2026年選手権3回戦予想 履正社vs三重

2026年

2026年選手権2回戦

履正社vs三重

51%   49%

〇6-2  三重  〇5-3  松商学園

ともに高い打力を誇るチーム同士の対戦。お互いの投手事情が勝敗を分けることになりそうだ。

履正社は、初戦でエース木村が167球を投げて完投勝ち。良くも悪くも彼の持ち味が出た投球だったが、亨栄打線の粘りを考慮したとしても、少し球数は多すぎた。失投をとらえる能力は亨栄よりも三重の打線のほうが上回ると見ており、序盤が同じような投球内容だった場合、早々に捕まる可能性もある。今後の疲労を考慮すると、大阪大会で2枚看板として機能した左腕・上山の先発も十分考えられるが、まずは序盤戦をどう乗り切るかが重要になってくるだろう。

対する三重打線は、初戦で松商学園の投手陣から5点を奪取。選抜でも実証した打線のつながりの良さ、各打者の打撃技術の高さを改めて見せつけた。特に、打順の組み換えが功を奏している印象があり、4番福田・5番立松の並びが得点の流れを呼び込んだ。履正社の投手陣、特にエース木村に対しては、抜けるボールをいかにとらえ、低めの変化球に手を出さないかがカギとなる。いつもの三重高校の打撃ができれば、木村が完投した場合、1試合トータルで4点前後は奪いそうだ。

一方、三重の投手陣は、得意の継投策で松商学園打線を相手に3点で粘り切った。特に、ロングリリーフした右腕・船橋の働きは大きく、彼の粘りの投球がチームの勝利を呼び込んだと言っても過言ではない。ただ、懸念材料があるとすれば、ストッパー役だった右腕・古川が離脱したこと。彼が後ろに控えることで、継投での「緩急」を有効に使うことができたのだが、それが難しくなってしまった。最終回に、エース格の吉井が登板するも2点を献上してしまっており、若干の不安は残る。履正社打線は変化球をとらえるのもうまいため、試合前に継投プランの綿密な計画が必要になりそうだ。

対する履正社打線は、初戦でハイレベルな享栄投手陣から11安打で6点を奪った。試合序盤は、沈黙しているように見えたが、失投は逃さず外野最深部まで運んでいくあたり、やはりその実力は大会でもトップレベルであることを証明した。センター中心に打撃が雑にならないことのも強みだ。また、機動力が使えることも大きく、送るかと思われた2番竿谷の打席で強攻を仕掛けたり、重盗を成功させたりと、相手にとって読みにくい攻撃を仕掛ける。このあたりは、多田監督のカラーであり、岡田監督時代と様相が変わっていることを感じさせた。硬軟織り交ぜた攻めで、相手投手の攻略をもくろむ。

大会前、三重の古川がいた場合は、この対戦で三重の有利を予想していたが、彼がかけてしまい、なおかつ初戦の履正社の打棒を見たため、少し履正社有利の予想に変更した。おそらく4-6点の範囲での打撃戦になりそうであり、両チームの投手起用がカギを握ることとなりそうだ。

主なOB

履正社…T-岡田(オリックス)、山田哲人(ヤクルト)、宮本丈(ヤクルト)、寺島成輝(ヤクルト)、井上広大(阪神)

三重…水谷孝(阪急)、水谷新太郎(ヤクルト)、西川明(中日)、梅村学人(オリックス)、加藤匠馬(中日)

 

大阪   三重

春  7勝    1勝

夏  4勝    0勝

計  11勝      1勝

対戦成績は春夏ともに大阪勢が圧倒している。

三重勢の唯一の勝利は、1969年の選抜準決勝。三重と浪商が対戦した。夏春連続出場の三重は、長身エース上西を中心に快進撃を見せていた。前年夏も大阪代表の興国に敗れていたこともあり、打倒大阪勢に燃えていた内因は、前半に奪った2点のリードを上西がしっかり守り切り、浪商に完封勝ち。決勝は堀越に大差で勝利をおさめ、三重県勢として唯一の選抜制覇を成し遂げた。

