2023年選手権準決勝 仙台育英vs神村学園(13日目第1試合)

2023年

大会13日目第1試合

神村学園

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 1 0 0 1 0 0 0 0 2
0 1 4 0 0 0 0 1 × 6

仙台育英

 

神村学園   松永→黒木

仙台育英   高橋→湯田

南北の強豪対決となった、セミファイナルの第1試合は、昨夏王者の打力が、神村学園の好左腕を凌駕。高橋から湯田への継投も決まり、盤石の内容で2年連続の決勝進出を決めた。

試合

仙台育英は昨年の優勝投手・高橋が今大会初先発。一方、神村学園は3試合連続で右腕・松永を先発のマウンドへ向かった。ここまで数多くの好投手を打ち崩してきた仙台育英打線に対し、神村サイドがどのタイミングで左腕・黒木への継投へ走るかが注目された。

仙台育英の高橋は、ここまですべてリリーフでの登板だったが、準決勝で満を持して先発に指名。湯田が剛球であれば、高橋は快速球と呼ぶにふさわしいボールの伸びがある。立ち上がり、1番今岡歩をストレートで詰まらせてショートゴロに打ち取ると、2番増田に大会初ヒットを許すもののの、3番秋元を高めの真っすぐで三振に取ると、増田の盗塁は尾形が好送球で刺し、「0」で切り抜ける。

これに対し、神村学園の先発・松永は左の巧打者の多い仙台育英打線にどう立ち向かうか。右スリークオーターからアウトコース低めを丁寧に突く投球が持ち味だが、この打線はそれだけで抑えられるほど甘くはない。1回裏、先頭の1番橋本を2ストライクと追い込みながらも四球で歩かせてしまい、盗塁で2塁を奪われる。しかし、続く攻撃型2番の山田に対しては、抜けたスライダーがうまくタイミングを外して空振り三振。さらに、3番湯浅、4番斎藤陽に対しても内外を広く使った投球で内野ゴロに仕留め、大事な立ち上がりを無失点で抑える。

神村学園としては、リードを奪って2番手の黒木に繋ぎたいところ。2回表に、打線がつながる。先頭の4番正林が速球に詰まりながらも、レフトへうまく流し打ち。犠打と死球で1アウト1,2塁とチャンスを広げると、7番松尾龍高橋のカウント球を狙い撃つ。打球は、浜風のない中でもレフトのはるか頭上を越し、2塁から正林が先制のホームイン。神村は、この4番から下位に向かっていく打順での得点力が本当に高い。しかし、先制点を取られてスイッチが入ったか、高橋は続く1アウト2,3塁のピンチは後続を連続三振に抑える。

先制点をもらった松永はこのリードをうまく使いたいところだったが、仙台育英打線がそう簡単には引き下がるわけもない。

先頭の5番尾形に対し、神村バッテリーは外角一辺倒にならないように内外を突いていくが、カウント2-2から甘く入ったスライダーを逃さず、センターへ運ぶ。続く6番鈴木の痛烈なセカンドライナーはセカンド増田のファインプレーでセカンドライナーに打ちとるが、やはり仙台育英打線はしっかり外に目付をしている。7番登藤の打席で尾形が盗塁を決めると、その登藤はこれも真ん中よりのスライダーをうまく流し打って三遊間を突破!2塁から尾形が帰り、すぐに同点に追いつく。

その後、2アウトからボールが先行したところで、小田監督は早くも2番手で左腕・黒木を送る。この試合の行方を左右する最大のキーマンの登場だ。9番住石は四球で歩かせるが、1番橋本に対してスライダーをうまく打たせてセカンドゴロ。まずは、神村の継投が成功する形となった。

リードをもらった仙台育英・高橋は直後の3回表、2番増田にこの日2本目となるヒットを打たれる。犠打で2アウト2塁となり、打席には2年生の主砲・正林。カウント1-1からインコースを狙ったカットボールはやや内寄りに入るも、正林のとらえた打球はライトへのフライに。ややタイミングを外されたか、浜風にも押し戻されて伸びを欠いた。この大事なイニングで相手の若き主砲を抑えたことが結果として大きかった。

守りでしっかりリズムを作った仙台育英が3回裏、腰を据えて神村の好左腕・黒木を攻めたて始める。先頭の2番山田黒木の代名詞である低めのスライダーをうまく引っ張ってレフトへはじき返す。続く3番湯浅の打席で盗塁を敢行すると、これが相手捕手の悪送球を誘って無死3塁に。3番湯浅はショートゴロに倒れるも、4番斎藤陽のセーフティスクイズがまんまと決まり、山田の好走塁もあって勝ち越し点を手にする。須江監督に交代してから、仙台育英の持ち味となった機動力を生かし、貴重な得点を奪った。

神村としては打たれたクリーンヒットは1本のみだが、あっという間に切り札の黒木が勝ち越し点を献上してしまう。さらに5番尾形にもフルカウントからスライダーをライトに引っ張られると、6番鈴木への初球が暴投となって1点を追加。リードを広げると、この動揺を2年生スラッガーが逃さない。長打力を買われて台頭した男がスライダーを思い切り振りぬくと、打球はセンターバックスクリーンへ飛びこむ2ランホームラン!一気呵成の攻めで、難攻不落と思われた黒木のスライダーをものの見事に攻略して見せた。

