大会4日目第2試合
大垣日大
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 計 |
| 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 2 |
| 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 |
近江
大垣日大 竹岡
近江 上田→元

2023年の再戦となったカードは、両チームのエースの好投で0-0のまま終盤戦へ。延長タイブレークでの攻防を制した大垣日大が、前回に続いて近江を下し、2回戦進出を決めた。
試合
近江は右スリークオーターの上田が先発。大会前の練習試合では5回を13安打6点と打ち込まれ、復調するのかどうか不安視されていた。一方、大垣日大はエース左腕・竹岡が先発。昨年の選抜では代打で甲子園を経験したが、新チームからはエース格としてチームを牽引してきた。
立ち上がり、近江のエース上田はいきなりピンチを招く。1番大橋にアウトコースやや高めの速球をはじき返されると、打球は右中間を深々と破る3塁打に。ここは巧打の2番山崎でなんでもできる場面だったが、高橋監督は強攻策を選択する。しかし、1,2塁間を鋭く襲った打球は、ファースト箕浦が逆シングルで好捕し、ホームへ送球し、間一髪でタッチアウト!後続もバックの好守に助けられてアウトにし、上田は初回を無失点で切り抜ける。
一方、大垣日大のエース竹岡も先頭の1番馬場に四球を与える苦しい立ち上がりに。2番小森の犠打は小フライでアウトとするが、盗塁と内野ゴロで2アウト3塁とされる。ここで、打席には近江で最も頼りになる4番杉本。竹岡の得意のスライダーがやや高めに浮いたところを捉えた打球はレフトへ痛烈に伸びるが、打球はレフト松家の正面に飛び、こちらも得点には至らず。思えば、この初回のピンチを互いにしのいだことが、後の投手戦の伏線となったか。
近江の上田は大会前にはかなり不安視される状態だったが、右スリークオーターから繰り出す速球に本来の威力が戻り、左打者に対しても内外角をスライダー、ツーシームで丁寧について、打たせて取っていく。近畿屈指の右腕が、本番に来てギリギリではあったが、自分本来の投球を取り戻した。
一方、大垣日大の竹岡も2回に7番杉浦にヒットを浴びるなど複数のランナーは出すものの、彼本来のキレのあるボールが低めに集まっており、こちらも相手打線に得点は与えない。リリースポイントがしっかり定まっており、安定したコントロールを見せる。大垣日大は歴代でも見ても好左腕が多いが、この竹岡もその例に漏れない実力の持ち主だろう。
両投手とも本来の出来を取り戻すと、打線としてはある程度狙い球を絞って攻略しなくてはいけないが、互いにランナーは出すものの、決め手をつかみきれない。上田・竹岡ともにストライクゾーンの横幅をいっぱいに使った攻めを見せ、特に上田はスリークオーターの投手が苦手にすることの多い右打者のインサイドへしっかりと制球してみせる。大会前の不調が嘘かのような好投だ。また、竹岡も負けじと好投し、近江が果敢に仕掛ける盗塁も捕手・高田がことごとく刺すなど、付け入る隙を与えない。試合は0-0のまま前半戦を終了。早くも1点勝負の様相を呈し始める。
すると、グランド整備を終えた6回表、試合が動き始める。
大垣日大は2アウトから3番竹島が高めの速球をうまき流し打ってレフトへヒット。続く4番竹岡はカウント1-2とバッティングカウントになると、アウトコースのスライダーを泳ぎながらもとらえた打球はライト線を襲う長打に。1塁ランナーの竹島はホームへ向かうが、打球がワンバウンドでフェンスを越えるエンタイトルツーベースとなってしまう。不運な形で先制のチャンスを逃すと、5番石田はインコース高めの速球で追い込んで、最後はスライダーを打たせてセカンドフライに。捕手・杉本が、このハイボールの使い方が非常にうまく、上田もこの配球に見事に応える。
