大会10日目第2試合
関東一
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 |
| 0 | 1 | 0 | 0 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 3 |
| 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 |
明徳義塾
関東一 坂本→畠中→坂井
明徳義塾 池崎

選抜では3度の対戦経験がある常連校同士の試合は、1点を争うハイレベルな攻防に。好守備で流れを引き寄せた関東一が接戦をものにし、2019年以来5年ぶりとなる8強入りを決めた。
試合
関東一は畠中・坂井の左右2枚看板ではなく、この日は2年生左腕・坂本が先発。分厚い投手層を見せる。一方、明徳義塾は初戦で完封勝ちの2年生左腕・池崎をこの日もスターターに指名した。
1回表、池崎はセットポジションから安定した制球力でボールを散らしていく。2番成井に内野安打は許したものの、3番坂本を併殺打に打ち取り、結果3人で攻撃を終わらせる。2年生池崎-1年生里山の下級生バッテリーだが、そんなことを感じさせないほどの老獪さがこの二人にはある。
対して、関東一の先発は今大会初登板の坂本。立ち上がり、いきなり1番松井に死球を与えると、犠打で2塁へ。続く3番藤森の投手ゴロは坂本がうまく捕球したが、飛び出した2塁ランナーを刺そうとした送球がそれ、一転して1アウト1,3塁とピンチが拡大する。明徳としては絶好の先制機。しかし、ここで4番竹下は初球を打ち上げる。この飛球を捕手・竹下がフェンスを怖がらずに好捕し、2アウト。さらに5番長谷川はストレートを打ち上げてセンターフライとなり、坂本が大ピンチをしのぎ切る。
ピンチの後にはチャンスありとはよく言ったもの、2回表、関東一がそのチャンスを生かす。先頭の4番高橋が四球を選ぶと、5番越後はきっちり犠打で2塁へ。このあたりは本当に隙が無い。2アウト後、7番小島がインコースの速球を流したあたりは、ファーストを強襲。ややイレギュラーとなった打球を竹下が捕球しきれず、ライト戦を転々とする間に、先制点が入る。関東一としては序盤の攻防を制する大きな1点だ。
ただ、先制したとはいえ、坂本の立ち上がりはまだ不安定。2回裏にも1アウトから四球でランナーを出すと、2アウト後、9番池崎には高めの速球を左中間へはじき返され、ランナー2,3塁と再びピンチを迎える。1番松井には四球を与えて満塁となり、打席には2番山畑。しかし、ここもフルカウントまでもっていくが、最後はアウトコースいっぱいの速球に手が出ず、見送り三振!1,2回と塁上にランナーをためるが、明徳義塾はどうしても1点が奪えない。
すると、関東一は3回から左腕・畠中をマウンドへ。米沢監督としては、坂本にもっとイニングを食ってほしかっただろうが、それでもバタバタした1,2回で失点をしないでつなげたことは大きかったはずだ。ただ、2枚看板の一人が登板したことで、明徳としては研究していた投手が出てきて、攻撃がしやすくなったか。3回表を池崎が3者凡退で切り抜けると、反撃に転ずる。
1アウトから4番竹下が死球で出塁すると、5番長谷川には強攻策。これに応え、アウトコースの速球を素直にライトへはじき返す。2アウト後に四球で満塁と、少しずつ堀を埋めるように、この回が立ち上がりの畠中を攻めていく。ここで1年生の8番里山が初球の甘めの速球をとらえると、打球はレフトの前に弾む逆転タイムリー!初回から攻め続けた明徳が、ここにきてようやく主導権を手にした。
リードをもらった池崎は、安定したコントロールを武器に4回は中軸から始まる攻撃を無失点で封じる。特に変化球の制球力が素晴らしく、これができるかできないかが高校野球で勝てる投手かどうか見極める一つの項目となる。バックも堅守で盛り立て、流れをよく寄せる。一方、その裏、関東一も畠中が上位打線から3三振を奪い、無失点投球。こちらもスローカーブを活かした緩急自在の投球で得点を与えない。明徳の打者がベース寄りに立ってインサイドを消しにきても、カーブを武器に動じることなく投げぬいた。
関東一としては前半戦が終わる前に追いついておきたいところ。5回表、畠中の作ったリズムに乗って池崎を攻める。1アウトから米沢監督が勝負をかけ、復調してきていた畠中に代打・滝川を送ると、真ん中よりに入った速球をレフト線に引っ張って2塁打を放つ。池崎にしては珍しい失投だったが、代打らしく積極的に振りに行ったことで好結果を呼んだ。ショートゴロで2アウト3塁となると、1番飛田の打球はセカンドへ。しかし、これを平尾がバウンドを合わせきれずにはじく間に同点に!窪みに当たって打球が不規則にはねたか、明徳としては不運な打球であった。
