大坂桐蔭の前に立ちはだかった好投手列伝 4/4

コラム

平成に入ってからの出場だけで、春夏合わせて全国制覇9回、78勝18敗の勝率8割1分2厘と圧倒的な成績を残す大阪桐蔭。プロ野球選手も多数輩出し、今や最強のチームと言っても過言ではない存在となっている。だからこそ、そんな大阪桐蔭に対して甲子園で勝利を収めた投手は、錚々たる面々が顔を並べている。今回は、その好投手を順にご紹介したい。

大坂桐蔭の前に立ちはだかった好投手列伝 1/4 | 世界一の甲子園ブログ

大坂桐蔭の前に立ちはだかった好投手列伝 2/4 | 世界一の甲子園ブログ

大坂桐蔭の前に立ちはだかった好投手列伝 3/4 | 世界一の甲子園ブログ

2024年選抜 準々決勝 報徳学園 4-1 大阪桐蔭

大阪桐蔭

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 0 0 0 0 0 0 1 0 1
2 0 0 0 0 0 0 2 × 4

報徳学園

今朝丸裕喜(報徳学園)

一級品の背番号「10」 報徳学園・今朝丸が横綱圧倒 センバツ ...

前々年の近畿大会決勝、前年選抜準決勝、前年秋の近畿大会準々決勝と直近2年間で4度目の対戦となった両校の対戦。近畿を代表する強豪同士の対決が準々決勝で再び実現した。

ただ、この代になってからの対決は、前年秋の近畿大会の一度だけだった。試合は4-3で大坂桐蔭の勝利に終わったが、実際の力の差はもっと開きがある内容であった。報徳学園のヒット数は4本で有り、大坂桐蔭の半分以下。前年の主軸であった堀(オリックス)、石野といった面々が抜け、打力に関しては苦しい陣容であった。特に、2番手で登板した森陽の前にはまともにバットに当てることも困難。どのチームが相手でもそうだっただろうが、前年の代と比べると、大坂桐蔭の方が優勢になった感があった。

また、この大会は新基準バット導入後、最初の大会であり、反発係数の減ったバットに対する各校の戦いにも注目が集まっていた。外野の守備位置の変化や機動力野球など得点のオプションの増加、などなど野球の変化が随所に見られていた。そんな中、これまで強打を誇っていた大阪桐蔭がどういう野球を見せるのか、注目が集まっていた。

大会がはじめると両校は同じブロックに入る。勝ち上がれば、準々決勝で対戦する組み合わせだ。報徳学園は今朝丸(オリックス)、間木の自慢の2枚看板が評判通りの力を見せ、勝ち上がる。1回戦の愛工大名電戦は苦しい試合だったが、今朝丸→間木への継投で踏ん張る。タイブレークに突入すると、10回裏に4番斉藤のタイムリーで逆転サヨナラ勝ち。勢いに乗ると、2回戦では間木が常総学院の強力打線を封じ込め、ベスト8へとコマを進めた。

対する大阪桐蔭は、初戦で伝統校・北海と対戦。北海の先発・松田の制球難に付け込み、7得点で快勝を収める。以前のような長打力で圧倒するスタイルから、この代は1番・境、2番・吉田、3番・徳丸の3人の打者を中心にスピード感のある攻撃が目立つようになっていた。2回戦では前年夏4強の神村学園との対戦だったが、この試合では大方の予想をかわしてエース左腕・今村ではなく、上川床がマウンドへ。しかし、想定外の相手に対して、大坂桐蔭打線は序盤から上位の左打者陣が仕事を果たす。特に、1番境はランニングホームランを放つなど、3安打の大活躍を見せた。

かくして、再びまみえることとなった近畿の両雄。雨の降る難しい状況で、試合が幕を開けた。

試合は、初回に報徳学園打線が大阪桐蔭・平嶋の乱れに付け込み、2点を先制。打力に課題があると言われていたが、大会に入って、特に左打者陣が高いミート力を見せ、繋ぎの攻撃をみせていた。そして、この2点のリードが今朝丸に大きな余裕を与える。持ち味の角度と球威を伴う速球がコーナーにビシバシ決まり、大坂桐蔭打線を封じ込めていく。1回から7回まで0行進が続き、大事な場面ではことごとく相手打者を詰まらせていた。

