2026年選抜1回戦予想 花咲徳栄vs東洋大姫路

2026年

2026年選抜1回戦

花咲徳栄vs東洋大姫路

51.5%   48.5%

あの伝説の「延長引き分け再試合、またまた延長戦」を戦い抜いた両チームが再び、23年の時を経てぶつかることとなった。

 

花咲徳栄のエース黒川は、昨秋に関東大会準決勝までの3試合をすべて完投。初戦の法政二戦こそ9失点の大乱調だったが、この試合を大逆転で制すると、準々決勝・準決勝は好投を見せた。球威十分の速球とフォークを武器に、奪三振能力が高く、要所では狙って取りに行く。制球面でやや不安定さがあるのは気がかりだが、

対する東洋大姫路打線は、前の代の3年生に強打者が並んでいたこともあり、秋は全体的に経験不足な感は否めなかった。その中でも、渡辺裕・伏見と好打者が残っていたが、秋はこの二人が不調。選抜本番では、彼らの活躍が勝利には不可欠だ。昨夏に最後の打者となった3番捕手の峰松には攻守で負担がかかるだけに、周りのメンバーが軽減したいところだ。岡田監督の戦法は基本的に犠打中心に野球であり、どうしても純粋な打力ありきでの戦い方となる。ポイントゲッターとなる打者の前へのチャンスメークももちろんだが、やはり勝敗の如何は上記の面々の結果次第となりそうだ。

 

一方、東洋大姫路の投手陣は、昨秋にエース格だった左腕・下山が故障の影響かメンバー入りができず。技巧派左腕の三上と右本格派の大野、成長株の左腕・谷村らで投手陣をまかなうが、秋の大会の屋台骨を支えた投手が入れなかったのは、やはり痛い。ただ、そのぶん相手チームからすると、どの投手が出てくるか読みづらい感じはあるだろう。昨年の選抜は、近畿王者としてガチガチにマークされながらの戦いであったが、今大会は近畿6校目での選出。失うものがない状況での戦いはチームに思い切りを与えるだろう。まずは、序盤3回を無難に乗り切りたいところだ。

対する花咲徳栄打線は、関東大会初戦の法政二戦で9点差を跳ね返したように、少々のビハインドは跳ね返してしまう破壊力を持つ。1番岩井、3番笹崎、4番佐伯の上位打線は確実性と長打力を兼ね備え、初回から相手バッテリーに圧力をかける。下位打線にも力があり、つながりも長打もあるため、抑えるのは至難の業だ。同校伝統のハンマートレーニングで培ったリストの強さがあり、速い球足で野手の間を襲うため、甘いボールは確実に外野最深部に消えるだろう。序盤から打って打って流れを作る「トクハル」の野球を見せたいところだ。

 

今回は、投打に花咲徳栄が上回るか。エース関口、パワフルな打線ともに大会上位クラスだ。東洋大姫路としては投手陣の新戦力、特に右腕・大野が冬を超えてどこまで成長しているかがカギになる。打力では明らかに花咲徳栄に分があるだけに、東洋大姫路としては5点以上の勝負にはしたくないだろう。

主なOB

花咲徳栄…若月健矢(オリックス)、愛斗(ロッテ)、西川愛也(西武)、清水達也(中日)、石塚裕惺(巨人)

東洋大姫路…長谷川滋利(マリナーズ)、原樹理(ヤクルト)、林崎遼(日本ハム)、乾真大(日本ハム)、甲斐野央(西武)

 

埼玉   兵庫

春  1勝    3勝    1分け

夏  2勝    6勝

計    3勝      9勝  1分け

春夏ともに兵庫勢がリードしており、相性の良さを誇る。しかし、1試合1試合を紐解いてみると、ほとんどが接戦でどちらが勝ってもおかしくない試合だったと言える。

1992年の選抜準々決勝では浦和学院と育英が対戦。育英は上宮の出場辞退に伴っての代替出場だったが、2年生の好打者・大村(近鉄)を中心に打線には力があり、侮れない存在であった。すると、初戦で駒大岩見沢に8-0と快勝を収め、2回戦では前年王者の広陵にも勝利。勢いに乗って8強まで勝ち上がった。しかし、準々決勝では浦和学院の好左腕・染谷から7四死球を選びながらも攻めきれず。浦学打線のうまい攻めの前にエース森山は今大会初失点から4点を失い、浦和学院が初めての選抜で4強入りを決めた。ただ、この経験が生き、育英は翌年夏に全国制覇を果たすこととなる。