関東一にとっては代打を出して勝負をかけての得点。そして、明徳としては肝心かなめの守備が乱れての失点である。両者の間で揺れ動いていた勝負の天秤が徐々に関東一に傾き始める。5回裏の明徳の攻撃は3番手で登板したエース右腕・坂井が3人で封じ、無失点。スピードボールとスライダーを武器に明徳打線を圧倒した。
前半戦は2-2で終了。グランド整備を挟んで大事な後半の頭のイニングで、関東一の勢いはさらに加速する。
先頭の3番坂本が四球を選ぶと、4番高橋には犠打の構えからバスターエンドランを仕掛けていく。結果はファウルとなり、フルカウントとなるが、明徳の若いバッテリーを揺さぶっていく。すると、7球目のストレートがやや甘くなったところを逃さずとらえ、ライトへの快打!スタートを切っていた1塁ランナーは3塁を陥れ、無死1,3塁に。実に関東一らしい攻撃でチャンスを拡大すると、続く5番越後はすかさず初球攻撃で甘い変化球を素直にセンターに返し、1点を勝ち越す。
ただ、明徳は続くピンチは、セカンド平尾の好守と池崎の渾身の投球でしのぎきる。後半戦のスタートで完全に機先を制された形になったが、差は1点のままで終盤戦に突入する。
追う明徳にチャンスが訪れたのは7回裏。ここまで坂井の前にランナーが一人も出ていなかったが、好守を見せてきた2番山畑がストレートを引っ張ってサード横を破るヒットで塁に出る。さらに3番藤森の犠打は1塁戦への微妙な当たりとなり、一瞬、関東一の野手陣がお見合い。ファーストへの送球が間に合わず、無死1,2塁と重要な局面を迎える。
すると、ここで馬淵監督が今度は勝負をかけて、4番竹下に代打・北浦を送る。代打バントであり、非常にプレッシャーのかかる場面。関東一野手陣は当然ブルドッグ守備をかけてくる。明徳ベンチは北浦を落ち着かせるため、タイムをかけるが、カウント1-1からの3球目は坂井の正面へ。無駄のない守備で3塁封殺を奪い、1アウト1,2塁となる。
双方に一つずつミスが出て、打順は5番長谷川に。ここで関東一にスーパープレーが飛び出す。坂井の速球を右方向へ打ち返した打球は、鋭く1,2塁間を襲うが、これをセカンド小島がダイビングキャッチ!素早く起き上がって1塁へ送球し、2アウト目を奪う。さらに、6番高橋のサード横への打球を今度は、関東一のサード高橋が倒れこみながら捕球。ファーストへの送球もパーフェクトであり、素晴らしい守備で明徳の反撃を阻止した。
守りで出た2つのスーパープレー。流れを引き寄せるには十分すぎるほどの価値があった。明徳は2年生左腕・池崎が8回、9回と無失点投球。ただ、関東一の強力打線に対し、安定したコントロールで投球していたが、ここ一番で関東一が繰り出す勝負手に屈した印象だった。
7回のピンチをしのいだ坂井は、8回裏にも1アウト2塁のピンチを招くが、この日2塁打を放っている9番池崎、巧打の1番松井を連続三振!松井には粘られたが、最後は相手の思惑を外すスライダーで見逃し三振に切って取った。ストレートを意識させられたがゆえの見逃しであり、それだけこの日は真っすぐが走っていた。2イニング連続で窮地をしのいで迎えた最終回は、2番山畑から始まる攻撃を3者凡退でフィニッシュ!強豪校との接戦を鍛えられた守備とエースの好投で制した関東一が2019年以来5年ぶりの8強入りを決めたのだった。
まとめ
関東一は3投手の継投で明徳の勝負強い打線を2点に封じ込めた。1失策は出たものの、内外野のほれぼれするような守備の連続は、さすがに鍛えられた常連校であることを感じさせた。特に、7回のピンチでの内野の美技2連発は、技術だけでなくメンタルの強さも感じさせた。好守備に支えられたエース坂井は5回からの5イニングを3安打無失点。快速球とスライダーを武器に素晴らしい投球だった。
また、打線は、好左腕・池崎を相手にそう多くのチャンスは望めない中で、機動力を絡めた勝負強さが目立った。5回の同点劇は代打で出た滝川の2塁打に始まり、きっちり進塁打で進めて相手の失策を誘発したもの。そして、6回の攻撃はバスターエンドランでチャンスを広げ、動揺したところを逃さず初球攻撃で得点につなげた。大物うちはいなくとも、実にそつのない攻撃で奪った3点であった。攻守にしたたかな常連校が、選抜の初戦敗退の悔しさを晴らす夏2勝目を手にしたゲームとなった。
一方、明徳義塾も再三好守備が飛び出して、鍛えられているところを見せたが、勝負所での失策と犠打のミスが響いた格好となった。攻撃力では関東一に分がある中で、池崎–里山の下級生バッテリーを中心によく踏ん張っていたが、やはり強豪同士の一戦では少しのミスが勝敗を分けてしまう。互いに好守備連発の見ごたえある試合だったが、ほんの少しの差で涙をのむこととなった。
明徳義塾 vs 関東一 【夏の甲子園 3回戦 全打席ハイライト】 8強をかけた闘いは手に汗握る1点差ゲームの激闘!2024.8.16 阪神甲子園球場 (youtube.com)


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