2026年選抜準々決勝
智辯学園vs花咲徳栄
50.5% 49.5%
〇4-0 花巻東 〇3-2 東洋大姫路
〇2-1 神村学園 〇17-0 日本文理
強力打線と絶対的エースを擁する東西の強豪の激突。今大会屈指の好カードだ。
智辯学園のエース杉本は19回を投げてわずか1失点と今大会の先発した投手の中で最も安定した投球内容を誇る。球威抜群の速球とスライダーを武器に相手打線を翻弄。しかも、花巻東・神村学園と大会出場校でも上位の打線を相手にこの結果を残しているわけなので、文句なしの結果である。2回戦では、延長タイブレークで一打サヨナラの場面を迎えたが、神村の上位打線を封じ、メンタル面の強さも見せた。昨秋の大会でも見せた浮き沈みの激しさはもう見られない。怖いのは2試合完投の疲労くらいだろう。
対する花咲徳栄打線は、2回戦で17得点と大爆発。関東屈指の強力打線がついにそのベールを脱ぐ形となった。雨の中での戦いで日本文理にやや不運な部分はあったが、それでも甘く入ったボールを逃さない決定力はさすがであった。特に、1番岩井が4安打と復調したのは大きい。父の岩井監督も一安心だろう。ただ、初戦の東洋大姫路戦では左腕・下山のスライダーに苦戦しており、杉本の決め球に対する対応がどうか。狙いに行くのか、捨てるのかも含めてチーム全体で意思を徹底したい。
一方、花咲徳栄のエース黒川は2回戦も7回途中まで無失点と安定感の光る内容であった。球威十分の速球とフォークを活かした高低の攻めは安定感があり、日本文理の強力打線を相手にわずか1安打と完ぺきな投球を展開。流れが花咲徳栄に完全に傾いていたとはいえ、それを差し引いても黒川の実力が完全に上回っていたと言えるだろう。ただ、こちらも怖いのは疲労か。かなり雨の降りしきる中での投球となり、球数以上に負担は大きかったはずだ。中一日を挟んでどれだけ休養できたか、立ち上がりの出来で判断が可能になるだろう。
対する智辯学園打線は、2回戦は神村学園・龍頭の前に2点に抑え込まれたが、屈指の技巧派右腕を相手に数少ない隙をついて奪った2点だけに、価値がある。中でも、3番太田、4番逢坂と期待の主軸が打点を挙げたことが今後に向けて大きい。初戦で3安打の1番角谷は無安打に終わったものの、打撃内容は悪くなく、彼がチャンスメークして中軸が返すパターンに持っていければ、おのずと得点は見込める。黒川の高めに浮くフォークを逃さずとらえたいところだ。
両チームとのエースの疲労度は気になるところだが、両者ともに本領を発揮した時は、杉本の方が少し上回るか。いずれにせよ、実力伯仲の好勝負となるのは間違いないだろう。
主なOB
智辯学園…秦裕二(横浜)、岡本和真(巨人)、廣岡大志(巨人)、村上頌樹(阪神)、前川右京(阪神)
花咲徳栄…若月健矢(オリックス)、愛斗(ロッテ)、西川愛也(西武)、清水達也(中日)、石塚裕惺(巨人)
奈良 埼玉
春 0勝 1勝
夏 3勝 1勝
計 3勝 2勝
対戦成績は春は埼玉勢が、夏は奈良勢がリード。
1992年夏は、名門・天理と初出場・秀明が対戦した。県内屈指の進学校の秀明だが、工夫した野球で1985年選抜に続いて甲子園出場を達成。選抜4強の名門天理に対し、0-1で迎えた5回表に機動力を生かした野球で2-1と逆転に成功した。直後の攻撃で5連打を浴び、結果的に3-11と大敗したが、中盤まで強豪を相手に食らいついた戦いは見事であった。
一方、2003年夏は聖望学園と天理が対戦。聖望学園はエース松村を中心とした守りの野球で埼玉大会を勝ち抜き、準決勝では好左腕・須永(日本ハム)を擁する浦和学院に2-1とサヨナラ勝ちを収めた。甲子園では初戦となった2回戦で香川西に17-4と大勝を収めると、3回戦では名門・天理と対戦。天理も不祥事明けで久々の甲子園出場であった。試合は序盤から点の取り合いとなるが、初戦から打撃好調の聖望学園打線が天理投手陣を粉砕。5回までに2試合連続の先発全員安打を達成する猛攻で試合を決め、初の8強進出を決めた。
強豪県の強豪同士のマッチアップ。勝利を収めるのはどちらか。
思い出名勝負
2012年夏3回戦
浦和学院
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 |
| 0 | 1 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 |
| 1 | 2 | 1 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | × | 6 |
天理
浦和学院 山口→小島→佐藤
天理 中谷
大会前から大阪桐蔭・光星学院・愛工大名電の3強と目された2012年の選手権大会。愛工大名電は初戦で姿を消したが、残りの2校は順調に勝ち上がっていた。そんな中、打倒V候補筆頭に燃える有力校2校が3回戦で対戦することとなった。
浦和学院は春夏連続の甲子園出場。エース佐藤は3回目の甲子園であった。抜群の制球力を活かし、緩急自在の投球が光る佐藤は、選抜の三重戦では好投手・三浦との投げ合いを制して、2-0と完封勝利を達成。アウトコースに広い甲子園の主審の特徴を理解し、そこに投げ続ける制球力とクレバーさを見せた。その後、準々決勝で優勝した大阪桐蔭に2-3と惜敗したが、リベンジを果たすべく夏は順調に勝ち上がった。
