2026年選抜1回戦
日本文理vs高知農
52% 48%
強打の日本文理に、昨秋の公式戦で明徳義塾に食らいついた高知農が挑む構図。文理の強力打線と高知農の好投手・山下の対決が勝敗を分けそうだ。
高知農のエース山下は、昨秋の高知大会準々決勝で明徳義塾と延長10回に及ぶ死闘を演じ、2-3と競り負けたものの、実力を評価されての21世紀枠選出となった。その試合で奪三振10個を奪っており、抜群のコントロールを武器にコーナーいっぱいで見逃し三振を取り、緩急とコースの出し入れで勝負できる。その他にも変化球を得意とする鳥山、沢田ら右腕投手が控えており、本戦では継投も視野に入れての戦いになるだろう。まずは、山下が5回までで試合を作り、終盤捕まりかけたところでつなぐ展開にできれば理想的か。
対する日本文理打線は、伝統の強打が今年も受け継がれており、破壊力は大会でも上位に位置するだろう。北信越大会では、高岡第一・前田、敦賀気比・鶴田といった、常連校の本格派のエースを左右問わずに打ち砕いた。出塁率の高い1番土屋太からはじまり、3番秦、4番渡部、5番臼木と続く上位打線は破壊力があり、パワフルなスイングから長打を重ねる。少々のビハインドは跳ね返す力を持っており、味方投手にとっては心強いだろう。打撃のいいエース染谷をそのまま打席に立たせるケースもあり、DHをどうするかは思案が必要となりそう。5-6点は目指せる打線と言えるだろう。
一方、日本文理のエースは、右腕・染谷。130キロ台の速球とカーブ、チェンジアップを組み合わせるオーソドックスなタイプの右腕だ。秋は強豪との対戦が続いてこともあって数字上は特筆できるものはない。試合を壊さない安定感があるのは確かだが、やはり、本戦では後ろを投げる他の投手の出来も大事になってくるだろう。コントロールのいい右腕・吉田星や左腕・河西のバックアップは不可欠。打線の援護がある程度は期待できるだけに、失点しても最少で切り抜けていきたい。
対する高知農打線は、公式戦の打率はそこまで高くないが、上位打線には得点の香りがする。攻撃でも主軸を務める3番山下を中心に主砲・山本、パンチ力のある栗山で形成するクリーンアップは一般枠のチームと比較しても引けを取らないだろう。長打力もある1番有光、小技の効く2番杉本の出塁がカギだが、願わくば下位から上位へつなぐパターンも欲しいところ。秋は当たっていた8番永吉の打撃にも注目したい。数少ないチャンスできっちり犠打、進塁打を決めてタイムリーを待つ攻撃ができるか。
高知農としては、3点以内のロースコアに持ち込みたいのはもちろんのこと、文理の強力な中軸をいかに封じるかがカギとなる。3人全員を封じ込めるのは至難の業だけに、試合前の癖などの研究によって、特定の打者を抑えることで、打線を分断したい。文理としては投手力に不安は残るだけに、自慢の打線で早めにセーフティリードを奪えれば理想的だ。いずれにせよ、まずは序盤3回の攻防は試金石になるだろう。
主なOB
日本文理…吉田篤史(ロッテ)、横山龍之介(阪神)、鈴木裕太(ヤクルト)、飯塚悟史(DeNA)、田中晴也(ロッテ)
高知農…松繁冬樹(ソフトボール)
新潟 高知
春 0勝 0勝
夏 1勝 2勝
計 1勝 2勝
対戦成績は、高知勢の2勝1敗でいずれも夏の対戦となる。
1984年の夏は明徳義塾と新潟南が対戦。明徳義塾は当時、全国トップクラスのレベルを誇っていた四国勢で、王者・池田と互角に渡り合ってきた強豪であり、1,2回戦は県岐阜商・広尾とワンサイドで下していた。対する新潟南は初戦となった2回戦で選抜出場校の京都西に競り勝ったが、まだ初出場の新参者。下馬評が圧倒的に明徳有利であった。また、試合前の練習では両校の練習場所がかぶり、明徳がいくぶん横柄な態度を取ったことで、新潟南ナインは闘志を掻き立てられたとか。
試合が始まると、明徳が1回表にいきなりファースト強襲打で2点を先行。しかし、以降はエース林がインサイドを強気に突く投球で明徳打線を打たせて取ると、5回裏には好投手・山本から5連打が飛び出し、2-2の同点に追いつく。こうなると、前評判の低かったチームの方が俄然押せ押せに。8回裏、1アウトからヒットのランナーが出ると、打席には4番エースの林が入る。高めの速球をたたいた打球は、センターバックスクリーンへ飛び込む勝ち越し2ラン!
