強豪県対決制したエースの力投
小笠原(ナショナルズ)、吉田凌(オリックス)の2枚看板を擁する東海大相模と神宮王者の仙台育英、選抜王者の敦賀気比の3強を中心に回ると目されていた2015年の選手権大会。その仙台育英と敦賀気比が同ブロックに入り、選抜での再戦が注目されたが、敦賀気比は2回戦で花巻東に3-8と敗退。選抜でのリベンジを期していた仙台育英としては、少し肩透かしを感もあったかもしれない。
そんな中で迎えた翌日の第1試合。仙台育英の迎えた相手は地元・兵庫の滝川第二であった。3年ぶりの出場だったが、激戦区を勝ちぬいてきた相手であり、油断できないチームであった。

仙台育英は前年秋の神宮大会を力強い戦いで制し、優勝候補として選抜に臨むも、優勝した敦賀気比に惜敗。佐藤世(オリックス)-郡司(中日)のバッテリーは唯一といってもいい失投を相手の3番は林中にとらえられて失点し、強力打線も敦賀気比の平沼(日本ハム)のボール球をうまく振らされて1点に封じられた。
リベンジに燃える夏は宮城大会を強打で勝ち上がると、初戦は明豊から大会新記録となる10本の2塁打を放って12-1と圧勝。佐々木、紀伊の5,6番コンビは他校なら4番を張れる強打者であり、出場校中トップクラスの強力打線である。エース佐藤世も県大会では苦しんだが甲子園では復調し、まずは順調なスタートを切った。

対する滝川第二は3年ぶりの出場。この年は兵庫県勢は秋の近畿大会を勝ち上がれず、選抜に1校も代表校を送ることができなかった。本命不在の兵庫大会でどこが勝ち上がるか注目されたが、滝川第二は2年生エース友井の好投と1番根来を中心とした機動力で接戦を勝ち上がり、2012年以来の代表切符をつかみ取った。
初戦は新潟代表の中越との対戦になり、取っては取られの接戦に。エース友井が持ち味のストレート主体の投球で要所を締めて3点に抑えると、打線も1番根来のスピードを活かした攻めで得点を重ねる。3-3の同点で迎えた最終回は5番結城が中越の3番手・雪野をとらえ、ライトへのサヨナラ打。好ゲームを制した滝川第二が3年前に続いて初戦を突破した。
2年生エース攻略し、打線が着々援護点
2015年夏2回戦
仙台育英
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 |
| 0 | 1 | 0 | 1 | 4 | 0 | 1 | 0 | 0 | 7 |
| 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 |
滝川第二
仙台育英 佐藤世
滝川第二 友井→森→沖山

総合力では投打ともに仙台育英が格上。復調した佐藤世は決め球のフォークボールがさえわたり、打線も活発。全くスキが見当たらない。対する滝川第二はまずは友井が踏ん張って流れを作り、持ち味の機動力で仙台育英を慌てさせたいところだ。
1回裏、滝川第二は先頭の根来がストレートをとらえてレフトへのヒットで出塁。ここぞとばかりに盗塁を仕掛けたが、仙台育英バッテリーにウエストされてタッチアウトになってしまう。県大会で走りに走りまくった根来の盗塁失敗は滝川第二にとってはショックが大きかっただろう。
相手の牙を抜いた仙台育英は2回から着実に得点を重ねる。2回表、ヒットで出塁した6番紀伊が3塁まで進むと、9番佐藤世が自らタイムリーを放って1点を先制。4回には5番佐々木、6番紀伊の強力コンビの長短打で2点目を挙げて着々と得点を重ねる。
滝川第二も序盤からランナーが出ないわけではないが、ストレートはとらえられても、勝負所で投じられるフォークボールの前にバットが空を切る。要所で空振りを奪う投球が続き、仙台育英バッテリーにとっては脅威を感じるには至らなかっただろう。
こうなると、試合は完全に仙台育英ペースに。得意のストレートがとらえられていた滝川第二バッテリーはなんとか変化球主体にかわそうするが、5回には4番郡司にカーブをスタンドに放り込まれるなど4失点。やはり2年生エースにとって、常に全国上位で戦ってきた仙台育英打線はまだハードルが高かったのかもしれない。
それでも意地を見せたい滝川第二は8回裏、やや球威の落ち始めた佐藤世から代打・吉井、2番・大嶋が長短打を放って1点を返す。この回、代打攻勢をかけてあきらめない姿勢を見せたベンチに選手たちが応えた得点だった。
しかし、結局滝川第二の得点はこの1点のみ。仙台育英の安定した攻守の前にサプライズはなく、7-1と快勝で3回戦進出を果たした。
まとめ
仙台育英としては初回に滝川第二の盗塁を阻止したことで、まずは落ち着いて試合を進められた。佐藤世は持ち味のフォークボールを活かした投球で好投し、打線も腰を据えて攻撃に望めた。その後は、花巻東・高橋(広島)、秋田商・成田(ロッテ)と同じ東北の好投手を倒し、準決勝では清宮(日本ハム)擁する早稲田実も撃破。決勝で東海大相模に敗れたが、1989年以来となる準優勝を飾った。
一方、滝川第二としては初回の盗塁が失敗したことでかき回す展開に持ち込めなかったことが悔やまれた。滝川第二・田中監督にとってはエース福沢(中日)を擁して優勝候補に挙げられながらも、エースの疲労を考慮した投手起用が裏目に出て岡山理大付に敗れた悔しい経験がある。いつかそのリベンジをと燃えていたが、この夏は仙台育英の厚い壁に跳ね返された。


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