大会6日目第1試合
明徳義塾
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 |
| 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 |
| 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1× | 2 |
日南学園
明徳義塾 藤本→田宮
日南学園 田中→谷口

1998年夏の再戦となった好カードは、両チームの投手陣が好投を見せ、引き締まった投手戦に。最終回に、2アウトから3連打が飛び出した日南学園が接戦を制し、28年前のリベンジを果たした。
試合
ともに2人の好投手を擁し、いずれも左右2枚看板という、似た構成を誇る両チーム。明徳義塾が2年生左腕・藤本を起用したのに対し、日南学園は3年生右腕・田中を先発に指名した。堅守の明徳義塾に対し、打撃でも中軸を務める3番田中・4番谷口を中心にパワフルな打撃が持ち味の日南学園。鉾盾対決の様相を呈する中、先に主導権を握ったのは明徳義塾であった。
1回表、1アウトから2番田内が逆らわない打撃でライト方向へヒット。今年は大物うちはいないものの、各打者がセンターから逆方向への意識を強く持っている。続く3番西川の打席で果敢に盗塁を仕掛けると、これが成功してスコアリングポジションを奪取。西川はアウトコースのスライダーで見逃し三振に倒れるも、続く4番里山が結果を残す。1年生から聖地を経験しているチームの大黒柱は、県大会でこそ当たりが止まっていたが、やはり大事な場面では頼りになる。カウント0-1から高めに浮いた変化球をとらえると、打球はセンター前に落ちるテキサス性のタイムリーとなって、2塁から田内がホームイン!幸先よく先取点を奪った。
これに対し、リードをもらった明徳・藤本は、下半身が安定し、バランスの取れたフォームからキレのある変化球を低めに投げ込む技巧派左腕。昨年までのエース池崎を彷彿とさせる投手だ。立ち上がり、1番荒木、2番豊丸を打ち取り、2アウトランナー無しとなるが、ここで警戒すべき中軸を迎える。まず、迎えるは先発を務める3番田中。カウント1-1からスライダーが真ん中よりに入ると、これを田中は強振。打球はあともう少しでスタンドインという飛距離で、ライトフェンスを直撃し、田中は一気に3塁を陥れる。
続く打席にはこちらも投打二刀流の4番谷口。明徳バッテリーは慎重な配球を見せ、カウント2-3とフルカウントまでもっていく。谷口としては、投球の軸である変化球を狙っていただろう。だが、ここで明徳バッテリーは意表を突いて真っすぐ勝負。これがはまってアウトコースの速球で見逃し三振に取り、明徳が同点のピンチを逃れる。このあたりは、甲子園経験豊富な捕手・里山が2年生左腕を見事にリードした。
この初回の展開はディフェンスに自信を持つ明徳にとっては理想的なスタートだっただろう。一方、日南学園としては立ち上がりの藤本の出来を見ると、追加点は与えなくないところ。2回は無失点と立ち直りのきっかけをつかみかけているように見えた先発・田中だったが、金川監督は3回から早々と、こちらも2年生の左腕・谷口にスイッチする。田中・谷口ともに中軸を打ち、投手交代してもグラウンドには残るため、日南サイドとしても思い切った交代ができる。
しかし、3回表、その谷口は1,2番を打ち取って2アウトを奪うも、3番西川に内寄りのスライダーを引っ張り込まれ、レフトフェンス直撃の当たりを打たれる。この打球がクッションに当たって跳ね返る間に、西川は一気に3塁へ。明徳が大きな追加点のチャンスを迎えた。流れから見て、ここは日南サイドとしては絶対に追加点は与えたくないところ。バッテリーは慎重な配球で、初回にタイムリーの4番里山、5番続木と歩かせ、2アウトながら満塁のピンチとなる、一打出ると勝負が決まりかねない場面。ここで打席には2002年の優勝時の正捕手を父に持つ6番筧が打席へ。だが、カウントを取りに来たボールを積極的に打ちにいくが、結果はレフトフライとなり、追加点を挙げるには至らなかった。
ここから試合は、両2年生左腕が踏ん張り、投手戦の様相を呈していく。藤本は、バランスの取れたフォームから繰り出すスライダーを武器に好投。3回裏には、1アウトから1番荒木、2番豊丸に連打を許すも、3番田中のショートへの痛烈な当たりがライナーとなって、併殺でピンチを逃れる。高知大会ではやや四死球が多かったが、この日はストレート・スライダーともに低めに決まり、予選より数段上の内容で強力打線を封じ込めていく。
これに対し、前半戦苦しんだのが日南の谷口。追加点を狙って攻勢をかけてくるの明徳打線に対し、毎回ランナーを背負う。4回には2アウトから9番中村に3塁線を破る2塁打を浴びると、5回表には先頭の2番田内のヒットを足掛かり、2アウト1,2塁のチャンスを作る度、6番筧はライト前にクリーンヒット。しかし、この場面でランナーコーチが自重してしまい、九死に一生を得ると、続く7番新名に対しては、セカンドが非常に深いポジショニングを敷いたことで、守備網に引っかけてセカンドゴロに封じ、絶体絶命のピンチをしのぎきる。
