2023年選手権3回戦 花巻東vs智辯学園(11日目第2試合)

2023年

大会11日目第2試合

花巻東

1 2 3 4 5 6 7 8 9
2 0 1 1 0 1 0 0 0 5
0 1 0 0 0 1 0 0 0 2

智辯学園

 

花巻東     葛西→中屋敷

智辯学園    藤田→田中→楢林→中山

第1試合に続いて「東北勢vs近畿勢」となったカードは、花巻東の2年生左腕・葛西が好投。2試合で19得点をたたき出していた智辯学園打線を9回途中まで2点に抑えすと、打線も16安打の猛攻で智辯学園投手陣を圧倒し、2013年以来となるベスト8進出を決めた。

試合

花巻東は1回戦で9回に3分の1イニングを投じた左腕・葛西が先発。左の強打者が並ぶ智辯学園打線を想定してのことだろう。一方、智辯学園は右サイドの藤田がマウンドへ。エース中山の負担を少しでも減らす目的だ。春以降急成長した藤田だったが、県大会では思うような投球ができず、1回戦でも1回を投げて2失点。この試合で本領発揮といきたいところだ。

1,2回戦で計6得点と大当たりの印象はない花巻東だが、各打者の振りはシャープだ。立ち上がり、リベンジを期す藤田にいきなり襲い掛かる。1番久慈がフルカウントから真ん中寄りの速球をとらえて、センターへヒット。藤田も一球一球腕の振り出し位置を変えるなど、工夫するが、ボールの見えやすい左打者とあって相性はあまり良くない。花巻東も3番佐々木麟を筆頭に左の好打者が多いのだが、それを考慮しても先発に持ってこないといけないところに智辯学園サイドの苦しさを感じさせる。

2番熊谷はインサイドの速球で三振にとるが、佐々木麟には打ち取ったあたりにも関わらず、飛んだコースがよく、三遊間を破られる。4番北條は四球でつなぎ、1アウト満塁となると、試合前にカギを握ると言われた右打者が仕事を果たす。5番主将の千葉は前の試合で終盤に大会初安打となるタイムリーを放ち、乗っている打者。2ストライクと追い込まれながらもインコースを突いた速球がわずかに甘くなるところを逃さずとらえると、打球はレフトオーバーの2点タイムリー2塁打を放つ。智辯学園バッテリーとしては思い切ってついたインサイドだったが、千葉のパワーが上回った。

ただ、智辯学園もその後、2アウトから7番堀川の放ったレフトへの痛烈な打球を川原崎が好捕。抜ければ2点追加もありうる場面だっただけに、大きなプレーである。藤田も1アウト2,3塁からのピンチをよくしのいだ。

その裏、花巻東のマウンドには2年生左腕の葛西。1回戦でも登板していたが、投球練習を見た智辯学園の打者陣は面食らったはずだ。試合前日に佐々木監督のアドバイスで肘の位置を下げ、もともとスリークオーター気味だったところから、なんとサイドハンドになっていたのだ。先頭はいきなり強打者の1番松本が相手だったが、インサイドを大胆に突く投球を見せ、最後はスライダーで打たせて取る。その後、3番中山にヒットは許したものの、後続を封じて無失点スタート。初回の攻防は花巻東が制す。

流れを取り戻したい智辯学園は、2回表を藤田が3人片付け、復調の気配を見せる。すると、直後の2回裏、7番川原崎がサードへの内野安打を放ち、盗塁で2塁を奪うと、8番高良がセンターへのタイムリーを放って1点を返す。ところが、ここで小阪監督は9番藤田の打席で代打・砥出を送る。立ち直りかけていた藤田を交代させ、智辯学園が2回で早くも総力戦の構えを見せる。ここで打席には強打の1番松本。その松本はインサイドの速球を完ぺきにとらえ、打球はホームラン性の当たりで飛んでいく。しかし、浜風に押し戻されて、フェンス手前でライトがキャッチ。このあたりは、智辯に少しツキがなかったか。

智辯は3回から1年生右腕の田中をマウンドへ。初戦の英明戦以来となる登板だ。智辯学園としては2回戦でロングリリーフの中山を、この段階で出すことはしたくない。

田中は、先頭の2番熊谷をフォークで三振に切って取るが、続くは全国屈指の強打者・佐々木麟。インサイドの速球をとらえた打球は、ものすごいスピードでセンターへ抜けていく。さらに、4番北條のショートへの当たりを中山がはじいてしまい、1,2塁となってしまう。おあつらえ向きの併殺コースだっただけに、ショックが残る。これを試合巧者の花巻東が逃すはずがなく。先制打の5番千葉が第1打席に続いて、レフトへタイムリー2塁打。初回と同じようなインサイドの速球をとらえての打撃。強打・智辯のお株を奪うような攻撃で、貴重な追加点を奪う。

直後の3回裏、智辯学園の3番中山のセンターに抜けようかという打球をショート熊谷が二塁ベースの近くでつかめば(結果は送球がそれて内野安打)、4番山崎のライトフライもライト久慈の好ポジショニングでアウトにする。バッテリーの配球と守備位置が連動し、智辯学園の打球を確実に摘み取っていく。このあたり、よほど試合前から研究してきたのだろう。流れは徐々に、徐々に花巻東に傾いていく。

