2026年選抜準決勝 智辯学園vs中京大中京(10日目第1試合)

2026年

大会10日目第1試合

中京大中京

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 0 1 0 0 0 0 0 0 1
0 0 0 0 0 1 0 1 × 2

智辯学園

 

中京大中京   安藤→太田

智辯学園    杉本

ともに選抜優勝経験を持つ伝統校同士の一戦は、両チームの投手陣が踏ん張りを見せ、1点を争う投手戦に。終盤に打線が勝負強さを見せ、逆転に成功した智辯学園が、優勝しt2016年以来10年ぶりとなる決勝進出を果たした。

試合

智辯学園は、前の試合で先発を回避したエース杉本が満を持して先発マウンドへ。一方、中京大中京はこれまでのパターン通り、右腕・安藤がこの日もスターターを務めることとなった。

大事な立ち上がりとなる1回表、中京の先頭打者はここまで11打数8安打と大当たりの田中。その田中に対し、杉本は140キロ台中盤の速球を軸に空振り三振に切って取る。しかし、2番半田にはアウトコースの速球を綺麗に流し打たれ、三遊間を破るヒットを浴びると、2アウト後、4番荻田には、これも速球をライト前に流し打たれ、1,3塁とピンチが広がる。球威のある速球に対し、逆らわない打撃を見せる試合巧者・中京。杉本が課題とする立ち上がりを捉えていきたいところだったが、5番松田は球威に押され、レフトフライで先制点を挙げるには至らない。

これに対し、準々決勝で大逆転勝利を挙げた智辯打線の勢いをしっかり止めたい中京・安藤も立ちあがりにはやや課題を抱える投手。いきなり1番角谷に、先ほどの中京・半田と同じような打撃で三遊間を破られる。ここは犠打できっちり2塁へ進めて、強力な中軸を迎えるが、ランナーを背負ってから粘り強いのがこの投手の特徴。3番太田、4番逢坂の左打者二人に対し、臆することなくインサイドを突いていき、アウトコースを打たせる投球でうまく打ち取っていく。

初回を無失点で切り抜け、2回も互いに持ち味を出した投球で調子を上げ始めた両先発。1点の重みが増しそうな予感で試合が進む中、3回表に智辯学園サイドに痛いミスが出てしまう。

この回、先頭は要警戒の1番田中。アウトコースの速球をうまい流し打ちでライト前に運ぶと、ワンバウンドした打球の方向とライト添本の進行方向が合わずに、打球を後逸。田中は俊足を飛ばして3塁へ進み、中京が大きなチャンスを迎える。2番半田は三振に打ち取られるが、3番神達がカウント2-2からアウトコースのスライダーをうまくセンターに返し、犠飛となって中京が先制点を挙げる。

リードをもらった中京・安藤は、課題の序盤を乗り切ると、ランナーを出しながらも踏ん張りを見せる。左打者の多い智辯学園打線に対し、徹底して内を突いていく投球で翻弄する。花咲徳栄戦では巧みな流し打ちで大量点をはじき出した智辯打線だったが、さすがに中京バッテリーはよく研究している。内のボールは少しでも甘くなると長打の恐れがあるが、そこは安藤の球威と制球力が勝る。昨秋の神宮大会で神戸国際大附にまさかのコールド負けを喫したところから、一回りも二回りも成長した内容で、5回までを3安打無失点と見事な投球を見せた。

一方、先制点を許した智辯・杉本だったが、こちらはボールの「質」で相手を凌駕。やや制球にばらつきがあり、本調子ではなかったが、要所で球威のある速球とキレのあるスライダーが力のあるボールが決まり、中京打線もなかなか手が出ない。また、4回には先頭打者を四球で出すも、犠打を好フィールディングでアウトにすると、続く1アウト1塁からは盗塁を仕掛けられるが、ここは捕手・角谷が見事な送球で三振ゲッツーに。バックの好守備もあって無失点で切り抜けていった。

試合は、1-0のまま後半戦へ。大事なイニングとなる6回表を杉本が先頭打者を出しながらも無失点で切り抜けると、その裏、高橋監督はここまで無失点投球の安藤を下げて、左腕・太田をマウンドに送る。これまでもこの継投スタイルで勝ち上がってきたとはいえ、安藤が失点をしたり、苦しい内容になってからの交代が多い印象だった。このあたりは、現場サイドにしか分からない部分もあっただろうが、結果的に、この交代が智辯サイドにきっかけを与えることとなる。