新潟南が雪国・新潟勢として57年ぶりの8強入りを、しかも強豪地区の代表を破って成し遂げたという快挙は当時かなりセンセーショナルなものであった。
一方、2001年夏は同じく初出場の十日町が、明徳義塾と対戦。明徳義塾は田辺-筧(オリックス)のバッテリーに、3番ショートの森岡(ヤクルト)とチームの中核が全員2年生という若いチームだったが、主砲・松浦を筆頭に3年生にも力があり、大会前からV候補に挙げられる存在だった。
十日町は、序盤から硬さが見られ、1回に守備のミスも絡んで大量5点を失うと、2回にも2点、中盤には3番森岡の3ランで計10失点を喫する。それでも、最後まで集中力を切らすことなく笑顔で戦い抜き、打線も7安打を放って、翌年に優勝投手となる田辺に食らいついた。高校野球のあるべき姿を感じさせる十日町ナインの戦いぶりであった。
選抜では初めてとなる両県の対戦。軍配はどちらに挙がるのか。
思い出名勝負
2012年選手権3回戦
新潟明訓
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 |
| 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
| 0 | 0 | 0 | 0 | 4 | 0 | 0 | 0 | × | 4 |
明徳義塾
新潟明訓 竹石
明徳義塾 福永→岸
2012年の選手権大会は大会前から、優勝争いは大阪桐蔭、光星学院、愛工大名電の3強と目されていたが、ふたを開けてみると、愛工大名電が1回戦で早々と姿を消す波乱の幕開けとなっていた。そんな中、大会が進んでの3回戦で明徳義塾と新潟明訓という県内を代表する強豪同士の好カードが実現することとなった。
明徳義塾は3年連続の夏の甲子園。2005年の不祥事で一時期夏の舞台から遠のいたが、2010年の出場を境に勢いを取り戻した。前年はエース左腕・尾松、主砲・北川(楽天)を中心に春夏連続出場を達成。しかし、新チームは四国大会でライバル高知の好打者・法兼に9回勝ち越し3ランを浴び、選抜出場を逃していた。
だが、伊与田・杉原ら経験豊富な打者が並び、1年生ながら4番に座る岸(西武)という新戦力も加わったチームは夏に向けて加速し、練習試合では選抜王者の大阪桐蔭を破る快挙も成しえた。投げても伸びのある速球を武器にする岸をはじめ、技巧派右腕の福、サイドハンドの福永と多彩な陣容をそろえ、策士・馬淵監督のタクトで相手打線を翻弄。高知大会決勝で高知を延長12回で2-1とサヨナラ撃破すると、甲子園では初戦の2回戦で酒田南を3-2と競り落とし、3年連続の初戦突破を決めた。
一方、新潟明訓は永年チームを指揮していた佐藤監督(その後、新潟医療福祉大で阪神の桐敷らを指導)が最終年を迎え、この2012年が勝負の年であった。1990年代から出場回数を重ね始めると、2000年代からは日本文理と県内2強を形成。打撃の日本文理に対して、新潟明訓は好投手を中心とした守り勝つ野球で結果を残してきた。シンカーを武器としたエース永井の活躍で2勝を挙げた2007年や、左腕・池田と右腕・神田の2枚看板で初の8強入りを果たした2009年など、全国区でも全く引けを取らない活躍を続け、弱小県と言われた新潟の歴史はもはや過去のものであった。
そして、この2012年の代も好投手・竹石を軸に2年ぶりの出場権を獲得。巨漢捕手の宮島は打撃でも4番を務め、このバッテリーを中心にディフェンス野球で新潟大会を制した。この代はライバル日本文理に、前年に春夏連続出場を果たした2枚看板の波多野・田村がおり、評価が高かったが、4回戦でまさかの敗退。それをしり目に大会を通じてほとんど危なげなく勝ち抜いた新潟明訓の戦いは見事であった。甲子園初戦では伝統校・県岐阜商との対戦となったが、先制・中押し・ダメ押しと素晴らしい内容で6-1と完勝。6-8番が5安打を放つ活躍を見せ、理想的な勝利を収めた。
