大会4日目第1試合
神戸国際大附
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 計 |
| 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0 | 0 | 1 | 3 |
| 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 2× | 4 |
九州国際大付
神戸国際大附 秋田→豊岡
九州国際大付 岩見→渡邉

神宮決勝の再戦となった第1試合は、攻守に鍛えられたV候補同士のハイレベルな攻防に。延長10回に3番吉田の逆転サヨナラ打が飛び出した九国が、リベンジを狙った神国を返り討ちにし、2回戦進出を決めた。
試合
神戸国際大附は左右計4人の好投手を擁する中、エース左腕・秋田を先発に指名。一方、九国は昨秋と同様に2年生左腕・岩見をスターターに持ってきた。また、両チームともメンバーの離脱や冬の間の各選手の成長もあって、打順を大きく変えて決戦に臨んだ。
1回表、九国の長身左腕・岩見に対し、1番林が四球を選ぶと、ガッツポーズで1塁へ。リベンジに燃える神国の気合が伝わるようなワンシーンだ。犠打で送り、1アウト2塁と先制のチャンス。しかし、この細身の左腕から繰り出される角度のあるボールは、なかなか捉えるのが難しい。巨砲・石原はフルカウントからスライダーに空振り三振で取られると、4番川中もスライダーを打たせてセカンドゴロ。初回をきっちり無失点で切り抜ける。
一方、神国のディフェンスは初回、やや慌てた入りになってしまう。先頭の1番柴原に秋田が得意とするスライダーをセンターにはじき返されると、続く2番平間の犠打は小フライとなるが、これを3人がお見合いする形でセーフにしてしまう。続く3番吉田の犠打は秋田の好フィールディングで3塁封殺にするが、暴投で1,3塁に。ここで4番城野には1塁ランナーのみスタートでのエンドランを敢行すると、ショート西川が2塁封殺が間に合わないことで慌ててしまったか、ボールをこぼしてしまい、オールセーフに!平間がホームを駆け抜け、九国が1点を先行する。
リベンジの思いが気負いとなって表れたか、それとも、神国のチームカラーが悪い意味で出てしまったのか。いずれにせよ、初回だけで3つのミスが飛び出す想定外の展開となってしまう。しかし、さらに二遊間への内野安打を打たれて満塁のピンチとなるが、ここは後続を秋田がスライダーを軸にした投球でしのぎ、1失点にとどめる。
ここから、試合は両先発投手の好投で投手戦のまま推移していく。2年生左腕・岩見は188センチの長身から繰り出す角度だけでも厄介な上に、速球はキレ・スピードともに十分であり、スライダーの曲がり幅も大きい。何より昨秋に見られた制球難が無くなっており、ストライク先行の投球でどんどん追い込んでいく。特に、右打者のインサイドを突くボールは投球の幅を広めるうえで非常に効果的になっている。毎回ランナーこそ出すものの、要所ではボールの力で圧倒した。
一方、初回は守備の乱れに足を引っ張られた感のあった秋田だが、こちらは初回のピンチをしのいだスライダーを軸に立て直す。どことなく、2021年度のエース左腕・黒田を思い起こさせるような投手であり、小柄ながらバランスの取れたフォームから繰り出すキレのあるボールで秋の王者を封じていく。5回裏には九国打線に1アウト1,3塁と迫られるが、エンドランがかかっていたのか、ライトフライで1塁ランナーが飛び出して犠飛にはならず。5回を1失点と先発としての役割を十分に果たしていた。
両チームとも力のある打者が揃う打線だが、エースがそれを上回る投球を見せ、今大会一とも呼べるハイレベルな攻防は後半戦へ突入していく。
しかし、グランド整備明けの6回は、流れの変わりやすいイニングだ。この回、先頭の5番比嘉が岩見のスライダーをしっかり見極め、四球を奪取。岩見もどこか投げづらそうだ。犠打できっちり送ると、打席には7番田中。長身でほっそりしたいでたちの打者だが、秋は不動の1番としてチームを牽引した。一般的に不利と言われる左対左だが、岩見の高めに浮いたスライダーをものの見事にとらえると、打球はセンター深い位置に弾むヒットに!スパルタンXが鳴り響く中、神国が試合を振り出しに戻した。
ここから両チームの攻防は激しさを増す。7回裏、九国は先頭の代打・請舛が外のスライダーを引っ張って、3塁線を破る2塁打!秋は出場のなかった選手だが、九国の選手層の厚さを表す結果であった。しかし、ここは楠城監督が、ヒットを放っていた9番渡邉に強攻策を指示。これが裏目に出て、三振に取られると、後続も打ち取られて無得点。抜群のコントロールを誇る秋田の投球を前に、「打てるボールがほとんどない」状態であった。
