大会1日目第3試合
八戸学院光星
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 計 |
| 0 | 0 | 0 | 3 | 0 | 0 | 1 | 2 | 0 | 9 | 15 |
| 3 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 6 |
崇徳
八戸学院光星 北口
崇徳 徳丸→渡部→徳丸→井上

実力校同士の好カードとなった第3試合は、光星打線が中盤以降に崇徳の好左腕・徳丸を攻略。延長タイブレークで一気に畳みかけ、前回大会に続いての初戦突破を決めた。
試合
崇徳は昨秋の中国大会で3試合連続完封を果たしたエース徳丸が先発。一方、八戸学院光星はこちらもエース右腕の北口がマウンドに上がった。
焦点は本格派左腕・徳丸を光星打線がどう攻略にかかるのかであった。140キロ台の速球とスライダーを丹念に低めに集める徳丸に対し、光星打線は初回から磨き上げたスイングで襲い掛かる。1回表、1番菅沼は三振に取るが、2番長野・3番新谷翔がいずれもセンターから逆方向への打撃で連打を放つ。各打者がベース寄りぎりぎりに立ち、外へ目付をしながら内にも対応していく。その後、2アウト満塁まで攻め立てるも、後続が打ち取られて無得点に終わったが、1回だけで24球と徳丸に十分圧力をかけた。
一方、光星の先発は長身の右腕・北口。昨秋の重要な試合をほとんど任された本格派だが、立ち上がりを崇徳打線に捕まる。1アウトから2番國川に痛烈なセンター返しを浴びると、3番松村は高めの変化球をしっかり1,2塁間に引っ張り、ランナーをためる。ここで4番中原の引っ張った打球はファーストへのゴロとなったが、2塁への送球が悪送球となり、2塁から國川がホームイン。先制点を奪うと、さらに5番田井が畳みかけ、高めの速球を叩いた打球は、レフトフェンスを直撃するタイムリー2塁打!いきなり3点を先行し、主導権を奪う。
援護をもらった徳丸は、光星打線の圧力にも負けず果敢にインコースを攻めていく。2回裏にも崇徳は好打者・新村のタイムリーで1点を追加。大型投手の立ち上がりを攻めて、序盤で4点のリードとし、いい試合の入り方を見せた。序盤3回を終えて、完全に崇徳ペースで試合は進んでいたのだが…
4回表、これまで数多くの好投手を呑み込んできた光星打線が徳丸の前に立ちはだかる。
先頭の5番新谷契がライトへのヒットで出塁。犠打できっちり2塁へ進めると、7番佐々木が高めの速球を叩いた打球は、ライト頭上を越すタイムリー3塁打に!ややボールが浮いたとはいえ、打った瞬間はライトフライかと思った打球がぐんぐん伸びた。さすが打撃の光星と思わせる打球。しかも、7番打者である。気圧されたか、続く8番仲里のショートゴロを田井が後逸してしまい、2点目。さらに送って1アウト2塁から1番菅沼が内角速球をうまく右方向へ返し、2塁ランナーを返して1点差に迫る。
菅沼の打撃もそうだが、光星の各打者は、内を突いてきたボールがやや甘くなったとはいえ、ベース寄りに立って苦しい立ち位置からうまく体をひねって打っていく。試合前に対策を立て、状況に応じて各自が柔軟に打ち方を変える。光星が強豪校たるゆえんが詰まっていた攻撃イニングであった。
一方、点差を詰めてもらった北口は、直後の4回裏に内野の失策から1アウト3塁のピンチを招くが、ここは崇徳のスリーバントスクイズを失敗させ、得点を与えない。立ち上がりにややバタバタした感があったが、イニングを重ねるごとに自分の持ち味である角度を活かしたピッチングを見せていく。
試合展開は、その後、5回表裏に互いに走塁ミスが出るなど、やや荒れた展開に。ただ、エースを中心に締まった展開で勝ってきた崇徳に対し、どちらかと言えば、打ち合いにも自信を持つ光星の方が、この展開は願ったり叶ったりだったのかもしれない。
後半戦に入り、光星がさらに勢いを増していく。徳丸のボールを見極めはじめ、インサイドのボールも全く苦にしなくなる。6回表は、併殺があって得点こそ入らなかったが、3人のランナーを出し、徳丸を苦しめる。しかも下位に向かう打線の攻撃で、だ。球数も100球に近づけ、100球が見えてきた中国地区No.1左腕に迫っていく。
