2023年選手権3回戦 おかやま山陽vs日大三(11日目第3試合)

2023年

大会11日目第3試合

日大三

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 0 1 0 0 1 0 0 0 2
1 1 0 0 4 0 0 1 × 7

おかやま山陽

 

日大三      安田→増田

おかやま山陽   西野→三宅→井川

2度の全国制覇を誇る日大三に、今大会で初勝利を上げたおかやま山陽が挑む構図かと思われた第三試合。しかし、試合が始まるとおかやま山陽打線が、日大三のエース安田を見事に攻略!3人の投手による継投で相手の強力打線をかわし、今大会一気に3勝を上げる快進撃でベスト8へ進んだ。

試合

おかやま山陽は2回戦でリリーフ登板した右腕・西野が先発。一方、日大三はこの日ももちろんエース安田がマウンドに上がった。

西野は、テンポよく変化球で打たせて取る投球が持ち味。1,2回戦ともに3得点とはいえ、振りがシャープな日大三打線に対し、コーナー・低めを丁寧に突く投球を見せる。2番池内には四球を与えたものの、怖い3番二宮・4番針金を打ち取り、無失点スタート。初回からブルペンでは2回戦で先発した右腕・三宅も投球練習を開始しており、投手陣総動員の態勢で試合に臨む。

これに対し、絶対的エースの安田が安定している日大三のディフェンス。130キロ台ながら球威のある速球とチェンジアップを武器にする本格派右腕だ。

対するは2回戦で大垣日大の好投手・山田の立ち上がりをとらえたおかやま山陽打線。この日も初回にいい攻撃をみせる。1番田内はカーブをとらえてのショートライナーに倒れたが、2番湯浅が高めの速球を痛烈にセンター返し!続く3番渡邉も速球に的を絞って振りぬくと、打球は左中間を破る2塁打となって1アウト2,3塁のチャンスを迎える。試合前に堤監督が「チェンジアップは打てない」と判断し、徹底した速球狙いを見せる。ここで4番土井がきっちりセンターへ犠飛を打ち上げ、湯浅が生還。おかやま山陽が先制点を上げる。

先制点をもらった西野だが、日大三の打線は上位から下位まで切れ目がない。2回表、1アウトから6番佐々木がアウトコースのスライダーを振りぬくと、打球は流し打ちとは思えない球足で3塁線を破る2塁打に。続く7番大賀も西東京大会では打率5割近くをマークした実力者だが、フルカウントからやや甘く入ったスライダーを打った打球はセンターライナーに。そこまでコーナーぎりぎりを突き続けていただけに、ひやりとする投球ではあったが、ここはツキも味方する。さらに8番森山の強い当たりのショートゴロも渡邉が好捕し、3アウト。得点した後の大事なイニングを0で切り抜ける。

守りで流れをつかんだおかやま山陽は、2回裏、先頭の6番飯田が死球で出塁。インサイドを突いた速球がやや抜けてしまう。右打者の懐を突く、このボールが安田の投球の幅を広げていたのだが、この日は少し歯車がかみ合わない。7番藤井が犠打できっちり送ると、続く8番西野が真ん中低めの速球を真芯でとらえた当たりは、あっという間にレフトフェンスまで2バウンドで到達するタイムリー2塁打に!狙い球を迷いなく振りぬくおかやま山陽打線が、過去2試合で無失点の安田から早くも2点目を奪う。

一方、ペースを握られた日大三だが、打者一巡した3回に打線が反撃を開始する。1アウトから1番古賀がやや甘く入ったスライダーを流し打ち、左中間への2塁打!西野の投球の軸となるボールを、きっちり軸回転の打撃で逆方向へ打ち返した。2番池内のセンターフライによるタッチアップでランナー3塁へ進むと、打席にはここまで10打数7安打と当たりに当たっている3番主将の二宮。カウント1-1から中に入ったスライダーをとらえた打球は、これまたあっという間に左中間を破る2塁打に!2本の2塁打で1点を返し、試合の流れはわからなくなる。

1,2回と連続失点を喫した安田だが、1点を返してもらったことで少しリズムを取り戻す。3回裏にも先頭打者にヒットは許したものの、相手の盗塁を読み切ってタッチアウトにすると、後続も内野ゴロに打ち取り、初めて0のイニングを作る。ストレートを狙われてのヒットが続いていたが、インハイの速球、アウトローの変化球の攻めで丁寧に投げていき、徐々にリズムを取り戻していた。

この無失点の守りから攻めのリズムを作りたい日大三打線。相手は継投策が基本線のため、早めに追いついておきたいところだったが、西野のキレのある速球とスライダーを前に4回、5回と得点を上げられない。豊富な投手層を誇るおかやま山陽の良さは、先発投手が立ち上がりから目いっぱい飛ばせる点にあるだろう。リズムよく打たせて取る投球で、こちらも譲らずに0を並べる。

拮抗した展開の試合。しかし、5回裏に突如音を立てて、その展開が崩れた。打たれたのは、絶対的な安定感を誇っていた三高のエースである。

この回、先頭の9番山崎が高めの速球を思い切り振りぬくと、打球はレフトフェンスに直撃する2塁打!さらに1番田内のサードゴロは、捕球した二宮が一瞬先の塁を狙ったランナーの山崎を見てしまい、1塁へ送球できず。無死1,2塁となると、ここでバントシフトを敷く三高守備陣に対して、2番湯浅はバスターで進塁打を打って、ランナーを進塁させる。このあたりの作戦の柔軟さが、おかやま山陽の強みである。

