独断と偏見で選ぶ、2025年夏にベスト8へ進めなかったイチオシの好チーム 

2025年

西日本短大付(福岡)

1 中野 11
2 山下 12 上野
3 佐藤 13 西岡
4 湯山 14 藤本
5 小川 15 田渕
6 井上 16 梶原
7 安田 17 福崎
8 18 園原
9 斎藤 19 横尾
10 山口 20 田中

3試合連続で1点差ゲームを演じた南国の強豪

前年夏から3季連続で甲子園出場を果たし、左右の技巧派の好投手に大会屈指の捕手、そして、いずれも一発長打の力を持つ中軸と非常に総合力の高いチームだった2025年の西日本短大付。2大会連続で2勝を挙げ、選抜準々決勝では優勝した横浜に対して中盤までリードを奪ったように、近年の福岡県勢の中でも、最も全国制覇の期待が持てるチームだったと言えるだろう。

エース右腕・中野は、選抜での好投が示す通り、内外角へ丁寧に投げ分けて、打たせて取る投球が持ち味。昨夏からレギュラーの好捕手・山下のインサイドワークも冴え、相手打者の特徴・狙いを見ながら自在に配球を変えられる。さらに、選抜の準々決勝で横浜打線を相手に好投した左腕・が成長。中野以上のコントロール(出場校中の投手でもトップクラスだっただろう)を誇り、もはや押しも押されぬ、「左の柱」となった。

打線は、選抜初戦でいずれも打点を挙げた斎藤佐藤安田の中軸の破壊力が凄まじく、特に佐藤はツボにはまると簡単にスタンドで放り込む力を持つ。俊足巧打の1番がかき回して、この中軸に回り、そこを乗り越えてもなお、6番に好捕手の山下が控えるという重厚さ。まるでダイヤのエースの青道打線で6番に御幸がいるようなものだ(わかる人にはわかる笑)。

投攻守、すべてにおいて隙のない布陣を擁し、1992年以来となる全国制覇へ向けて出陣した。

1回戦

西日本短大付

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
0 0 0 2 0 0 1 0 0 1 4
0 0 0 3 0 0 0 0 0 0 3

弘前学院聖愛

1回戦の相手は、4年ぶり3度目の出場となる弘前学院聖愛。しかし、県大会で県内2強の青森山田、八戸学院光星を下しており、その実力は侮れないものがあった。

試合が始まると、その評判は決して間違ったものでなく、おそらくここまでの1回戦で最もハイレベルな試合と一つとなった。1回表、弘前学院聖愛のトップバッター菅野が塁上からプレッシャーをかけ、西短の山下に圧力をかける。結果的に得点にはつながらなかったものの、核弾頭と好捕手がバチバチと火花を散らす、玄人好みの展開だ。また、聖愛の左腕・芹川は非常にコントロールが良く、ボールのキレも光る好左腕。見た目以上に打ちにくい投手であることを感じさせる。

試合が動いたのは4回。西短はキーマンの山下が、芹川の失投を逃さずに、スライダーを右中間スタンドへ運んで2点を先制する。しかし、その裏、今度は聖愛が西短バッテリーのアウトコースへと偏る配球を逃さない。6番沢田、8番成田がいずれも外寄りのスライダーをとらえ、2本のタイムリーで逆転!一気に試合をひっくり返した。

聖愛1点リードのまま、試合は終盤戦へ。このまま西短の夏が終わるのかと思った7回表、先頭の7番湯山のヒットが飛び出すと、西短ベンチは迷わずエース中野に代打・園原を投入する。この起用に切り札が応えて、レフトへのヒットを放つと、1番がきっちりセンターへ打ち上げて同点に。イニングが進んでいき、チャンスが少なくなる中、好機を逃さなかった。

同点のまま、白熱の攻防は延長戦に。迎えた10回表、タイブレークとなり、打順は1番から。ここぞとばかりに狙ったセーフティバントがまんまと成功し、無死満塁のビッグチャンスとなる。2番井上は倒れるも、3番斎藤がまさかの押し出し死球で決勝点。裏の守りを原がきっちり抑え、西短が最少得点差のゲームをものにして2回戦進出を決めた。