すると、終盤戦、いよいよ光星打線が徳丸の攻略に成功する。先頭の1番菅沼が高めの変化球をとらえた打球は、背走したセンターの頭上を越す大3塁打に。2番長野はピッチャーゴロに倒れるが、3番新谷翔が死球でつなぐと、打席にはエースで4番の北口。1-2とバッティングカウントを作ると、アウトコース低めの難しいコースの速球にうまくバットを合わせる。打球はライトの前に弾む同点タイムリーに!試合開始から、自らの投球で相手に主導権を渡す結果となったが、ここにきて自分のバットで取り返すことに成功した。
自ら殊勲打を放った北口が、直後の攻撃を無失点でしのぎ、主導権は完全に光星へ。北口は中盤以降、縦のスライダーを武器に崇徳打線を完全に翻弄していた。すると、8回表、光星の長打力が徳丸の投球を凌駕した。2アウトランナーなしから9番鈴木が四球を出すと、1番菅沼がまたも高めのスライダーをとらえた打球は、今度はレフトフェンスへ到達する2ランホームランに!大会屈指の好左腕に対し、素晴らしい打撃で一発を奪った。
ただ、この試合はここで終わらず。光星は良くも悪くも、「らしさ」の出た試合になってしまう。その裏、5番田井にヒットを許すと、続く6番平田・7番油浦を内野の連続失策で出塁させてしまい、1点を返されてなお無死2,3塁となる。ここは立ち直っていた北口がなんとか踏ん張ろうとアウトを重ねていっていたが、1アウト2,3塁から今度は飛び出した3塁ランナーを刺そうとした捕手の悪送球で返してしまい、ついに同点に追いつかれる。
1イニング3失策での同点劇。集中力が切れてもおかしくない場面だったが、ここで北口が素晴らしい投球を見せる。代打・寺西を低めのスライダーで空振り三振に取ると、当たっている1番新村は敬遠。ここはランナーをためても、状況を見て勝負すべき打者を選択した。続く2番國川も当たっていたが、痛烈なセンターへの当たりはライナーに。同点のまま試合は9回に進んだ。
最終回に入って、しり上がりに調子を上げる北口に対し、序盤から堀を埋めるように攻略されてきた徳丸の方が苦しかったはずだ。崇徳の方が9回で決めたい気持ちは強かっただろう。9回裏、先頭の3番松村がヒットで出塁し、中軸の爆発力に期待をかけたが、強攻策は通じず。2塁へランナーを進めることもできず、無得点のまま延長タイブレークへ突入した。この時点で命運は尽きていたのかもしれない。
延長10回表、怒涛の攻撃が徳丸を襲う。6番山入端の見事なセーフティバントで無死満塁とすると、7番佐々木のタイムリーで1点を勝ち越し。さらに押し出し死球、9番鈴木とそつなく畳みかけて3点差とする。ここで藤本監督は2番手でアンダーハンドの渡部を送るが、四球を挟んでさらにタイムリーを浴び、2点を失う。全国トップクラスの光星打線を止めるすべがなく、再登板した徳丸が3本のタイムリーヒットを浴びて、万事休した。
球数が150球を超え、ストレートのスピードも130キロ台に落ちる中、懸命の投球を続けた徳丸だったが、光星の各打者の決定力はすさまじいものがあった。その裏、後半に入って完全に自分の投球を取り戻した光星・北口は崇徳の反撃を3人で封じてゲームセット。総合力に大きな差はなかった両チームの戦いだったが、最後は光星が大きな点差をつける戦いとなり、2回戦への切符をつかみ取ったのだった。
まとめ
光星としては4点を先行される苦しい展開だったが、逆に打つしかない状況になったことで、攻撃の集中力が研ぎ澄まされた感があった。ベース寄りに立って相手投手の配球の選択幅を狭め、なおかつインコースにも対応。言葉にすると簡単そうに見えるが、相当ハイレベルな打撃を各打者が狂いなく遂行できるのが彼らの強さのゆえんであった。また、ディフェンス面は6失策とかなり課題が残ったが、エース北口が終盤に立ち直ったのは好材料だろう。投打でらしさ全開の「みちのくの雄」が、まずは2年前に続いて初戦突破を果たした。
一方、崇徳としては、絶対的な信頼を寄せる徳丸を攻略されての敗戦だったため、そういう意味では完敗だったかもしれない。徳丸のボール一つ一つは全国でもトップクラスのスピード・球質であったが、1試合を通して好投手を攻略する引き出しの多さが、光星の強さのゆえんであった。そして、全国に来なければこういうハイレベルなチームと対戦できないのもまた事実である。機動力を絡めて6点を奪った攻撃陣も含め、収穫も多かったのは間違いない。久々の甲子園で勝利はならなかったが、課題と収穫を多く得た有意義な試合となった。

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