大会10日目第1試合
沖縄尚学
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 |
| 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 4 | 0 | 5 |
| 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 |
創成館
沖縄尚学 東恩納
創成館 福盛→永本→川田→荻山

ベスト8一番乗りを決める九州対決は両先発投手の好投で、息詰まる投手戦となった。終盤に創成館投手陣を攻略した沖縄尚学が、エース東恩納の2試合連続となる完投勝利で難敵を退け、2014年以来9年ぶりの8強進出を決めた。
試合
沖縄尚学は初戦でいなべ総合打線を完封したエース右腕・東恩納がもちろん先発。沖縄大会からいまだ無失点投球を継続中だ。一方、創成館も初戦と同様に右腕・福盛を先発に持ってきた。
ともに好投手を擁する両チームだが、1回表裏から双方ランナーを出す展開になる。互いに相手投手がコントロールがいいとわかっているためか、カウント球は積極的に打っていった。沖縄尚学が2アウトから3番玉那覇、4番仲田の連打でチャンスメークすれば、創成館も1番川崎のヒットと4番永本の四球で複数ランナーをため、相手に重圧をかけていく。
2回に入っても荒れた展開は収まらず、沖縄尚学は先頭の6番東恩納が1,2塁間への打球を放つと、セカンド下川がよく捕球して投げたが、1塁への送球がそれる。さらに7番宮平が死球で繋ぐと、犠打で1アウト2,3塁に。創成館としては無失点投球を続ける相手に対して、先制点は絶対に与えなくない。ここで9番大城和にはカーブを打たせて3塁ゴロに抑えると、1番知花にも死球を与えて満塁となるが、2番佐野はスライダーで詰まらせてセカンドゴロに封じる。緩急を駆使しながら、変化球をうまく打たせていった。
すると、ここから徐々に試合が落ち着き始める。東恩納も2回裏に7番山下にライト前ヒットは許すが、キレ・球威・コントロールともに自信があるため、ストライク先行の投球で追い込んでいく。これに対し、1,2回とかなる球数を使った福盛もだいぶ落ち着きを取り戻したのか、緩急自在の投球で3回、4回を無失点でしのいでいく。
創成館としては、投手戦が続いているのは想定内だが、その中で是が非でも先取点が欲しいところ。
4回裏、1アウトから5番向段がストレートを巧みなミートでレフトへ流し打つ。続く6番馬渡に対し、稙田監督は積極的にエンドランを敢行。コントロールのいい東恩納に対し、待っていても追い込まれるだけだからだ。ファウルで2ストライクと追い込まれるが、アウトコースのスライダーが高めに浮いたところを逃さずライト前へ。ベンチのかけた重圧が、無失点エースのコントロールを少し狂わせたか。しかし、続く7番山下、8番下川に対してはギアを上げ、インコースも厳しく攻める投球で得点を奪えない。
5回も、両チームともヒットのランナーを出すものの、得点はならず。互いに堅守で投手を援護し、0-0で試合は後半戦に突入する。
さらにグランド整備後の6回になっても得点はなし。沖尚打線は福盛のカーブに、創成館打線は東恩納のスライダーにタイミングを合わせることができない。ストライクゾーンから逃げていくコースに確実に投じるコントロールも持っており、また、早打ちが多いこともあって両投手とも球数少なく、6回を投げ切って見せた。
こうなると、先制点の占める比重は回が進むたびに重くなっていく。0が並ぶ重苦しい展開。しかし、7回表についに沖縄尚学がその状況を打破していく。それも2アウトランナーなしからである。この回、下位打線が連続で内野ゴロ。内野陣の堅守もあって、牙城は崩れないかと思われた。
ところが、9番大城和がアウトコース低めのスライダーをうまくとらえてレフトへのヒットを放つと、続く1番知花が大仕事をやってのける。創成館バッテリーは初球、低めのカーブを投じる慎重な入り。その後もカーブ主体の投球で追い込むが、知花もファウルで粘っていく。そして、カウント2-1からの7球目、アウトコース低めのカーブがバットの届くコースに来たところを逃さなかった。体勢を崩しながらとらえた打球は、左中間を真っ二つ。1塁から大城和が一気にホームを駆け抜け、沖縄尚学が貴重な先制点を手にした。創成館バッテリーの配球もある程度読み切っての狙い撃ちであった。
