2026年選手権1回戦 神村学園vs東筑(2日目第1試合)

2026年

大会2日目第1試合

東筑

1 2 3 4 5 6 7 8 9
1 0 0 0 0 0 0 0 0 1
0 0 3 0 1 1 0 0 × 5

神村学園

 

東筑    深町→加納

神村学園  松永→龍頭

ハイレベルな九州勢同士の好カードとなった一戦は、中盤以降に神村打線が東筑の好投手・深町を攻略。投げては松永から龍頭への継投で東筑打線を先頭打者ホームランの1点に抑え、神村学園が2年ぶりとなる初戦突破を果たした。

試合

東筑は注目の右腕・深町が先発。好捕手・平山とのバッテリーは中学時代から注目された存在である。一方、神村学園の先発は2年生左腕の松永。エース龍頭を温存する起用に、小田監督のこの大会にかける意気込みが伝わってくる。

しかし、そんな神村サイドの思惑を覆すかのように、東筑の先頭打者・平山のバットが火を噴く。軟投派の松永の立ち上がり、カウント1-1から真ん中高めに入った変化球を引っ張り込むと、打球は弾丸ライナーで一直線にレフトポール際へ。そのままスタンドに飛び込む先頭打者アーチとなり、いきなり1点を先行する。しかも、主将で捕手の放った一打。東筑としては最高のスタートを切る。

ただ、続く2番筋田が四球で歩いたところで、東筑ベンチは3番深町に犠打を指示。結局、犠打を決められずに最後は三振に倒れてしまうのだが、ここは投打の中心である強打者に打たせる選択肢でもよかったのではないかと思った。よく甲子園で余所行きの野球をして敗れるパターンがあるが、それにはまらなければよいが…と感じる場面であった。その後、松永はランナーを後続をなんとか抑え、初回を最少失点で切り抜けた。

一方、この試合最大の焦点であった深町平山のバッテリーvs神村打線の対決は、初回から熾烈なものとなる。1回裏、2アウトから3番梶山が痛烈なセンター前ヒットで出塁すると、4番川崎には厳しく攻めようとした意識が災いしたか、死球を与えてしまう。続く5番森友を打ち取って、なんとか無失点でしのいだものの、東筑バッテリーには初回から圧力がかかったことだろう。2回裏も得点こそ入らなかったものの、複数のランナーを出し、神村打線がじわじわとプレッシャーをかける。

これに対し、初回に失点をした神村学園・松永は2回以降、立ち直りを見せていく。小田監督曰く、「汚い」と表現される速球は手元で微妙に動くためとらえにくく、また、左打者の外へ逃げていくスライダーも効果的。低めにも制球されるようになり、失投が減っていく。神村バッテリーとしては、投打で要注意人物である1番平山、3番深町に特に注意を払って投じる様子が伝わっており、二人ともコースいっぱいの「動く速球」で打たせて取ることに成功する。チーム構成上、打線の中で投球の強弱をつけるポイントも絞りやすかっただろう。

こうして、流れは徐々に神村へ。3回裏、打者二巡目に入って深町をとらえ始める。1アウトから3番梶山が速球をきれいな右打ちで2打席連続のヒットとすると、4番川崎梶山に続いて初球をとらえてセカンド強襲のヒットとする。ランナーをためて、5番森友を迎えると、彼もまた初球攻撃!スライダーをとらえたあたりは、レフト前に弾むヒットとなり、2塁から梶山が素晴らしいスピードでホームへ。3連続の初球打ちであっという間に同点に追いつく。

これだけ初球から仕掛けていけるのは各人がしっかりタイミングが取れている証拠だろう。この後、ランナーをスコアリングポジションにためた状態で、2つの暴投が飛び出し、2者が生還してかみむらがくえんが3-1と逆転に成功する。記録上は、東筑サイドのミスだが、明らかに神村学園打線の圧力によって導き出されたものであった。

