右投手 山田陽翔（近江）
3季連続出場で集大成のピッチングを見せた近江の大黒柱。140キロ台後半の速球にスライダー、フォーク、ツーシームと全ての球種が一級品であり、ピンチの場面で見せるギアチェンジした投球は圧巻の一言であった。試合中の修正能力も非常に高く、一つの球種の調子が狂っても、他の選択肢を多く有していることが山田の強みでもあった。
また、打撃でも魂が乗り移ったようなフルスイングを見せ、海星戦のグランドスラムをはじめとして、大事な場面でことごとく結果を残した。準決勝で下関国際打線に捕まって悲願の全国制覇はならなかったが、滋賀県が生んだ史上最高のプレーヤーが、最後の夏に見事有終の美を飾った。
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左投手 有馬伽久（愛工大名電）
愛工大名電を久々の夏8強に導いた立役者。「夏に勝てない名電」という呪縛をものの見事に吹き飛ばした。左腕から繰り出される140キロ台の速球に、切れ味抜群のスライダー、そしてタイミングを外すチェンジアップを混ぜ、相手打者を翻弄。3回戦では明豊の強力打線を6安打2点に封じ、智辯和歌山出身の川崎監督が鍛え上げた打線を沈黙させた。
また、気持ちの強さも魅力であり、初戦の星稜戦では足がつるアクシデントにもめげずに終盤まで力投。途中KOされた2回戦の八戸学院光星戦では、降板後に2安打を放ち、バットでやり返す気概を見せた。これまで工藤公康（ソフトバンク）、濱田達郎（中日）、東克樹（DeNA）と多くの好左腕を輩出してきた名電だが、有馬の名も確実に高校野球ファンの胸に刻まれたことだろう。
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捕手 松尾汐恩（大阪桐蔭）
春夏連覇を狙った大阪桐蔭の夏はベスト8で幕を閉じたが、扇の要である松尾のプレーには確実に成長の跡が見受けられた。特にバッティング面の成長は著しく、以前のような大味さが消えていた。序盤3点のリードを許した旭川大高戦では、逆方向への打撃で追撃のライト前タイムリーを放ち、逆転勝ちに貢献。一方、点差の開いた2回戦の聖望学園戦では、豪快な打撃で2発を放り込み、状況に応じた打撃ができるところを見せた。
また、インサイドワークや強肩も光り、タイプの異なる好投手を擁する大阪桐蔭の面々の良さを引き出した。以前はショートもできる身体能力の高い選手が捕手を務めている印象があったが、最後の夏はすべてにおいて成熟したプレーで、捕手が一番似合う選手だという印象を与えた。
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一塁手 賀谷勇斗（下関国際）
準々決勝の大阪桐蔭戦で「ジャイアントキリング」を完結させて4番打者。最終回、大阪桐蔭の難攻不落の左腕・前田に対して、1アウト2，3塁からコンパクトにセンターに打ち返す打撃で逆転タイムリーをもぎ取った。決して長打力のある4番ではなかったが、コツコツ粘る下関国際打線を象徴するような確実性の高い打撃で、勝負を決める一打を放ち続けた。
決して、プロが注目するような選手がいたわけではなかったが、束になって食い下がる強さを見せた今年の下関国際。その姿に高校野球の真髄をみる思いがした、2022年の夏だった。
9回 4番賀谷 逆転タイムリー [2022夏 下関国際vs大阪桐蔭] – YouTube
二塁手 松本竜之介（下関国際）
下関国際打線の潤滑油となった巧打の2番打者。ぎりぎりまでボールを引き付け、巧みなバットコントロールヒットを量産した。特に選抜王者の大阪桐蔭戦を倒した準々決勝での打撃は素晴らしく、速球派右腕・別所のストレートをはじき返してのタイムリーに好左腕・前田のスライダーを払うように打ち返した最終回のヒットと、いずれも逆方向へしぶとく打ち返した。彼の打撃がなければ王者を下すことはできなかっただろう。
「蟻がライオンを倒す」ではないが、こういった粘り強い打撃を続ければ、今日じゃを倒せるという見本のようなバッティング。彼の活躍が多くの高校球児に勇気を与えたことは間違いないだろう。
