2019年選手権2回戦 東海大相模vs近江(6日目第2試合)

2019年

大会6日目第2試合

東海大相模

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 0 0 1 1 3 0 0 1 6
0 0 0 0 0 0 0 1 0 1

近江

 

東海大相模  遠藤→野口→紫藤

近江     林

春の関東王者と近畿王者が激突した好カードは東海大相模がアグレッシブベースボールで近江の好左腕・を攻略。強豪対決を制し、3回戦へコマを進めた。

試合

東海大相模は夏は優勝した2015年以来の出場。ここ3年間はライバル横浜の後塵を拝していたが、今年は覇権を奪回した。神奈川大会決勝で24得点をたたき出した打線は破壊力抜群。鵜沼山村西川と才能豊かな2年生のわきを井上遠藤(阪神)ら主力の3年生が固め、ヒットのほぼ半数が長打。足も絡めた攻撃で一気に主導権を握る。投手陣は絶対的エースは不在だが、枚数は豊富。継投で相手にリズムを与えず、自慢の攻撃力で一気に突き放したい。

 

対する近江は昨夏を経験した有馬の黄金バッテリーが健在。巧みな配球に加え、伝家の宝刀チェンジアップも交え、滋賀大会ではは失点ゼロで勝ち上がった。打線は昨年大会最高打率をマークした3番住谷を中心に巧打者が並び、長打は少なくとも得点力は高い。昨年サヨナラ2ランスクイズで敗れた悔しさをばねに滋賀県勢初優勝を目指す。

 

立ち上がり、はほれぼれするようなピッチングを展開する。内外角の低めを丁寧に突き、ストライク先行の投球で凡打の山を築く。有馬の好リードも冴え、序盤3回はエラーのランナーを一人出しただけ。経験を十分に活かした投球で東海大相模打線に付け入るスキを与えない。

 

近江にとって誤算だったのは東海大相模の先発・遠藤のピッチングだろう。東海大相模の投手陣はほとんどが技巧派対応の中で、唯一といってもいい本格派の遠藤がストレート主体の力の投球で近江打線を抑え込む。あるいは技巧派を想定していたかもしれない近江打線が力のあるボールに差し込まれ、が好投していた序盤に先制点をもぎ取ることができない。

 

0-0で3回を終えたが、流れは徐々に相模に傾き始める。4回表に四球で出たランナーを2塁へ進めると、堅守を誇るショートの土田がショートゴロを後逸してしまい、先制点を献上。さらに5回表には2塁打で出塁した6番遠藤を2塁において、8番松本がエンドランを敢行する。これが的中し、打球がレフトに届くころには遠藤はホーム目前であった。

 

点差は2点だったが、球場の空気は完全に相模のものになっていた。経験豊富な近江の面々にとって、東海大相模の走塁の圧力が想定以上に重くのしかかっていた。かつて数多くの強豪を苦しめた相模のアグレッシブベースボールが近江バッテリーの前に立ちはだかった。そして、それ以上に大きかったのは決して自信のなかったわけではない打線が相模の遠藤の投球の前に完全に封じ込められてしまったことだ。

 

そして、6回に入ると近江の守備陣が完全に瓦解する。先頭の2番井上のセカンドゴロを見市が悪送球すると、3番西川の犠打はキャッチャーフライとなるが、1塁ランナーがタッチアップで2塁を陥れる。ミスを好走塁で挽回すると、4番山村のタイムリー、5番金城のサードゴロエラー、7番本間のタイムリーと畳みかけて3点を追加。相模打線は中盤以降、のボールにきっちりアジャストし、狙い球を絞って迷いなく振り抜き、攻略した。

 

近江にとっては滋賀大会無失策の守備陣がまさかの6エラー。しかもそのうちの5エラーを昨年の経験者の土田有馬見市が記録してしまった。チームに底知れぬ動揺が走ってしまったことは想像に難くない。ディフェンス主体のチームが自分たちの強みを完全につぶされてしまった。

 

なんとか一矢報いたい近江は8回裏、2番手の野口から四球と3番住谷のヒットで満塁のチャンスをつかむと、4番有馬が押し出しの四球を選んで1点を返す。しかし、続く5番板坂は三振に倒れ、追加点は奪えなかった。

 

最終回にも1点を加えた東海大相模は3番手の紫藤が最後を締めてゲームセット。相模らしさ全開の勝利で近江ブルーを飲み込み、東西強豪対決をものにした。

まとめ

東海大相模は強力打線に目を奪われがちであったが、この試合ではとにかく走塁による「圧」で相手を押しつぶした印象が強かった。ランナー2塁からのエンドランに送球間の進塁など、前へ攻める走塁で近江守備陣に有形無形のプレッシャーをかけ続けた。おそらくここまでの圧力は近江も経験がなかったのだろう。投げては県大会で登板機会の少なかった遠藤が7回無失点の力投。まさに会心の試合運びで勝ちをもぎ取った。

 

一方、近江にとっては何とも悔しい敗戦になっただろう。序盤3回は無失点で立ち上がったが、中盤以降ミスが誘発されたことを考えると、初回からしっかりプレッシャーはかかっていたのだろう。は被安打はわずか6.チーム打率4割近い相模打線を相手によく奮闘したが、それ以外の部分で攻略された印象が強かった。多賀監督も自信を持っていた好チームであったが、全国の壁に改めてぶつかった印象の試合であった。

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コメント

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