打線は、埼玉大会から好調を維持し、甲子園でも1,2回戦で計17得点と好調を維持。1番竹村、4番山根、6番高田と3人の2年生が活躍を見せ、打線全体の起爆剤となっていた。3番を打つ佐藤は打撃でもチームの中心。2回戦の聖光学院戦では自身初のホームランを放つなど、投打で復調していた。また、5番笹川が2試合連続ホームランで10打数7安打と絶好調。手が付けられないほどの猛打を放っていた。ここまで全く隙の無い戦いを見せる関東のV候補。今後へ向けて期待は高まっていた。
一方、天理も春夏連続出場であったが、こちらは苦労した歩みを見せていた。2009年春から2011年春にかけて5季連続出場を果たしたが、いずれも優勝候補に挙げられながら早期敗退。森川監督から全国制覇2回の経験を持つ橋本監督にスイッチしたが、選抜では初出場の健大高崎に3-9と大敗。エース中谷が腰の疲労骨折で早期降板するアクシデントもあり、なかなか本来の戦いができなかった。
しかし、この危機をチーム全員で救うべく、ナインは奮起。投手陣は中谷に依存しないように、本格派右腕・山本らの好投でまかなうと、打線も4番だったショート吉村を6番に回すことで負担を軽減。夏はライバル智辯学園が先に敗退する中で、順当に勝ち抜き、連続出場をつかみ取った。甲子園では初戦で宮崎工の好左腕・長友を攻略すると、2回戦では上位打線の活躍で秋の中国王者の鳥取城北に6-2と完勝。投手陣も復活した中谷と山本が安定し、ここにきてチームはV字回復を見せていた。
迎えた3回戦。試合前の抽選で勝った方が準々決勝で大阪桐蔭と対戦することが決まっていた。この結果を受けてか、浦和学院はエース佐藤の登板を回避して、2年生右腕山口をマウンドに送った。一方、天理は3試合連続でエース左腕・中谷を先発に指名。
1回表、浦和学院の攻撃を3人で退けると、その裏、天理打線が山口を捕まえる。山口も選抜の大阪桐蔭戦で5回1失点の好投を演じるなど、相応の実力者なのだが、この日は立ちあがりに捕まってしまう。先頭の1番早田に死球を与えてしまうと、この回計3四死球で満塁に。ここで6番吉村への投球が暴投となり、天理が先制点を手にする。
浦和学院も2回表に4番山根のヒットと死球を足掛かりにスクイズで同点へ追いつくが、山口がなかなか落ち着くことができない。2回裏、2アウトから9番主将の船曳が四球で歩くと、1番早田が高めの速球を捉えた打球は、やや浅い守りだったライトの横を抜ける3塁打に。2アウト1塁だけに深めの守備でもよかったとは思うが、ここは裏目に出た。さらに2番東原も3塁強襲の2塁打で続き、3-1。序盤から天理が相手にリズムを与えない攻撃を見せる。
浦和学院は流れを変えるべく、3回から1年生左腕の小島(ロッテ)をマウンドへ。翌日に桐蔭が控えるため、まだ佐藤をマウンドへは上げたくない。しかし、天理は5番稲別のライト前ヒットを皮切りに4安打を集中され、1点を追加。小島は当時からキレのあるボールを投げていたが、やはり百戦錬磨の天理打線を相手には荷が重かったか。
しかし、4回表、浦和学院打線も反撃に転ずる。先頭の4番山根がヒットで出ながら、5番笹川の1,2塁間への強烈なゴロが天理の二遊間の見事な守備で打ち取られ、2アウトランナー無し。沈みがちな雰囲気になっていたところを救ったのは、またも2年生・高田のバットであった。天理・中谷が内を突こうとしたボールが甘く入るところを逃さずとらえた打球は、レフトスタンドへのホームランに!翌年の選抜でも3試合連続ホームランを放つことになる長距離砲がその威力を発揮した。
だが、この日の浦学はどうしても守りからリズムを作れない。5回裏、当たっている5番稲別の2塁打を足掛かりに天理が1,3塁のチャンスを作ると、ここで捕手・林崎の送球がなんと引っかかってしまってそのまま三遊間を抜けていくことに。3塁ランナーがホームインし、信じられない形で追加点が入る。さらに、9番船引がとどめのタイムリーを放ち、6-2。前半で大きく主導権を握った。
ただ、浦学も6回表に中谷を攻め、2アウト満塁と一発同点の場面を迎える。しかし、ケガから帰ってきた不屈の男は、メンタルの強さが破格であった。厳しい局面でも浦学の6番主将の明石のインハイをえぐり、サードファウルフライで得点ならず。最大のチャンスを逃してしまった。
浦学も6回からエース佐藤が登板し、天理打線の攻撃を3回1安打に抑える完ぺきな投球を見せた。しかし、この試合の流れはもはや不動。終盤も浦学打線は中谷のインサイド攻めをとらえきれず。特に、好調だった5番笹川が無安打に封じ込められたのが痛かった。天理が6-2で大一番を制し、夏は8年ぶりとなる8強進出を決めた。
天理はその後、準々決勝で大阪桐蔭に1-8と大敗し、前年秋のリベンジを許して夏を終えた。しかし、最終回に6番吉村が意地のホームランを藤浪(DeNA)から放つなど、最後までナインの顔には笑顔が絶えなかった。ここ数年、なかなか自分たちの力を発揮できなかった名門校が、名将・橋本監督のもとで久々に充実した時を過ごした夏となった。
一方、浦学にとってはショックの残る敗戦に。エース佐藤を温存したくなる気持ちもわかるが、結果的に初回から守りのリズムを作れなかった。ただ、この悔しさをばねに竹村・山根・高田の残った新チームは快進撃を果たす。翌年の選抜では2年生エース小島を支えて、5試合で47得点と猛打爆発。無冠の帝王の汚名を返上する圧倒的な勝ちっぷりで、初優勝を果たすこととなった。


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