一方、2019年の2回戦では明石商と花咲徳栄の好カードが初戦で実現。明石商の2年生エース・中森(ロッテ)に対して、好打者・韮澤(広島)/井上(ソフトバンク)を中心にした花咲徳栄の強力打線が食らいつき、追いつ追われつの好試合となった。3-3の同点で迎えた8回裏、明石商は1番来田(オリックス)の2塁打を起点に、3番重宮の勝ち越しタイムリーを挙げると、最後はこのリードを中森が守り切って勝利。強豪に競り勝った勢いで、明石商はこの大会で4強まで勝ち上がった。

2019年選手権2回戦 明石商vs花咲徳栄(6日目第4試合) | 世界一の甲子園ブログ

その他にも、2002年の浦和学院vs報徳学園の春夏連続の対戦や、1993年の育英と春日部共栄の決勝戦など白熱した好ゲームが多かった両県の対戦。今回はどちらに軍配があがるのか。

育英vs春日部共栄 1993年夏 | 世界一の甲子園ブログ

浦和学院vs報徳学園 2002年夏 | 世界一の甲子園ブログ

思い出名勝負

2003年選抜準々決勝

花咲徳栄vs東洋大姫路

2003年の選抜準々決勝の最終カードは当初の期待を上回る大熱戦となった。

東洋大姫路は1年生の夏に甲子園を経験したエース左腕、グエン・トラン・フォク・アン投手を中心に前年秋の近畿大会で4強入り。ディフェンス力には定評があり、藤田監督のもとで鍛え上げられた堅守には安定感があった。ただ、野手陣は1番原、3番アン、4番前川の上位打線が得点源だが、下位打線はおぼつかないのが現状。近畿準決勝では智辯和歌山に0-9と大敗を喫し、不安は残っていた。

しかし、選抜本戦では初戦となった2回戦で中国王者の岡山城東に先行逃げ切りで4-2と競り勝つと、3回戦ではエース・アンが、前年の準V校の鳴門工打線を1安打でシャットアウト。終盤に主将・野崎の先制タイムリーが飛び出し、会心の内容で8強進出を決めた。

一方、花咲徳栄も2年前の夏を経験した好打者・田中が残り、秋の関東大会でベスト4に食い込んだ。エース福本は気迫の投球で相手に立ち向かっていき、強敵揃いの関東地区でもひと際光る内容であった。また、打線は大物うちこそいないが、上位から下位までしぶとい打者が並び、得点力は高い。田中を1番に据え、主砲・猪口がどっしりと構える中、水谷・川嶋ら「しぶい右打者陣」が繋ぎの打撃を見せ、コツコツと得点を重ねていった。

迎えた選抜では、2回戦で秀岳館と対戦。福本が5回までに9安打を浴びながらも2点で踏ん張ると、打線が終盤に相手エース上農をとらえて同点。粘り強い戦いで延長戦に持ち込むと、延長13回にまで及んだ死闘を、最後は6番川嶋のレフト前タイムリーで制し、選抜初勝利を手にした。

続く3回戦は、あの2年生エース・ダルビッシュ(パドレス)を擁する東北が相手。2回表にいきなり5点を先行される苦しい展開だったが、序盤から打線がダルビッシュを攻略。逆方向への逆らわない打撃でヒットを連ねると、中盤には試合をひっくり返すという、まさかの展開になる。東北も2番宮田のタイムリーで粘って追いつき、9-9のまま試合は最終回へ。東北の2番手・高梨を攻めたて、2アウト満塁と、今度は4番猪口がライト前へサヨナラタイムリー!初めての選抜で2試合連続サヨナラ勝ちという快挙を成し遂げ、見事ベスト8進出を決めたのだった。

こうして、準々決勝最後のカードで対戦することとなった両チーム。試合前の図式は、「攻」の花咲徳栄に対する、「守」の東洋大姫路であった。総合力では互角と思われたが、試合は期待にたがわぬ熱戦となった。

花咲徳栄

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15
0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 1 2
0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 1 2

