2026年選抜1回戦
滋賀学園vs長崎西
52% 48%
春夏で考えると3年連続の大舞台となる滋賀学園と久々の甲子園となる21世紀枠・長崎西の対戦。ともにディフェンス力の高いチームだが、やはり総合力では滋賀学園が上回るだろう。
滋賀学園の投手陣を守るのは、左腕・土田と右腕・伴田の技巧派コンビだ。ともにキレのある速球と変化球で緩急をつける投球が光り、ストライクゾーンの奥行きで勝負できるのが強みだ。自分たちで試合を壊す心配のない二人であり、8強入りを果たした2024年の投手陣を思い起こさせる。また、奥間と永田の本格派コンビも控えており、彼らの成長次第ではさらなる層の厚さができて継投にもバリエーションが出てくるはずだ。
対する長崎西打線は、上位打線が得点源となる。3番芦塚をはじめとした中軸の打力には一定の自信があるだけに、揚井・大町の1,2番コンビがその前にチャンスを演出したい。どんな投手でも初回の守りではなかなか自分本来のリズムで入るのが難しいだけに、そこで出塁して足でかき回す形を作れれば理想的だ。例えば、バスターエンドランなど、相手の予想の範疇を超えていく攻撃ができるか。目指すのは、昨年の選抜で近畿王者の東洋大姫路打線を慌てさせた、同じ長崎県の壱岐高校のような攻撃になるだろう。
一方、長崎西の投手陣は右本格派の隈と右サイドの坂田の2枚看板で形成する。隈は昨秋の九州大会でも好投したように、一般枠で選出されたチームのエースとそん色ない実力を持つ。140キロ台の速球もさることながら、多彩な変化球をすべてカウント球にも決め球にも使えるのが大きい。相手に的を絞らせない投球で1試合通してマネジメントができる投手と言えるだろう。九州大会では、神宮王者の九州国際大付を相手に5点で踏ん張っており、甲子園でも失点しても最少失点で乗り切る投球ができれば勝利は近づいてくるだろう。
対する滋賀学園打線は、4番吉森が核となる。昨年の選抜も経験した主砲は、長打力・確実性ともにチーム内で群を抜く。チャンスの場面を彼の前に作れれば、勝利は近づく。また、周りを固める打者も簡単に凡退しないしぶとさがある。滋賀学園が勝ち上がる時は打線が滑らかにつながることが多く、犠打や進塁打をきっちりこなしていけるかも重要だ。近畿大会準々決勝では、県大会で敗れていた近江の好投手・近江を執拗に攻めつけ、相手に流れを渡さずにサヨナラ勝ちに結びつけた。甲子園でも同じような戦いを見せたい。
長崎西が勝つとしたら3点以内のロースコアの試合展開になるだろう。それ以外の展開なら滋賀学園が優位か。滋賀学園としては、昨年の選抜で浦和実の好左腕・石戸に牛耳られた経験があり、早めに先制点を取って自分たちのペースを作りたいところだ。
主なOB
滋賀学園…宮城滝太(DeNA)、鈴木蓮(DeNA)、長崎蓮汰(ソフトバンク)
長崎西…草野仁(アナウンサー)、長濱ねる(タレント)
滋賀 長崎
春 1勝 0勝
夏 2勝 0勝
計 3勝 0勝
対戦成績は滋賀県勢が春夏ともに負けなしの3勝となっている。
2017年夏には彦根東と波佐見の公立校対決が開幕戦で実現。彦根東・増居(ヤクルト)、波佐見・隅田(西武)の好左腕対決となったが、彦根東にホームランが飛び出すなど、両チームのパワフルな打線が相手投手を攻めたて、意外にも点の取り合いとなる。しかし、5-4と波佐見が1点リードで迎えた9回裏に彦根東が繋ぐ攻撃で2点を挙げ逆転サヨナラ勝ち!春夏通じて初の勝利を挙げ、学校の歴史に新たな1ページを刻んだ。
2017年選手権1回戦 彦根東vs波佐見(1日目第1試合) | 世界一の甲子園ブログ
一方、2022年選抜では近江と長崎日大が激突。京都国際がコロナ感染の影響で出場辞退となり、近江は急遽の出場であった。
前年夏からエース格の山田(西武)を中心に経験者の多い近江だったが、長崎日大は右腕・種村の好投で近江打線を封じ、2-0とリードして最終回に突入する。しかし、9回表に近江打線がつながり、3番津田・5番岡崎のヒットで1点を返すと、2アウトまで追い込まれながらも女房役の8番大橋が起死回生の同点打!土壇場で試合を振り出しに戻した。その後、延長戦に突入した試合は、13回表に再び近江打線がつながって4点を勝ち越し。苦しい試合をものにした近江は勢いに乗って、この大会で準優勝を飾った。