すると、続く3番渡邊のショートゴロが悪送球を誘って2者が生還。ここまで2試合でわずか1失策の三高守備陣が乱れてしまう。さらに4番土井のヒットと5番入江の死球で満塁となると、6番飯田がアウトコースのスライダーに食らいついた打球は、ファーストとセカンドの後方に落ちるラッキーな内野安打となって1点を追加。さらに2アウト後、8番西野にもタイムリーが飛び出し、この回計4点のビッグイニングとした。

安田の低めのチェンジアップに見極めができ始めたタイミングで守備の乱れも重なっての失点。思わぬ形での4点だったが、おかやま山陽攻撃陣の試合前からの狙いがうまくはまったがゆえの得点であった。

大量リードをもらった西野だが、6回は流れの変わりやすいイニング。まして、相手は強打の日大三なだけに油断は禁物だ。しかし、6回表、ここまですべてのイニングで打ち取っていた先頭打者に四球を与えてしまう。すると、ここで堤監督は迷わず2番手で右腕・三宅を送る。このあたりの決断は迷いがない。しかし、1アウト後に6番佐々木のセカンドゴロを藤井が後逸してしまい、1アウト1,3塁。さらに2アウト後、8番森山のサードゴロを田内が悪送球してしまい、内野のエラー二つで1点が入る。

おかやま山陽としては嫌な形での失点。点差はまだ4点あるとはいえ、まだイニング数はある。すると、ここで日大三・三木監督は勝負をかけ、エース安田に代打・出井を送る。その出井の打席で投球がワンバンドになる間に1塁ランナーが2塁を陥れ、2アウトながら2,3塁。一打出れば一気に2点差という状況が出来上がり、緊迫の場面となった。ただ、三宅は冷静さを失わずにアウトローを丁寧についていく。武器であるスライダーを徹底して低めに集め、最後はコーナーいっぱいのボールで見逃し三振!この攻防を制したことで、流れを再び引き戻すことに成功した。

日大三は、6回から右腕・増田がマウンドへ。絶対的エースの後を受けての登板だったが、球威十分の速球を武器に、6回裏は併殺を奪うと、7回は3者凡退。攻めの投球で相手に得点を与えなかった。西東京大会ではわずかなイニングしか投げてなかったが、大舞台できっちり自分の仕事を果たした。

ただ、反撃したい打線が7回、8回とおかやま山陽・三宅のコーナーを突く投球の前に、ヒットはおろかランナーすら出せない。特にスライダー、カットボールのコントロールが抜群であり、ほとんど捕手のミットが動かない投球で相手打者を翻弄する。おかやま山陽投手陣は、1,2回戦とも出てくる投手が必ず自分の自分の持ち味を出した投球ができており、堤監督としても継投の判断を下しやすいだろう。投手陣全体の力で相手を封じ込めていく。

すると、8回裏、おかやま山陽は、ヒットで出た代打・岡本を犠打とライトフライによるタッチアップで3塁へ進める。ここで、当たっている1番田内が、この日3本目となるヒットをセンターへ放ち、勝負を決定づける7点目。センターから逆方向への意識を持った素晴らしい打撃であった。

なんとか意地を見せたい日大三は、最終回、7番大賀、8番森山と下位打線が連打を放ってチャンスメーク。打撃の三高として、振り込んできた成果を見せた。ただ、続く代打・清水のとらえた打球は素晴らしいスピードだったのだが、ショート正面のライナーに。飛び出したセカンドランナーが戻り切れず、ダブルプレーとなる。最後は、堤監督が3番手でエース井川を送る万全の継投を見せ、1番古賀を打ち取って試合終了。

おかやま山陽が見事な試合運びで、西東京の雄を退け、初のベスト8進出を果たした。

まとめ

おかやま山陽は、打線の狙いがしっかりとはまり、三高のエース安田を攻略。チェンジアップを捨て、ストレートを徹底して狙う打撃で、屈指の好右腕を打ち崩した。決して、大振りをせず、コンパクトなスイングでストレートをとらえてくるため、中盤にかけて安田の逃げ場がなくなっていくような感覚があった。上位から下位まで満遍なくヒットが飛び出し、13安打で7得点という結果は、堤監督の想定を超えたものだったかもしれない。

また、投げては西野三宅の継投で9回途中までを2失点。強打の三高を相手に、臆することなく投げ込み、試合を作った。二人ともコーナーいっぱいに変化球を決めて、カウントを作ることができるので、捕手の土井としても配球の選択肢が大いに広がっている。豊富な投手陣がいるため、立ち上がりからフルスロットルで行けるのも大きいだろう。投打で層の厚さを見せたおかやま山陽。ジンバブエ代表を指揮したこともあるという異色の経歴の堤監督の元、伸び伸びとした野球でつかんだ3勝目であった。

一方、日大三も投打ともに決して悪い内容ではなかったが、やはり5回に守備のミスが絡んで失点したのは痛かった。強打が取り上げられることが多いが、日大三が勝つときはいつも堅守でエースを支え切ってというパターンが多い。1,2回戦はその野球ができていただけに、もったいない感はあった。ただ、三木新監督になって初めての夏に、激戦の西東京を勝ちぬき、甲子園でも2勝をマーク。十分胸を張れる成績だったと言えるだろう。悔しさの中に充実感もにじませながら、ナインは甲子園を後にした。

おかやま山陽 対 日大三 【完全ハイライト】 – YouTube

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