大会2日目第1試合
長崎西
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 |
| 1 | 1 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 4 |
| 2 | 0 | 2 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | × | 5 |
滋賀学園
長崎西 坂田→熊
滋賀学園 土田→伴田

2年連続出場の滋賀学園と21世紀枠の長崎西の対戦は、立ち上がりから激しく得点を奪い合う展開に。終盤の長崎西打線の反撃を2番手・伴田の好投でしのぎ切った滋賀学園が2017年以来となる春の1勝を手にした。
試合
滋賀学園は左右2枚看板の一人である左腕・土田が先発。一方、長崎西はエース右腕・熊を後ろに回し、右サイドハンドの坂田を先発のマウンドに送った。
立ち上がり、攻撃力でやや劣ると思われた長崎西が鮮やかな先制劇を見せる。1アウトから2番藤野が四球を選ぶと、3番芦塚は粘って8球目をショートの頭上に運ぶヒットとし、チャンスを広げる。左打者にとっては理想とする打球方向だ。さらに、4番細波が畳みかけるように初球攻撃でレフトへはじき返すと、動揺した土田から5番岡崎は押し出しの四球を奪取。後続は倒れたが、前回出場時の無安打無得点の呪縛(vs工藤公康)を解き放つかのような、初回の攻撃であった。
これに対し、攻撃力に自信を持つ滋賀学園打線も黙ってはいない。長崎西のサイド右腕・坂田に対し、滋賀学園の1番坂田が、アウトコースのボールをうまくセンターに返して出塁する。続く2番三木がきっちり送ると、3番吉森は四球でつなぎ、1,2塁。いい時の滋賀学園の攻撃のリズムだ。ここで、4番中野はインサイドやや甘めに入った速球を痛打。打球はレフトの頭上を軽々と越えていくタイムリーとなり、2者が生還して一気に逆転に成功する。両チームともに、好球は逃さずとらえていき、初回から点の取り合いとなる。
滋賀学園の土田は緩急を活かした投球が持ち味だが、この日はコントロールがばらついてなかなか本来の持ち味が出ない。2回表、3四死球で満塁としてしまい、巧打の3番芦塚に犠飛を浴びて同点とされると、3回表にも長崎西の攻撃に翻弄される。2アウトランナーなしから7番桑原に真ん中低めの速球をレフト前に持っていかれると、続く8番石川の打席で二盗、三盗を連続で成功!左投手の隙をついての鮮やかな連続スチールでチャンスを広げると、石川が高めに浮いたチェンジアップをうまく拾ってセンター前に落とし、勝ち越しに成功する。
立ち上がり、土田がリズムに乗れなかったこともあるが、昨秋は得点力不足に泣いた中で、3イニング連続得点を挙げた長崎西の攻撃は見事である。特に、やや非力と言われていた下位打線が機動力も絡めて奪った得点は、秋からの大きな成長を物語っていた。
しかし、連続出場の滋賀学園もただでは引き下がらない。3回裏、サイドハンドの坂田に対して1アウトから1番藤川がセンター返しで出塁。続く2番三木の打席でこちらもお返しとばかりに盗塁を決めると、その三木がうまく外角のボールをミートした打球がショートを強襲する当たりとなって1,3塁とチャンスが広がる。内外角に丁寧に散らす坂田に対して、いずれもセンターから逆方向を意識した打撃で攻略の糸口をつかむ。
ここで3番吉森がきっちり犠飛を放って同点に追いつくと、さらに攻撃をつないでいく。4番中野が死球を受け、5番中村もセンターへヒットを放って満塁に。ここで6番島尻の痛烈なショートゴロをショート五島がよく抑えたのだが、送球がそれてしまい、1塁セーフ。捕るまでは非常に良かっただけにもったいないプレーであった。4-3と滋賀学園が逆転に成功する。
取っては取られのシーソーゲームは、4回表、滋賀学園が先に動く。制球が安定してこない土田に代えて、右腕・伴田をマウンドへ。しかし、こちらも立ち上がりに先頭の1番大町を死球で出してしまう。すると、ここでも大町が盗塁と外野フライでのタッチアップで3塁へ進み、伴田の暴投の間に生還。一つ一つ確実にランナーを進めるそつのない攻撃で、この試合4度目の同点劇となる。伴田は、代わり端でまだボールにばらつきがあり、荒れた試合の流れにのまれた感があった。