2022年選抜1回戦 近江vs長崎日大(2日目第2試合) | 世界一の甲子園ブログ
終盤まもつれることが多い両県の対戦。滋賀県勢の4連勝か、長崎勢の初勝利か。結果はいかに。
思い出名勝負
2022年選手権3回戦
海星
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 |
| 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 |
| 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0 | 5 | 0 | × | 7 |
近江
海星 宮原→塚本→向井
近江 山田→星野
2022年の3回戦1日目の最後のカードは、投打で充実した内容を見せる強豪同士の対戦となった。
近江は、3季連続の甲子園出場で、前年夏は4強、選抜では準優勝と着実に成績を積み上げてきていた。特に選抜は、京都国際の出場辞退に伴う緊急招集だったが、エース山田(西武)を中心に快進撃。決勝では大阪桐蔭に前年夏のリベンジを許したものの、滋賀県勢として初めての選抜準優勝を成し遂げることとなった。清谷、中瀬ら巧打者ぞろいの打線も得点力があり、1回戦では好左腕・富田を擁する鳴門を、2回戦は強打の鶴岡東を撃破。試合中盤では苦戦しても終わってみれば大差をつけ、総合力の高さを見せつけていた。
対する海星は、3年ぶりの甲子園出場。高身長の宮原と安定感のある向井という2枚看板を強力打線が支え、夏は久々となる甲子園2勝を挙げた。打線は低く速い打球を放ち、1回戦では日本文理の好右腕・田中(ロッテ)を中盤には攻略。宮原も安定感のある投球で得点を許さず、予想外の大差で1回戦突破を果たした。続く2回戦は天理との伝統校対決となったが、右サイドの好投手・南沢から3回までに毎回の4点を奪取。投げては先発・向井から宮原への継投が決まり、4-2と快勝で3回戦進出を決めた。投打で充実する海星が大会の中で侮れない存在感を示しつつあった。
近江は投打の柱のエース山田、海星は初戦以来の先発となる宮原がそれぞれマウンドに上がった。
1回表、1番河内の難しい三遊間の打球をショート津田→ファースト岡崎の好プレーでアウトにした近江は、山田が初回を3人で片付ける。これに対し、宮原もランナーを一人許したものの、スライダーを軸に近江打線を無失点で片付ける。初回は両投手とも安定した立ち上がりであった。
ところが、わからないもので、2回2アウトから山田が突然乱れる。明らかにボール球が目立つようになり、6番平尾に四球を与えると、海星はすかさずスチールを敢行。得点圏にランナーを進めると、7番牧がアウトコースのスライダーをライトに流し打って1点を先制する。これまで日本文理・田中、天理・南沢と一線級の投手を攻略してきた海星打線。一分の隙も許してはくれない。
これに対し、今大会いまだ失点なしの海星・宮原を近江も攻略にかかる。ここまで絶好調の2番清谷が粘って四球を選ぶと、3番中瀬にエンドランをかける。サード前のぼてぼての当たりとなったが、これがサード田川の悪送球を誘って、スタートを切っていた清谷が一気にホームを駆け抜ける。先制されて嫌な雰囲気の近江だっただけに、相手のミスからもらったこの得点は大きかった。
同点に追いついてもらった山田は中盤に入って徐々にコントロールを取り戻す。逆方向中心に打ち返してくる海星打線に対して、縦の変化球を有効に使って打たせて取っていく。すべての変化球が決め球に使える、この選抜準優勝バッテリーは、広い選択肢を有している。
すると、5回裏、近江は再び好調の2番清谷が結果を残す。先頭の9番小竹が右打ちで出塁すると、犠打で二進。暴投で小竹が3塁まで進むと、清谷は高めの速球をうまくミートしてセンターへはじき返す。センター河内のダイブも及ばず、打球は左中間最深部を転々とする。ランニングホームランを狙った清谷は形成守備陣の中継プレーの前にホームタッチアウトとなるが、近江が大きな勝ち越し点を手にする。
