2025年選手権1回戦 明豊vs市立船橋(5日目第4試合)

2025年

大会5日目第4試合

明豊

1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 0 2 0 2 1 0 0 1 6
0 0 0 0 0 0 1 1 0 2

市立船橋

 

明豊     寺本→大浦→寺本

市立船橋   諸岡→島田→川崎

2021年の専大松戸vs明豊以来となった両県の激突は、明豊が自慢の打力で市立船橋の投手陣を攻略。エース寺本の好投もあり、快勝で2回戦進出を決めた。

試合

市立船橋は、県大会で最も長いイニングを投げた2年生右腕・諸岡を先発に指名。一方、明豊は昨年の甲子園で春夏とすでにマウンドを経験済みの左腕・寺本を満を持して送った。

初回、左打者が6人並ぶ明豊打線に対して、市立船橋の本格派右腕・諸岡は1番井上を3球三振に打ち取る最高のスタートを切る。2アウト後、3番岡田には高めの速球をレフトに流されるが、4番加納の打席で仕掛けた盗塁は、好捕手・花嶋が阻止。攻撃力の高い明豊の立ち上がりの仕掛けを無失点で切り抜ける。

これに対し、明豊・寺本は左腕から安定したコントロールでキレのあるボールを投じる技巧派左腕。昨年からその実力は実証済みの投手であり、打たせて取って守りのリズムを作る。1回には注目の3番花嶋にヒットを許したものの、後続を落ち着いた投球で打ち取り、無失点。速球の角度が光る諸岡と技巧的な投球で味のある投球を見せる寺本。1,2回はともにリズムよく「0」を並べていく。

しかし、3回表、市立船橋に思わぬミスが重なる。

先頭の7番がフルカウントから四球を選ぶと2つの犠打失敗で流れを失いかけるが、ここから明豊がしぶとい。1番井上の打球は捕手前のそう難しくないゴロに見えたが、捕球した花嶋の送球がまさかのワンバウンド。ここは雨の影響もあったか。さらに暴投でランナーがそれぞれ2,3塁に進塁すると、2番が真ん中寄りに入ったストレートを鋭くセンター方向にはじき返す。走者2人が次々ホームを駆け抜け、明豊が2点を先制!市立船橋としては攻守の要の花嶋の送球ミスからということもあってダメージの残る失点であった。

このリズムにエース寺本も乗る。力感の無いフォームから繰り出すキレのある速球、低めに決まるスライダー、タイミングを外すチェンジアップで淡々と打たせて取っていく。経験値が高いこともあるが、試合の流れをよく理解しており、大事なイニングをきっちり0で封じるのがさすがエースと言ったところか。3番花嶋にも自分の打撃をさせず、4回を無失点で抑える。

流れを変えたい市立船橋は、5回表からサイド右腕・島田にスイッチ。豊富な投手陣を持つ市船だけに、海上監督も勝負をかけた。先頭から2人倒れて2アウト。しかし、ここから明豊の強力打線が変わったばかりの投手に早くも一巡目で対応する。9番寺本が二遊間をしぶとく破るヒットで塁に出ると、上位に並ぶ左打線がサイド投手を痛打。1番井上、2番としっかり呼び込んでボールを叩き、連続長打で4-0と大きくリードを広げた。ここは勝負に出た継投だだけに、市船としてもさらにダメージの大きな失点であった。

市船は3番手の右腕・川崎をマウンドに上げ、なんとか流れを掴もうとするが、グランド整備明けの6回にも4番加納、5番山口、6番川口の3連打で1点を追加。ランナー1塁の場面でも簡単に送らず、エンドランで活路を開き、相手の嫌がる攻め方で突き放した。このあたりはさすが5年連続出場の伝統校である。

しかし、千葉大会決勝で奇跡的な逆転勝ちをおさめた市船もこのままで終わるわけにはいかない。6回裏に2本の内野安打を放って久しぶりにランナーを出すと、3番手の川崎も抜群のコントロールを活かして、5点目を許して以降は踏ん張る。