ピンチの後にチャンスありとはよく言われる通り、6回裏、今度は近江にチャンスが訪れる。1アウトから4番杉本が四球を選ぶと、捕逸で2塁へ。続く5番箕浦はフルカウントからスライダーを打たされ、セカンド正面へのゴロとなるが、これを懸命な走塁で内野安打とし、1アウト1,3塁とチャンスを迎える。しかし、ここで6番杉浦は初球のストレートを狙うもショートへのフライに。狙いに行ったボールは間違ってなかったが、竹岡の球威の前に仕留め切れなかった。続く代打・猿田も速球の前に空振り三振と、要所で力のあるボールを投じ、近江に得点を与えない。
互いに譲らない投手戦は7回も両チーム、無得点。大垣日大が8回表の得点機で上位打線を迎えるが、上田に抑え込まれると、その裏、この試合で最も両チームのランナーがホームに近づく瞬間は訪れる。
2アウトランナーなしから4番杉本が高めの速球をとらえると、打球が左中間に転がる間に一気に2塁へ。好走塁でチャンスを広げると、続く5番箕浦はアウトコースのストレートをうまく流し打つ。ここにきて、竹岡の球威に中軸のバットが対応し始めるが、前進守備のレフト松井が投じたバックホームが一瞬早く、杉本はホーム寸前でタッチアウト!均衡が破れそうで破れない好ゲームは、そのまま延長タイブレークへと突入していく。
両投手ともに点が入りそうな場面で、ディフェンス陣も含めて踏ん張ってきた0-0。しかし、タイブレークは、その流れを良くも悪くもぶった切る力を持っている。10回表、大垣日大がベンチの好判断で得点機をついにものにする。
この回、下位打線ではあったが、7番松井に犠打を命じると、きっちり送って1アウト2,3塁。ここで打席には代打・高橋を送る。この策がまんまと当たり、高橋はよく選球してカウント1-3と有利に持ち込むと、インサイド低めの速球を捉えた打球は、ライト線を鋭く破るタイムリー2塁打に!決して簡単なボールではなかったが、ファーストスイングでそれをとらえる決定力たるや、見事であった。上田はここまで好投を見せてきたが、これは打った相手を褒めるしかないような打撃である。
しかし、この試合がこのまま簡単に終わるわけもなく、続くピンチを近江が継投も用いてしのぐと、10回裏にチャンスが訪れる。先頭の1番馬場の犠打は失敗に終わるも、竹岡の暴投でチャンスが広がると、ここからまさかの連続四球により押し出しで1点が入る。球数は優に150球を超え、苦しい状況の竹岡。しかも、打順は8回に連打を放った4番杉本、5番箕浦である。
勝負を分ける究極の場面。ここで竹岡を救ったのは、絶対の自信を持つ決め球であった。カウント2-2と追い込むと、カウント2-2から投じた低めのスライダーを前に杉本のバットは空を切る。さらに5番箕浦もスライダーで空振りを誘って追い込むと、最後もスライダーを打たせてショートゴロでゲームセット。勝った大垣日大がまるで夏の戦いに勝ったかのように飛び上がって喜んだ好ゲームは、2023年に続いて岐阜の常連校が凱歌を上げる格好となった。
まとめ
大垣日大は、前年は東海王者として臨みながらも、西日本短大付の前に0-6と完敗。その悔しさを、持ち味の守り勝つ野球で見事に晴らし、今年は大事な大事な1勝をつかみ取った。機動力も絡めた近江の執拗な攻撃に対し、エース竹岡が踏ん張り、内外野の好プレーで着実に0を積み重ねていく。阪口監督時代から築き上げた手堅い野球で、ワンチャンスをものにしての勝利であった。
打線は、好投手・上田に苦しんだが、代打・高橋が勝負強さを見せて2点を奪取。試合が終わった後の選手の喜ぶ姿がこの勝利の意義の大きさを物語っていた。前評判は高くなかった大垣日大だが、ここから乗っていきそうだ。
一方、近江はまたも大垣日大の牙城を崩せなかったが、大会史に残るような投手戦だったことは間違いないだろう。エース上田は大会前の不調が嘘のような好投を披露。捕手・杉本の好リードもあり、内外・高低を広く使った本来の投球がよみがえった。打線は、8回裏にはもう少しで先制の場面もあったが、これは相手の好守備を褒めるしかない。好左腕・竹岡によく食らいついたが、一歩及ばなかった。初戦敗退には終わったものの、夏に向けて収穫の多い試合だったのではないだろうか。
【高校野球 甲子園】 近江(滋賀)vs大垣日大(岐阜) タイブレークまでもつれた大熱戦! 【第98回選抜高校野球 1回戦 全打席ハイライト】 2026.3.22 センバツ


コメント