4-4の同点で試合は中盤戦へ。すでに2番手を登板させてカードを切った滋賀学園と、リードを奪ってエース熊に繋ぎたい長崎西。両校の思惑が交錯する中、グランド整備前の5回裏に滋賀学園が勝ち越しの1点を奪う。
5回表に、長崎西が先頭打者を出しながらもバント失敗と走塁ミスで、初めてこの試合無得点のイニングとなる。この流れの変わりそうな機微を逃さないのが常連校だ。
5回裏、打者3巡目となった上位の左打者陣が坂田を捕まえる。2番三木が巧みな流し打ちでレフト線を襲う打球を放つと、レフトがはじく間に2塁へ。ここで、続く3番吉森は初球の真ん中高めの速球を完ぺきにとらえると、打球はライト頭上をはるかに超えるタイムリー3塁打となり、貴重な勝ち越し点を手にする。ただ、なお無死3塁のピンチであったが、坂田もこの後を踏ん張り、1点のまま試合は後半戦へ入っていく。
試合の流れが変わりやすい6回。表の攻撃で伴田が高めのストレートを打たせて3者凡退に切って取ると、長崎西がここでついにエース熊をマウンドへ送る。その立ち上がり、7番太田を内野ゴロで打ち取ったかと思われたところ、ファウルの判定となって、一瞬間ができる。打ち直しとなった6球目、高めに浮いた変化球を捉えられた打球は、ライトオーバーの3塁打となり、いきなり大ピンチを招く。だが、ここからが熊の粘りの真骨頂。8番山端、9番土井、1番藤川といずれも打たせて取る投球でしのぎ、追加点を与えない。やや危ないボールもあったが、丁寧に高低・内外を投げ分けて、6点目を与えなかった。
この6回の攻防を皮切りに、試合は一転して守り合いの展開となる。滋賀学園の伴田は徐々に力みが取れはじめ、キレのある速球と縦に落ちるスライダーを武器に要所を締めるピッチングを展開。ランナーを出しながらも決定打は与えず、5回からは0行進を続けていく。8回表には2アウト3塁と同点のピンチを招きながらも、代打・揚井の打球はショート正面へのライナーに。ここ一番でコーナーに決まる制球力の良さが光った。
一方、6回からマウンドを守っていた長崎西の熊も3死球を与えるなど、毎回ランナーを背負うが、こちらもスコアリングポジションにランナーを背負ってからが粘り強い。バックも好守でエースを助け、6回から8回まで3つの0を並べて、エースとしての仕事を果たした。
結局、5-4のまま試合は最終回へ突入。9回表、長崎西は1アウトから好調の4番細波が、この試合2本目のヒットを放ち、同点の望みをつなぐ。しかし、イニングを重ねるごとに調子を上げてきた伴田は、最後も得意の変化球を打たせて後続二人を打ち取り、ゲームセット。取っては取られの乱戦を制した滋賀学園が、昨年果たせなかった初戦突破を果たし、2回戦進出を決めた。
まとめ
滋賀学園は、先発の土田の制球が定まらず、序盤はなかなか守りからリズムを作れなかったが、野手陣が攻撃と堅守で援護した。打線は、センター中心にはじき返していく、滋賀学園らしいミート重視の打撃を徹底。右サイド投手攻略のお手本となる打撃で、完封負けを喫した昨年のリベンジを果たすこととなった。
ともすれば、21世紀枠のチームを相手に、判官びいきの雰囲気の中で自分たちの戦いを見失う可能性もあったが、この日の滋賀学園は攻守に落ち着きを感じさせる内容だった。2番手の伴田も終盤尻上がりに調子を上げ、5回以降は無失点投球を展開。課題はありながらも、次戦に向けて期待を抱かせる初戦突破となった。
一方、長崎西は一般枠のチームを相手に一歩も引かない試合を演じ、大健闘を見せた。特に守備と走塁での細かいプレーの徹底ぶりは素晴らしく、攻撃面では積極的に盗塁を絡めて得点に結びつけた。決してタレントが揃うわけでもなく、練習環境も恵まれてはいない中での、今日の4得点は同じような状況のチームに勇気を与えたことだろう。また、リリーフしたエース熊も九州屈指の好投手の評判に恥じない投球を展開し、終盤の締まった試合を演出した。
1点差で惜敗はしたものの、自力での出場を目指す夏に向けて、大きな収穫を得た試合になったことだろう。春夏連続出場を目指し、強豪ひしめく長崎大会へ向かっていく。
【高校野球 甲子園】 滋賀学園(滋賀)vs長崎西(長崎) 【第98回選抜高校野球 1回戦 全打席ハイライト】 2026.3.20 センバツ 阪神甲子園球場


コメント