2026年選抜準々決勝
中京大中京vs八戸学院光星
51% 49%
〇3-1 阿南光 〇15-6 崇徳
〇9-4 帝京 〇5-4 滋賀学園
ともに打線好調なチーム同士の顔合わせ。総合力でわずかに中京大中京が上回るか。
中京は1,2回戦ともに右腕・安藤から左腕・太田への継投で試合を作った。安藤はシュート回転するボールをうまく活用し、特に右打者に対しては非常に有効なボールとなっている。ただ、意図して永ているボールではないだけに、使い方が難しいだろう。帝京戦の5回に制球を乱すと、途端に逃げ場のない投球になってしまった。ただ、収穫は左腕・太田の好投だ。2番手でマウンドに上がると、角度のある速球とカーブを武器に、帝京打線を6回以降完ぺきに封じて見せた。この左腕の存在が中京にとっては大きい。
対する光星打線は1,2回戦で合計20得点と看板通りの威力を誇っている。特に、2試合で9打数5安打と大当たりの1番菅沼はチャンスメークも試合を決める役割もできる理想の1番打者だ。中京バッテリーとしてはこの菅沼を抑えることが重要だが、変化球を打つのが非常にうまく、安藤の縦のスライダーが甘く入れば、途端に長打にしてしまいそうだ。中軸を打つ新谷兄弟も当たっており、打線全体で下位まで穴がないのが特徴。初戦のタイブレークで1イニング9得点を挙げたように、一度流れをつかむと離すことなく攻撃を続けてくる力がある。
一方、八戸学院光星のエース北口は2回戦は5回からの登板でスタミナを温存できたのは大きいだろう。もともとスタミナには定評のある右腕だが、やはり甲子園での疲労は他の試合とは異なるだろう。長身から繰り出す角度のある速球と縦に落ちる変化球を武器に、高低を活かした攻めで相手を牛耳るが、やはり怖いのは変化球が高めに浮くこと。大事な場面でこそ低めを突く意識を心掛け、そつのない中京打線に隙を与えないようにしたい。また、2回戦で先発した右腕・岩崎も緊急時に備えて序盤から肩を作ることになりそうだ。
対する中京打線は上位打線が非常に当たっている印象。8打数6安打と打ちまくっている1番田中、延長で満塁走者一掃打を放った2番半田のコンビが相手をかき回し、2回戦で一発を放った主砲・荻田に繋ぐ。下位打線もしぶとくつなげる打者が揃っており、相手の四死球やミスを得点につなげるのが非常にうまい。試合を重ねるたびに選手たちが甲子園で伸び伸びと戦いだしている印象があり、中京が勝ち上がる時のパターンになってきている印象だ。北口の速球と変化球のどちらに的を絞るのかが重要になってくるだろう。
単純な打力という意味では光星が上だが、試合巧者ぶりは中京が上回る。光星としてはリードを保った状態で逃げ切りたいところだが、中京打線も調子を上げており、そう簡単にはいかないか。光星のエース北口のスタミナがどれくらい持つかがカギを握りそうだ。
主なOB
中京大中京…稲葉篤紀(日本ハム)、嶋基宏(楽天)、堂林翔太(広島)、高橋宏斗(中日)、中山礼都(巨人)
八戸学院光星…坂本勇人(巨人)、田村龍弘(ロッテ)、北條史也(阪神)、八木彬(ロッテ)、武岡龍世(ヤクルト)
愛知 青森
春 1勝 1勝
夏 2勝 1勝
計 3勝 2勝
近年の甲子園でよく対戦している両県。2010年以降で実に4回も当たっている。
2016年夏は2回戦で東邦と八戸学院光星の常連校対決が実現。東邦のエース藤嶋(中日)に対し、光星打線が破壊力を見せ、5番花岡の4打数4安打5打点の活躍などで9-2と大量リードを奪う。しかし、ここから信じられない展開が待っていた。7回から東邦打線は点差があるにも関わらず、ランナーが出るとすかさず盗塁を仕掛け、3番松山のタイムリーなどで追い上げを見せる。
