【好投手列伝】北海道篇記憶に残る平成の名投手 3/4

平成の名投手

【好投手列伝】北海道篇記憶に残る平成の名投手 1/4 – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

【好投手列伝】北海道篇記憶に残る平成の名投手 2/4 – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

【好投手列伝】北海道篇記憶に残る平成の名投手 4/4 – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

岩田聖司(駒大苫小牧)

駒大苫小牧V1左腕2本柱の一角・岩田聖司 コーチ兼任選手 ...

先発として2004年夏の駒大苫小牧の優勝に貢献した左腕。強力打線が看板の駒大苫小牧だったが、リリーフの左腕・鈴木との2枚看板が快進撃を支えた。球威では鈴木の方がやや上だったが、ベース板でのスピード感は素晴らしく、鈴木と同様に球速以上の力を感じさせるボールを投げた。初戦の佐世保実戦では安定した投球で試合を作り、甲子園初勝利に貢献した。

そんな岩田が最も輝きを放ったのが準々決勝の横浜戦。好投手・涌井(楽天)を擁するV候補だったが、試合前から横浜の名参謀・小倉コーチが試合前から最も警戒していたのが岩田の存在であった。試合が始まると岩田のキレのあるボールの前に横浜打線は苦戦。神奈川大会でチーム打率4割台を記録し、報徳の好左腕・片山(楽天)や明徳の投手陣を打ち込んで強力打線を終盤まで1失点に抑えた。

決勝では疲れから序盤で済美にKOされてしまったが、岩田の存在なくして駒大苫小牧の優勝はなかったのは間違いない。ちなみに1年後の国体に出場した静清工の主将・忠内と顔が瓜二つで、後輩たちが驚いたとの逸話もある。

2004年 駒大苫小牧 初優勝 – YouTube

松橋拓也(駒大苫小牧)

asahi.com:駒大苫小牧、着実加点 聖心ウルスラ破る 高校野球 ...

2004年~2005年にかけて3度聖地のマウンドを踏んだ本格派右腕。デビューは2004年夏の準決勝・東海大甲府戦であった。一学年上の岩田・鈴木を差し置いて先発のマウンドに上がるといきなり最速147キロをマーク。3失点でマウンドを降りたが、ポテンシャルの高さを示すには十分な内容であった。

最終学年になるとエース番号を背負ってチームを牽引。1年下の田中将大の急成長も刺激になり、お互いに高め合って力を伸ばした。最後の夏は初戦となった2回戦で聖心ウルスラをわずか2安打で完封。ストレートのスピードに加えてフォーク、スライダーの精度も増し、安定感は格段に増していた。

決勝でも先発のマウンドを務め、1失点で田中にバトンタッチ。京都外大西との競り合いを制し、57年ぶりの夏連覇を達成した。打撃力で制した前年に対し、この年は松橋、吉岡、田中将の3人の好投手を擁した投手力で手にした栄冠であった。

2004 86回大会 準決勝 駒大苫小牧 vs 東海大甲府 平成16年 – YouTube

田中将大(駒大苫小牧→楽天)

今や日本を代表するエース投手となった田中将大。その足跡は彼のクレバーさとけた外れの精神力の強さが感じさせられるものであった。2003年の選抜で駒大苫小牧vs藤代の試合を生観戦して進学を決めたとのことだが、当時まだ甲子園で勝利のなかった同校のカバーリングや走塁に対する意識の高さを、中学3年にして観客席から感じ取った慧眼は驚愕に値する。環境を自分で選びきれる賢明さは素晴らしいとしか言いようがない。

駒大苫小牧時代は最初は捕手としてプレーしていたが、1年秋の神宮大会から投手に転向。ぐんぐん実力を増していき、2年夏には平田(中日)・辻内(巨人)・中田(巨人)を擁する大阪桐蔭打線を相手に自慢のスライダーで快投を見せ、V候補筆頭を下した。決勝では150キロの速球で三振を奪って優勝投手になると、最終学年の秋は無双状態に。神宮では150キロ台の速球と高速スライダーで相手打者を寄せ付けず、圧倒的な力の差で優勝を果たした。

ところが、松坂大輔を擁した横浜さえ超えるのではないかと噂されたチーム力だったにも関わらず、不祥事の影響で選抜はまさかの出場辞退に。香田監督が一時期チームを離れることとなり、数か月空中分解の状況となった。田中自身もスライダーの影響で投球フォームがやや横ぶりになり、思うようなボールが投げられないもどかしさがあった。

ただそんな状況でも駒大苫小牧は南北海道大会、甲子園と勝ち抜いていった。田中は大会中にウイルス性胃腸炎に見舞われ、思うようなボールが投げられなかったが、驚異的な逆転勝ちの連続で3年連続の決勝の舞台にたどり着いた。最後は斎藤佑樹との引き分け再試合の激闘に惜敗したが、後輩をして「普通なら投げられる体調ではない」状態の中で、最後まで投げ抜いた精神力の強さは尋常でないものがあった。