東洋大姫路

花咲徳栄    福本

東洋大姫路   アン

試合は花咲徳栄・福本、東洋大姫路・アンの先発で始まった試合は、序盤から花咲徳栄打線が2試合連続サヨナラ勝ちの勢いそのままにアンに襲い掛かる。

1回表、2アウトランナー2塁のチャンスを作ると、3回戦でサヨナラ打の4番猪口がレフトへのヒットを放つ。2塁ランナーの田中がホームを狙うが、ここで姫路のレフト・上野山が好返球!守りの姫路の強みを見せると、2回表には同じく2アウト2塁から8番川原のセンター前ヒットを、今度はセンター原が好返球で刺す。攻める花咲徳栄に対して、守りでリズムを作る姫路という構図がしっかり現れた、序盤の攻防であった。

その後は、姫路・アン、徳栄・福本が譲らず、0-0のまま試合は推移。アンは左打者のアウトコース、右打者ではクロスファイヤーとなる速球が切れ味抜群であり、1,2回のピンチを乗り切ったことでリズムに乗った。9回を6安打無失点と貫禄の投球を見せる。

一方、2,3回戦と序盤に失点が多かった福本だったが、こちらも序盤のピンチを無失点で切り抜けると、強気の投球でインサイドも果敢に攻め、姫路打線に得点を与えない。特に、姫路のキーマンである3番アン、4番前川の二人に決定打を許さなかったことが大きく、こちらは9回を5安打で無失点。両チームのエースが譲らず、延長戦へ突入する。

試合が動いたのは、10回だった。終盤にきてややキレの落ちてきたアンに対し、ラストバッターの鈴木がヒットで出ると、すかさず盗塁を敢行。攻めの姿勢でスコアリングポジションを奪うと、勝負強い2番水谷がレフトへタイムリー!バックホームも及ばず、ついにスコアボードに0以外の数字が刻まれる。

しかし、得点が入ると試合が動くのが野球というスポーツだ。10回裏、今度は姫路が反撃に出る。代打・佐藤が執念のヒットで出ると、こちらは犠打できっちり2塁へ。巧打の1番原がヒットでつなぐと、1アウト1,3塁から2番上野山がストレートをきっちりとらえてセンターへ犠飛。試合はここで終わらず、さらに延長の回数を重ねていく。

合わせ鏡のように進む両チームのスコアボード。アン・福本のいつ終わるともわからない投げ合いは、互いにヒットのランナーを出しながらも得点を挙げるにはいたらず、再試合目前の15回へと突入した。すると、その15回に再び心を揺さぶるドラマが待っていた。

15回表、徳栄は1アウトから1番田中がライトへ高い当たりの飛球を放つと、これをライト前川が捕球できず。内野ゴロで2アウト3塁となって、3番川嶋のセカンド深い位置への打球はセカンド砂川が好捕するも、送球がそれてしまい、田中がホームイン!土壇場で守備の際どいプレー(ミスというのは可哀そう)が出てしまい、花咲徳栄が勝ち越し点を挙げる。

だが、野球の神様はその裏に再びドラマを用意していた。1番原がヒットで出塁すると、犠打と内野ゴロで2アウト3塁に。表の徳栄と全く同じようなシチュエーションになると、4番前川の当たりは打ち取った打球で三遊間深い位置のゴロとなる。ゲームセットかと思われた矢先、今度はこれをショート水谷がはじいてしまい、同点!スコアどころか、内容まで合わせ鏡のような試合は、延長15回で決着がつかず、引き分け再試合で翌日に持ち越しとなった。

甲子園超名場面!2003年甲子園 花咲徳栄VS東洋大姫路!延長15回引き分け再試合を振り返って!

花咲徳栄

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
2 0 0 0 0 0 2 0 1 0 5
0 0 0 2 1 0 2 0 0 6

東洋大姫路

 

花咲徳栄    高橋→宇都木→福本

東洋大姫路   高橋→アン

延長15回の激闘を戦い抜いた両校。前日に15回を投げぬいたエースはともに、この日は先発せず、花咲徳栄は左腕・高橋、東洋大姫路は右腕・高橋が先発した。

前日の投手戦と違い、再試合はいきなり試合が動く。15回表に守備の乱れがあった姫路ナインは、守りのリズムの乱れをそのまま引き継いでしまったか、いきなり先頭の1番田中のファーストゴロを、この日はファーストに入っていたアンが後逸してしまう。四球でランナーをためて1アウト2,3塁となると、4番猪口のショートゴロを今度はショート大西が後逸してしまい、徳栄が2点を先行。このリードを徳栄・高橋がリズムのいい投球で守り、2-0で序盤戦を終える。