逆転を許した東筑だが、まだ試合は序盤。5回表に、1アウトから9番井上が右中間突破の2塁打を放ち、チャンスを迎える。さらに、1番平山が四球で歩いたところで、小田監督はついにエース龍頭をマウンドへ送る。松永は4回3分の1を1失点と、先発としては十分に役割を果たしたと言えるだろう。東筑は打順としては最も強い2番筋田、3番深町のところであったが、ここで龍頭が素晴らしい投球を見せる。アウトコース主体にボール半個分を出し入れできる抜群のコントロールを見せ、一球たりとも失投を見せずに、巧打の筋田を三振。さらに、深町もアウトコースのボール球を打たせ、このピンチを難なく乗り切る。

エースの好投で勢いを得た神村は、5回裏にも東筑のエース深町を攻め立てる。ここまで毎イニング複数のランナーを出し、初回から厳しい攻めを続けられたことで球数はすでに90球に到達。下位打線でも強打者の並ぶ神村打線を抑えきれない。6番川本はスライダーを、7番国分はストレートをとらえ、連続長短打でチャンスを作ると、8番秀島のセカンドゴロの間に川本がホームイン!次の主導権を握る、4点目を手にし、前半戦をフィニッシュする。

東筑は5回ですでに球数が100球を超えた深町を下げ、6回から右腕・加納をマウンドへ。こちらも福岡大会で16イニングを投げた実力派右腕だが、神村打線の振りは鋭い。6回裏、攻撃型2番としておいている田中がインハイの速球を打ち上げると、打球は高い放物線を描いてライトポール際へ。大会第3号となるホームランを放ち、悠々とダイヤモンドを一周する。選抜で横浜の剛腕・織田を打った男はさらにパワーアップして甲子園に帰ってきた。

点差が4点となった東筑はなんとか反撃を試みる。福岡大会では終盤に神宮王者・九国を逆転しており、粘りには自信のあるチームだ。しかし、そんな東筑の前に立ちはだかったのがエース龍頭であった。内外を自在に投げ分け、変化球も含めてすべての球種の精度が高い。ほとんどの打者をストライク先行の投球で追い込み、打席の中で主導権を与えてくれなかった。結局、龍頭は4回3分の2を投げて、被安打2・与四死球なしという完ぺきな投球でフィニッシュ。神村学園が高い総合力で同じ九州地区のライバルを制し、まずは2年ぶりとなる初戦突破を果たしたのであった。

まとめ

神村学園は、鹿児島大会を圧倒的な強さで制してきており、この試合では初めて先制点を奪われる形となったので、最初はどうかと思われた。しかし、どっこい腰を据えた攻撃で東筑バッテリーを攻略すると、投げては2番手・龍頭が素晴らしい投球で無失点リリーフ。攻守に全く隙の無い内容を見せつけ、改めて今大会の優勝候補であることを証明して見せた。

特に、5得点を挙げた打線は実にしぶとく、攻めるところでは一気に攻め立て、しかも雑な打撃内容がないという、相手にしてみたら実に嫌な打線に仕上がっている。地方大会で大勝して甲子園で打てないチームはよくあるが、神村打線には全くその図式は当てはまらないのだろう。このあたりは4年連続の出場という事も、大きく影響していると言えそうだ。鹿児島勢として悲願の夏全国制覇へ、まずは順調なスタートを切った。

一方、東筑は主将で女房役の平山がホームランを放つという、試合の中での最高のスタートを切ったのだが、チームの軸である深町平山のバッテリーが攻略され、神村の底力に屈した。守りでも攻撃でもチームの中心となる二人だけに、相手も徹底マークしてくるのは仕方がないところ。福岡大会ではそのマークを押しのけて勝ち上がったのだが、昨秋の九州大会でも対戦していた神村にはおそらく丸裸にされていたのだろう。打順2廻り目での神村打線の迷いのない攻撃が、それを示していた。

ただ、福岡屈指の進学校として甲子園の舞台にたどり着くということは、それだけでも非常に難しい事なのは周知の事実。今回は、力及ばずに敗れたが、この戦いを見て東筑で野球をしたいと思った野球少年はたくさんいるはずだ。また、白に赤字の東筑のユニフォームを甲子園で見れる日を楽しみに待ちたいと思う。

【高校野球 甲子園】 東筑 vs 神村学園  初戦から実現!九州勢同士の注目カード 【第108回全国高等学校野球選手権大会 全打席ハイライト】 20226.8.6

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