2026年選手権1回戦 英明vs関東一(4日目第4試合)

2026年

大会4日目第4試合

英明

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 0 1 0 0 0 3 0 0 4
1 0 0 0 0 0 0 0 0 1

関東一

 

英明    冨岡

関東一   石井→高橋

1回戦屈指の好カードとなったナイトゲームは、1-1の緊迫した投手戦で終盤に突入。関東一の見せた隙を、3番松原の走者一掃打でものにした英明が、選抜に続いて初戦突破を果たした。

試合

英明は選抜でその実力を証明済みのエース左腕・冨岡が先発。一方、関東一は東東京大会で好投を見せた、同じく左腕エースの石井がマウンドに上がった。

1回表、関東一の石井は好調な立ち上がりを見せる。左サイドからの独特なフォームと球筋、そして、そのキレのあるボールの前に、やはり、初見での対応は難しい。英明は3番松原にセンターへのヒットは出るものの、各打者が明らかにタイミングを取りづらそうにしている。選抜で8強を経験した猛者たちであっても、この投げ方の投手はそうそう対戦経験はないだろう。

一方、ここ2年間、堅守と機動力で夏の甲子園を沸かせてきた関東一は、初回からエンジン全開で好左腕・冨岡に襲い掛かる。1番佐宗がいきなり高めの速球をとらえてレフトへのヒットで出塁。2番成合は、これも初球を送りバントにすると、処理した冨岡の悪送球を誘って、無死1,3塁とチャンスを広げる。3番田沢はファウルフライに倒れるも、注目の強打者である4番井口がスライダーをうまくすくうと、打球はセンターへ。これをセンター吉川が好捕するも、犠飛となって佐宗がホームイン。鮮やかな形で先取点を奪う。

追いつきたい英明打線は2回表、やや制球にばらつきのある石井を攻め、6番浜野のヒットを足掛かりに、2四球を選んで満塁と攻め立てる。ここで打席には、この日のキーマンと見られていた1番池田。しかし、アウトコースの速球にやや詰まらされた打球はショートへのゴロとなって得点を挙げるには至らない。この回、確かに攻め込んではいたが、まだ完全に捉えた感じの打球は少なく、英明としては貴重なチャンスを逃した感が大きかった。

しかし、そんな展開が思わぬところから崩れていく。そのきっかけは、この2年間ほとんど見られなかった関東一の守乱であった。

3回表、先頭の2番吉川がファーストのエラーで出塁すると、1アウト後に4番高田がアウトコースの速球を右中間にはじき返す。ようやく出た理想的な打球で1,3塁とチャンスを広げると、ここで打席には5番松本一。カウント1-1からアウトコースのボールを引っかけた打球は3塁へのゴロ。ランナーは飛び出し、ランダンプレーとなるのだが、この過程でボールを受けたサードがまさかのお手玉。三本間に転がる間に、ランナーがホームを駆け抜け、思わぬ形で英明が同点に追いつく。

1イニングに起きた二つのミス。これまであまり見られなかった、この乱れが試合の流れを変えていく。というよりも追いついてもらった英明・冨岡に余裕と冷静さを与えてしまった感がある。

3回以降、持ち味のキレのある速球とチェンジアップに加え、1,2回と制球出来ていなかったスライダーも低めに決まり始める。カウントを整えることに全く苦労しなくなり、緩急も内外の出し入れも自由自在。まるで社会人野球の投手を見ているような「大人のピッチング」で、予選の成績で高打率がずらりと並ぶ関東一打線を完ぺきに封じていく。驚くようなボールもないが、打てるボールも見当たらない。そういった内容の投球であった。

一方、ミスから追いつかれたものの、関東一・石井も好投を見せる。サイドからの横の角度とキレを活かした投球で、好打者の並ぶ英明打線を料理。この春以降に特に急成長したという左腕が、常連校のエースとしてのプライドを見せるかのごとく、こちらも淡々とアウトを重ねていく。

試合は1-1のまま前半戦を終了。両チームとも想定より少し守備が乱れたとはいえ、1回戦屈指のハイレベルな内容で試合は後半戦へ進んでいった。

6回裏、関東一は1アウトから2番成合が初回以来となるヒットで出塁。塁上からプレッシャーをかけようとするが、ここで冨岡も再三にわたって牽制球を投じ、自由にさせない。走者をしっかり釘づけにしてから落ち着いた内容で後続を打ち取り、無失点に。5回もけん制でアウトを奪っており、関東一としては、武器の一つである機動力までも封じられてしまう。

すると、7回表、ここまで踏ん張ってきた石井がついに英明打線に捕まった。しかも再び守備の乱れが絡んでのものだ。1アウトから9番前田がしっかり選球して四球を選ぶと、続く1番池田はおあえつらむきのショートゴロ。6-4-3のゲッツーかと思った矢先、これをファンブルしてしまい、まさかのオールセーフとなる。さらに、2番吉川のたたきつけた打球が内野安打となって、1アウト満塁に。英明にとっては絶好の場面で、この日2安打と最も当たっている3番松原を迎えた。

ここまでスライダーを前捌きの打ち方で2安打している松原。当然、関東一バッテリーも、そのことは頭にあったはずだ。しかし、カウント1-0からアウトコースを狙ったスライダーが魅入られたように、内角甘めに入ってしまう。打球は背走するセンターの頭上を越し、塁上のランナーが次々にホームイン。4-1と一気にリードを奪い、英明が終盤7回で圧倒的優位に立った。

3点差をもらった冨岡は、終盤戦、全くペースを変えることなく、好投を披露。関東一打線に対して、終盤3イニングで一人のランナーも出すことなく、フィニッシュした。時に詰まらせ、時に泳がせる。完全に自分の世界に相手を引きずり込んだ左腕が、春からまた一つグレードアップした姿を見せ、選抜に続いて初戦を突破したのであった。

まとめ

英明の勝因は何と言っても冨岡の好投だろう。初回はややバタついていたが、中盤以降は全く危なげなし。技巧派の理想形とも言える投球で、相手打線から快音を消し、東東京を圧倒した強力打線をわずか3安打1点に封じて見せた。終盤の好機を生かした打線ももちろん勝因だが、この冨岡の難攻不落ぶりが呼んだ攻撃だったことは、試合を見ているものであれば一目瞭然であった。

これまで力はあるとされながらも、なかなか勝ち上がれないことが多かった英明。選抜に続き、今年は歴史を変える一年となりそうだ。

一方、関東一は一言でいえば、「らしくない」野球になってしまった。失点の場面ではいずれも失策が絡んでしまい、ここ2年間は決して見られなかったシーンだと言えるだろう。堅守と機動力という、同校が誇る武器が、少なくともこの試合では見られず、苦しい内容になってしまった。先発の石井は好投を見せ、2番手で投げた高橋も光るものがあったが、守りから崩れては成す術がなかった。予選で見せた強打もこの日は不発に終わり、思わぬ形での敗戦に。やはり、全国で勝ちづつけるのは難しいのだと感じさせられる、この日の戦いであった。

【高校野球 甲子園】 英明 vs 関東第一 初戦から激突!1回戦注目の好カード 【第108回全国高等学校野球選手権大会 全打席ハイライト】 20226.8.8

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