2026年選抜準決勝 大阪桐蔭vs専大松戸(10日目第2試合)

2026年

大会10日目第2試合

専大松戸

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 0 0 1 0 0 0 1 0 2
1 0 0 0 0 0 1 1 × 3

大阪桐蔭

 

専大松戸    小林→門倉

大阪桐蔭    𠮷岡→川本

第1試合に続いて1点を争う展開となった好カードは、桐蔭が先行し、専大松戸が追いつく展開に。終盤に三度勝ち越しに成功した大阪桐蔭が、最少得点差を守り切り、4年ぶりとなる選抜決勝進出を決めた。

試合

大阪桐蔭は右腕・𠮷岡、専大松戸は左腕・小林と、ともに2回戦と同じ先発投手を起用。川本門倉とそれぞれ両エースを後ろに回し、総力戦の構えで試合に臨んだ。

大阪桐蔭は、エースナンバーを背負う𠮷岡が2戦ぶりにマウンドへ。しかし、前回登板では四死球が多く、本来の伸びのある速球を活かしきることができなかった。この日も立ち上がりの出来が懸念されたが、ややストレートが上ずってしまう。1アウトから2番宮尾に痛烈なセンターへのヒットを許すと、3番高貝はサードゴロに打ち取ったものの、4番吉岡には死球を与えてしまう。いきなり、この試合の趨勢を占う場面となったが、5番瀬谷はいい当たりのセンターフライに打ち取り、初回をなんとか無失点で切り抜ける。

その裏、専大松戸の左腕・小林に対し、いきなり大阪桐蔭打線が先制パンチを見せる。1番仲原がアウトコースの速球を流し打つと、打球はライトの予測を上回る伸びを見せ、一度前進した後にバックするも届かず。頭上を打球が超し、仲原は3塁へ達する。2番中西が四球で歩くと、好打者の3番内海の打球は、いい当たりのセカンドゴロに。中間守備のセカンド宮尾がつかむと、3塁走者を目視しながら、併殺へと移行し、4-6-3のダブルプレーで2アウト。3塁ランナーの仲原の生還は許さずに、一気に2アウトまでこぎつける。

大阪桐蔭としては、ここで先制点が入らないと嫌な流れになるところ。しかし、続く4番谷渕のファーストゴロを石崎がはじいてしまい、1塁はセーフ。少しランナーが先に目に入ってしまったか、バウンドを合わしきることができなかった。初回から流れが行ったり来たりするあたふたした展開になったが、結果的に桐蔭の1点先行という形でスタートすることとなった。

1点のリードをもらった𠮷岡は、2回以降、落ち着きを取り戻し始める。ストレートが抜けるボールが減り始め、変化球も低めに制球。フォームの開きを少なくし、ボールの「抜け」を無くすことで、本来の出来ではなくとも、失投が行かないようにする心づかいが感じられた。2回、3回とランナーは背負うものの、要所で球威のある速球を打たせ、無失点でしのいでいく。

一方、初回に失点した小林だったが、こちらは緩いカーブを武器に緩急をつけた投球で技巧派の良さを出していく。インステップして投じるため、左打者にとっては背中からボールが出てくる感覚があり、かなり打ちにくい投手だ。2回、3回とランナーは出すものの、バックの好守にも支えられ、無失点でしのいでいく。

1-0と桐蔭のリードで試合は中盤戦へ。4回表、ここまでランナーを出しながらも攻めあぐんでいた専大松戸がついに𠮷岡から得点を奪う。簡単に2アウトを取られるも、8番柴田がインコースの変化球をうまく流し打つと、打球は前進したレフトの脇を抜けて、レフト線を転々。切れていく打球の質が奏功し、中継プレーがかみ合わない間に一気に3塁を奪う。続く9番長谷川は高めの速球に完全に差し込まれ、ファーストゴロに打ち取られるが、緩い当たりの分、捕球した岡安の1塁へのベースカバーが間に合わず。全力で走った長谷川がわずかに早く1塁を駆け抜け、内野安打として同点に追いつく。

追いついた専大松戸は、直後の4回裏、小林が先頭の6番黒川に大会初となるヒットを許すと、ここでスパッとエース門倉へスイッチする。相手チームの主将に待望のヒットが出るという、乗せてしまいそうな場面でエースに流れを変える役割を託す。門倉はその期待に応え、直後の犠打を好フィールディングで2塁封殺すると、後続も落ち着いて抑え、桐蔭にリズムを与えない。

試合は、1-1のまま後半戦へ。専大松戸としては同点の状態でエースにマウンドを託し、想定通りの展開だっただろう。門倉の投球で終盤に向けて盤石の体制で臨んでいった感があり、持丸監督の思った通りの展開になっていただろう。

