2026年選手権2回戦
健大高崎vs東海大甲府
51% 49%
〇7-1 八幡商 〇5-2 鶴岡東
ハイレベルな関東勢同士の攻防。総合力でわずかに健大高崎が上を行くか。
健大高崎は、初戦で2年生右腕の石垣が1失点で完投。1試合を投げぬいたとはいえ、ギアチェンジしながらの投球であり、まだまだ余力を残していそうだ。140キロ台中盤の速球に高速系の変化球を交え、なかなか付け入る隙は与えない。2年生ではあるが、すでに投球内容は3年生と言ってもいい完成度を誇っている。初戦で石垣が完投したため、同じく2年生の左腕・北田を温存できたことも大きく、次戦では登板の可能性もありそうだ。
対する東海大甲府打線は中軸を中心に相手の左投手二人を攻略。特に、低めの変化球を捕まえるのが抜群にうまく、打ち取ったと思えるボールでも拾って内野の間を抜いていった。この打撃ができるのは大きく、健大バッテリーとしてもより慎重な配球が求められるだろう。また、その左腕投手二人の、いずれも立ち上がりをとらえて得点しており、試合の入りもうまい印象。同じ東海大系列の東海大相模を思わせるような、アグレッシブベースボールで開始とともに襲い掛かれる怖さがある。
一方、東海大甲府は左腕・熊谷から右腕・村尾への継投で強打の鶴岡東打線を8安打2失点に封じることに成功。二人とも非常にコントロールが良く、コース・低めを丹念について打たせて取る。甘い速球にめっぽう強い健大高崎打線に対しても、本来の丁寧な投球ができれば、そう大けがはないはずだ。捕手・岡田を中心に、速球にいかに的を絞らせない投球ができるかも重要。内外野が非常に鍛えられていることは心強い材料だろう。
接戦が予想される中、その予想を覆す可能性が一番高いのは、健大高崎の強打だろう。4番佐藤、5番大岩を中心に下位までシャープなスイングを繰り出す打線は、やはり破壊力抜群。力勝負を挑んで少しでも甘くなれば、外野最深部まで運ぶ可能性のある打線だ。また、2番に石田雄がいることも大きく、俊足巧打の彼がこの打順にいることで、守る側はいくつも考えなくてはいけないことが増えてしまう。塁上から圧力をかけ、勝負どころでは強打で畳みかける、健大高崎打線の特徴が出せるかどうか注目して見たい。
両投手が持ち味を発揮すれば、おそらく3~5点の間での勝負になりそう。継投のタイミングが重要になってきそうだ。
主なOB
健大高崎…長坂拳弥(阪神)、柘植世那(西武)、湯浅大(巨人)、下慎之介(ヤクルト)、三ツ間卓也(中日)
東海大甲府…久慈照嘉(中日)、仲沢広基(巨人)、高橋周平(中日)、渡邉諒(日本ハム)、高部瑛斗(ロッテ)
群馬 山梨
春 1勝 1勝
夏 1勝 0勝
計 2勝 1勝
対戦成績は春は五分の星、夏は群馬勢の勝利となっている。
1991年の選抜ではミラクル市川と呼ばれた初出場校・市川が、準々決勝で同じく桐生第一と対戦。1-1の同点で延長戦にもつれこんだ試合は、10回裏に市川が驚異的な粘りで試合をひっくり返し、逆転サヨナラで4強入りを決めた。この大会以後、市川・桐生第一の2校がたびたび甲子園に姿を現し。平成の甲子園を沸かせることとなる(1999年夏に桐生第一は群馬県勢初の全国制覇を達成)。
市川vs桐生第一 1991年選抜 | 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)
一方、2017年夏は前橋育英と山梨学院大付の強豪対決は初戦で実現。ともに2年連続の甲子園出場で有り、甲子園経験者の複数残るチームだった。エース皆川や野手兼任の左腕・丸山(ヤクルト)など140キロカルテットと呼ばれた投手陣を擁する前橋育英と好左腕・吉松が引っ張る山梨学院大付とあって、投手戦が予想されていた。しかし、ふたを開けると、前橋育英打線が序盤から爆発。相手エースを攻略し、1番丸山の盗塁も絡めて大量点を奪取。12-5と大差で2回戦進出を決めた。
