2026年選抜1回戦 帝京vs沖縄尚学(1日目第1試合)

2026年

大会1日目第1試合

沖縄尚学

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 0 1 0 0 0 0 0 2 3
0 0 0 0 0 0 0 4 × 4

帝京

 

沖縄尚学   末吉→新垣

帝京     仁禮

全国制覇経験校同士の競り合いとなった開幕戦は、終盤8回に帝京打線が集中打で沖縄尚学の末吉を攻略。昨夏の優勝校を相手に見事な逆転勝ちを見せ、16年ぶりの選抜の舞台で凱歌をあげた。

試合

先発投手は、沖縄尚学が昨夏の優勝左腕・末吉を指名。一方、帝京は長身左腕の仁禮パスカルジュニアをマウンドに送った。

小雨がぱらつく中、始まった開幕戦。独特の緊張感が漂う中、帝京ナインがまずは守りに散った。かつて幾度も甲子園で勝ち上がった東の横綱だが、この選抜が16年ぶり。夏を入れても15年ぶりと、干支を一周以上するほどに聖地から遠ざかった。復活を望む多くのOBの声援を受け、初回の守りにつく。

仁禮は187センチの長身でテークバックがやや背中に隠れるようなところから、ボールが入ってくる。球速はストレートが120キロ台と決して速くはないが、腕をしっかり振って投げ込んできており、チェンジアップ・ナックルとの緩急がよく効いている。まずは、初回、沖縄尚学打線を相手に持ち味の打たせて取る投球で無失点に封じ込める。

これに対し、もはやすっかりお馴染みとなった沖尚の本格派左腕・末吉だが、こちらも昨秋は不調に苦しんだ。しかし、一冬を超えてフォームの見直しを行い、自分のボールを取り戻した様子。帝京は1番に安藤、2番に目代とチームの強打者TOP2を並べてきたが、末吉の速球がうなりを上げる。球威で相手のバットをねじ込み、こちらも3者凡退で互角のスタートを切る。

沖縄尚学は、大会前まで比嘉監督が打線に不安を抱いており、なんとか先制点を奪って、末吉を楽な状態で投げさせたいところ。2回表は犠打失敗でうまく攻撃を繋げなかったが、末吉は2回までに4三振とフルスロットルで飛ばす。セカンド慶留間にもファインプレーが飛び出し、守りからリズムを作り直すと、3回表に沖尚打線が先取点を奪う。

この回、俊足の比嘉が先頭で死球をもらい、チャンスを得ると、今度はきっちり犠打で送って2塁へ。ここで1番仲間はアウトコースの速球をきっちりとらえると、打球は左中間を破るタイムリー2塁打になって、セカンドから比嘉がホームイン!第98回の選抜大会の初得点を昨夏の王者が奪う。ただ、なおも畳みかけたい場面だったが、続く2番稲岡のショートゴロで仲間が飛び出して、捕球体勢のショート木村と交錯。守備妨害となってしまい、続くチャンスを生かし切ることはできない。

先取点をもらった末吉は、3回裏に初ヒットを打たれるも、後続をきっちり抑えて0を重ねる。球威十分の速球で高めの空振りを奪えるため、投球の組み立てを楽にしていく。昨夏に威力を誇ったスライダーはもう一つキレがないようにも見受けられたが、カーブ・チェンジアップと他にも目先を買わせるボールがあるのが、彼の強みだ。3回から5回まで毎回ランナーを出しながらも、パワーを誇る帝京打線に決定打を許さない。

ただ、この苦しい状況でも帝京守備陣は落ち着いており、4回・5回と3者凡退。昨秋の戦いを支えた右腕・安藤、左腕・仁禮はともに打たせて取るタイプだけに、とにかく守備は鍛えられている。前監督である前田三夫時代の鬼ノック時代から、守りの堅さは徹底されており、強豪に息づく伝統の力を感じさせる。試合は、沖縄尚学が1点をリードし、後半戦へ突入した。

沖尚打線は、ベルトから上の高めのボールに対して、どんどん振っていくが、なかなか一発で仕留め切ることができない。これに対し、帝京打線の方が後半に入って末吉を捉えるようになってくる。

6回裏、先頭の1番安藤の3塁線深い位置へのゴロはサード玉那覇の好守でアウトにするが、非常に痛烈な当たり。ストレートと比較してくみしやすい印象の変化球に狙いを絞ると、2番目代は痛烈なセンター返しで出塁する。ここで、3番立石にはフルカウントからエンドランを指示。今度は内角速球をやや詰まりながらもレフト前に落とし、これが見事に決まって1.3塁とチャンスを拡大する。しかし、続く4番木村は初球スクイズを空振りしてしまい、3塁ランナーが挟殺。ここは惜しいプレーでチャンスを逃す。ただ、末吉攻略の糸口をつかむイニングになったのは間違いないだろう。

