2026年選抜準々決勝 大阪桐蔭vs英明(9日目第4試合)

2026年

大会9日目第4試合

英明

1 2 3 4 5 6 7 8 9
2 0 0 0 0 0 1 0 0 3
1 0 1 0 0 1 0 1 × 4

大阪桐蔭

 

英明     富岡

大阪桐蔭   小川→川本

ベスト4最後の椅子を争った第4試合も、1点にしのぎを削る好試合に。終盤に主砲の一打で勝ち越した大阪桐蔭が2023年以来となる4強入りを決めた。

試合

大阪桐蔭は、2回戦で延長10回から登板して好投を見せた左腕・小川を先発に起用。一方、英明は初戦で完投勝ちしたエース左腕・冨岡を満を持して先発に持ってきた。互いに、2回戦とは違う先発起用となり、落ち着いて試合に入りたいところだったが、初回から荒れ模様の展開となる。

1回表、したたかでかつスピーディーな攻めが持ち味の英明打線が、桐蔭の小川をとらえる。1アウトから2番太田が四球を選ぶと、2アウト後に4番高田が小川の高めに浮いた速球を完ぺきにとらえて左中間を破る。1塁ランナーは余裕を持ってホームへ生還したかと思われたが、この打球はワンバウンドでフェンスを越えてしまい、エンタイトルツーベースとなってランナーは戻されて2アウト2,3塁となる。英明としては嫌な展開だったが、ここで5番松本一がすかさず初球攻撃。打球はサード横を破るタイムリーとなり、レフトがボールをはじく間に2人目も生還して幸先よく先制する。

英明としては願ってもない展開のスタート。しかし、高校球界の王者も、その裏にしたたかに反撃する。好左腕・冨岡に対し、1アウトから2番中西がショートゴロエラーで出塁。好打者の3番内海はエンドランでセカンドゴロとなると、4番谷渕は四球で歩く。ここで、四球の間に2塁ランナーの中西は三盗を敢行し、抜け目なく進塁。守備陣に圧力をかけると、5番藤田のサードゴロがエラーを誘って、1点を返す。互いに積極的な攻めを見せ、初回から得点を奪い合う展開となる。

桐蔭の小川はすぐに得点を返してもらったことで、落ち着きを取りもどしたか、得意のスライダーを武器に投球を立て直していく。𠮷岡川本の左右の両エースの陰に隠れていたが、他校なら堂々エースを張れる実力者。特に左打者の外へ逃げるボールが有効であり、2回、3回と0を並べていく。2回戦は真っすぐ主体の投球だっただけに、英明打線としても面食らった部分はあっただろう。

一方、四国屈指の実力派左腕である冨岡も得意のスライダー・チェンジアップを配して、2回裏は3者凡退。しかし、3回に入って打者二巡目の上位打線につかまってしまう。1,2番を打ち取って2アウトとなるが、3番内海が高めの速球をとらえると、流し打った打球は浜風ににってレフトの頭を超す2塁打に。甲子園特有の風を活かした打撃を見せると、4番谷渕はこれも内海と同じような流し打ちで真っすぐをとらえ、左中間を破るタイムリー2塁打で同点とする。相手のカウント球の外真っすぐに対し、しっかり張ってミスショットなくとらえて見せた。

追いつかれた英明だが、中盤に入って小川の投球の傾向をつかみ始めたか、4回表には6番濱野のヒットと7番矢野の四球で下位打線からチャンスメークする。しかし、ここで8番榎本の犠打は好フィールディングでサード封殺とし、1アウト。9番前田はきっちり犠打を決めて2アウト2,3塁となるが、1番池田はセンターへのフライに倒れて無得点。勝ち越しのチャンスを活かしきれない。

さらに、5回表にも2番太田のラッキーな内野安打と3番松原の巧みなバントヒットを足掛かりに1アウト2,3塁とするが、大阪桐蔭守備陣の好守の前に、これも後続が生かしきれず。2イニング連続で複数のランナーを出しながら得点をあげることができない。小川としては、ランナーを背負う展開が多かったが、5回を投げて初回の2失点のみと先発としての役割を十二分に果たしてみせた。中盤から真っすぐ主体の投球に戻したことで、英明打線の目先をかわし続けた藤田のリードも見事である。

英明としては、冨岡が4回、5回と無失点で踏ん張っていただけに、この中盤で勝ち越しておきたかったところ。2-2のまま、試合が後半戦へ突入すると、大阪桐蔭は6回から満を持してエース川本を登板させ、流れを引き寄せに来る。

その川本が圧倒的な球威を武器に6回の下位打線3人を3者凡退で封じ込めると、その裏、桐蔭らしい攻撃で勝ち越し点を奪う。先頭は強打の4番谷渕。1-2とバッティングカウントから富岡のスライダーに狙いを定めて振りぬくと、打球はライトポール際に一直線に伸びるホームランに!新基準バット導入以来、久しく見なかったような桐蔭の主砲の一撃で、桐蔭が1点をリードする。

