智辯和歌山の前に立ちはだかった好投手列伝 3/4

コラム

智辯和歌山の前に立ちはだかった好投手列伝 1/4 – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

智辯和歌山の前に立ちはだかった好投手列伝 2/4 – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

智辯和歌山の前に立ちはだかった好投手列伝 4/4 – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

大会通算100安打、大会通算11ホームラン、大会最高打率を残した2000年夏をはじめとして数々の強打のチームで甲子園を沸かせてきた智辯和歌山。

しかし、強打のチームが好投手との対戦を引き寄せるのか、はたまたその逆か、これまで強打・智辯の前にあまたの好投手たちが立ちはだかり、打倒・智辯和歌山を果たしてきた。今回は、その好投手を順にご紹介したい。

2008年選抜 準々決勝 東洋大姫路 2-0 智辯和歌山

智辯和歌山

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
0 0 1 0 0 0 0 1 × 2

東洋大姫路

佐藤翔太(東洋大姫路)

名門・東洋大姫路のエースで4番で主将と3役を担い、前年秋には近畿大会を制覇していた佐藤翔太。大会を代表する絶対的エースとして乗り込んだ甲子園では初戦の一関学院戦はソロホームランのみの1失点完投、2回戦の八頭線はわずか2安打で完封とその実力をいかんなく発揮していた。そして、迎えた準々決勝は3番勝谷、4番坂口(巨人)を中心とする強打の智辯和歌山。関西を代表する強豪同士の「鉾盾」対決となったが、軍配は佐藤に挙がった。6安打を浴びながらも、ピンチでのギアチェンジとボール半個分の出し入れのできる制球力で智辯打線を分断。4番坂口には4打数ノーヒットと全く仕事をさせず、2-0で完封勝利を収めた。2001年夏から2011年夏までで、出場5大会連続で2勝以上と「守り」の東洋大姫路の安定感が光る。近年は新興勢力に押され気味だが、オールドファンはその帰還を待っている。

2008年選抜 智弁和歌山対東洋大姫路 – YouTube

【好投手列伝】兵庫県篇記憶に残る平成の名投手 3/4 – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

 

2009年夏 3回戦 都城商 4-1 智辯和歌山

都城商

1 2 3 4 5 6 7 8 9
3 0 0 1 0 0 0 0 0 4
1 0 0 0 0 0 0 0 0 1

智辯和歌山

新西貴利(都城商)

九州が誇る屈指の剛腕・新西貴利が最後の夏に甲子園でうなりを上げた。県大会までは左腕・藤本との2枚看板の印象だったが、甲子園では完全にエースとして仁王立ち。初戦は県大会で4試合連続1点差勝利とくせ者ぶりを発揮していた聖望学園を相手に初回の4点の援護をうまく活用して8回まで1失点の好投。2回戦は長打力の光る三重を相手にホームランこそ許したものの、単発の8安打に封じ、3失点で甲子園初完投を収めた。迎えた3回戦は、「夏の申し子」と謳われた智辯和歌山のエース左腕・岡田(中日)が相手。しかし、この試合も初回に打線が3点を援護すると、新西がプロ注目のエースを相手に完ぺきな投球を展開。アウトローに突き刺さるストレートを軸に、西川(日本ハム)らを擁した智辯和歌山打線を全く寄せ付けずに1失点完投勝利を収めた。この年の都城商は近年の公立校の中でも屈指の実力校と言って差し支えないチームであった。

⚾【平成21年】2009.3回戦 都城商 vs.智弁和歌山【高校野球】 – YouTube

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2010年選抜 2回戦 興南 7-2 智辯和歌山

智辯和歌山

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 1 0 1 0 0 0 0 0 2
0 1 0 0 3 0 0 3 × 7

興南

島袋洋奨(興南→ソフトバンク)

2010年の高校球界の主役となった島袋洋奨。しかし、前年は選抜は19三振を奪いながら延長戦で敗退、今宮(ソフトバンク)擁する明豊を相手に3点のリードを奪いながらも逆転前と悔しさを味わっていた。迎えた初戦は実力校の関西を相手に島袋が10安打を浴びながらも1失点完投して、念願の甲子園初勝利を挙げていた。しかし、この段階では正直言って興南が勝ち上がる気配はまだそんなに感じ取れなかった。その実力が確信に変わったのが2回戦の智辯和歌山戦だった。3番西川(日本ハム)、4番山本を中心とする強力打線を相手に2失点完投。島袋特有のプレートの3塁側を踏んで投じる左打者のインコースへのストレートが冴え、西川には2四球を与えながらも無安打に封じると、4番山本は低めの変化球を武器になんと5打席連続三振を奪い、相手打線の「核」を完全に封じ込めた。

