2026年選抜1回戦
神戸国際大附vs九州国際大付
50.5% 49.5%
奇しくも神宮大会決勝の再現となった同カード。初戦で神宮決勝が実現するのは、2003年の中京vs延岡学園以来の珍事である。昨秋は11-1で九州国際大付が大勝を収めたが、快進撃の立役者であった1番牟禮が諸事情で出場停止に。前回ほどの戦力差はなく、イーブンな戦いになりそうだ。
九州国際大付の投手陣は2年生左腕・岩見と3年生右腕・渡邉の継投策が主流だ。岩見は長身から繰り出す角度のある速球が武器で、神宮大会では神戸国際大附の打線を圧倒した。制球力にやや課題は残るものの、一番伸びると言われている一年生の冬を超えて、どれだけブラッシュアップされているか非常に楽しみだ。また、渡邉は足を高々と上げるダイナミックなフォームから、回転のいい速球を投じる好投手。落ち着いたマウンドさばきが光り、終盤の競った場面も安心して任せられるだろう。
対する神戸国際大附打線は、昨秋は県大会で苦戦したものの、近畿大会終盤から神宮大会にかけて調子を上げていった。特に神宮大会では中京大中京戦、英明戦で5ホームランを記録。1番田中の先頭打者弾や5番石原の右中間への一発など、神戸国際らしい豪快な打撃を見せた。俊足の1番田中が出て、巧打の2番西谷とミート力の高い3番林でつなぎ、川中・石原ら大砲で決めるのが得点パターンになりそう。ただ、神宮決勝では九国・岩見の角度のあるボールに封じられており、そこをどう対策するか。ただ一度球筋を見ているだけに、それが有利に働く可能性もありそうだ。
一方、神戸国際大附の投手陣は大会でも屈指の豊富な陣容を誇る。コントロールとキレが光るエース左腕・秋田に近畿大会で無安打無得点を達成した左腕・宮田、縦に割れるカーブが武器の右腕・豊岡、速球に自信を持つ右腕・橋本の4本柱を形成。いずれもタイプが異なり、完投能力があって継投もできるのが心強い。神宮決勝では打ち込まれてしまったが、秋の段階ではコンディションが揃っていなかったのも事実。一冬を超えて調整がうまくいけば、難攻不落の投手陣となる。九国打線を見ながら誰を先発に起用するのか、青木監督の選択にも注目だ。
対する九州国際大付打線は、秋の戦いを猛打で勝ち上がったが、打線を牽引した1番牟禮が出場できなくなったのは痛い。長打力もある1番打者は、初回から相手に圧力をかけられる存在だっただけに、単純に打者一人が欠ける以上の影響があるだろう。攻撃型の2番平間、勝負強い3番𠮷田のどちらかを頭に持ってくることが予想される。7番ながら巨漢で一発のある上岡、公式戦打率4割をマークした9番柴原ら下位打線の活躍も重要となる。九国らしい振り切る打撃で、メンバー編成が変わっても得点力が落ちないところを見せたいだろう。
再戦という格好になり、メンタル的には神戸国際大附のほうがある程度やりやすいか。投手陣のコマも豊富なだけに、誰が来るのか読ませない起用ができる。九国としては、打線を組み替えなくてはいけないだけに、昨秋ほど得点が期待できない点は否めない。双方が力を出し切れば3~5点の間を争う好試合となりそうだ。
主なOB
神戸国際大附…坂口智隆(ヤクルト)、小深田大翔(楽天)、平内龍太(巨人)、松本凌不人(DeNA)、阪上翔也(楽天)
九州国際大付…三好匠(広島)、高城俊人(DeNA)、清水優心(日本ハム)、富山凌雅(オリックス)、佐倉侠史郎(ソフトバンク)
兵庫 福岡
春 7勝 3勝
夏 3勝 3勝
計 10勝 6勝
激戦区同士の対戦は、春は兵庫勢が圧倒し、夏は五分の星となっている。
2017年選抜では、神戸国際大附の好左腕・黒田と東海大福岡のサイド右腕・安田が投手戦を展開・黒田が好投を見せ、先制してリズムをつかんだかに見えた神戸国際だったが、安田の工夫した投球の前にフライを打ち上げる攻撃が目立った。そつのない攻撃で追いついた東海大福岡を引き離しきれず、1-1のまま終盤戦に突入すると、最後は守備のミスが出てサヨナラ負け。攻守に隙の無い東海大福岡が野球の質で上回った印象だった。神戸国際は同年夏に連続出場を果たし、2年生・谷口の2本のホームランで北海から逆転勝利を挙げ、雪辱を晴らすこととなる。