すると、6回あたりから流れを引き寄せるべくギアを上げた東恩納が、リードをもらった直後の創成館の攻撃を簡単に3者凡退で打ち取る。試合の機微を読んだエースの見事な投球である。
リードを許した創成館は、8回表から予定通り、右腕・永本へと継投に入る。長崎大会から甲子園初戦へと貫いてきた戦い。決して間違いではないし、7回から福盛のカーブに合い始めていたのも事実だった。しかし、この継投が結果的には沖尚打線に火をつけることとなる。
8回表、3番玉那覇が永本の緩い変化球をしっかり引き付けてセンターへ。このあたりは、福盛のボールを見てきたこともあり、緩急に慣れ始めていたか。4番仲田は警戒して四球となり、犠打で1アウト2,3塁に。6番東恩納は敬遠するも、7番宮平をキャッチャーフライに打ち取り、なんとか2アウトまでこぎつける。しかし、続く8番糸数に対し、途中までは低めを丹念についていくが、最後は力が入ったか、ストレートが高めに浮いて押し出しの四球に。大きな大きな1点が沖縄尚学のスコアボードに刻まれた。
さらに、満塁は続き、打席には9番大城和。先ほど先制点に繋がるヒットを放ち、乗っている女房役は2ストライクを追い込まれながらもファウルで粘っていく。すると、永本のスライダーが高めに浮いたところを逃さずとらえた打球は、背走するセンターとライトの間を抜けるタイムリー2塁打となり、塁上のランナーを一掃!試合の趨勢を決定づける3点を追加し、5-0と大きくリードを広げた。
なんとか反撃したい創成館。東恩納を相手に5点は絶望的な点差だったが、あきらめない気持ちが無失点エースの記録をついに止めることとなる。先頭の1番川崎がアウトコースのストレートをしっかりミートしてセンターへヒット。強い気持ちの見える打撃でチームを鼓舞すると、内野ゴロで2塁へ。すると、2アウト後、先ほど追加点を許してしまった4番永本がインサイドの速球を引っ張って1,2塁を突破。東恩納の無失点の牙城をついに打ち破り、意地の1点を刻みこんだ。やられたらやり返す、そんな気持ちの出た打撃だった。
しかし、東恩納も失点はしたが、その後の落ち着きぶりはさすがである。5-1のスコアのまま試合は、最終9回裏へ。焦りもある創成館打線を手玉に取るように、変化球主体の投球で先頭を三振に取る。その後は、アウトコースの速球主体の力攻め。相手打者の心理を手玉に取るような見事な配球、コントロール、そしてボール自体の精度である。無失点投球はとまったものの、最後まで自分のペースは崩さずに1失点での完投勝ち。沖縄尚学が完勝で九州対決を制し、選抜ではあと一歩で逃したベスト8入りを決めた試合となった。
まとめ
沖縄尚学は、エース東恩納を中心に守り勝った試合ではあったが、終盤に見せた打線の集中力も見事だった。相手エース福盛の変化球をきっちり仕留めた1番知花のタイムリー、継投で生じた隙を逃さなかった集中打と、打でエースを援護できなかった選抜から成長した姿を見せた。また、東恩納はこの日も安定感抜群の投球で完投勝ち。初失点は喫したものの、与えた四球はわずか1つとコントロールの良さが際立っていた。今大会でも指折りの好投手である。
投打ともに充実した内容を見せたこの日の1勝で、同校の夏最高成績となる8強入りを達成。昨秋の九州王者がその強さを見せつけた試合であった。
一方、創成館も敗れはしたが、このテンポのいい守りあいを生み出したのは間違いなく彼らのディフェンス力の高さであった。福盛はカーブを有効に使い、7回1失点と好投。緩いボールを使うのは通常は怖いのだが、彼のコントロールもまた、その怖さを払拭できるだけの確かな技術を裏付けるものであった。内外野も堅守で投手陣を支え、2回の失策1つあっただけで、失点につながるものはなし。「守りの創成館」はこの年も健在であることを証明する戦いぶりであった。


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