6回裏、智辯は先頭の1番角谷がいきなり死球で出塁。続く2番志村の犠打は太田の正面に転がり、完全に2塁アウトのタイミングだったが、送球が高く抜けてしまい、オールセーフとなる。しかし、続く3番太田の打席で犠打を見送った際に、2塁ランナーの角谷が飛び出してしまい、タッチアウト。両者にミスが出る形で試合の展開は慌ただしくなる。

1アウト1塁となってチャンスは潰えたかと思われたが、太田は四球で歩き、再び1,2塁に。4番逢坂は大きな当たりのライトフライになるが、タッチアップで2アウト1,3塁となる。智辯の左打者陣は左投手を苦にしている様子はない。ここで、打席には併殺打でチャンスをつぶしてしまった5番馬場井。制球がややばらついている大谷に対し、初球のストレートを見事に流し打つと、三遊間突破のタイムリーとなって同点!左腕攻略のお手本となる打撃で、カウント球を逃さなかった。

追いついてもらった智辯・杉本は、ここからさらに加速。逆転で試合を制した神村学園戦も、花咲徳栄戦も、打線の反撃と杉本の投球が相乗効果となって相手を呑み込んだが、この試合もその例に洩れず、どんどん調子を上げていく。スライダーの制球が効き始めると、速球とのコンビネーションが冴えるため、強力な両輪を活かした投球で相手を圧倒する。7回、8回と四球のランナーは一人出したものの、まともにとらえさせず、無失点で試合は最終盤へ突入した。

すると、8回裏、智辯は先頭の2番志村がセカンド右を襲う内野安打で出塁。太田の武器である速球を力強く振りぬいた。ここは代走で出ていた3番黒田が小フライとなりながらも、なんとか犠打を決め1アウト2塁。打席には願ってもない打者である主砲・逢坂を迎える。警戒していた中京バッテリーだったが、アウトコースへのスライダーをうまくとらえると、打球は1塁線を破るタイムリー2塁打に!速球狙いをかわそうとする相手の配球を読み切ったかのように、外へ逃げるボールを逃さなかった。

しかし、続くピンチは太田がなんとか踏ん張り、中京としては1点差で望みをつなぐ。9回表、先頭の6番渡邉が四球で出塁。ここは是が非でも送りたいところだったが、7番佐藤の犠打はまたしても杉本の好フィールディングでセカンド封殺。この日はいつもの中京らしいそつのなさが影を潜める。それでも、代打・杉原が外から入ってくるスライダーを引っ張り、レフトへのヒットとしてチャンスを拡大する。このあたりは、ベンチ入りメンバーまで層が厚い伝統校の底力を感じさせる。

ただ、スイッチの入った杉本からさらなるヒットを連ねるのは難しかったか。最終回、速球のスピードはほぼ140キロ台中盤を計測し、コーナーにビタビタに決まるとあっては、中京打者陣をもってしても手が出なかった。最後は、今大会大活躍の1番田中をピッチャーゴロに打ち取り、ゲームセット。智辯学園が見事な逆転勝ちで接戦を制し、選抜では10年ぶりとなる決勝進出を決めることとなった。

まとめ

智辯学園は、これで3試合連続となる逆転勝ちをおさめ、ついにファイナルの舞台へたどり着いた。1点を先制される重苦しい展開は、2回戦の神村学園戦を思い起こさせるものだったが、エース杉本の投球と勝負強い打撃がかみ合い、腰を据えた野球でひっくり返した。その杉本の投球は、終盤になればなるほど力強さが増していき、手が付けられない状態に。追加点の可能性を感じさせない圧力があり、相手の守りにもう1点もやれないと感じさせるのだろう。打線はここという場面で一本を出す勝負強さを見せ、接戦をものにした。

昨秋は投打に力がありながらも不安定さが垣間見えた智辯学園。しかし、この大会を通して1試合ごとにエースを中心に成長している感がある。10年前はエース村上(阪神)を中心にしなやかな戦いぶりで全国制覇を飾ったが、今回はパワフルさを感じさせる戦いでの決勝進出。新たな歴史を紡ぎながら躍進を続けている。

一方、中京大中京は惜しくも1点差での惜敗となったが、今大会の戦いぶりはさすが伝統校と思わせるものであった。いずれも接戦を制しての3勝だったが、相手の隙をつき、こちらは隙を与えないという試合巧者ぶりは、全国最多の優勝回数・勝利数を数える伝統校の強さを示すものであった。特にエース安藤、左腕・太田の投手陣の成長ぶりは素晴らしく、一冬超えての高校生の伸び率は想像を超えるものがある。この日は、犠打の失敗など、少しらしくない部分もあったが、それでも智辯相手に堂々と渡り合い、胸を張って甲子園を後にすることとなった。

【ダイジェスト】センバツ高校野球 智弁学園vs中京大中京

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