2023年選手権準々決勝 慶応vs沖縄尚学(12日目第1試合)

2023年

大会12日目第1試合

慶応

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 0 0 0 0 6 1 0 0 7
0 0 0 2 0 0 0 0 0 2

沖縄尚学

 

慶応     鈴木→松井→小宅

沖縄尚学   東恩納→儀部→伊波→照屋

優勝候補同士の大一番となった準々決勝第一試合は、慶応打線が6回に沖縄尚学のエース東恩納を一気に攻略!大会屈指の右腕の牙城を崩し、実に103年ぶりとなるベスト4進出を決めた。

試合

慶応はここまで2試合先発してきたエース小宅でなく、左腕・鈴木を先発に指名。一方、沖縄尚学は満を持してエース東恩納を送った。

沖尚の東恩納は、伸びのある真っすぐとスライダーを武器に、ここまで2試合でわずか1失点。沖縄大会でも失点がなく、ここまで「ミスター0」の名を欲しいままにしている。内外を突くコントロール、高いボールの質、勝負所でのギアチェンジと点を取られないエッセンスをすべて兼ね備えている。1回表、2番八木に内野安打を許すも、中軸をきっちり抑え、まずはいつも通り無失点で立ち上がる。

一方、慶応の2年生左腕・鈴木は2,3回戦ともに1イニングずつを投げたが、先発は初めて。3回戦の広陵戦では1点のリードを追いつかれるタイムリーを打たれており、思いきった先発起用にも見えた。連戦となる今後を見据えての起用かとも思ったが、しかし、初回から素晴らしいピッチングを見せる。左腕からの緩いカーブを武器に緩急をつけ、右打者の懐もしっかりついていく。先輩捕手の渡辺憩のリードにも引っ張られ、しっかり先発の仕事を果たしていく。

序盤は投手戦。沖縄尚学・東恩納は強力な慶応打線に対し、いつもは投じていないフォークボールも投じ、すべてを振り絞って抑えに行く。力んで高めに浮いた速球をとらえられ、ひやりとするフライを打たれることはあるも、リズムよくアウトを重ねていく。インコースを強気に突くことで簡単に踏み込みを許さず、4回は2番から始まる上位打線を相手に3者連続三振!今大会最高とも言えるピッチングを見せ、試合は早いリズムで進んでいく。

すると、このエースの快投に4回裏、打線が応える。ここまで慶応・鈴木の緩急を活かした投球の前に沈黙していたが、この回、先頭の2番佐野がアウトコース高めのストレートに対し、うまい右打ちではじき返す。3番玉那覇がきっちり送って2塁へ進めると、4番仲田が仕事を果たす。初球、アウトコース高めから入ってくるカーブを完璧にとらえると、打球はレフトポールを巻いてスタンドイン。おつりが出るほどの飛距離の打球であり、会心のバッティングであった。

リードをもらった東恩納は、5回表、先頭の5番延末に高めの速球をセンターに返されて出塁を許す。しかし、続く6番渡辺憩を2球であっさり追い込むと、インサイドの速球で詰まらせてショートフライ。さらに7番福井の打席で、延末の盗塁を大城和が刺し、チャンス拡大を許さない。このあたり、沖尚の守備が本当に隙を見せてくれなかった。ただ、その後、7番福井が再びライト前ヒットで出塁したように、高めに入るカウント球の速球を打つ意識は打線全体で徹底されているように見えた。

ただ、そうは言っても、ここまで最高のピッチングを見せる東恩納の前に、攻略の絵図は見えてこない。これは苦しいかと思われた慶応。だが、6回表に一気にその牙城を崩していく。

この回、先頭はあの清原和博氏の息子さんである清原を代打で送る。球場内はすさまじいばかりの大歓声に包まれ、グランド整備明けということもあって、前半戦と一気にムードが変わる。フルカウントからアウトコースのスライダーを打たせて投手ゴロに打ち取るが、結果的にこの打席が流れを変えるきっかけになったことは間違いないだろう。