一方、今年の選抜大会2回戦では大阪桐蔭と三重が対戦。三重としては過去2回対戦していずれも大阪桐蔭に敗れており、3度目の正直を目指しての戦いであった。試合は序盤から両先発投手が攻略され、取っては取られの打撃戦に。大阪桐蔭が5-4とリードして迎えた8回裏、代打・代走と積極的なベンチワークを見せると、これに相手バッテリーのミスも絡んでついに同点に追いつく。勢いに乗った9回裏には、2アウト2塁から3番秋山にヒットが飛び出すが、これはレフト仲原の好返球でタッチアウトに。10回表に犠飛で決勝点を挙げた大阪桐蔭が三度、三重を1点差で制し、勢いに乗って10度目の全国制覇を達成したのであった。

三重としては選抜に続いてベスト8を前に大阪勢が立ちはだかることとなった。上位進出に向けて、この壁を越えられるのか、はたまた跳ね返すのか。注目の戦いが幕を開ける。

思い出名勝負

2014年夏決勝

三重

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 2 0 0 1 0 0 0 0 3
0 1 1 0 0 0 2 0 × 4

大阪桐蔭

 

三重    今井→森→瀬戸上

大阪桐蔭  福島

終盤にもつれる激戦が多かった2014年の選手権大会。北信越勢が非常に元気な大会であり、出場5校はいずれも初戦を突破。ベスト16にも4校、ベスト4に2校が残るなど、旋風が吹き荒れた。しかし、決勝戦では、ともにその北信越勢が下した2校が対戦することに。いずれも、ここまで苦しい道のりを勝ち抜いてきたチームであった。

大阪桐蔭は、3年連続の甲子園出場。2つ上の代は、エース藤浪(DeNA)を中心に春夏連覇を達成し、1つ上の代も主将・森友哉(オリックス)を中心に春夏連覇を達成していた。しかし、この2014年の代は前年にレギュラークラスで出場していたのが、峯本・香月(オリックス)の二人のみであり、投手陣に関しては出場経験者がほぼいない状況だったのだ。新チームは秋の大阪大会で1-14と履正社に完敗。高校球界の王者になりつつあった大阪桐蔭のこの敗戦は、当時衝撃とともに全国を駆け巡った。

しかし、抜群の人間力を誇る主将・中村を中心に、一冬を超えてチームは一気に強くなった。右サイドのエース福島は、左打者のインコースへのカットボールを磨き上げてエース格に成長。2年生左腕・田中の台頭もあり、投手陣の不安は解消された。打線は中村を1番に据え、峯本を攻撃型の2番に据えることで、前陣速攻型の攻撃を展開。ここから、広角に打てる3番香月、走力もある4番正隋(広島)、パンチ力と勝負強さを兼ね備える5番森とつなぎ、上位打線はかなり強力になっていた。

春の近畿大会を制して勢いに乗ったチームは、大阪大会の準決勝で履正社に6-2とリベンジを果たし、そのまま優勝。3年連続の出場を果たす。甲子園では初戦から開星と乱打戦になり(初回にまさかの4失点)、7-6と勝つには勝ったものの、不安なスタートになる。しかし、この感じも2014年らしさか。2回戦で3年連続の対戦となった明徳義塾・岸(西武)を攻略して勢いをつけると、準々決勝では「機動破壊」の健大高崎を、準決勝では記録的な強打で見せていた敦賀気比を、それぞれ打ち破り、気が付けば決勝まで勝ち進んできた。2年前の春夏連覇時と比べ、隙はあるのだが、終わった時には勝っている、そんなチームであった。