この中盤戦の谷口の踏ん張りが流れを日南に引き寄せることに。中盤3イニングで自分の投球をつかんだか、クーリングタイム明けの6回からは投球内容が良くなってくる。インステップで独特の間合いから投じるフォームで、なおかつ荒れ球のため、明徳の各打者としては出どころが見えにくいうえに、的が絞りづらい。3ボールになっても、簡単に立て直してくるつかみどころのなさもあり、広範になって徐々に快音が響かなくなってくる。
守りから得たリズムに乗りたい打線。7回裏に、ついに明徳・藤本をつかまえることに成功する。
先頭の6番金城がやや真ん中寄りに入った速球を流し打つと、打球は3塁線を突破!無死2塁とチャンスを迎え、ここで日南ベンチは代走に川崎を送る。続く7番鬼束は犠打を失敗するも、ここで川崎が飛び出す形となる。里山は2塁へ送球し、挟殺プレーを狙うが、川崎は判断よく3塁を狙い、2塁からの送球が間に合わずにセーフとなる。この場面、川崎がそのまま3塁へ走っていたら、サードで挟殺となっていただろうが、一瞬「タメ」を作ったことで2塁への送球を誘い、結果的にセーフを勝ち取ることとなった。局面は1アウト3塁となり、8番鬼塚がきっちり犠飛を放って同点に。明徳としては悔やまれる守りになったが、日南の好走塁が光る形となった。
こうなると、追いついた日南に勢いが出てくる。8回表の明徳の攻撃を谷口が3人で切ると、直後の攻撃では明徳の失策に乗じて2アウト1,2塁と勝ち越しのチャンスを迎える。すると、この場面で明徳はついに2番手でエース右腕・田宮をマウンドへ。代わり端、いきなりセカンドゴロエラーで満塁とピンチを広げるが、後続を投手ゴロに打ち取り、この回はなんとか無失点。1-1の同点で試合は最終回に突入するも、勢いがどちらに出てきているかは明白であった。
なんとか先にリードを奪いたい先行の明徳は、9回表、2アウトから1番山根が3塁ベースに当たるラッキーな2塁打を放ち、スコアリングポジションにランナーを送る。日南・谷口も球数は120球に達し、疲労の色は隠せない。ここで打席には、この日2安打と当たっている2番田内を迎えるが、最後はカウント1-2から高めのストレートで押し勝ってショートゴロ。ボールの力で抑えきり、3回からのロングリリーフを見事、無失点でしのぎ切った。
この2年生左腕の力投に応えたい打線。タイブレークになると、また試合の流れがどう変わるかわからない。9回裏、2アウトランナー無しから打線が意地を見せる形となる。
明徳の好守もあって先頭から二人が打ち取られるも、9番鈴木、1番荒木がいずれもアウトコース寄りの速球を、お手本のようなセンター返しではじき返し、1,2塁に。明徳・田宮は投球フォームから見て、あまり右打者のインサイドへ強いボールをコントロール良く投げ込めるタイプではなく、日南の各打者としても狙うコースは絞りやすかっただろう。
サヨナラのチャンスとなり、打席には2番豊丸。ガッツと勝負強さを併せ持つ2年生が、これもアウトコースのボールをやや引っかけ気味ながらもとらえると、打球はショートのグラブをはじいて、レフト前に転々。打球が弱くなった分だけ、バックホームは間に合わず、2塁から鈴木がホームイン!日南学園が電光石火の攻めで明徳のディフェンスを突き崩し、令和になって初となる宮崎県勢の勝利をつかんで、2回戦へとコマを進めた。
まとめ
日南の一番の勝因は、ベンチワークとその起用に応えた選手の活躍だろう。3回でスパッと2年生左腕・谷口に切り替えた継投、7回の勝負所で送った代走・川崎がいずれも試合の流れを変えることとなり、試合巧者の明徳を相手に耐えて耐えて流れを呼び込んだ。特に、谷口の好投は大きく、中盤に明徳打線の攻めを、なんとかかわして、最少得点差をキープ。適度に荒れ球だったため、的を絞りにくい側面もあったが、キレのある速球とカーブで、勝利を呼び込む投球を見せた。
一方、明徳としては初回に4番里山の一打で先制するという理想的なスタートをきったが、3回から5回のチャンスでもう一押しができなかったことが、痛かったか。ディフェンス面では相手の4番谷口を無安打に封じることで、打線の「寸断」に成功し、ある程度狙い通りの展開には持ち込めただろう。おそらくもう1点あれば勝利が近づいていただけに、惜しまれる試合展開ではあった。しかし、力で上回る相手に対して、明徳らしい粘っこい野球で食らいつく姿勢は、さすがと思わせるものがあり、今大会の1回戦でも屈指の好ゲームだったことは間違いないだろう。
【高校野球 甲子園】 明徳義塾 vs 日南学園 大熱戦!最後に待っていた劇的結末… 【第108回全国高等学校野球選手権大会 全打席ハイライト】 2026.8.10

コメント