2017年選手権1回戦 前橋育英vs山梨学院大付(2日目第3試合) | 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)
早くも2回戦で実現した関東強豪対決、果たして次のステージに進めるのはどちらのチームか
思い出名勝負
2024年選抜準々決勝
山梨学院
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 |
| 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 |
| 0 | 0 | 0 | 0 | 4 | 0 | 2 | 0 | × | 6 |
健大高崎
山梨学院 津島→桜田
健大高崎 佐藤→石垣
2024年の準々決勝第二試合は、ディフェンディングチャンピオンと才能豊かな左右の二年生投手を擁するチームという、関東の強豪同士のマッチアップとなった。
山梨学院は、前年にエース林を擁して県勢悲願の全国制覇を達成。その時から投手陣は大幅に入れ替わったが、今年も強力なチームで甲子園に乗り込んできた。投手陣は左腕・津島から右サイドの桜田へつなぐリレーを確立。相手打線にとっては非常にとらえにくい継投策で、試合の流れを渡さなかった。
打っては、下級生が多いメンツながら、前年の優勝が攻撃の「うまさ」という伝統をチームに残していた。4番梅村、5番針尾を中心に上級生も奮起。京都外大西、創志学園と危なげなく下し、連覇へ向けて、まずは順調にベスト8進出を決めた。
対する健大高崎は、佐藤(オリックス)・石垣(ロッテ)という強力な左右2本柱を引っ提げ、甲子園入り。特に、佐藤はインステップ気味のフォームから繰り出す速球とスライダーが、いずれも横の角度が素晴らしく、左打者にとっては特に攻略困難なボールとなっていた。また、右腕・石垣も150キロ近い速球を投げる本格派。まだ2年生ながら凄まじい存在感を放つコンビであった。
ここに、その名字から「関東3山」と言われた、高山・箱山・森山の中軸を中心とした打線が加わり、戦力は充実。初戦で学法石川との投手戦を制すると、2回戦では強打の明豊打線を佐藤→石垣のリレーでわずか3安打完封して勝ち上がった。試合を重ねるごとに、その実力の高さを証明していった。
健大高崎は2年生左腕・佐藤、山梨学院は同じく2年生の左腕・津島。両チームともに、過去2戦と同じ投手が先発のマウンドに上がった。
健大高崎の左腕・佐藤はこの日も快調なピッチング。インステップで角度のついた場所から切れ味抜群のスライダー、カーブを投じ、山梨学院の上位打線を初回、3者凡退に打ち取る。山梨学院打線も当然対策は練ってきただろうが、実際に対してみると、なかなか攻略は難しいだろう。
一方、山梨学院の津島も特徴のあるフォームの左腕。関節の可動域が広く、腕が背中に隠れるように入るため、相手打者は突然ボールが出てくるように見える。機動力の光る健大高崎打線に対し、打たせて取る投球で、3者凡退。塁に出さなければ、機動力の心配もない。
試合は、両左腕の好投で非常に速いペースで進んでいく。中盤まで佐藤、津島の両者がストライク先行の投球でつけ入るスキを与えない。2人共変化球の切れが光る左腕だが、ベース手前でより曲がっているのだろう。とらえるポイントで非常に打者が苦労している印象だ。また、健大高崎・箱山、山梨学院・横山の両キャッチャーも強肩のため、ランナーが出ても仕掛けるスキがない。
あるいは終盤まで0-0で進むかと思われた好左腕同士の投げ合い。ところが、意外なところから試合が動き出す。山梨学院・津島がまめが破れたのか、ユニフォームに血の跡がついている。4回裏、無得点で踏ん張ったものの、3番高山・4番箱山・5番森山の3人にいずれも出塁を許す。変化球が生命線の投手にとって、これは痛い。満塁のピンチをなんとかしのいだものの、不安を残す展開となる。