一方、三重は3季連続の甲子園出場。こちらは前年夏に出場したメンバーが、長野・宇都宮・世古と野手を中心にかなり残っており、新チーム結成時の期待はかなり高かった。その秋は、下馬評通りに東海大会を制し、いよいよ全国でも結果をだせるかと期待が集まっていた。というのも、三重県勢は21世紀に入ってから夏の選手権で勝利を収めたのが、三重高校自身の2009年の1勝のみ。全国での勝利をなかなか上げられず、苦しい戦いが続いていたのだ。

しかし、この期待を背負った代も神宮では後に選抜を制することになる龍谷大平安に4-5と惜敗。リベンジを誓った選抜の舞台でも、智辯学園・岡本(ブルージェイズ)に2ホームランを浴び、2-7とまさかの完敗に終わった。力勝負を挑んでしまったエース今井を中心にディフェンス面の課題が浮き彫りになったナインは、日章学園をかつて甲子園に導いた名将・中村監督のもと、7割を守備練習に当てていくことで、チーム改革を実施。安定した強さを手にしたことで、1年間、県内はおろか東海地区でも負けなしの状態で、春夏連続出場を決めることとなった。

迎えた甲子園初戦では、いきなり広陵との強豪対決に。相手エース吉川の好投の前に9回2アウトまで追い込まれるも、2番佐田の2点タイムリーで追いつくと、延長11回裏に押し出し死球をもらってサヨナラ勝ち!これで長い呪縛から解き放たれたのか、その後は、大垣日大、城北を下して順調に勝ち上がっていく。投球フォームに力みが無くなった今井もほとんどの試合を一人で投げぬくタフネスぶりを発揮し、準々決勝では沖縄尚学、準決勝では日本文理と前年秋の神宮大会のファイナリスト2校を撃破。日本文理戦に至っては、あの強力打線を完封してしまい、あれよあれよという間に決勝までコマを進めることとなった。

さて、互いに苦しい状況からチーム全体での粘りを発揮して勝ち上がった両チーム。技巧派エースを強力打線が支えるという構図も似ており、まさに似た者同士の決勝戦であった。先発はもちろん両エースが務めることとなり、注目の決勝戦の火ぶたが切って落とされたのだ。打撃好調な者同士の激突とあって、序盤から激しいせめぎあいとなる。

2回表、まずは三重が先手を奪う。先頭はここまで大会を通して無安打の5番稲葉。一人打撃で乗り遅れていたが、ここは甘く入ったスライダーをとらえ、右中間突破の2塁打で出塁する。6番山井の犠打は失敗に終わるが、7番世古が四球でつなぐと、続く打席には8番中林。捕手としてエースに先取点をプレゼントしたい女房役が真ん中寄りに入った速球をフルスイングすると、打球はレフトを守る主将・中村の頭上を越える2点タイムリー2塁打に!大声援に乗って三重が先取点を奪う。

しかし、数々の逆境を乗り越えてきた大阪桐蔭には素晴らしい反発力がある。取られた直後の2回裏、1アウトからこちらも女房役の6番横井がヒットで出塁。暴投で2塁へ進むと、ここまで不振にあえいでいた8番福田がライトへのタイムリーを放つ。両者とも不振だった打者とキャッチャーの一打が絡んでの得点。序盤からもつれそうな展開が予想された。

大阪桐蔭としては、ここまで当たりの出ていなかった下位打線での得点というのも大きかった。3回裏には上位打線も奮起!1番中村がレフト線への二塁打を放つと、2番峯本の打席で暴投が飛び出し、3塁へ進む。峯本は三振に倒れるが、3番香月がきっちり犠飛を打ち上げて、同点に。この大会、この二人が両方凡退した場面があまり記憶にないほど、双方2回に1回は出塁していた。

2-2の同点のまま試合は中盤戦へ。この試合、常に先手を取るのは三重高校だ。5回表、先頭の1番主将の長野がセンター返しのヒットで出塁すると、2番佐田の犠打はエース福島の野選を誘い、無死1,3塁となる。ここで、3番宇都宮はアウトコースのスライダーをうまく拾ってセンターへ。打球は森の前に弾み、三重が1点を勝ち越す。ただ、ここでバタバタいかないのが、この年の大阪桐蔭の粘りだ。続く4番西岡をファーストへの併殺打に打ち取り、続くピンチを脱出。バッテリーを中心に粘りの野球で食らいついていく。