グラウンド整備を終え、試合の流れが変わりやすい6回表を山田は3者連続三振で切って取るが、さすがに海星打線もただでは終わってくれそうにない。7回表、1アウトから5番西村が高めに浮いた変化球をのがさずライトへはじき返すと、続く6番平尾はこれも変化球を拾って、ショート後方へのテキサスヒットを放つ。
終盤にきてギアをあげてきた山田だが、海星打線も威力のある速球をファウルでしのぎ、変化球が甘くなるところを確実にとらえてくる。さすがに今大会注目の好投手を立て続けに攻略してきただけのことはある。しかし、ここからが山田の真骨頂だった。球威抜群の速球をアウトローに突き刺して、当たっている7番牧を見逃し三振に切って取ると、続く代打の切り札・柿本はフルカウントからアウトコースのフォークで空振り三振。大事な場面で研ぎ澄まされた集中力を見せる。
この山田の踏ん張りが再び攻撃のリズムを生み出す。7回裏、近江打線の粘り強い打撃の前に球数が100球を超えた宮原に対し、近江は先頭の8番大橋がショートゴロエラーで出塁。海星にとっては痛い形でランナーが出る。犠打で二進後、2アウトとなるが、当たっている清谷がこれも巧みなミートで内野安打を放つ。さすがの宮原も疲れから制球が乱れ始め、3番中瀬には四球を与えて2アウト満塁となる。
続くはもちろん4番山田。最も嫌な場面で最も嫌な打者を迎えた海星バッテリーは、慎重にならざるを得ず、初球、2球とボールが外れる。カウント0-2となり、バッターサイドもストライクを狙いにいくことはわかっているが、バッテリーとしても3ボールは避けたい。たまらず得意のスライダーでカウントを整えにいったところを、山田がここぞとばかりにフルスイング。打球はレフトスタンドへ飛び込む満塁弾となって試合は決した。
この回、さらに1点を追加した近江は今後も見据えて、8回から左腕・星野をマウンドへ送る。緊張からか制球が乱れるが、決め球のチェンジアップはさすがに緩急が効いており、大事な場面で海星の打者から空振りを奪う。8回、9回と複数ランナーを出すが、最後は8番井坂をサードライナーに打ち取ってゲームセット。近江が会心の内容で勝利をおさめ、ベスト8進出を決めた。
2回戦は鶴岡東打線の前に苦しい内容となった山田だったが、この日は中盤以降しっかりボールを制御できているように見受けられた。ボールのコントロールがついているがゆえに、粘り強い海星打線に対してしっかり打者を見ながら勝負して適切な球種を選択することができていた。打っても7回のチャンスで自身初となる満塁弾を放つ活躍ぶり。まさに千両役者といった感じであった。
また、打線も1番津田にやや当たりが止まっていたが、2番清谷がそれを補って余りある活躍を見せ、得点力を保っていた。守っては横田の離脱でポジションが変更しながらも、それを全く感じさせない堅守を見せ、ピンチの芽を摘み取る展開に。過去の滋賀県のチームの中でも、投攻守に最も完成度が高いのではと思わせたチームが、その強さを見せた試合となった。
一方、海星は山田のグランドスラムの前に散ってしまったが、こちらも投攻守に充実した素晴らしいチームであった。特に日本文理の田中、天理の南沢とタイプの違う好投手を立て続けに攻略した打線は、センター中心に低く強い打球を打ち続け、高校生のお手本と呼べる打撃を披露した。宮原・向井の好右腕2人を内外野の堅守で支えたディフェンス面もスキがなく、ここで近江と当たらなければもっと上にいっていても何ら不思議でなかった。
2002年夏に就任直後で甲子園出場を決めた加藤監督だったが、その後10年ほどはなかなか勝ち上がれない苦しい時期があった。しかし、ここ数年の躍進で、今や海星は長崎でも一番手、二番手に上がるチームになったと言えるだろう。まだ夏の優勝のない長崎県にはじめて真紅の優勝旗を持ち帰るのは、伝統校・海星になるのかもしれない。
ドラマは終盤に待っていた!ベスト8へ駒を進めるのは高校通算26本塁打のスラッガー擁する海星か⁉︎プロ注目の“二刀流”山田投手擁する近江か⁉︎近江vs海星 [第104回 全国高校野球選手権 3回戦]


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