2024年選手権準決勝 関東一vs神村学園(13日目第1試合)

2024年

大会13日目第1試合

神村学園

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 0 0 1 0 0 0 0 0 1
0 0 0 0 0 0 2 0 × 2

関東一

 

神村学園    今村

関東一     大後→坂井

甲子園をよく知る常連校同士のセミファイナルは1点を争う好ゲームに。終盤に好守備が飛び出した関東一が神村学園の追撃を振り切り、夏は初めてとなる決勝進出を決めた。

試合

神村学園は準々決勝で4回途中で降板したエース左腕・今村が2試合連続で先発マウンドへ。一方、関東一は今大会初登板となる右腕・大後をスターターに指名した。

関東一の大後は、最後の登板が東東京大会の準々決勝であり、夏の甲子園ではもちろん初登板となる。だが、畠中坂井の左右2枚看板の陰に隠れながらも、待ちわびた聖地のマウンドでもあった。立ち上がり、いきなり1番増田に四球を与えるが、丁寧な投球で後続を打たせて取り、バックの堅守もあって無失点で立ち上がる。

一方、前の試合で乱調だった神村の今村はこの日は別人のような投球内容に。速球・カーブともに低めに制球できており、チェンジアップでの緩急も交えながら、巧打者ぞろいの関東一打線を淡々と打ち取っていく。試合前には不安を抱いていたであろう小田監督も一安心のピッチングとなる。

序盤は0-0の投手戦で推移。両先発投手の好投はもちろんのこと、バックの鍛えられた好守備が光る。特に、二遊間の守備力が非常に高く、関東一の市川小島、神村学園の今岡増田ともに軽快な動きが際立つ。打球に対する予測、一歩目の出足、軽快なハンドリングとどれを取っても申し分なく、高校球界トップクラスの守備力であることがわかる。

ただ、エース今村が投げている神村学園と比較し、今大会初登板の大後が投げている関東一のほうがこの展開は安堵するものだっただろう。継投策での戦いを思い描く米沢監督にとって、攻撃力で上回る神村学園を相手にしての、0-0のスコアレスドローは、ありがたい状況であった。これは準々決勝の東海大相模戦と同じように狙いがはまった結果と言えるだろう。

そんな中、4回に入り、膠着した試合が動く。

1アウトから打席には4番正林。選抜でも一発を放った九州屈指のスラッガーは、3回戦でようやく初ヒットが飛び出し、当たりが戻ってきていた。大後に対し、カウント2-0からストレートがやや内寄りに甘く入ったところを逃さない。打球はセンターへ痛烈な当たりで抜けていき、1アウト1塁。続く5番岩下はセーフティ気味のバントをするが、ここは捕手・熊谷が素早いフィールディングでさばく。このあたりも本当に鍛えられいる。

しかし、続くは6番ながら当たっている上川床。これまで幾度となく大事な場面で仕事を果たしてきた。大後のアウトコースよりのスライダーを、これも素直にセンターへはじき返すヒット!センター飛田の好返球も一歩及ばず、正林がホームインし、神村学園が1点を先制する。

先制点を奪われた大後だが、140キロ台の速球とスプリットを丁寧に低めへ集め、5回を1失点でまとめる。準決勝の大舞台での初先発だったが、十分に仕事を果たしたと言えるだろう。これだけの投手が3,4番手に控えているのだから、関東一の投手陣のレベルの高さも相当なものだ。

ただ、この試合を支配していたのは、準々決勝からうって変わって好調となったエース今村であった。ミートのうまい関東一打線に対し、得点はおろかヒットすら許さない。先制点をもらった直後の4回裏、先頭の2番成井に四球を与え、犠打で2塁へ進まれるが、ここからが真骨頂。準々決勝でホームランを放った4番高橋、今大会打率5割を超す5番越後に対し、内外・高低を広く使い、打たせて取る投球で内野ゴロに打ち取る。速球が走り、コントロールも良いため、自在の投球ができる。過去4試合で最もいい投球内容を見せ、5回を無安打で終える。

緊迫した試合展開。米沢監督は6回から満を持してエース坂井をマウンドへ送る。その坂井は先頭の2番入木田に四球を与えるが、3番今岡には厳しい投球でバントをさせない。スリーバント失敗で1アウトとなると、4番正林・5番岩下はストレート主体の投球で打ち取り、無失点。簡単にランナーを走らせず、かつ厳しいコースへの速球で打ち取っていく。ここまで押されっぱなしの関東一だったが、エースが流れを呼び込むピッチングを見せた。

すると、6回裏、関東一は9番坂井が四球を選び、チャンスメーク。今村は決して制球を乱した感はなかったが、低めを厳しく突く意識が先行してしまったか。これも坂井の投球が与えたプレッシャーだったのかもしれない。続く1番飛田はバントの構えを見せていたが、ストレートの四球で歩かせてしまう。2番成井の犠打で1アウト2,3塁。関東一としては絶好のチャンスで中軸を迎えることとなった。