1点のリードをもらった今井は、持ち前のタフネスさで調子を上げていく。6回には2番峯本にヒットを許すも、3番香月を併殺に打ち取って、結局3人で攻撃終了。選抜の教訓を生かした力みのないフォームから淡々と投げ込んで試合を作っていく。

この流れに乗った三重は、7回表、先頭の1番長野がまたもヒットで出塁すると、盗塁と内野ゴロで3塁へ進む。ここで打席には強打の3番宇都宮。カウント0-1になったところで、中村監督はスクイズに方針を変更する。しかし、この際のわずかな雰囲気の違いを捕手・横井はキャッチ。自らの判断で続くボールをウエストすると、打者の宇都宮はあまりにもボールが離れていたため、バットに当てることができない。3塁走者の長野が挟殺され、貴重なランナーが無くなってしまう。

試合の行方を左右しかねない終盤での流れの機微。王者がこれを逃すはずもなく、攻めたてていく。7回裏、下位打線から始まる攻撃で四死球も絡めて攻め立てると、この日、初得点につながるタイムリーを放った福田がヒットで続き、満塁のチャンス。9番福島は三振に倒れるも、続く打席には1番中村が入る。1年間主将としてチームを牽引してきた男に回ってきたチャンス。カウント0-1からインサイドのボールに詰まった打球は、センターを守る三重の主将・長野の前へ。ダイブするもわずかにグラブは届かず、ボールが転がる間に2者が生還。この夏の大阪桐蔭を象徴するような泥くさい一打で、この試合初めてのリードを奪った。

ただ、そうは言ってもリードは1点。互いに死力を尽くす中で、この点差は合ってないようなものだ。9回表、1アウトから三重は9番今井、1番長野が連打。チームを引っ張ってきたエースと主将がヒットを放ち、アルプス席の雰囲気は最高潮となる。代打・鈴木は三振に倒れるも、ここで打席には先ほどスクイズを外された強打の3番宇都宮。一打出れば、また試合がひっくり返る局面となり、野球の神様がまだ両者の試合を見たいと言っているように感じられた。

しかし、最後はアウトコースのスライダーを打たされ、打球はショートへのゴロに。ボールをさばいたショート福田の送球は、1塁へワンバウンドとなるも、体を目いっぱい伸ばしてファーストの正隋がつかんでゲームセット!これまた、この年の桐蔭を象徴するような粘り強い守備で、最後のアウトをつかみ取ったナインは、夏前の下馬評をかわす戦いぶりで、ついに全国の頂点に立ったのであった。

大阪桐蔭は、過去の優勝では圧倒的な力で相手を制することが多かったが、この年の代は入学から決して評価の高い学年ではなかった。しかし、主将・中村を中心にやんちゃものが一枚岩になったとき、これほどまでに成長するのかということを実感させられるチームであった。これまでと全く違う道のりでつかんだ2014年の栄冠。指揮官である西谷監督に、また違った手ごたえを残したことは間違いないだろう。この年の粘り強い戦いが、その後の大阪桐蔭というチームを慶せ宇する上での重要なピースになったと思われる。

一方、三重も惜しくも準優勝には終わったものの、久々の初戦突破から一気に決勝まで登りつめることとなった。この原動力は、やはり、前年夏、この年の春と初戦敗退して悔しさを味わったことによる。エース今井に主将の長野、そして、宇都宮、西岡、世古と前年から出場したメンバーが多く残ったことが大きかっただろう。これまで不振だった三重県勢も、この年をきっかけに復調し、コンスタントに初戦を突破することに。2014年の三重高校の快進撃は、多くの財産を後に続くものに残したのであった。

【夏の甲子園・高校野球】 三重vs大阪桐陰 ハイライト

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