2025年選手権1回戦 西日本短大付vs弘前学院聖愛(5日目第1試合) | 世界一の甲子園ブログ

弘前学院聖愛―西日本短大付 10回表【第107回全国高校野球選手権大会】

2回戦

聖隷クリストファー

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 0 0 0 0 0 0 1 0 1
0 0 1 0 0 0 0 1 × 2

西日本短大付

2回戦に進み、相手は前の試合で甲子園初勝利の聖隷クリストファーとなった。2年生左腕・高部が強打の明秀日立打線をわずか1点に抑えて完投勝利を挙げており、1回戦に続いて厳しい戦いが予想された。

試合は初回から激しい攻防を見せる。西日本短大付の先発は、初戦で好リリーフを見せた左腕・。1回表、いきなり1番大島に2塁打を浴びるが、後続の犠打を失敗させると、3番武智は投手ライナー併殺に打ち取り、ピンチを脱する。これに対し、西短も1アウトから2番井上が大3塁打を放つが、聖隷ベンチは早くもタイムをかけ、高部に気合を入れる。このベンチの喝にこたえ、高部は3番斎藤、4番佐藤をそれぞれ快速球とカットボールで三振に切って取った。

両投手がうまく立ち上がり、そう多くの得点は望めない展開。そんな中、先に得点の門に手をかけたのは西短であった。3回裏、先発のが粘って7球目のスライダーをとらえ、前進守備の外野の頭を超す長打を放つと、1番奥の内野ゴロの間に生還。貴重な得点を挙げる。この試合のキーマンとも言える技巧派左腕は、この自らの一打で乗っていき、内外角のコーナーギリギリを投げ分ける、心憎いばかりのコントロールで聖隷クリストファー打線を翻弄する。これに対し、聖隷・高部は力の投球で応戦。主砲・佐藤にもヒットを許さず、試合は西短リードのまま、終盤戦へ突入した。

迎えた8回表、終盤にきて、さすがに疲れの見えてきたに対し、聖隷は巧打の1番大島がアウトコースのボールを力で引っ張ったレフトへ運ぶ。ここは聖隷らしくきっちり犠打で進塁させると、3番武智に対するボールは、はあまくなってしまう。内寄りに入ったボールを逃さず武智がとらえると、打球はレフト前へ。きわどいタイミングだったが、コーチャーが乾坤一擲に賭けに出ると、大島が一瞬早くホームイン!聖隷がついに同点に追いつき、ここで西短は、にかえてエース中野をマウンドへ送った。

ついに追いついてもらった高部。試合はここからというところだったが、好事魔多し。得点が入ると、一気に動き出すのが野球だ。3番斎藤が流し打ちのヒットで塁に出ると、4番佐藤が打席へ。ここまで、聖隷バッテリーの高低の攻めに翻弄されていたが、高めの速球を4打席目でついにジャストミート!打球は外野のはるか頭上を越すタイムリー2塁打となり、土壇場で勝ち越しに成功した。このリードを9回にエース中野が守り、またしても1点差で逃げ切り勝ち。2試合連続で難敵を下し、3回戦はコマを進めた。

2025年選手権2回戦 西日本短大付vs聖隷クリストファー(10日目第2試合) | 世界一の甲子園ブログ

【高校野球 甲子園】 西日本短大付 vs 聖隷クリストファー 【全国高等学校野球選手権大会 2回戦 6回〜全打席ハイライト】 2025甲子園 8.15

3回戦

東洋大姫路

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 0 0 1 2 0 0 0 0 3
0 0 2 0 0 0 0 0 0 2

西日本短大付

3大会連続で2勝を挙げ、いよいよ3つ目の壁に挑む西短。しかし、その相手はこの代の西日本で最も前評判の高かった名門・東洋大姫路であった。秋のエース阪下が故障で離脱したとはいえ、代役から本物のエースにのし上がった右腕・木下高畑白鳥を中心とした強力打線は、ともに大会でも最上位の実力を有する。3回戦で対戦するのがもったいなさすぎるほどの好カード。決戦の火ぶたは切って落とされた。