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三塁手 伊藤櫂人（大阪桐蔭）
大坂桐蔭の核弾頭として、チームに勢いを与えたのが1番伊藤櫂人であった。選抜までは若干確実性にかける面もあったが、この夏は狙ったボールをミスショットなく叩く精度が高く、初戦の旭川大高戦の勝ち越しホームランなど勝負を決める一打を放つことも多かった。また、積極的な走塁姿勢も光り、甲子園では外野手のちょっとしたスキを逃さずに、2塁を奪う場面が多々見られた。
サードの守備でも堅守を誇っており、走攻守3拍子揃った大型内野手が、上のステージでどんな活躍を見せるか今から楽しみだ。
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遊撃手 赤堀颯（聖光学院）
聖光学院を初めての夏4強に導いた1番主将。5試合すべてだ第1打席に出塁を果たし、準々決勝までの4試合はすべてヒットを放った。とにかく好球は必ず振っていく姿勢が際立っており、強打の2番高中とのコンビは強豪校を次々打ち破る原動力となった。また、ショートの守備でも再三の好守でエース佐山、左腕・小林剛をバックアップ。聖光学院史上最高の主将と呼ばれたリーダーシップをすべての面で発揮し、聖光学院に新たな伝統と自信をもたらした夏になった。
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左翼手 遠藤太胡（仙台育英）
今大会好調だった仙台育英打線の中でもスイング力が頭一つ抜けていたのが、遠藤太胡であった。打順は4番、6番と動くことがあったが、どの打順でも得点圏での勝負強さは素晴らしいものがあった。特に低いボールに対する強さは群を抜いており、準決勝の聖光学院戦では満塁での走者一掃打など5打点を挙げる大活躍であった。
これまで多くの選手、指導者が挑んで跳ね返されてきた「白河の関越え」。その偉業に多大な貢献をした好打者であった。
仙台育英 遠藤太胡 タイムリー(鳥取商業戦/第104回全国高等学校野球選手権大会) – YouTube
中堅手 浅野翔吾（高松商）
今大会最も存在感を放った打者は誰かと言えば、満場一致で浅野翔吾になるだろう。高校通算ホームランが60本を超える長打力が注目されていたが、その期待に違わず、初戦の佐久長聖戦では2ホームランを放つ。長打力もさることながら、相手バッテリーの警戒をかいくぐり、たった1球の失投を仕留める集中力と確実性は秀逸であった。
また、準々決勝では敗れはしたものの、近江・山田から3安打を放って圧倒。スライダー、ストレート、ツーシームと一級品の球種をすべて攻略し、2打席目はストレートを打った瞬間それとわかるホームランにして見せた。第4打席はランナー1，2塁の状況でありながら申告敬遠となり、選抜準優勝バッテリーも完全にシャッポを脱ぐ形に。ドラフト1位指名濃厚な怪物は聖地で存分に暴れまわった。
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右翼手 清谷大輔（近江）
近江打線が誇る屈指のヒットメーカー。2018年に大会最高打率をマークした住谷もそうだったが、近江は左の巧打者タイプが次々と出てくる。ミート重視のバッティングで、ほとんどの結果球を芯でとらえており、抜群の打撃センスを誇った。特に高めの速球をミートして外野の前に落とすのが実にうまく、海星戦では貴重な勝ち越しタイムリーを放った。
今大会は、主将の1番津田が不調だったこともあり、2番清谷の好調な打撃は非常に大きな意味があった。来年は最上級生として、チームを牽引し、引き続き滋賀勢悲願の全国制覇を目指す。
近江高校《 清谷大輔の勝ち越しタイムリー❗️ランニングホームランにはならず！5回裏 》近江 7 – 1 海星 2022年8月15日(月)第104回全国高校野球選手権大会 3回戦 – YouTube
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