この1戦で勢いに乗った興南はその後、帝京・大垣日大・日大三を次々に撃破。Vロードを一気に駆け抜けることとなる。

島袋洋奨vs西川遥輝 興南×智弁和歌山 2010年 春のセンバツ 高校野球 – YouTube

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大会No.1投手(2010年夏) 島袋洋奨(興南) – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

 

2010年夏 1回戦 成田 2-1 智辯和歌山

智辯和歌山

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 0 0 0 0 1 0 0 0 1
0 0 0 0 2 0 0 0 × 2

成田

中川諒(成田)

県大会準決勝で好捕手・山下斐(楽天)擁する習志野を、決勝で好投手・長友の率いる東海大望洋をそれぞれ接戦で競り落とした成田。エース中川諒は140キロ台の速球とスライダーを武器とする本格派だったが、初戦の相手はなんと強打・智辯和歌山であった。中川の実力に疑いの余地はなかったが、オーソドックスなタイプと思われ、本格派を得意とする智辯和歌山には分が悪いかと思われた。

しかし、初回から抜群の制球力とストレートの「キレ」で智辯打線を翻弄。特に自ら自信を示していたボールの「キレ」は抜群で初速と終速の差が少ないボールを前に3番西川(日本ハム)をはじめとする経験豊富な智辯の各打者も苦しんだ。そして、右スリークオーターにありがちなシュート回転する抜け球も中川の場合は腕の振りがよいため、インハイ付近まで抜け、甘いボールとはならなかった。すべてにおいて想定外のスペックを見せた中川が智辯打線を1失点に封じ、この大会一気に4強入りするシンデレラボーイとなった。

高校野球中継 智弁和歌山(和歌山) 対 成田(千葉) – YouTube

【好投手列伝】千葉県篇記憶に残る平成の名投手 3/3 – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

 

2011年選抜 準々決勝 履正社 10-3 智辯和歌山

履正社

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 0 0 1 7 0 0 0 2 10
0 0 0 0 2 0 0 1 0 3

智辯和歌山

飯塚孝史(履正社)

前年から2季連続の甲子園出場となっていた履正社。3番山田(ヤクルト)は抜けたものの、2年生だったメンバーがほとんど残っていたチームは秋の近畿大会で準優勝し、満を持して選抜で上位進出を狙っていた。そのチームを率いるエース飯塚孝史は2年生の春季大会で3回までのアウト9つをすべて三振で取る圧巻の投球でブレークを果たすと、夏はエースとして一本立ちしてチームを甲子園に導いていた。秋以降は絶対的な存在になっていったが、球威を増すために冬場の腕の振り出し位置を上げたことで、少し身体を痛めていた。迎えた甲子園は初戦を左腕・渡辺に譲ったが、2回戦は溝脇(中日)、萩原らを擁した強打の九州学院を2点に抑え、貫禄の投球を見せた。

そして、準々決勝は智辯和歌山と激突。過去、何度も近畿大会で対戦した相手と甲子園のベスト8でぶつかることとなったが、結果は履正社が完勝。打線が一挙8得点のビッグイニングを作ると、飯塚は被安打こそ多かったが、多彩な球種を活かす坂本(阪神)の好リードもあって、智辯打線を相手に3失点完投勝ち。過去の大会で2勝以上が挙げられなかった履正社に初の4強入りをもたらす、3勝目を記録したのだった。

第90回選抜高校野球大会 準々決勝 履正社×智弁和歌山 – YouTube

(↑ 第83回大会です)

【好投手列伝】大阪府篇記憶に残る平成の名投手 4/5 – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

 

2011年夏 3回戦 日大三 6-4 智辯和歌山

智辯和歌山

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 0 1 0 1 0 2 0 0 4
3 2 0 0 0 0 0 1 × 6

日大三

吉永健太郎(日大三)

夏の大会で全国制覇を果たすことになる日大三のエース・吉永健太郎。強打が注目されがちだったが、吉永の好投あってこその日大三の強さであった。しかし、初戦の日本文理戦でまめをつぶして本調子ではなく、2回戦の開星戦は15安打8失点。白根(ソフトバンク)、らの強打の前にたじたじであった。そして、迎えた3回戦は智辯和歌山とのV候補対決。前の試合の投球内容もあって不安視されていたが、この試合は力が抜けたか、序盤から丁寧な投球で序盤の5点のリードを守る。中盤以降は徐々に追い上げられるが、自慢のシンカーで智辯の主力の左打者を封じ、4失点完投勝ち。試合後の記者から、「むしろ今日の吉永からよく智辯和歌山は4得点もしたよ」と絶賛されるほどの投球を見せ、10年ぶりの優勝に大きな弾みをつける試合となった。

[熱闘甲子園2011]智弁和歌山対日大三 – YouTube

日大三vs開星 2011年夏 – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

日大三vs明徳義塾 2011年選抜 – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

【好投手列伝】東京都篇記憶に残る平成の名投手 5/5 – 世界一の甲子園ブログ (kosien.jp)

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