2025年選手権1回戦 天理vs鳴門(2日目第4試合)

2025年

大会2日目第4試合

天理

1 2 3 4 5 6 7 8 9
2 1 0 0 0 0 1 0 0 4
o 1 0 2 1 1 0 0 × 5

鳴門

 

天理   松村→橋本→長尾

鳴門   橋本

伝統校同士の競り合いとなった試合は、鳴門打線が中盤に天理投手陣を攻略し、試合をリード。エース橋本が150球を超える力投に、自らもホームランを放つ活躍を見せ、2019年以来6年ぶりとなる初戦突破を果たした。

試合

選抜大会から投手陣を再構築してきた天理は、右アンダーハンドの松村が先発。一方、鳴門は県大会の重要な試合をほぼ一人で投げぬいてきたエース橋本に命運を託した。

先制点を奪ったのは天理。選抜では序盤に犠打失敗で流れをつかめなかった反省もあり、この試合は初回から猛攻をかける。

1番富田が真ん中寄りに変化球を引っ張ってライトへのヒットで出塁。続く2番伊藤の犠打を投手の橋本が処理し損ね、悪送球も重なって1,3塁とチャンスを広げる。ここで奈良大会では不調だった赤埴が打席へ。県大会での5番から3番に上がり、心機一転迎えた第一打席で2球目を引っ張ると、打球は1,2塁間を抜けて富田が先制のホームイン!さらに、犠打でそれぞれランナーが進塁すると、内野ゴロの間にもう1点を加え、2点を先行する。

これに対し、天理の先発・松村は右アンダーハンドからの癖球が持ち味。もともとはオーバースローだったが、藤原監督の勧めで思い切ってモデルチェンジし、春以降結果を残してきた。初回、好調のなると上位打線に対し、下手からの球筋で幻惑し、3者連続の内野ゴロで好調なスタートを切る。

初回の攻防を優位に進めた天理は、2回表にも変化球の高い橋本を攻め、先頭の7番吉田がヒットで出塁。犠打できっちり2塁へ進めると、2アウト後に1番富田がアウトコース高めの速球を流し打った打球は浜風に乗ってレフト頭上を越すタイムリー2塁打に!リードを3点に広げ、鳴門を激しく攻め立てる。続く2番伊藤にもヒットが飛び出し、打席には初回にタイムリーを放った3番赤埴。ここで長打が出ようものなら試合の趨勢が決まりかねない場面だったが、橋本は打たれながらも丁寧にコースを突く投球を続け、赤埴をライトへのフライに打ち取る。

1,2回と我慢の時間を耐えた鳴門。ここを3点差で耐えたことで反撃の時間がやってきた。こちらも注目の強打者、先頭の4番稲山がアウトコースにややシュート回転するボールを逆らわずに流し打つと、打球はセンター左横を破る2塁打に。犠打失敗などで2アウトとなるが、7番仲須、8番西村が緩いボールをきっちり引き付けて打ち返し、連打で1点を返す。鳴門はこの日、下位打線のほうが技巧派投手に対し、しっかりセンターから逆方向への意識を持って打席に立てていた感があった。

この追撃の1点が立ち上がり苦しんでいたエースを生き返らせる。3回にも2本のヒットは浴びるものの、先ほど先制打につながるヒットを放った捕手・仲須の好送球で盗塁を阻止し、無得点に。多彩な球種を徐々に低めに集めることができるようになり、4回は初めての3者凡退に打ち取る。

すると、4回裏、守りで作った流れに自分自身がバットで乗る。先頭の4番稲山が高めに浮いた変化球を今度は引っ張って右中間に運び、2打席連続ヒット。続く5番橋本は真ん中寄りに不用意に入った一球を逃さなかった。痛烈に引っ張った打球はレフト吉田の頭上を越え、スタンドに到達する2ランホームランに!天理・藤原監督に想定外だったと言わしめた一撃は、立ち上がりから続いた天理攻勢のムードを一瞬にして吹き飛ばす価値ある同点弾となった。

追いつかれた天理は5回表、先頭の2番伊藤が四球で出塁。しかし、続く3番赤埴の打席でけん制に誘い出され、タッチアウトとなってしまう。さらに、3番赤埴の内野安打と四球で再びチャンスを作るが、ランナー2,3塁としながら一本が出ず。どこかちぐはぐな印象の攻撃となり、これが鳴門へ傾いた流れを加速させる。

鳴門は5回裏、先頭の9番小川がヒットを放つと、犠打で二塁へ。ここで藤原監督は2番手で左腕・橋本をマウンドへ。本当はリードを保った状態で継投したかったところ。やはり、野球で怖いのはミスと一発長打である。橋本は左腕からのチェンジアップを武器に粘り強く内外、高低を突いていくが、鳴門打線も3番が粘って四球を選ぶなど、2アウト1,3塁と形を作る。