対する大阪桐蔭としては、先発・𠮷岡が想定以上の内容で試合を作っていく。昨秋までは、相手を絶望させるほどの速球の威力を誇っており、その頃ほどの圧倒する内容ではないのだが、球威のある速球でカウントを整え、低めの変化球で打ち取っていく。特に高めの速球を打たせるのがうまく、このあたりは捕手・藤田のリードが冴えていた。桐蔭としては、まだ後ろに川本というジョーカーを持っており、西谷監督としては𠮷岡のこの日の投球はうれしい誤算とも言える結果だったのではないだろうか。

すると、このエースの投球に7回裏についに打線が応える。先頭の9番中島が真ん中寄りに入ったストレートをとらえ、センターへのヒットで出塁。ここは初球で犠打を決め、きっちり攻撃の形を作ると、打席には仕事人の2番中西。これまで攻撃の潤滑油となってきた男が、カウント2-1と追い込まれるも、ファウルで粘っていき、5球目のフォークを捉える。打球は深い守備位置のライトの前に弾み、2塁から中島がホームイン!相手の失投を引き出し、逃さずとらえる打撃で勝ち越し点を奪う。

勝ち越しに成功した大阪桐蔭。ここで、8回から満を持して川本をマウンドへ送る。𠮷岡としては、十二分に先発の役割を果たし、後輩へマウンドを託すこととなった。

しかし、その川本も立ち上がりはやや課題を抱える投手。先頭は要注意の4番吉岡だったが、カーブが右ひじをかすめ、いきなり死球で出塁を許す。こちらもきっちり犠打を決め、ランナーを2塁へ送ると、2アウト後に7番苅部が大仕事をやってのける。カウント1-3と川本がやや制球を乱していたところ、カウントを取りに来た速球をとらえた打球はレフト頭上を越す同点タイムリー2塁打!おそらく、今大会で最も川本のボールを完ぺきにとらえた打撃であり、とられた直後にすぐに同点に追いついた。この打撃ができる打者を下位打線に置けるのだから、今年の専大松戸打線に持丸監督が自信を持つわけである。

ただ、試合が動き出すと双方に得点が入りだすのが野球というスポーツだ。その裏、今度は大阪桐蔭が攻勢をかける。先頭の5番藤田がカウント球のスライダーが甘くなるところをとらえ、レフト線を破る2塁打で出塁。続く6番黒川がきっちり送ると、7番岡安の当たりは高いバウンドのセカンドゴロに。これをセカンド宮尾が一度はじいてしまい、ホームへは送球できず、3塁ランナーが駆け抜けて1点を勝ち越す。この回の攻撃は実にスピーディーであり、今年の桐蔭らしい、ベンチワークの効いたしたたかな内容であった。

一方、専大松戸としてはタイムを取って対策を講じたものの、防ぎ切ることはできず。桐蔭の走塁技術も含めた細かいプレーの精度の前に、先の塁でアウトを取ることができなかった。

最終回、なんとか同点に追いつきたい専大松戸だが、フルスロットルで投じてくる川本の前に、9番長谷川、1番石崎と三振に取られてしまう。これだけの長身からの角度のあるボールを短いイニングで攻略するのは相当難しい作業だ。それでも2アウトから2番宮尾が死球でつなぎ、粘りを見せるが、最後は3番主将の高貝が高めの変化球を打ち上げてゲームセット。大阪桐蔭がクロスゲームで最後まで主導権を渡さず、4年ぶりの決勝進出を決めることとなった。

まとめ

大阪桐蔭としては、最も大きかったのはエース𠮷岡の復活だろう。川本以外の投手運用で困っていたところだったが、大事な場面で最も復活してほしい男が好投を見せた。リリースの感覚やフォームの修正を試み、ぶっつけ本番の雰囲気もあったが、試合の中で自らの感覚を取り戻していったような、そんな試合であった。捕手・藤田を中心にバックも堅守で支え、7回を1失点で川本にバトンタッチ。最後まで相手にリードは許さずに、試合を作ることに成功した。

また、攻撃面ではかつての豪快なイメージはないものの、要所でうまく得点を重ねるしたたかさが今年のチームにはある。7回、8回の1点はいずれも相手の失投や隙を逃さないうまさが光る得点であり、連打・長打がなくとも点は取れるという見本のような攻撃であった。これで対関東勢は実に25勝2敗という、規格外の相性の良さも見せつけての決勝進出。会心の試合運びでセミファイナルの舞台を勝ち上がった。

一方、専大松戸としては想定通りのロースコアの展開に持ち込んだのだが、惜しむらくは一度も前に出させてもらえなかったことか。常に先手を取られる展開となり、得意の先行逃げ切りのパターンを作ることはできなかった。門倉は7回、8回と数少ない失投をとらえられたのだが、責められるような投球ではもちろんなく、むしろそれを捉えた大阪桐蔭打線を褒めるべきだろう。持丸監督としても初めての準決勝の舞台であり、少し経験の差が出てしまったのかもしれない。

それでも同校初の1大会3勝をマークし、一気にブレイクスルーを果たしたことは、今後を見据えても非常に大きいと言えるだろう。激戦区・千葉で鍛え上げた実力を存分に発揮した大会であった。

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