頼みの黒木が打たれたことで厳しい情勢となった神村。しかし、ここまで4試合で39得点を挙げた打線がある。4回裏の1アウト3塁のピンチを黒木がしのぐと、5回表に高橋に食い下がっていく。

先頭から2者連続三振で2アウトとなるも、積極果敢な1番今岡歩が抜けた変化球が甘く入るのを逃さず、ライト戦への2塁打を放つ。さらに、この日2安打と当たっている2番増田がインサイド寄りの速球をとらえると、打球は1,2塁間を突破!今岡歩が帰り、1点を返す。この試合まで無安打だった増田が、この日猛打賞を記録するのだから、野球はわからないものである。ただ、続く3番秋元が引っ張った大飛球は、ホームランを放っているレフト鈴木が背走してキャッチし、神村のさらなる反撃の芽を摘み取る。こういう場面で好プレーが出るところに仙台育英というチームの強さが垣間見える。

追撃態勢に入った神村だが、6回に入って須江監督高橋から湯田にスイッチする。高橋は大会初先発だったが、十分仕事を果たしたと言えるだろう。2番手で登板した湯田は、大会序盤は調子が上がらないところもあったが、準々決勝の花巻東戦での好投を機に立ち直りのきっかけをつかんだ感がある。球威十分の速球を武器に、ここまですべての試合で強打を披露してきた神村打線を沈黙させる。6回、7回、8回とすべて3者凡退。この大会でここまで神村打線を封じたのは湯田だけだろう。素晴らしい救援である。

一方、神村・黒木も6回、7回と粘っていたが、やはり決め球のスライダーを序盤から痛打されたように、いつもの彼の投球ではなかった。毎イニング、ランナーを背負う苦しい投球内容。2-5と3点差のまま踏ん張っていたが、8回裏に四球で出したランナーを1番橋本のタイムリーで返され、決定的な6点目を失った。ここまで大会を席巻してきた左腕の前に昨夏王者の打線が立ちはだかる結果となった。

4点差を追う神村学園は、9回表、先頭の4番正林湯田から初となるヒットを放ち、最後まで食い下がる。ここから、この大会で当たりに当たっている5番岩下、6番上川床の打順。岩下は倒れるも、6番上川床のサードゴロがエラーを誘って、1アウト1,2塁。ここで長打が出れば、まだわからない状況となる。しかし、最後はこの試合で先制タイムリーを放っていた7番松尾龍が速球に詰まらされ、セカンドゴロ併殺でゲームセット。仙台育英が投打で神村学園を上回り、2年連続でファイナルへの切符を手にしたのだった。

まとめ

仙台育英は貫禄の試合運びで神村学園に堂々寄り切り勝ち。打線の狙いとしては、先発の松永を粘らせずに早く降ろし、そして、黒木の決め球であるスライダーをとらえることであったが、その両方を序盤3回で完遂して見せた。そのカギを握ったのは、やはり、上位打線の機動力。2番山田の盗塁からの4番斎藤陽のスクイズで奪った得点は、まさに流れるような攻撃であった。真正面から打てない相手に対し、どう崩していくか。全国の頂点を知るチームは、いくつもの選択肢を持ち合わせていた。

また、この大会で初先発だった高橋は、さすがに少し硬さも見られたが、昨夏から経験豊富な右腕は、試合をきっちり作って見せた。伸びのある速球と抜いた変化球でうまくタイミングを外し、相手打線が慣れたところで、剛腕の湯田にスイッチ。ここまで猛威を振るった南国の強力打線を2点に封じた継投もまた見事だった。東北勢初優勝を果たしてから1年。着実に強さを保ち続けたチームが、前年と同じ舞台までついにたどり着いた。

一方、神村学園としては正面から王者に胸を突き合わせたが、跳ね返される結果となった。仙台育英打線から7安打を放ったが、うち6安打は5回までに放ったものであり、序盤はむしろ仙台育英を押し込む場面もあった。ただ、想定外だったのは黒木のスライダーが思いのほか早く攻略された点だろう。得意の決め球で勝負していったが、さすがに全国の頂点を知るチームは狙ったボールが甘く入ると逃さなかった。

ただ、力及ばなかったとはいえ、この大会で4勝を挙げた快進撃は素晴らしかった。初出場時の2005年選抜で準優勝していこう、1大会2勝の壁を越えれなかったが、一気のブレイクスルーを成し遂げた。相手のディフェンスに落ち着く間を与えないスピーディーな攻撃と左右2枚看板を擁する投手陣、そして内外野の堅守と、すべてにおいて隙の無いチームを作り上げたと言えるだろう。今や鹿児島では一番手となった常連校が確かな足跡を刻んだ大会となった。

全国制覇まであと2つ!決勝進出は昨夏王者仙台育英か⁉︎初の決勝進出を狙う神村学園か⁉︎仙台育英vs神村学園 準決勝 ハイライト 甲子園 高校野球 – YouTube

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