2017年選抜1回戦 東海大福岡vs神戸国際大附(5日目第1試合) | 世界一の甲子園ブログ
一方、昨年の甲子園では3回戦で東洋大姫路と西日本短大付が対戦。ともに優勝候補に挙がるほど、総合力の高いチーム同士の対戦だったが、いずれもエース番号の投手を後ろに回す展開に。西日本短大付が2点を先行するが、リリーフしたエース木下が流れを断ち切る好投を見せると、西短の好左腕・原を徹底したセンター返しで攻略。3番高畑、4番白鳥の連続タイムリーで試合をひっくり返し、最後は木下が後続を抑えて3-2と接戦をものにした。
西短は3季連続出場でいずれも2勝を挙げたが、京都国際(同大会優勝)、横浜(同大会優勝)、東洋大姫路(同大会8強)と強豪を前に涙を飲んだ。
2025年選手権3回戦 東洋大姫路vs西日本短大付(12日目第3試合) | 世界一の甲子園ブログ
昨夏に続いての強豪同士の対戦。今回はどちらに軍配が上がるか。
思い出名勝負
1983年選手権3回戦
市立尼崎
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 |
| 2 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 4 |
| 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 | 2× | 5 |
久留米商
市立尼崎 宮長
久留米商 山田
池田の3季連続優勝なるかで注目された1983年の選手権大会。強力打線を誇る同校を止めるべく多くの好投手が出場を決めた。山本昌(中日)、星野伸之(阪急)など、のちにプロ野球で活躍する選手が多く出た世代だが、甲子園に出場したチームのエース達もまたハイレベルであった。
興南・仲田(阪神)、横浜商・三浦(中日)、箕島・吉井(近鉄)、創価・小野(近鉄)、高知商・津野(日本ハム)、中京・野中(阪急)、中京・紀藤(広島)、佐世保工・香田(巨人)、宇部商・秋村(広島)とそうそうたる顔ぶれが集結。そして、その中でも練習試合で対決した池田ナインが「最も速かった」と舌を巻いたのが、伝統校・久留米商のエース山田(巨人)であった。
久留米商は第44回大会で準優勝を果たした伝統校。この年は山田を中心に戦力が充実し、選抜に続く連続出場であった。その選抜でも宇部商・秋村との投手戦を山田の完封勝利で下して1勝をマーク。打撃でも4番を務める山田だったが、その他のメンバーも1番主将の矢羽田をはじめとして実力は高く、タレントが揃っていた。夏の福岡大会を圧倒的に制して、連続出場を決めると、甲子園では初戦で小松明峰を9-0と圧倒。矢羽田の猛打賞の活躍などで5回までに9点を挙げ、まずは危なげなく初戦(2回戦)と突破した。
一方、市立尼崎は激戦区・兵庫から初出場。当時から兵庫県は激戦区であり、前前年は報徳学園がエース金村(近鉄)を擁して初優勝を達成すると、前年も東洋大姫路が中島-豊田の好バッテリーを擁して4強入りと結果を残していた。そんな中、エース宮長に3番池山(ヤクルト)と投打の柱を擁した市立尼崎が快進撃を見せ、兵庫大会を鮮やかに勝ち上がっていく。小橋監督のもと、強気の野球で強豪校を次々に退けて初優勝を果たすと、甲子園では同じく2回戦からの登場で茨城東と対戦。4-4で迎えた9回裏のサヨナラ負けのピンチを強気の姿勢で守りきると、延長10回に決勝点を挙げ、初出場初勝利を挙げた。
こうして、ともにベスト8を目指しての激突となった両校だが、チームの核としては久留米商の方が上。市立尼崎は主砲・池山が注目されていたが、やはり総合力では打倒・池田の有力候補だった久留米商の方が分があると思われていた。しかし、試合が始まるとペースの握るのは市立尼崎なのだからわからないものである。
1回表、立ち上がりの制球に苦しむ山田を攻めたて、市立尼崎は1番佐藤、3番池山のヒットに四球を絡めて1アウト満塁のチャンスを作る。ここで5番池田が山田の自慢とする速球が高めに浮くところを逃さずはじき返すと、打球はセンターの頭上をはるかに超える2点タイムリー2塁打となり、2点を先行。前評判が不利と言われていた市立尼崎が鮮やかな先制劇を見せる。