プロに入ってからも素晴らしい活躍を見せているが、高校時代の戦いぶりを振り返ると、それだけの結果を残すことに納得させられてしまうだろう。心技体すべてに卓越した、稀代の名投手である。

⚾【平成18年】駒大苫小牧 vs.智弁和歌山【高校野球】 – YouTube

鍵谷陽平(北海→日本ハム)

甲子園では結果を残せなかったが、北海・鍵谷は2008年度の高校生で屈指の剛腕であった。南北海道大会では58イニングで61三振をマーク。140キロ台中盤のストレートでぐいぐい押す投球を見せ、4失点した決勝の北照戦以外はほとんど付け入るスキを与えなかった。

自信を持って臨んだ甲子園・初戦の相手は愛知の名門・東邦。初回にいきなり1番山田に先頭打者弾を浴びると、3回にも2番小宅にソロを浴びる。それでも中盤までは最少失点で踏ん張っていたが、5回に3本目のソロホームランを浴びると一気に崩壊。自慢のストレートを容赦なく打ち返す東邦打線の威力はすさまじかったが、鍵谷のボールも決して悪いものではなかった。

ライトスタンドで生観戦していたが、1回戦で当たるのがあまりにももったいない投打のパワフル対決であった。

北海 2008夏 – YouTube

板木勇幸(駒大岩見沢)

駒大岩見沢に9年ぶりの全国勝利を届けた技巧派左腕。左サイド気味の腕の振りから繰り出すボールは横の角度があり、右打者の内角を突くストレート、左打者の背中から曲がるスライダーで打者を翻弄した。

選抜では開幕戦で21世紀枠の成章と対戦し、相手エース小川(ヤクルト、当時はライアン投法ではなかった)との投げ合いに敗れたが、夏は同じく開幕戦で下関工に競り勝つと、2回戦では盛岡大付との北国対決も制した。

そして、3回戦はスラッガー坂口(巨人)を擁する智辯和歌山と激突。ややスロースターターだったこの年の智辯和歌山を相手に板木は老獪な投球でかわし続け、7回まで2失点の好投を見せた。8回に智辯和歌山のセンター返しの打撃の前に屈し、打者一巡の集中打を浴びて敗れたが、V候補を土俵際まで追い詰めた板木の投球は見事であった。

智辯和歌山vs駒大岩見沢 2008年夏 – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

第90回全国高校野球選手権大会 3回戦 智弁和歌山 対 駒大岩見沢 1/5 – YouTube

又野知弥(北照→ヤクルト)

北照を春夏連続出場に導いた本格派右腕。長身から繰り出す角度のあるボールとスライダーを武器に、名将・河上監督の元で順調に成長を見せた。この年の北照は、女房役の西田(ヤクルト)、トップバッター大野を中心にスケールの大きなチームであった。

選抜では又野が初回に自らのホームランなどで奪った2点を守り切り、完封発進。2回戦では試合中に負傷した又野の穴をチーム全員でカバーし、自由が丘に5-4と競り勝ってベスト8進出を決めた。

ただ、夏にかけては負傷の影響もあってなかなか本調子の投球ができなかった。肘の位置がやや下がり、スライダー中心の投球になったが、それでも南北海道大会を勝ち抜いたのは、又野のポテンシャルの高さを表している。打っても4試合連続ホームランを放つなど、投打で最後までチームを牽引し続けた。2010年の高校球界を代表する好選手であった。

第82回選抜高校野球大会 2回戦 北照 対 自由が丘 1/9 – YouTube

玉熊将一(北海)

伝統校・北海を春夏連続出場に導いた技巧派右腕。短いテークバックから繰り出すボールのキレ、相手に考える間を与えないテンポ、安定したコントロールを武器に選抜ではベスト8まで勝ち進んだ。特に2回戦の天理戦の完封勝利は圧巻で、近畿王者を相手に強気かつ冷静な投球で強力打線の狙いをかわし続けた。先輩捕手の玉木をして、「緊迫した場面でも落ち着いている」というメンタルの強さも魅力であった。

ただ投法的に右打者の内角に投げにくいのが弱点であり、選抜の準々決勝では九州国際大付の高城(DeNA)にアウトコースのボールを狙われて5安打を浴び、4-5と惜敗。玉木としても右打者のインサイドがすっぽ抜けるのが怖く、要求しづらくなってしまった。夏も名将・馬淵監督率いる明徳義塾に2-3でサヨナラ負け。好投を見せながらも惜しくも及ばなかった。

最終学年になると道内での研究も進み、秋は北照にコールド負け、夏も札幌第一に打ち込まれた。しかし、高校卒業後は法政大学で主戦格として活躍し、社会人でも強豪・明治安田生命に進んで活躍。ノンプロの世界できっちり足跡を残した実力派右腕であった。

玉熊 将一(北海) 2011.8.7 – YouTube

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