すると、直後の8回表、神国がこの流れをさらに確固たるものにする。
先頭はスタメンだった4番川中に代えて出した途中出場の中西。この中西が低めの難しいスライダーをうまく拾ってライトへのヒットを放つ。両チームとも本当に選手層が厚い。犠打できっちり送ると、センターフライによるタッチアップで3塁へ。ここで打席には先ほどタイムリーの7番田中を迎える。ここは無理に勝負をせずに歩かせることも選択肢の一つだったが、九国バッテリーは勝負を選択。岩見もギアを上げて投じたが、カウント2-1から高めに浮いた速球を田中はセンター返し!これまで球威に負けていたボールだったが、ものの見事に打ち返して、勝ち越し点を奪った。
一転して追う展開となった秋の王者。しかし、こちらも簡単に終わるわけにはいかない。8回裏、1アウトから4番城野、5番上岡がいずれも変化球をとらえて連打。中軸が相手の投球の軸となるボールをとらえて、秋田を攻略にかかる。すると、ここで神国は縦の変化球を武器とする右腕・豊岡をマウンドへ送る。秋田は8回まで神宮王者を1失点と、秋に打ち込まれた相手に対して、十分リベンジを果たした。
神国としてはここで逃げ切りたかったが、しかし、ここで痛いミスが出てしまう。6番久保田は得意の変化球で空振り三振に切って取るが、続く7番雪野をショートゴロに打ち取ったものの、2塁への送球がそれる結果に。3塁ランナーがホームインし、逃げ切りに失敗する。ややセカンドのベースカバーを遅れてしまったか、二遊間の息が合わなかった。もつれにもつれる試合は、9回に両チームとも得点が入らず、延長タイブレークへ突入していく。
10回表、九国は9回からマウンドに上がっていた2番手の右腕・渡邉が犠打で1アウト2,3塁とされるが、中軸の3番石原、4番中西を打ち取って無失点でしのぐ。岩見ほどの角度はないものの、こちらもストレートは非常に素晴らしいボールだ。
すると、10回裏、九国は6番久保田が当然犠打を選択。これを処理した豊岡が3塁へ送球するも野選としてしまい、無死満塁の大ピンチに!神国は土俵際まで追い込まれてしまう。だが、ここからが豊岡の真骨頂であった。秋以降に練習していたという回転のいい速球をアウトコース主体に投じていき、最後はカーブ・スライダーを交えて次々と打者を打ち取る。7番雪野はセカンドフライ、8番岩見は三振で打ち取ると、最後は9番渡邉もレフトフライでしのいで無失点!まるで江夏豊を思い起こさせるような気迫の投球で、絶体絶命のピンチをしのいで見せた。
すると、直後の11回表、神国は5番比嘉がきっちり犠打で送ると、6番山城がきっちりライトへ犠飛を放って1点を勝ち越し。今度はきっちりリードを保って、11回裏を迎えた。
その11回裏、九国は1番柴原が犠打を試みるも、今度は豊岡が好フィールディングで刺して3塁封殺。さらに2番平間は内角の変化球でライトフライに打ち取り、タッチアップで3塁へ進まれるも、2アウト1,3塁と、勝利まであと1アウトとなる。
だが、しかし、ここで打席に入ったのは、強肩強打で鳴らす、九州屈指の強打者・3番吉田であった。豊岡はカウント2-1と追い込むが、決め球の変化球が高めに浮く。これをとらえた吉田の打球は、背走するレフト中西のグラブがわずかに及ばずに、左中間へ落ち、2者が生還!終盤に目まぐるしく動いた試合は、再び九国が制す形となり、2回戦進出を果たすこととなった。
まとめ
九国は、諸事情があって秋と打順を変更する形となったが、そんな影響を感じさせないくらい、ベンチ入りメンバーまで含めて各打者のレベルが高かった。特にサヨナラ打を放った3番吉田、4番捕手と攻守の要の城野、巨漢の5番上岡の中軸は3人で計7安打を放ち、好投手を擁する神国投手陣を攻め立てた。
また、左腕・岩見とエース渡邉の二人で形成する投手陣はいずれも球威・スピードともに十分で変化球の制球にも優れていた。初戦で厳しい試合を潜り抜けたことで勢いもつくだろう。大会前に起こった不祥事でどうなることかと思われたが、初戦を終えて、まぎれもないV候補であることを証明する形となった。
一方、リベンジを狙いながら惜しくも敗れた神国だったが、秋は1-11と大差がついたことを考えると、実力差は確実に縮まり、ほぼ互角だったと言えるだろう。秋田、豊岡の二人はいずれも好投を見せ、特に変化球のキレ・制球は高校生離れしていた。また、打線も終盤に好左腕・岩見をとらえるなど3点を奪取。投打で勝るとも劣らない内容であった。
惜しむらくは守備のミスから2点を失ったことか。夏に激戦の兵庫を勝ち抜けるかどうかは、この辺りの細かいプレーにかかってきそうだが、いずれにせよ全国制覇を狙えるチームなのは間違いないだろう。今後にむけて、非常に期待の高まる好チームであった。
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