これでリズムに乗った市立尼崎・宮長が序盤3回を無失点に抑えると、4回表には再び5番池田が山田をとらえる。高めに浮いた速球を再びとらえると、今度は引っ張った打球がラッキーゾーンをはるかに超えてスタンドに飛び込むホームランに!大会屈指の剛速球右腕から2塁打に一発と、2本の長打を放つ大活躍を見せる。
市立尼崎は7回にも4番清水のタイムリーで1点を追加し、4-0。序盤・中盤・終盤と着実に得点を挙げ、投げては宮長が左腕から繰り出す伸びのある速球で押していき、好調だった久留米商打線を完全に封じ込めていた。同じ日の第1試合で池田が前年決勝のリベンジを狙う広島商を下しており、またしても打倒・池田のV候補が姿を消すのか…と球場のファンも思い始めていたことだろう。だが、そんな中、8回に入って久留米商打線が反撃に転じ始める。
終盤に入り、さすがに疲れの見え始めた宮長に対し、先頭の6番石貫が三遊間深い位置への内野安打で出塁。ここで、代打・重松がうまい右打ちを見せて無死1.2塁とチャンスを広げる。ここで9番塚本を宮長はショートゴロに打ち取るが、6-4-3併殺を焦った市尼の内野陣が1塁への悪送球してしまい、まず1点を返す。ここで1番矢羽田を打ち取り、2アウト2塁となったのだが、市尼にまたも痛恨の守りのミスが出る。2番中野が左中間を深々と破るタイムリー3塁打を放つと、外野からの送球がそれる間に中野もホームイン!一気に1点差に迫り、試合の行方はいよいよわからなくなった。
追い上げムードに変わった久留米商は、9回表に先ほど代打でヒットを打った重松が捕手に収まる。スタメン捕手の山口に代わっての起用だったが、重松は強気のリードで山田を引っ張り、9回を無失点に収める。4-3のスコアで試合は9回裏へ。こうなると、流れは久留米商のものであった。
この回、先頭の4番山田が見事な流し打ちで、左中間への2塁打を放つ。後続を宮長が気迫の投球で連続三振に切って取るが、野球が面白いのはここからであった。7番石貫を内角速球で詰まらせた打球は、完全に打ち取った当たりでレフトへ。しかし、必死に前進したレフト渡部だったが、ボールは飛び込んだグラブのわずか先で弾んでしまう。2塁ランナーがホームインし、同点。市尼にとっては、あとアウト一つで試合終了というところで、振り出しに戻されてしまった。
なおも2アウト1塁で打席には途中出場で大活躍の8番重松。宮長の投球に対し、先ほどの打席と同様に右方向への意識を持っていた。流し打った打球は、幸運にもライト戦ぎりぎりへ落ちるヒットに!クッションボールの処理を途中出場の前中が焦る間に、石貫は一気にホームを突く。バックホームされたボールは及ばず、歓喜のサヨナラ勝ち。劇的な幕切れで久留米商が選抜で果たせなかった8強入りを決めたのだった。
久留米商はその後、準々決勝で岐阜第一を寄り切り、4強へ進出。最後は疲労の色が濃い山田が横浜商打線につかまって2-12と大敗を喫したが、V候補が次々に8強を前に姿を消す中にあって、ラスト3校まで残った戦いぶりは立派であった。公立の強豪校が多い激戦区の福岡県だが、やはり、その筆頭格は伝統を誇る久留米商であろう。
一方、市立尼崎は惜しくも8強入りは逃したが、初めての甲子園で大健闘を見せた。その後も、兵庫県内では存在感を放ち、名将・竹本監督のもとで金刃(巨人)、宮西(日本ハム)と好左腕を育て上げた。2016年夏にはエース平林を擁して、2度目の選手権出場を達成。初戦で八戸学院光星に惜敗したが、この試合も延長に及ぶ大激闘であった。そして、2026年、初出場の立役者となった池山は、ヤクルトスワローズの監督として新たな一歩を踏み出すこととなる。
第65回夏の甲子園 市立尼崎vs久留米商業 完全に敗戦濃厚からの展開。あの試合です。途中でテープ切れのダイジェスト追加編集版です。


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