だが、この場面は今村が開き直ったか、3番坂本に対し、スローボールを使う余裕を見せる。最後はスライダーでファーストゴロに打ち取り、ファースト藤田が確実にバックホームして3塁ランナーを封殺。だが、その間に打った坂本は2塁を奪っており、このあたりの両校の攻防も非常にハイレベルだ。一打逆転の場面で打席には主砲・高橋。しかし、最後はアウトコースのボールを打たせ、ショート今村がよくさばいてショートゴロに。神村・今村が6回まで無安打で1点のリードを守る。

緊迫した攻防は終盤戦へ。関東一・坂井は7回表も神村学園の攻撃を3者凡退に打ち取る。腕の振りが非常にいいため、球種の見極めが難しく、投球の軸となるストレートはうなりを上げて熊谷のミットに突き刺さる。ここまで1試合平均約7得点を誇る神村学園に対し、付け入るスキを与えず、レフト坂本の好守備も飛び出してディフェンスから乗っていく。

こうなると、守りからできたリズムが攻撃に乗り移る。7回裏、先頭の5番越後が高めの速球をセンターへクリーンヒット!痛烈な当たりでまずはノーヒットノーランから脱する。6番小島がきっちり送ってアウト2塁とすると、打席にはここまで投手陣を好リードしてきた7番熊谷。初球、今村のカウント球のカーブが入ってくるところを逃さなかった。鋭く振りぬいた打球は1塁線を破り、2塁ランナーがホームイン!さらに、ライトがクッションボールの処理を誤る間に熊谷が3塁を陥れると、8番市川のセカンドゴロは好守を誇っていた増田が処理できず。一瞬ランナーに目が行ってしまったか、捕球点にグラブを持っていけなかった。

まさにワンチャンスを生かしての、乾坤一擲の反撃。見事なまでの関東一の集中力である。8回表の神村学園の攻撃も坂井がランナーを出しながらも封じ、1点リードは変わらず。一方の今村も8回裏に2塁打を浴びながらも、後続を封じ、4安打1失点で投げ切った。これまで不安定な内容もあった左腕だったが、この大舞台で大会一とも言える好投を見せた。

9回表、神村学園の攻撃は4番正林から。この4番から下がっていくところが、神村学園の最も強い打順である。その正林はアウトコースよりの速球を引っ張るが、セカンド小島の広い守備範囲につかまり、アウトとなる。関東一勝利まであと2つ。しかし、ここからしびれる展開が待っていた。

正林の凡退で落ちかけていた雰囲気の中、5番岩下は初球を鮮やかな流し打ちでレフトへヒット。2年生時に県決勝でサヨナラ3ランを放った男は実に勝負強い。さらに、6番上川床坂井に対してファウルで粘ると、高めに浮いたチェンジアップを逃さず、ライトへ快打を放つ。逆転のランナーも出て、打順はしかし下位。7番木下夢は初球を打ってセンターへのフライとなり、2アウト。ついにあと一つとなる。

勝負の場面。小田監督はここで代打の玉城を送る。チームのムードメーカーの選手だ。坂井は強気の投球でポンポンとストライクを取り、あっという間に2-0と追い込む。ここから高めの速球で勝負をかけるが、玉城もファウルで粘って譲らない。

そして、カウント2-1からの5球目、アウトコースを狙った速球がやや内寄りに入るところを玉城は逃さなかった。打球は鋭い球足でセンターへと抜けていく。2塁ランナーの岩下が3塁を回り、同点か!と思った刹那。前進守備のセンター飛田からの見事な返球がストライクで熊谷のミットに返ってくる。最後はすんでのところでタッチアウト!関東一がぎりぎりの攻防を制し、9年前に超えられなかった壁を乗り越えて、見事決勝進出を決めたのだった。

まとめ

関東一はこれで明徳義塾、東海大相模、神村学園に3試合連続で1点差勝ち。誤解を恐れずに言えば、この年代の各地区の最強チームを相手に素晴らしい内容の試合を続けて、決勝への切符をつかみ取った。特に、この試合は6回まで無安打と苦しい試合だったが、堅守で食らいついていき、終盤のワンチャンスを生かしてひっくり返すという関東一らしい展開で勝利へ結びつけた。米沢監督としても、勝つならこの展開という内容だったのではないだろうか。先発で5回1失点と試合を作った大後の好投も大きかっただろう。

2008年以来、安定した成績を残してきたが、準々決勝・準決勝の壁が厚かった関東一。決して打力が高いわけではない中、堅守と機動力、そして勝負強さで勝ち上がった、この2024年度のチームは大きな財産を残したと言えるだろう。今後のチーム作りにも勇気を与える快進撃となった。

一方、神村学園は終盤まで試合をリードしてきたが、この試合は「守り負けた」というのが実感だったのではないだろうか。6回までは堅守を誇っていたが、7回に2つの守備のミスが絡み、逆転を許してしまった。プレッシャーのかかる場面で平常心でプレーするのは、やはり難しいのだろう。

投攻守走すべてにおいてハイレベルなチームを作り、昨夏に続く4強入りを果たしたのは見事であった。だが、この日に限っては、エース今村の好投もあっただけに、最終回の相手の好返球も含め、悔しすぎる結果となった。

こんな最後ある⁉︎劇的すぎる甲子園準決勝!神村学園vs関東一 どちらが勝っても初の決勝進出へ!高校野球 準決勝 ハイライト (youtube.com)

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