さて、甲子園をよく知るチーム同士の対戦となったが、新潟明訓がエース竹石を立てたのに対し、明徳義塾は右サイドの福永を起用した。サイドからのシンカーが武器の右腕は、左打者がスタメンに6人並ぶ相手打線に対して、うってつけであった。
試合は2回表に、新潟明訓が先頭の5番大信の四球を足掛かりにチャンスをつかみかけるが、惜しい走塁ミスがあって、相手を助けてしまう。相手は今大会初先発でまだ落ち着かない状況だっただけに、惜しまれる走塁であった。福永は4回途中までを投げ、ランナーは出しながらも無失点。2番手で1年生右腕の岸にマウンドを委ね、先発としての役割は果たした。
一方、竹石は最速148キロを記録する速球を武器に、明徳打線に対して強気の投球を見せる。決め球のスライダーも低めに決まり、2回戦と同様に悪くない内容であった。3回、4回とヒットは許していたものの、自分の投球がしっかりとできているように見受けられた。
しかし、0-0で推移していた中、グランド整備を控えた5回裏に竹石がエアポケットにはまってしまう。
先頭の6番西岡にヒットを許すと、犠打で2塁へ。2アウトを奪い、あとアウト1つの状況になるが、ここから連続四死球を与えてしまい、2アウト満塁とチャンスが広がる。ここで2番合田が値千金の2点タイムリーを放つと、さらに打席には好打者の3番伊与田。小柄ながらパンチ力のある左打者がアウトコースのボールをしっかりとらえると、打球は左中間を破る2点タイムリー2塁打に!大きな4点がスコアボードに刻まれ、明徳は主導権を奪った。
この回、竹石は「死球を出してから気持ちが引けてしまった」と悔やんだように、いつもの自分の投球ではなかっただろう。ただ、その隙を逃さなかった明徳の打撃が見事であった。
試合は後半戦へ突入し、1年生・岸の快投が光る。独特のためを作ったフォームから繰り出す140キロ近い速球でぐいぐい押し、つながりのある明訓打線に得点はおろかヒットすら許さない。7回には雨天中断という難しい状況に追い込まれたが、それでも集中力を切らさず、後半4イニングを四球1つだけというほぼ完ぺきな投球で投げ切った。その後、西武に進んで活躍することとなるが、やはり当時から並の1年生ではなかった。結局、明徳義塾が5回の4点をそのまま守り切り、夏は優勝した2002年以来10年ぶりとなるベスト8進出を決めたのだった。
新潟明訓は、この日は打線が2安打に抑え込まれ、完封負けを喫した。県大会から通じて、先制して逃げ切る安定した試合運びが続いただけに、いきなりの4失点で戦いづらい状況になってしまったかもしれない。ただ、それでも名将・佐藤監督を最後の夏に大舞台へ導いた戦いは見事であり、これまでの功績と合わせて称えられてしかるべきものだっただろう。
一方、明徳義塾はその後、準々決勝でも倉敷商の好投手・西を攻略して4強まで進出。最後は大阪桐蔭・藤波(DeNA)の前に散ったが、素晴らしい戦いでセミファイナルに残った。2004年までのような大型チームの印象はなかったものの、打撃センスとパンチ力を兼ね備えた打者が並び、明徳らしいそつのない攻撃を展開。名将が率いる常連校の、「勝利へのエッセンス」が詰め込まれた戦いぶりであった。


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