序盤からインコースを意識しての投球を見せていたが、制球の乱れたこの回は、少しその余裕がなかったか。外に集めたボールを狙い打たれ、ここでマウンドを1年生右腕の浅井に譲った。
この夏、チームの救世主となった浅井。後続をきっちり打ち取るが、相手は高校球界屈指の右腕である。1点もやれないという大舞台でのピッチングはやはり難しいものがあっただろう。
7回表、1アウトから1番河野に四球を与えると、続く2番平田は失策で出塁させてしまう。2アウト後に、暴投で2,3塁に進まれると、打席には4番伊東。ここまで無安打とチームの勢いに置いていかれかけた主砲だが、ここは上級生の意地を見せる。定石通りのアウトコース低めのスライダーの狙いを絞ると、叩きつけた打球は三遊間を破る2点タイムリーに!貴重な追加点となり、6-2。捕手としてもエース平田に援護点をもたらす一打となった。
一方、ここまで交代してからほぼ完ぺきに相手を封じ込めていた平田だったが、さすがに終盤にきて疲れが出たか。8回裏に強打の日本文理につかまり始める。
この回、先頭の3番秦に高めの速球を痛烈な当たりでセンターに返されると、続く4番吉田は真ん中寄りのスライダーをとらえ、ライトへのヒットで1,3塁とする。このあたりはさすが日本文理の中軸。5番臼木は、ややスピードの落ちてきた速球をとらえて3塁線突破のタイムリーを放ち、まずは3-6。さらに、6番大地は死球で続き、無死満塁と同点のランナーまで出塁する。
こうなると、もうどうなってもおかしくない試合展開。さらに7番綿貫は見事な流し打ちでサード強襲のヒットを放ち、3塁ランナーを迎え入れる。しかし、ここでもったいない場面が。サードがはじくのを見て、セカンドランナーも思い切ってホームへ突入するも、ここはサード河野が冷静に送球してホームタッチアウトに。アップアップだった平田に冷静さを取り戻させるプレーとなってしまった。ちょうど打順も下っていくところであり、無死満塁と1アウト1,2塁ではかなり違いがある。後続をきっちり打ち取り、試合の流れは再び落ち着きを取り戻した。
日本文理も3番手の渡部は好投を見せ、6-4のまま試合は9回裏へ。日本文理は1番からの好打順であったが、最後の力を振り絞った平田の前に及ばなかった。最後は3番秦が粘りながらも空振り三振に倒れ、ゲームセット。大分商が見事な逆転勝ちで常連校を下し、四半世紀以上ぶりで甲子園1勝を挙げる形となった。
まとめ
大分商は、何といってもまずは平田の好投に尽きるだろう。力感の抜けた独特のフォームから繰り出す150キロ前後の速球にはさすがの文理打線も手が出ず。素晴らしい投球内容で打線の反撃を呼び、九州屈指の右腕として、その実力を示した。また、打線も中盤以降に相手エース染谷を攻略。アウトコースにしっかり目付をしての連打は、大分大会で強豪・明豊を下したことがフロックでないことを示していた。久々の1勝をつかんだ全国の舞台。まだまだ帰るつもりはないだろう。
一方、日本文理としては試合の入りは完ぺきであったが、中盤以降に相手エースが作った流れに呑み込まれる形となった。特にエース染谷は4回までは完ぺきな投球だっただけに、これが難しいところだ。相手打線の慣れと自らの制球の乱れが同時にやってくると、どうしても思うような投球ができなくなる。その時に二段構えの策があれば、抑える可能性も見えてくるのだが、高校野球でその投球ができる者もそういないだろう。
それでも、終盤には打線が平田をとらえ、2点を返したのは強打と言われたチームの意地を示すには十分。初戦敗退には終わったものの、その強さを示した戦いぶりであった。
【高校野球 甲子園】 日本文理 vs 大分商 【第108回全国高等学校野球選手権大会 全打席ハイライト】 20226.8.8


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