こうなると、試合は桐蔭ペースかと思われたが、取られた直後の攻撃で英明がしたたかさを見せる。まだボールにややばらつきのある川本に対し、先頭の1番池田が内角速球を詰まりながらもライト前に落とす。続く2番太田の犠打は小フライとなるが、これをバッテリー間で譲り合う形となり、慌てて送球したところ、悪送球となってしまう。無死1,3塁と、英明としては絶好のチャンスを迎えると、続く3番松原がたたきつけた打球は、1,2塁間をしぶとく抜けるタイムリー!相手のミスにすかさずつけ込み、同点に追いつく。

大阪桐蔭としては、川本が甲子園初失点を喫しての同点劇。なおも無死1,2塁と厳しいが続くと、続く4番高田の犠打は川本の正面を突くが、これを焦ってはじいてしまい、無死満塁と大ピンチを迎える。しかし、ここで5番松本一の右方向への鋭い打球はファースト岡安の正面に。キャッチして、そのままファーストベースを踏み、ダブルプレーで一気に2つのアウトを奪う。球際に強い守備でエースを助けると、川本は6番濱野を低めのスライダーで三振に打ち取り、難を逃れる。両者の間を流れが行ったり来たりするイニングになったが、結果的に同点に追いつかれたとはいえ、桐蔭に流れが傾く雰囲気となった。

同点のまま試合は最終盤へ。英明としては、エース冨岡が投げ続けているだけに、先に勝ち越しておきたいところだが、攻撃がかみ合わない。8回表、先頭の7番矢野が四球で出塁し、犠打で2塁へ進むが、9番前田の打席で三盗を仕掛け、タッチアウトに。ここはベンチの判断だったか、矢野自身の判断だったかがわからないが、結果的に貴重なランナーを失う格好となった。さらに、前田も四球で出塁するが、今度は二盗を仕掛けるも、またしても失敗に。落ち着いて二つの盗塁を指した捕手・藤田の強肩と送球の正確性が勝った。

この流れの機微を王者・大阪桐蔭が逃すはずがない。先頭の3番内海が疲れの見える冨岡から四球を選ぶと、この日、ここまで2安打と当たっている4番谷渕が仕事を果たす。犠打の構えを見せて相手を揺さぶると、サインはまさかのバスターエンドラン。これに応えた谷渕が前進守備のサード横を抜く打球を放ち、3塁線を破る2塁打に!これまでの甲子園でノーアウトからは犠打が多かった西谷監督だが、新境地を開くような攻撃を見せる。

ここで、打席には先ほど盗塁を2つ指して乗っている5番藤田。カウント1-1でアウトコースから入ってくるスライダーをとらえた打球はセンター後方へ。センター矢野が背走でナイスキャッチするも、3塁から内海がかえって、桐蔭が勝ち越し。浅いカウントから打つべきボールを逃さなかった藤田の打撃が素晴らしかった。

リードを許した英明だが、こちらも9回表は上位の1番から。1アウト後、2番太田が緩いボールを引き付けて流すと、打球はショート後方へ落ちるヒットに。ここは、3番松原がきっちり送り、4番高田に託す。しかし、初球の高めストレートを叩いた打球は、力なく内野の頭上に。最後はセカンド小吹がしっかりつかみ取ってゲームセット。大阪桐蔭がシーソーゲームを制し、2023年以来3年ぶりとなる準決勝進出を決めた。

まとめ

大阪桐蔭としては、先発・小川が初回に2点を失う苦しい展開となったが、結果的にその小川が5回2失点と試合を作ったことが大きかった。5回までで8人のランナーを許し、三者凡退は1イニングのみだったが、真っすぐ狙いの英明打線の狙いを外す藤田の好リードが冴え、6回からは川本に繋ぐことに成功した。その川本はボールが浮くケースもあったが、最後はボールの力でねじ伏せるという「らしい」投球で4回を1失点。守備陣も捕手・藤田をはじめとして、好守で投手陣を支え、接戦をものにした。

また、攻撃陣は全盛期のような派手さはないが、今年はベンチワークの良さが際立つ。勝ち越しの場面のバスターもそうだったが、最も得点が期待できる3番内海、4番谷渕の打順で必ず「攻撃の形」が作れており、得点機を逃さない勝負強さが際立っていた。新基準バット導入以来、苦しんでいた大阪桐蔭の攻撃だったが、時代に合わせてアップデートした形を探し当てつつあるようだ。

一方、英明もエース冨岡を中心にしぶとい攻守で大阪桐蔭に食らいつく好ゲームを演じた。冨岡は武器であるチェンジアップ、スライダーを軸に要所で打たせて取るうまさが光り、4点は取られたものの、内容は素晴らしかった。攻撃陣も立ち上がりを捉えるうまさを見せたが、惜しむらくは終盤8回の走塁面での逸機か。このあたりは夏に向けての課題として持ち帰ることとなりそうだ。

それでも、創部以来初の8強入りを果たし、多くの収穫を持ち帰ったことは間違いないだろう。これまで力を出し切れずに敗れるケースが多かった同校だが、今大会で新境地を開けたと言えそうだ。

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