これに対し、打線の援護が欲しい姫路は中盤に思い切った攻めで活路を開く。4回裏、1アウトから四球のランナーを出すと、8番投手の高橋には強攻策を選択。どちらかと言えば、堅実な攻めが持ち味の姫路だったが、ここは思い切った策に出た。この作戦に高橋が見事に応え、ストレートを完ぺきにとらえた打球は、レフトオーバーのタイムリー3塁打に!さらに9番菰方にはすかさずスクイズを指示し、下位打線の活躍で同点に追いつく。

さらに、勢いに乗って迎えた5回裏には長打力ではチーム1の5番福永が勝ち越しホームラン!秋はエースにおんぶに抱っこだったチームが、甲子園に来てようやくその形を成し始めていた。

ただ、拮抗した力を持つ両者の攻防がこれで終わるわけもなかった。7回表に姫路が再びエラーのランナーを出してしまい、満塁のピンチを招くと、4番猪口が今度はセンターへ逆転タイムリー!初回以来の得点で再々逆転を果たすが、その裏、今度は姫路打線が本領を発揮する。最も、巡りのいい上位打線を迎えると、得点圏にランナーを置いて、アンがライト戦を破るタイムリー3塁打を放つ。塁上で渾身のガッツポーズを決めた会心の一打。さらに4番前川はきっちりライトの犠飛を打ち上げ、取られた裏にすぐに2点を取り返す。

試合は、姫路が5-4と1点リードで最終盤へ。8回から姫路はエース・アンを投入し、逃げ切りを図る。だが、ここでも勝負は簡単につかなかった。9回表、徳栄は2アウト2塁のチャンスを作るが、試合終了まであとアウト一つに追い込まれる。ここで、打席にはエース福本。昨日の15回を投げあった二人がマウンドと打席で巡り合う奇跡。アンは渾身の速球を、得意とする左打者のアウトコースへ投じるが、これが疲れから高めに浮いてしまう。逃さずとらえた福本の打球は、見事な流し打ちでレフト線へ弾み、4たび試合は振り出しに戻る。

直後のマウンドから福本もマウンドに上がり、雌雄を決する舞台に役者はすべて出そろった。だが、キレで勝負するタイプのアンに対し、力投派の福本の方が疲労の色は濃かったか。10回裏、あまりにも残酷な結末が待ち受けていた。

この回、先頭は姫路で最も頼りになる4番前川。福本の速球が高めに浮くところを逃さずとらえた打球は、右中間最深部に弾む当たりとなり、前川はヘッドスライディングで3塁へ。無死3塁と、徳栄にとって絶対絶命のピンチになる。ここでベンチは満塁策を指示。一つのミスも許されない状況で、3回戦で決勝打を放った7番主将の野崎を迎えた。

しかし、福本に最後、力が入ってしまったか、アウトコースを狙ったスライダーは大きく外にはずれ、捕手・清水が捕球できず。3塁から前川がホームインし、東洋大姫路がサヨナラ勝ち!最後は、思いもよらない結末を迎え、2日間にわたる激闘が幕を閉じることとなった。

花咲徳栄は、初の選抜で4試合(うち3試合が延長戦)を戦い抜き、甲子園のファンに鮮烈な印象を与えた。選抜で敗退したチームは、まだ夏があるため、切り替えているチームもよく見られるが、この時の花咲徳栄はまるで夏の敗退時のような雰囲気を醸し出していた。それだけ精も根も尽き果てるほどの激闘だったのだろう。まだ、春夏通じて2回目の甲子園であったが、多くの人の記憶に残る戦いを見せ、全国の人々に「花咲徳栄」の名を知らしめる大会となった。

一方、東洋大姫路は選抜では2度目となる4強入りを達成。ただ、さすがに準決勝は疲労の色が濃く、剛腕・西村(巨人)のいる広陵の前に1-5と完敗を喫した。それでも4本対15本というヒット数を考えると、スコアはよく踏ん張った方であり、これは勝負所できっちり守る藤田監督の野球の良さが出た結果でもあった。大会前の評価はそれほど高くなかったが、守りに守り抜いてつかんだベスト4。その戦いぶりは、2003年の選抜大会の主人公とも呼べるほどインパクトを感じさせるものであった。

花咲徳栄高校 ~センバツベスト8の軌跡~

 

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