ここで打席にはこれまで2本の2塁打を放っている4番稲山。天理バッテリーは初球、インサイドから曲がってくるスライダーでうまく体を起こし、外角へのスライダーで2ストライクと追い込む。理想的なカウントとしたのだが、続く4球目のスライダーが前のボールよりやや甘く入る。ボール自体は悪くないのだが、前のボールとの比較による「順応」でうまくミートした当たりが、セカンドとライトの間にポトリ。天理サイドとしては非常にもったいない形で勝ち越し点を許した。

この試合初めてリードを得た鳴門。しかし、エース橋本の投球数は5回を終えてすでに92球。リードが1点では心もとない。6回表も無失点には切り抜けるが、いい当たりが続いており、橋本がコースを突いているゆえのアウトであった安全圏に逃げたい鳴門打線は、6回裏、先頭の6番上原がヒットで出塁。ここもきっちり犠打で2塁へ進めると、天理はついに3人目の右腕・長尾をマウンドへ送る。

3人の中で最も球威のある長尾で、なんとか流れを断ち切りたい天理。だが、鳴門打線はしょうぶぢ強い。2アウト後に9番小川がフルカウントまで粘って6球目を引っ張った打球はセカンドの横を抜けるタイムリーに!貴重な5点目をたたき出し、リードを2点に広げた。鳴門打線はこの日、6番からの4人で5安打2打点と、下位打線が大きな仕事を果たした。

しかし、選抜の雪辱に燃える天理もこのままでは引き下がれない。直後の7回表、先頭の2番伊藤が8球粘って四球を選ぶと、犠打と暴投で3塁へ。4番永末がきっちりセンターに犠飛を放ち、そつなく1点を返す。ただ、無安打で1点取られたとはいえ、鳴門・橋本は球数がかさみながらも、投げるたびにコントロールの精度は増している印象。非常にタフな投手である。

これに対し、勝利のためにはこれ以上の失点は避けたい天理も長尾が踏ん張る。7回裏には4番稲山にこの日4安打でとなる2塁打(2塁打としても3本目)を浴び、8回裏にはライトの捕球ミスでいずれもスコアリングポジションにランナーを背負う。だが、2年生ながら最後の夏であるかのような気迫あふれる投球で後続をしのぎ、いずれのイニングも無失点。来年の天理も楽しみになるような、一球入魂のピッチングであった。

試合は、鳴門1点リードのまま最終回へ。2アウトを簡単に取られるが、甲子園のナイトゲームは何が起こるかわからない。2番伊藤に対し、鳴門・橋本が急にストライクが入らなくなり、ストレートの四球で1塁へ。さらに、続く3番赤埴は県大会の不調が嘘のようなシャープな打撃でセンターへ打ち返す。逆転のランナーも出塁し、打席には4番永末。しかし、最後は初球のやや甘めのコースに来たボールに力が入ったか、センターへ打ちあがったボールを西村がつかんで試合終了。1点をめぐる白熱の好防を制した鳴門が、天理の追撃をしのぎ切り、2回戦へとコマを進めた。

まとめ

鳴門は試合の入りが非常に苦しかったが、エース橋本の千両役者の活躍で中盤から試合をひっくり返した。特に4回の同点2ランは値千金であり、相手指揮官の継投プランを一瞬で破壊する一打となった。また、投げては中盤以降によく持ち直し、157球で完投。決して、上背に恵まれたわけではないが、豆タンクのようながっしりした体格に詰まったスタミナが、勝利へとつながった。

さらに、下位打線の粘り強さも光ったが、何と言っても大きいのは4番稲山の活躍である。左へ右へ長打を飛ばし、この日は4打数4安打2二塁打の大活躍。とても2年生とは思えない打棒には、強打・鳴門のDNAがしっかり刻み込まれている感があった。強豪同士の接戦を制した勢いを胸に、次戦はV候補・沖縄尚学に挑む。

一方、天理は立ち上がり非常にいい形で試合に入ったが、中盤に生まれた相手エースの一発に飲み込まれる格好となった。それぞれが持ち味を出した投手陣は決して責められるような内容ではなかったが、やはり野球は流れのスポーツなのだと痛感させられるような試合であった。

しかし、選抜からおおきくチームを作りかえてたどり着いた春夏連続出場の価値は高く、この経験は2年生右腕・長尾をはじめとして下級生に引き継がれていくだろう。3年ぶりの甲子園は前回に続いてナイトゲームで散ることとなったが、観衆の大きな拍手が好ゲームであったことを証明していた。来年以降の活躍にまた期待が高まる。

【高校野球 甲子園】 鳴門 vs 天理 壮絶打撃戦!3点差を大逆転! 【全国高等学校野球選手権大会 1回戦 全打席ハイライト】 2025甲子園 8.6

コメント

タイトルとURLをコピーしました