ここからの慶応の速攻劇が見事であった。1番丸田が高めに浮いたスライダーをとらえて1塁線を破ると、2番八木は2球で簡単に追い込まれるも、アウトコースの外し気味のボールに食らいつき、レフトへのテキサスヒットする。八木の打球は打ち取った当たりだったのだが、これがヒットになるところが、慶応の応援の雰囲気と相まって、流れの変化を感じさせた。続く3番渡邉千には東恩納が動揺したか、この試合初めての四球で満塁に。慶応一色のムードの中、最大のチャンスで4番加藤が打席に入った。

ここまで2打席連続三振の2年生4番。しかし、いずれも振っていっての三振で有り、この打席でも積極性は消えていなかった。初球、アウトコース高めの速球を見事にとらえると、打球は左中間を真っ二つに破る2塁打!塁上の走者が次々ホームを駆け抜け、一瞬にして3-2と試合をひっくり返した。ピンチでギアを入れ替えれるのが東恩納の強みだったが、それをできるだけ精神的な落ち着きを与えないほどの速攻である。

この後、5番延末、6番渡辺憩と連続タイムリーを放って、ついに東恩納をKO。沖尚守備陣にもミスが飛び出し、それほどディフェンス全体にショックを与える攻撃だったのだろう。代わった2番手の儀部からもタイムリーが飛び出し、この回一挙6点の猛攻で大勢を決めた。ただ、精神的な影響もあったとはいえ、大会屈指の好投手・東恩納の力のあるボールをことごとく長打にした慶応打線の破壊力たるや、素晴らしいものがあった。

一転して4点を追う展開となった沖縄尚学。試合前に比嘉監督が「点の取り合いでは厳しい」と言っていた通り、絶対的エースが6点を取られての追撃は困難であった。慶応は2番手で経験豊富な右サイドの松井が登板。タイブレークだった3回戦の広陵戦よりはかなり楽な精神状態でマウンドに上がれただろう。こちらも鈴木と同様に右打者のインサイドを強気に突き、反撃を封じていく。沖尚打線としては、左投手からタイプが変わったことで、なお対応を難しくさせられた。7回、8回と3者凡退で安定感抜群の投球を続ける。

慶応は7回表にも1番丸田が3塁打で出塁すると、捕逸の間に7点目のホームイン。大量リードを奪うと、最終回にはエース小宅もマウンドへ送る。万全の体勢でつけ入るスキを与えない陸の王者。2年生右腕が沖縄尚学の攻撃を3人で抑え、会心の内容で勝利をもぎ取った慶応が優勝へ向けて大きな1勝を手にしたのだった。

まとめ

慶応は6回に見事な集中打で難攻不落の右腕・東恩納を攻略。失投を逃さない確実性と攻撃のスピード感、そして何よりアルプスを巻き込んでの「圧」で好投手をあっという間に飲み込んでいった。ただ、この攻撃が出来たのも、試合前、そして前半戦に東恩納攻略法を狙い定め、着実な準備と実行をしてきたからだろう。前半戦に得点こそ挙げられなかったものの、甘く入ったストレートを確実に痛打したことで、沖尚バッテリーにプレッシャーはかけられていたはずだ。

また、投げては大会初先発の鈴木が5回をホームランによる2失点のみと好投し、試合を作ったのがおおきかった。同学年の小宅の陰に隠れてはいたが、ここにきて計算のたつ存在がもう一人現れたのは、森林監督にとっても心強かっただろう。広陵、沖縄尚学と西の優勝候補をなぎ倒しての4強進出。優勝へ向けて大きな関門を突破した一戦であった。

一方、沖縄尚学としては最大の強みであるエース東恩納を崩されての敗戦だったため、力を出し切ったうえでの「完敗」と言っていい試合であった。試合後の選手たちの表情もやるべきことはやったという雰囲気があり、それだけ、あの回の慶応の攻撃は止めようがないほどの破壊力を秘めていたということだ。夏の最高成績の更新はならなかったが、ここまでのディフェンス主体の沖尚野球が色あせることは全くない。選抜の成績を超える堂々の夏8強で甲子園を後にした。

注目の一戦!勝つのは“投”の沖縄尚学か⁉︎“打”の慶応か⁉︎沖縄尚学vs慶應義塾 ハイライト 準々決勝 甲子園 高校野球 – YouTube

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