大阪桐蔭打線も意地を見せ、好調な1番境はこの日も3安打を放つが、いかんせん他の打者陣がほぼ完全に抑え込まれてしまった。8回表に1点差に詰め寄るが、直後の守りで2点を追加され、万事休す。前年の選抜のリベンジを狙っていたが、報徳学園の剛腕の前に返り討ちとなった。新基準のバットと世代屈指の剛腕という2つの強敵を相手に、この大会は準々決勝で涙を飲むこととなった。

2024年選抜1回戦 報徳学園vs愛工大名電(5日目第3試合) | 世界一の甲子園ブログ

2024年選抜準々決勝 報徳学園vs大阪桐蔭(9日目第4試合) | 世界一の甲子園ブログ

2024年選抜準決勝 報徳学園vs中央学院(10日目第2試合) | 世界一の甲子園ブログ

2024年夏 2回戦 小松大谷 3-0 大阪桐蔭

小松大谷

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 0 0 0 0 0 2 1 0 3
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

大坂桐蔭

西川大智(小松大谷)

前年夏にライバル履正社に敗れ、好左腕・前田悠(ソフトバンク)を擁しながら、夏の甲子園出場が叶わなかった大阪桐蔭。しかし、1年の時を経てリベンジに燃えたナインは、大阪大会を力強く勝ち上がる。エース平嶋を中心に速球派投手5人を擁する分厚い投手層、春から打順を入れ替え2番に宮本が入ったことでつながりの増した打線がかみ合い、準決勝では履正社に12-2とコールド勝ち。王者が2年ぶりの聖地へと無事に帰還して見せた。

迎えた甲子園初戦は、興南と激突。春夏連覇経験校同士の対戦となったが、打線が興南の好左腕・田崎を攻略する。スライダーを見極め、甘く入ったストレートを痛打し、4回までで5得点を奪取。過去の甲子園で大いに苦しめられてきた左腕投手に対し、素晴らしい対応力をみせれば、投げては2年生右腕の中野が4安打で完封。勝負強い興南打線に最後まで隙を与えず、見事な投球で勝利へ導いた。

こうして初戦を終え、高校野球関係者の中では、いよいよ大阪桐蔭が復権に向かうかと思われた中、2回戦で意外な男がたちはだかる。小松大谷のエース西川である。

意外という言葉を使うと失礼にあたるが、決して西川個人の実力を過少評価しての発言ではない。こと大阪桐蔭というチームが、過去の甲子園において技巧派投手を苦にしていなかったことが理由である。過去の甲子園を見ても、敗れてきた相手は左腕投手か、圧倒的な球質のボールを持つ右投手がほとんどだからだ。データ斑が徹底的に相手を丸裸にする同校においては、その配球を事前に頭に叩き込んで戦うため、技巧派投手を相手にした同校はやはり相性がいいということなのだろう。この試合では大阪桐蔭打線がいよいよ猛爆するかという予想も決して少なくはなかった。

しかし、試合が始まると西川のピッチングが光り輝く。強気のインサイド攻め、一球一球テンポ、間合いを変える工夫、内外・高低の出し入れと実に多くの引き出しを持ち、大坂桐蔭の各打者を料理していく。中盤からはチェンジアップを多用し始めるなど、1試合を通しての長期的な配球も彼の良さを際立たせていた。

試合は大阪桐蔭の森陽も好投し、0-0で終盤戦へ。すると、7回に入ってついに大阪桐蔭サイドが持ちこたえきれず、守備のミスが出る。このチャンスをきっちり活かした打線が7,8回で3得点を上げると、西川の投球がいよいよ乗ってくる。大阪桐蔭打線も徳丸・ラマルが大飛球を放つが、外野深い位置で失速するなど、ここ一番で新基準バットの前に屈する結果となった。工夫次第で充分王者に通用するという結果を残した西川の功績は、この試合だけでなく、今後の高校球界にも大きな意味を残すような投球だったと言えるのではないだろうか。

2024年選手権1回戦 小松大谷vs明豊(2日目第2試合) | 世界一の甲子園ブログ

2024年選手権2回戦 小松大谷vs大阪桐蔭(8日目第2試合) | 世界一の甲子園ブログ

まとめ

いかがだったでしょうか?大阪桐蔭という王者を倒すだけあって、それぞれ魅力のある投手がずらりと並んでいましたね。強豪校と好投手のつばぜり合いがこれからも高校野球ファンを楽しませてくれるでしょう。

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