すると、5-9で迎えた9回裏、3番手で登板していた光星のエース桜井に対し、東邦打線が止まらなくなる。1点を返すも、2アウトランナー1塁となり、あと一人凡退すると試合終了の状況。しかし、ここから5番小西、6番中西、7番高木、8番鈴木理と怒涛の4連打が続き、まさかの逆転サヨナラ勝ち!球場の雰囲気がビハインドの東邦よりになる中、桜井は「球場中が敵に見えた」と後に語ったように、いつもの精神状態とは程遠く、普段の制球力が影を潜めて魅入られたようにボールが真ん中に入ってしまった。まさに野球の怖さを感じた一戦であった。
一方、2019年の開幕戦では八戸学院光星と誉が対戦。選抜優勝の東邦が愛知県大会初戦でコールド負けするという衝撃的な展開の中、ダークホースとしてあれよあれよという間に勝ち抜いたのが誉であった。しかし、甲子園では常連校の洗礼を浴びることに。初回に満塁のピンチを招くと、6番下山にグランドスラムを献上。流れを一気に持っていかれ、光星は9-0と快勝で初戦を突破。勢いに乗ってベスト8まで勝ち進んだ。
2019年選手権1回戦 八戸学院光星vs誉(1日目第1試合) | 世界一の甲子園ブログ
因縁深い両県の対戦。勝利するのはどちらか。
思い出名勝負
2012年選抜準々決勝
愛工大名電
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 |
| 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 |
| 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 | × | 5 |
光星学院
愛工大名電 濱田
光星学院 城間→金沢
2012年の選抜準々決勝第三試合は、前年秋の神宮決勝の再戦に。大会当初からこの両校が勝ち上がって当たるのではと多くの高校野球ファンが想定した通りのカードになった。
光星学院は前年夏の準優勝を飾ったメンバーから田村(ロッテ)、北條(阪神)の主軸が残り、田村が3番捕手として攻守でチームを引っ張る体制に。他の野手メンバーも俊足巧打の1番天久、勝負強い5番武田、6番大杉など力のある面々が揃っており、破壊力は抜群。投手陣は技巧派の城間と本格派の金沢というタイプの違う2枚看板がまかない、安定感があった。
前年秋の神宮大会を制してV候補筆頭として臨むと、本戦では北照、近江と危なげなく下して8強入り。隙の無い戦いを見せ、甲子園慣れしている感が漂っていた。
一方、愛工大名電はこの代は近年で最も戦力が充実していたと言えるだろう。エース濱田(中日)はどっしりした下半身から繰り出す速球に威力があり、大会No.1と目された左腕。支える打線は、打って走れる俊足巧打の左打者が揃い、木村、中野、松岡などミートが巧みな印象があった。ただ、東海大会を制して迎えた神宮大会では、4番ショートとチームの要である主将・佐藤が離脱することに。このビハインドがある中で、神宮決勝では光星学院に善戦したが、5-6と逆転負け。悔しい思いをして冬場の練習を乗り越えた。
迎えた本戦は、初戦で宮崎西に8-0と大勝すると、2回戦では前年選抜で4強の履正社にも9-2と大勝。前評判通りの強さを発揮できないことが多かった名電だが、今年は違うぞと思わせる雰囲気があった。
さて、リベンジに燃える名電はもちろん濱田が先発。一方、光星学院は制球力に自信を持つ右腕・城間をスターターに持ってきた。
しかし、1回裏、濱田はリベンジの思いが強すぎたか、ボールが高くなる。3番田村にアウトコース高めの速球をとらえられ、センターオーバーの2塁打を浴びると、4番北條にはインハイ高めの速球を力でレフト前に落とされ、1点を先行される。光星の打棒の中心となる二人が、初回からその実力をいかんなく発揮する。