東洋大姫路は、エース木下の負担を少しでも減らすべく、右腕・を先発に指名。角度のある速球を武器に、立ち上がりはうまく西短の攻撃をかわす。これに対し、この日も先発のマウンドに上がった西短のは、相変わらずのコントロールの良さを見せつけ、1,2回と姫路打線に付け入るスキを見せない。

試合が動いたのは、3回裏。またも口火を切ったのはのバットだった。左打席から無理のない打撃で、流し打ちのヒットを放つと、犠打で二塁へ。2アウト後に3番斎藤がヒットでつなぐと、前の試合で決勝打の4番佐藤が変化球をうまくミートしてセンターへタイムリー!1点を先行すると、姫路はここで木下へ継投するが、この代わり端を勝負強い5番安田がとらえて、連続タイムリーを放ち、2点を先行する。

これで西短ペースかと思われたが、優勝候補の意地にかけて、姫路打線も黙ってはいない。2番木本のボールがやや甘くなるのを逃さず、ヒットで出塁すると、こちらも鉄板の犠打攻めで2塁へ進める。主砲・白鳥は打ち取られるも、5番高田・6番見村と続く好打者が連打を放ち、1点を返す。コントロールのいいに対し、待っていても追い込まれるだけ。少しでも打てそうなコースには積極的に手を出していく姫路打線の姿勢が最初の得点を呼び込んだ。

これで流れを得た姫路は、続く5回表、8番鈴木、1番渡辺拓といずれもセンター返しの打撃でヒットを連ねる。2番木本のスクイズは失敗して2アウトとなるも、3番高畑が変化球をうまく呼び込んでレフトへのタイムリー!この大会はあたりが止まっていた好打者だったが、1回戦の勝ち越し打以来となる久々のヒットが貴重な同点タイムリーとなった。ここで西短は中野に継投するが、続く4番白鳥を止めることができない。広角に打ち分ける左打者が、またしてもセンター返しの打撃を見せると、外野が一瞬はじいた隙をのがさず、2塁ランナーがホームイン!V候補同士の争いだけに、少しのミスも逃してはくれなかった。

リードをもらった姫路・木下は、この日も強気の内角攻めを見せ、西短打線を翻弄する。特に一発長打のある中軸に対しても、簡単に踏み込みを許さない投球で、決定打を与えない。そして、何より素晴らしいのはストレートのコントロールと質。アウトローいっぱいに、綺麗なフォーシームがスーッと伸びていって収まる、そのボールは見ていて惚れ惚れする軌道だ。ここまで勝負強い打撃を見せてきた、西短の好打者をもってしても、いかんともしがたい。

しかし、西短も昨夏の成績を超えるべく、エース中野が踏ん張り、1点差のまま試合は最終盤へ。7回裏には西短が2番井上、3番斎藤の連打で、絶好のチャンスを迎える。しかし、ここでも木下の投球の精度が際立ち、4番佐藤、5番安田を連続三振!結局、リリーフ登板で8つの三振を奪った木下だったが、うち5つをクリーンアップから奪取した。まさに西短打線の核となる打者たちを封じ込めた木下。姫路のエースに攻撃の中心を完全に封じ込められた西短の進撃は、今年も3回戦で幕を閉じたのだった。

 

投攻守すべてにおいて隙のない布陣を敷き、いずれも好ゲームを演じた西日本短大付。組み合わせによっては、もっと上位へ進んでいても全然おかしくないチームだっただけに、惜しまれる展開だったが、それでもこの3試合で見せたチーム力の高さは全国の高校野球ファンの脳裏に刻まれたのだった。

2025年選手権3回戦 東洋大姫路vs西日本短大付(12日目第3試合) | 世界一の甲子園ブログ

【高校野球 甲子園】 東洋大姫路 vs 西日本短大付 逆転劇を導いたエースの熱投! 【全国高等学校野球選手権大会 3回戦 全打席ハイライト】 2025甲子園 8.17

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