すると、5回裏、健大高崎打線がつながり始める。先頭の7番横道が四球を選ぶと、すかさず代走の四宮を送る。このあたりは迷いのない采配。暴投と四球で1,3塁となると、1番斎藤が変化球をきれいにセンターへ返す。これが貴重な先制タイムリーとなると、2番田中も同じような打球で左打席からセンターへタイムリー。左腕投手を攻略するお手本のような打撃だ。さらに、内野ゴロでランナーを進めたところで、打席には4番箱山。初球のストレートをとらえた打球は、ホームランかと思うほどの放物線を描いてレフトフェンスを直撃する。2者がホームを駆け抜け、この回大きな4点を刻んだ。
続く5番森山の初球を投げたところで、津島は降板。不調や制球ミスが原因ではないだけに、非常に気の毒な形となった。
一方、健大高崎も6回から継投に入る。佐藤の球数はまだ58球だっただけに、早すぎるようにも思えたが、今後を見据えてのことだったかもしれない。再登板の可能性を考慮し、ベンチに下げることはなかった。2番手の右腕・石垣は代わり端、2四球と2番万場のヒットで満塁のピンチを招いてしまう。しかし、4番梅村は当てただけのセカンドゴロで併殺となり、得点には至らない。満塁の場面でタイムを取ったことで、石垣が別人のような落ち着きを見せた。
石垣がランナーを出しながらも、要所を締める投球を見せると、健大打線は2番手の桜田もとらえる。変則的な右サイドの投手だが、健大の左打者がタイミングを合わせる。7回裏、併殺を取られて2アウトになるが、2番田中、3番高山が連続長打で1点を追加。さらに、4番箱山にも2打席連続のタイムリーが飛び出し、決定的な2点を加えた。
なんとか意地を見せたい山梨学院は、8回にも9番桜田、代打・山田の連打を皮切りの満塁のチャンスメーク。ここで当たっている3番河内の犠飛でようやく1点を返す。オーソドックスな本格派右腕の石垣のほうがタイミングは取りやすいのだろう。しかし、この日は過去2戦のように集中打にはつながらない。後続が凡退し、1点にとどまった。
石垣は6回からのロングリリーフとなり、再三ランナーを背負ったが、スロースターターなのかもしれない。ピンチは背負っても、投げるたびに、コントロールの精度を取り戻していくような感じがした。もともと球威はあるだけに、コーナーにきまればそうは打たれなかった。最終回は6番から始まる山梨学院の攻撃を3人で抑えて試合終了。健大高崎が関東ダービーを制し、12年ぶりの4強進出を果たした。
健大高崎は相手のアクシデントもあったとはいえ、そのスキを逃さない集中攻撃は見事であった。上位打線の決定力は特に素晴らしく、過去2戦は機動力が目立ったが、この日は打力も伴って理想的な攻撃となった。過去2戦で1安打だった森山に2本のタイムリーが出たのも大きかっただろう。もちろん、機動力も素晴らしく、随所に素晴らしいスライディングを見せた。
また、投げては、エース佐藤が5回を投げて、わずか1安打の好投。この日は58球しか投じておらず、青柳監督の温存もうまくいった感がある。また、2番手の石垣は2度の満塁のピンチを招きながら、4回で1失点とリリーフの役目を立派に果たした。その後、準決勝では神宮王者の星稜、決勝では地元・兵庫の報徳学園を下し、ついに悲願の全国制覇を達成。群馬県勢で3校目となる優勝校に名を連ねたのであった。
一方、山梨学院は、序盤は互角の展開で推移していただけに、2年生エース津島のアクシデントがもったいなかった。ここまで大会の軸となっていただけに、チームに動揺が走ったのも想像に難くない。この日は実力以外の要素で、敗れた感が強かった。
ただ、昨年とメンバーが大幅に入れ替わりながら、したたかな戦いで2勝を挙げたのは見事。過去の甲子園では力がありながらも、なかなか上に勝ち上がれない時代もあったが、もう完全に過去のものになったことを証明した戦いであった。


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