まずは0のイニングを作りたい智辯学園だが、7失策を記録してしまった2回戦に続き、この試合も守りでリズムを作れない。4回表、2アウトランナーなしから9番小林を死球で出すと、1番久慈のファーストを強襲した打球は、セカンド・センター・ライトの中間地帯へと転がっていく。この間に、小林は好判断で一気にホーム突入。貴重な4点目を手にする。「守備」の差が、両者の明暗を分け、4-1と花巻東リードで試合は後半戦へ突入する。

智辯学園は5回から3番手で田中と同じく1年生の右腕・楢林を送るが、一度火のついた花巻東打線を相手に防戦一方となる。得点にこそつながらなかったが、5回にも4番北條・5番千葉の連打でチャンスメーク。智辯バッテリーに落ち着くイニングを与えない。グランド整備明けの6回には、2アウトランナーなしから1番久慈、2番熊谷がいずれも速球をシャープに打ち返して、1,2塁となると、打席には3番佐々木麟。初球のストレートをとらえた打球は、楢林の背後を凄いスピードで通過して再びセンターへ。相手に恐怖を与えるほどの打球を放ち、タイムリーとなって5点目をたたき出した。

一方、初回からランナーは出すものの、5回まで7安打で1点の智辯打線。ここまで葛西の内外を広く使った投球に要所を抑えられていたが、6回にようやく反撃が実る。先頭の5番池下が高めのボールをきっちりとらえてセンターへのヒットを放つと、内野ゴロの間に2塁へ。ここで当たっている7番川原崎がインサイドのスライダーをうまく拾ってセンターへ落とすタイムリー!難しいコースのボールだったが、うまくボールの曲がる軌道にバットを入れた。

3点差に追い上げた智辯学園は7回からついにエース中山がマウンドへ。しかし、2回戦でロングリリーフした影響か、さすがに球威・スピードともいつもの彼のものではない。代わり端、いきなり4番北條に2塁打を浴びたように、9回まで毎回複数安打を浴び、ピンチを招く。しかし、元来球威で押すより、コーナーワークで抑えるタイプであり、ランナーを複数背負っても、勝負所でコースを間違えなかった。7回からの3イニングを無失点に抑え、味方打線の反撃を待った。また、7回のセカンド山崎の好プレーに代表されるように、終盤にきてようやく堅守が蘇ってきた感もあった。

ただ、この終盤の花巻東の攻めの姿勢が、相手に行きかけた流れをせき止めたとも言える。7回裏、先頭の1番松本がヒットを放ち、犠打で2塁へ進む。ここにきて、葛西のスライダーに対し、左打者が対応できるようになってきていた。しかし、3番中山、4番山崎の中軸がいずれもいい当たりを放ったのだが、センター廣内の好プレーの前にヒットにならず。花巻東守備陣のポジショニングの妙もあったが、素晴らしいプレーで反撃の芽を摘み取った。

葛西は結局、9回途中まで実に10安打を浴びたが、失点は2。最後は2死球を与えてマウンドを右サイドの中屋敷に譲ったが、佐々木監督の想定を大幅に上回る投球回数で試合を作った。この試合の立役者は間違いなく彼だっただろう。

そして、代わった中屋敷は、これで3試合連続の最終回のマウンド。変則の右サイドから投じるキレのあるボールで2番山家をピッチャーゴロに打ち取る。最後は、ここまで打率4割を超す好打者・中山に対し、果敢にインサイドを攻め切り、ファーストゴロに打ち取って試合終了!花巻東が会心の試合運びで智辯学園を制し、2013年以来となる夏8強入りをつかみ取った。

まとめ

花巻東は4本の2塁打を含む16安打を智辯学園投手陣に浴びせ、2回と4回以外はすべて複数安打を放つ猛攻を見せた。1,2回戦を見ると、変則投手の前に少し打線が湿りがちな部分もあったが、この日は割とオーソドックスな右腕が相手。2本のタイムリー2塁打を放った5番千葉を始め、本来の打棒が爆発した印象だった。

そして、なんといっても素晴らしかったのは、左腕・葛西の好投。球速は決して目を見張るものはないが、強打者の並ぶ智辯学園打線に的を絞らせず、ストライクゾーンの横幅と奥行きを使った投球で翻弄してみせた。また、バックも堅守で葛西を援護し、この日も無失策で完遂。投攻守に鍛えられた東北の雄が、骨のある相手ばかりではあったが、3つきっちり勝ち抜いて厳しいブロックの勝者となった。

一方、智辯学園は、エース中山以外の投手力に不安を抱えていたところが明るみにでる結果となった。先発・藤田は果敢にインサイドを攻めたのだが、少しコースが甘くなると花巻東打線に長打を浴び、先行を許してしまった。5失点という結果だったが、上述の通り16安打を浴びており、むしろよく5点で済んだと言ってもいいほど、花巻東の打棒が圧倒した印象だった。

また、想定外だったのはやはり打線が2点に封じられたことであり、試合前に小阪監督が7点は取りたいと意気込んでいたが、序盤にリードを許したことで、少し焦りも募る展開になってしまった。1,2回戦と持ち味の打力で苦境を打開し、「打の智辯」たる所以を存分に示した大会だったが、この日は試合巧者を相手にリズムを掴ませてもらえず。3回戦で聖地を後にした。

【高校野球 甲子園 完全ハイライト】近畿勢最後の1校となった智辯学園、怪物・佐々木麟太郎擁する花巻東と注目のカード!【3回戦  智辯学園 vs 花巻東】2023.8.17 – YouTube

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