大会6日目第1試合
大阪桐蔭
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 |
| 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 1 | 4 |
| 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
熊本工
大阪桐蔭 川本
熊本工 堤→井藤

常連校vs伝統校の息詰まる投手戦となった第1試合は、1-0と接戦のまま終盤戦へ。熊工の先発・堤をなんとか攻略した大阪桐蔭が2年ぶりの選抜でまずは初戦を突破した。
試合
大阪桐蔭は、エース吉岡ではなく、長身の2年生左腕・川本を先発に指名。一方、熊本工は昨秋に背番号4ながら実質エース格としてマウンドを守った右腕・堤がマウンドに上がった。
初回、いきなり先手を奪ったのは大阪桐蔭であった。1回表、先頭の1番仲原が高めの速球をセンターにはじき返すヒットで出塁。犠打で2塁へ進むと、2アウト後に背番号20をつけたDHの4番谷渕がカーブをうまくため込んで右方向へ引っ張る。打球は、ライト線上に弾むタイムリーとなり、仲原がホームイン!桐蔭が幸先よく1点を先行する。
その裏、桐蔭の先発マウンドには期待の2年生サウスポー川本が上がる。長身とガタイの良さから見た目だけでも只者ではない感が漂っていたが、初回からその怪物ぶりを発揮。長身から繰り出す角度のある速球とスライダーを武器に、アウトはすべて三振で取り、圧倒的な存在感を放つ。2005年度の辻内(巨人)や2018年度の左腕・横川(巨人)を思い起こさせる投手だが、2年生の段階での迫力は川本の方が上か。
こうなると、桐蔭のペースになりかねない試合だったが、2回以降、熊工の右腕・堤が奮闘する。初回は、自分の投球ペースに引き込めずに失点したが、徐々に本領を発揮。内外・高低を広く使い、多彩な球種で的を絞らせず、桐蔭打線からフルスイングが徐々に消えていく。技巧派投手の本領発揮とはまさにこの事であり、カウントが悪くなってもアウトコースの変化球でいつでもストライクが取れるため、安心して若いカウントからボール球で勝負ができる。川本の圧倒的な投球とは対照的なスタイルで、熊工に守りのリズムをもたらす。
試合は、1-0のままで推移。桐蔭としては、川本が球威でガンガン押している間に追加点が欲しいところだったが、なかなか2点目が遠い。どこか2024年の夏に小松大谷の技巧派右腕・西川に完封された時の記憶がよみがえってくるような展開。打たされて凡打の山を築く内容となり、徐々に手が出にくい打撃内容となる。5回表には二つの三振を奪われるなど、得点はおろかヒットも出ない状況となり、1-0のまま前半戦を終了する。
すると、グランド整備を終えて切り替わった6回。熊工に反撃のチャンスが到来する。ここまで川本の前に無安打に抑え込まれていたが、2アウトから2番前高がインサイドの速球を詰まりながらもレフト前にはじき返す。チーム初ヒットでチャンスメークすると、続く3番山口は死球で出塁。ただ、3番センターとチームの要のプレーヤーが利き腕に死球を受けてしまったことは熊工としては痛かった。この回は4番井藤が倒れ、得点にこそ繋がらなかったが、川本攻略の足掛かりとなるイニングにはなった。
7回表も堤は淡々と桐蔭打線を封じ込め、これで12人連続でアウトを積み重ねる。エースが築いた守りからの流れ。7回裏に、最大のチャンスが訪れる。
この回、先頭は5番中村。長打力を秘める2年生が、川本の高めの速球を引っ張ると、打球は3塁手を強襲する当たりで、そのままレフト線を抜ける長打に!中村は一気に2塁を陥れると、6番野田がきっちり送って1アウト3塁と絶好の場面を迎える。ここで、熊工・田島監督はカウント1-1から7番古賀にスクイズを指示。しかし、力のあるボールを前に決めきることはできない。古賀は三振に倒れると、続く8番山岡も球威に押されてセカンドフライ。まさに、力でねじ伏せる投球で川本が7つ目の「0」をもぎ取った。
すると、この攻撃が心理的ショックを与えたか、はたまた桐蔭打線が堤の投球に慣れたのか、追加点が桐蔭に入る。
先頭の8番中島が甘く入った変化球をきっちりとらえてライトへヒットを放つと、犠打で2塁へ。初回にヒットを放っている1番仲原は初球攻撃でスライダーをとらえ、レフトへのヒットで1,3塁とチャンスを拡大する。迷いなくバットを振り始めた桐蔭打線。2番中西も初球打ちで変化球をとらえ、1,2塁間を破って2点目を手にすると、その後も攻撃は続き、4番谷渕にも犠飛が飛び出して、この回2点を追加。送りバントを挟んで4連打、ほとんどが浅いカウントからの勝負でヒットを重ね、なおかつ低い当たりの打球を心掛けていた。
熊工は、徐々に球威の落ち始めた川本から8回裏も複数のランナーを出すが、2塁ランナーがけん制で刺されてタッチアウトに。惜しい逸機となると、9回にも桐蔭は代打・能戸がタイムリーを放ち、勝敗は決した。川本は終盤、ピンチの連続だったが、我慢強く投げぬき、終わってみれば3安打で完封。スケールの大きな左腕を実直な野手陣が支え、2年ぶりの選抜でまずは大きな1勝を手にした。
まとめ
大阪桐蔭の川本は球威のある真っすぐとスライダーで最後まで押し切り、3安打で完封勝ち。スケールの大きな投手がそのポテンシャルをいかんなく発揮した投球であった。エース吉岡など他の投手を温存できたのは今後に向けて大きく、日程的に厳しいゾーンだが、まずは第一関門をクリアした。
また、打線は熊工・堤の前に2回以降完全に沈黙したが、8回は低く速い打球を放ち続け、ついにその牙城を崩すことに成功した。ここ数年はフライアウトがあともう一伸びしないで打ち取られることが多かったが、少しモデルチェンジしたような攻撃になったか。豪快さは失わずに、かつ終盤に見られたような徹底した意識付けの攻撃ができれば、得点力は保証されるだろう。近年元気のなかった高校球界の王者がこの選抜で再び覇権奪回となるか注目だ。
一方、熊工は堤の好投で終盤あるいはという展開まで持ち込み、伝統校の底力を見せつけた。堤は技巧派投手に必要な五角形があるとすれば、そのすべてがほぼ満点で満たされたような投球を展開。もともとは内野手だったが、今年のエースは俺なんだと言わんばかりの存在感を見せつけた。打線は、7回のワンチャンスをものにできていればと悔やまれたが、終盤に川本の球威に負けない打撃を見せたのはさすがであった。時が経ち、元号が変わろうとも熊工の強さは生きている、そう感じさせる戦いぶりであった。
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