すると、7回裏、1アウトから6番清水、7番吉崎が連打。後半にきて寺本の緩い変化球を引き付けられるようになってきた。犠打で2アウト2,3塁とすると、9番潮崎が押っ付ける打撃でファースト強襲のヒットを放ち、3塁ランナーがホームイン!ついに1点を返す。市船ソウルに乗った応援の雰囲気が、あの3年前の興南戦の5点差逆転勝ちの記憶が呼び覚ます。

寺本のスタミナも考慮した川崎監督は8回裏から右腕・大浦をマウンドへ送る。しかし、追撃態勢に入った市船は1アウトから3番花嶋が四球で出塁。2アウト後に5番井上がこれも押っ付ける打撃で1,2塁間を破ると、ボールを取ったライトからの3塁送球がそのままカメラマン席に。1塁ランナーが一気に生還して2点目を奪う。点差は3点となり、いよいよ勝負はわからなくなった。

ただ、明豊もここ2年勝利から遠ざかっており、渇望感がある。9回表、1番井上がアウトコースのボールを流し打った打球は浜風に乗ってレフト頭上をかすめて超える2塁打に。当たっている2番は倒れて2アウトとなるが、続く3番岡田がインハイの速球を強く叩く!打球はライトフェンスにワンバウンドで届くタイムリー3塁打となり、決定的な6点目が入った。

リードを4点に広げた明豊・川崎監督は再び寺本をマウンドへ。しかし、1アウトから代打・田中の放ったフライがテキサス性でセカンドとライトの間に上がり、セカンドが落球してしまう。さらに、9番満崎も死球で繋ぎ、1,2塁と最後まで市船の粘りにあった。

大音量の市船ソウルが流れ、判官びいきの甲子園ファンが過熱していく球場。ただ、この日の寺本は最後まで冷静だった。内に速く、外に緩くを実践し、相手打者を支配する。1番大木をアウトコースから入ってくる変化球で見逃し三振に取ると、最後は2番小島をインサイドの速球で詰まらせてショートフライ。満塁で3番花嶋という、よもやの展開は作らせず、相手の追撃を振り切った明豊が2022年以来3年ぶりとなる初戦突破を決めた。

まとめ

明豊は相手のミスに付け込んだ3回、継投の代わり端を攻めた5回と効果的に、しかも複数得点を上げ、試合を優位に進めた。若いカウントから甘いボールを積極的に打っていく姿勢が目立ち、また投げてはエース寺本がほとんどの打者を3球目までに追い込むという、野球の鉄則通りの攻守を見せた。また、守りも記録上は3失策はあったが、1年生ショート川口を中心にガッツある守りで投手陣を援護した。

一昨年は北海に、昨年は小松大谷に、ぞれぞれ悔しい逆転負けを喫していた明豊。2021年の選抜で準優勝を果たしていた強豪も苦しい時期を過ごしていたが、川崎監督としても、そのぶん本当にうれしい勝利だったのではないだろうか。投打で充実した強さを見せた明豊がこの夏、台風の目となる可能性は十分ある。

一方、市立船橋は充実した投手陣を擁し、戦力的には、あるいは大会でも上位の存在だった可能性があるが、試合運びのうまさでこの日は明豊に一日の長があったようだ。攻守の要である花嶋にミスが出てしまったことで、少しチームに動揺が走ってしまったのかもしれない。ただ、それでも終盤の大声援の中での追撃は点差を感じさせないほどの「圧」があり、改めてその粘り強さを全国の舞台にアピールした。

平成後期はなかなか全国の舞台に手が届かなかったが、3年のスパンで戻ってきたこの夏の戦いは、強豪復活を改めて印象付けるものであった。

【全イニングハイライト】2025夏の甲子園 明豊vs市立船橋/リードした明豊を市船が徐々に追い上げる展開

コメント

タイトルとURLをコピーしました