勢いづく帝京打線に対し、なんとか追加点の欲しい沖縄尚学だが、のらりくらりとかわしていく仁禮の投球の前にホームが遠い。粘りのあるフォームから繰り出すボールがコーナーいっぱいに決まり、手元で動く球質にも苦しんで、7回、8回と無得点。また、7回裏には失点にこそ繋がらなかったものの、内野陣の送球ミスでピンチが広がるなど、いつもの沖尚のリズムではない雰囲気が漂っていった。すると、8回裏、その懸念が顕在化するかのように、守りのミスから展開が動いていく。

この回、先頭の1番安藤のショートゴロを稲岡がワンハンドで捕球できず、1塁セーフ。雨でややぬかるんだグラウンドの影響もあったか。続く強打の2番目代にはフルカウントから四球を与えると、3番立石の犠打はサード玉那覇の悪送球でアウトにできず、無死満塁と大ピンチを迎える。

ここで帝京としては、秋に中軸を打った安藤目代に代わって据えた打者に期待がかかった。4番木村は低めのスライダーの前に空振り三振となったが、続く5番蔦原が結果を残す。低めのスライダーを空振りした後のカウント1-1からの速球。やや内寄りに入ったところを逃さずとらえた打球はセンターの頭上をはるかに超すタイムリー2塁打となり、逆転に成功!この日、最も苦しめられていた末吉のウイニングショットを攻略した、素晴らしい一打だった。

なおも帝京の攻撃は続き、2アウトから8番島末が四球を選ぶと、ここでついに比嘉監督は継投を決断。2枚看板の一人の右腕・新垣を送る。しかし、8番鈴木は新垣のボールに対し、昨夏も強豪校を苦しめたフォークを見極め、ストレートはファウルで粘っていく。すると、フルカウントからの10球目、高めの速球を右方向へ打ち返した打球は、前進しきれなかったライト久田の前に弾む。大きな大きな2点を追加し、この回一挙4点のビッグイニングとした。

厳しい状況となった沖縄尚学。しかし、夏春連覇を目指すナインは、最終回に来て猛反撃を見せる。先頭の2番稲岡が先ほどのミスを取り返さんとばかりに、インサイド高めの速球をライト線に打ち返し、3塁打で出塁。3塁側のアルプスが一気に活気づく一打を放つと、3番慶留間は死球でつなぐ。ここで帝京は仁禮をあきらめ、右腕・岡田へスイッチ。継投での逃げ切りを図る。

岡田は、こちらもテークバックがやや特徴的な右腕。初見では対応が難しいかと思われたが、沖尚打線がどんどん打っていく。アウトコースに狙いを定め、1アウトから5番秋江が見事な右打ちで1点を返し、4-2とまずは2点差に。さらに2アウト後に、7番山川が四球を選び、2アウト満塁と一打逆転の場面まで迫ると、代打・仲村は初球のスライダーを迷わず振りぬいて三遊間を突破!3塁ランナーが生還し、ついに1点差まで詰め寄ってくる。昨夏の甲子園を沸かせた沖尚の積極打法が、この土壇場に来てよみがえったかのようであった。

ただ、さらなる代打攻勢で打席に立った当真は、カウント2-2からのスライダーを仕留め切れず、サードゴロ。そのまま3塁を踏んでゲームセットとなり、帝京が終盤に目まぐるしく動いた攻防を制して、久々の甲子園1勝をつかみ取ることとなった。

まとめ

帝京は序盤、末吉の投球の前に自慢の打線が封じ込まれる苦しい展開だったが、先発・仁禮を中心とした守りで食らいつき、終盤の逆転劇につなげた。1990年から2000年代にかけて、自慢の打線が封じ込まれると、淡白な内容で敗退することも多かった帝京だが、この2026年世代は、同じ轍は踏まない我慢強さがあった。やはり、野球は守りからということを感じさせる、この日の守備であった。

また、得点は8回の4点のみだったが、甘く入ったボールは確実にとらえる強さが今年の帝京にはある。特に上位打線の振りの強さは大会でもトップクラスだろう。相手のミスに、ここぞとばかりに畳みかける攻撃は非常に迫力があった。投打に地力は十分な今年の帝京。久々の聖地で、我慢の野球でつかんだ1勝は、この後を勝ち上がるための肥やしになっていくはずだ。

一方、沖縄尚学は先制点を奪って、エースがそれを守り切るという展開に持ち込めそうだったが、終盤に来ての守りのミスが響く結果となった。追い上げてくる帝京の圧力や開幕戦の緊張もあったはずであり、甲子園で勝ち続けるのはやはり難しい。打線も手元で微妙に動く仁禮の球質に苦しみ、なかなか決定打が出なかった。

ただ、最終回に来ての打線の追い上げは確実に夏に繋がるものであり、また、本番で好投を見せた末吉の復活もうれしい材料だっただろう。今度は、夏連覇を目指しての戦いになるが、収穫も間違いなくあった、今日の一戦であった。

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