だが、2回以降、濱田が本来の投球を取り戻し、低めへ力のあるボールを集め始めると、徐々に名電へ流れが傾きだす。2回裏の先頭打者を死球で出して以降、6回までなんと15人連続でアウトを奪う完ぺきな投球を展開。大会屈指の剛球左腕が、大会一と目された強力打線を完全に封じ込めたのだ。
すると、この流れに乗って名電打線が光星投手陣を攻める。4回表、先頭の3番中野がヒットで出ると、打席には巨漢の左打者・鳥居。夏には4番を打つことになる長距離砲が城間のアウトハイのボールを素直にはじき返すと、打球は左中間を破る同点タイムリー2塁打に!城間に今大会初失点をつける一打となり、試合を振り出しに戻す。
光星は、5回から本格派右腕の金沢をマウンドに送るが、濱田が守りから作った流れは変わらない。6回表には、機動力を生かした攻めで光星守備陣の足元を揺さぶり、勝ち越しに成功。打倒・光星が近づいてくる。
しかし、光星の打撃陣も黙ってはいない。ここまで光星の打者の鋭いスイングは、濱田に確実にのしかかっていたのだ。7回裏、先頭の5番武田がやや球威の落ちてきた濱田の速球をとらえて右中間へ2塁打を放つ。初回の北條のタイムリー以来、実に6イニングぶりのヒット。犠打できっちり送ると、セカンドへ移っていた7番城間はアウトコースのボールを巧みな右打ちでライトへのタイムリーとする。終盤に来ての同点劇、さすがの勝負強さを見せる。
2-2とがっぷり四つのV候補対決。期待通りの好勝負は、8回に山場が待っていた。
8回表、金沢が連続四球でピンチを招くも、なんとかしのぐと、その裏、光星は先頭の2番村瀬が2塁打で出塁する。その後、1アウト3塁となって、4番北條はスイングをかけにいったところで死球を受ける。名電サイドは空ぶったのではとアピールしたが、判定は死球で変わらず。これが心理的に影響を与えた可能性は否定できなかった。
5番武田は打ち取って2アウト1,3塁。しかし、続く6番大杉が大仕事をやってのける。濱田のインコースの難しいボールをセンターへライナーではじき返した打球は、センター松原の右横を襲う。ダイブして取らないと失点の場面だったので、松原は飛び込んだが、一歩及ばず。打球が右中間を転々とする間に、打った大杉までホームへ帰り、勝ち越しのランニング3ランとなって試合は決した。
リードをもらった金沢は9回の名電打線の反撃を3人で抑え、ゲームセット。光星学院が前年のリベンジに燃える名電を返り討ちにし、選抜では初めてとなる4強入りを決めた。
光星はその後、決勝まで勝ち上がり、大阪桐蔭には敗れたものの、準優勝を達成。田村、北條を中心に経験豊富で大人びたチームは、少々の危機的状況でも慌てない強さを持っていた。夏もこの二人を中心に準優勝を飾り、3季連続で銀メダルを獲得。優勝こそならなかったが、この時代の光星学院はまさに難攻不落の強豪であった。
一方、名電も終盤まで試合をリードしたが、あと一歩及ばず。終盤の紙一重のところで球運が逃げていった感があった。また、夏もV候補に挙げられながら浦添商に初戦で敗退し、これだけの力を持ったチームでもなかなか勝ち上がることができなかった。その後も苦しい時代は続いたが、2022年夏はエース左腕・有馬を中心に快進撃。2回戦では、光星にリベンジを果たし、立て続けに強豪を下して8強入りを決めた。この2022年世代と2012年世代がどこか似通ったように感じていたのは私だけだろうか。それだけ両方ともいいチームであった。
愛工大名電vs光星学院 ダイジェスト(第84回選抜・準々決勝)

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