2026年選抜2回戦 智辯学園vs神村学園(7日目第1試合)

2026年

大会7日目第1試合

智辯学園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
0 0 0 0 0 0 0 1 0 1 2
1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1

神村学園

 

智辯学園  杉本

神村学園  龍頭

智辯学園・杉本、神村学園・龍頭という大会を代表する左右の両エースが投げ合った第1試合は、期待に違わぬ投手戦に。終盤に追いついた智辯学園が、タイブレークで勝ち越しに成功し、ベスト8への切符をつかみ取った。

試合

先発投手は、智辯学園が杉本、神村学園が龍頭と初戦と同様。1回戦でそれぞれ花巻東と横浜という全国区の強力打線を完封しており、この試合も投手戦が予想された。

神村の龍頭は立ち上がり、1回戦で3安打をマークした1番角谷をフルカウントまでもっていかれながらもファーストフライに切って取ると、2番志村、3番太田も打ち取って3者凡退。いずれも左打者に対し、アウトコースの絶妙なコースで簡単にストライクを取って追い込むことができる。コントロールに絶対の自信を持っており、見ていて自分の意図したところへほとんど投げ込めているのが伝わる内容だ。

これに対し、智辯・杉本は本格派タイプということもあり、どうしても試運転には時間がかかる。

1回裏、1番今井に四球を与えると、攻撃型の2番田中は右中間へのフライに打ち取るが、3番梶山にはインコースの速球をつまりながらも1,2塁間へ持っていかれる。セカンド志村が飛びつくも、打球がイレギュラーして抑えることはできず。1アウト1,2塁とチャンスが広がり、打席には主砲・川崎を迎える。カウント2-2から前のボールよりやや速球が中に入るところを逃さずとらえると、打球はライト線へ弾む先制タイムリー2塁打!素晴らしい当たりの一打で、杉本に今大会初失点をつける。

しかし、続く1アウト2,3塁のピンチを杉本はなんとか退ける。神村学園としてはここでもう1点欲しかったか。龍頭も好投を見せ、試合は当初の予想通り投手戦へ突入していく。

神村学園・龍頭の前に、智辯打線は3回まで失策のランナー一人のみ。コントロールもさることながら、手元で少しボールを動かしており、打ちにいっても芯を外された打球が目立つ。3回表には2アウト2塁から1番角谷に初めてライナー性の飛球を打たれるが、これをライト梶山がダイビングキャッチし、同点のピンチを防ぐ。

一方、智辯・杉本は3回裏、1アウトからエラーと四球でランナーをため、主砲・川崎を迎える。龍頭の出来を考えると、2点目は試合が決まりかねない。ここは智辯サイドもきっちり守りのタイムを使い、状況を整理。打者の攻め方も改めて確認すると、4番川崎、5番国分と怖い打者が続いたが、いずれもスライダーを打たせて内野ゴロに仕留める。雨が降りしきる中、難しいグランドコンディションだったが、バックも堅い守備でエースを支えきった。

すると、4回表、打者二巡目に入り、智辯打線が徐々に龍頭をとらえ始める。1アウトから3番太田が速球を流し打ってレフト線は運ぶと、2アウト後、5番馬場井は甘く入ったスライダーをライトへ引っ張り、2アウト1,3塁とチャンスを拡大する。馬場井の当たりは最終的には引っ張った打撃だったが、この回は智辯の各打者がセンターから逆方向への意識を徹底し始めたようにも見えた。6番多井が打ち取られ、この回での同点はならなかったが、龍頭攻略への布石となるイニングだったのではないだろうか。

一方、3回のピンチを切り抜けた智辯・杉本はここから乗っていく。球威十分の速球、切れ味抜群のスライダーで神村打線を翻弄。コンタクト率の高い打者が並ぶが、ボールの質が一級品であり、これがコーナー・低めに決まりだすと手の施しようがない。4回、5回と連続で3者凡退に切って取り、逆にリードする神村に圧力がかかるような雰囲気を作り出していく。

1-0と神村が1点リードで試合は後半戦へ。龍頭の投球に智辯打線が徐々に慣れはじめたのか、6回から毎回のようにチャンスを作る。6回表は4番逢坂、5番馬場井の連打で2アウトからチャンスメークする。後続は打ち取られるも、各打者のスイングに迷いがなくなってくる。さらに、7回表には四球の7番中川を犠打で2塁へ進め、9番八木が高めに浮いた速球を右方向へ。1,2塁間を破った打球は、ライト前へ転がるが、これをライト梶山が好返球し、ホーム寸前でタッチアウト!押せ押せの智辯に対し、神村守備陣がなんとか踏みとどまるが、試合の流れは確実に変わり始めていた。

そして、この流れを作り出していたのが、智辯・杉本の投球だ。3回途中から7回にヒットを許すまで、あの神村打線を13人連続で打ち取っていたのだ。沖尚の末吉新垣の2枚看板も横浜の織田も、つまり昨年の春夏の優勝投手たちを攻略してきた打者たちを相手にしてのこの結果は、杉本の実力が比類なく全国トップクラスであることを証明するものである。エースが守りで盤石のリズムを作ると、8回表、ついに打線がその力投に答えた。

この回、先頭の2番志村がスライダーにうまくバットの軌道を乗せて、右中間へのヒットで出塁。3番太田の打席で龍頭には珍しく暴投が飛び出して2塁へ進むと、3番太田は高めの速球をライトへ運ぶ。志村はタッチアップの構えを取り、ライト梶山の捕球と同時にスタート!梶山から好返球がサードへ来るが、あと一歩及ばず、志村は3塁を陥れる。1アウト3塁となり、打席には4番逢坂。カウント1-2から龍頭はアウトコース低めを狙うが、ややボールが内寄りに、そして高く入る。逢坂が打ち上げた打球は十分な飛距離でセンターへの犠飛となり、智辯がついに試合を振り出しに戻した。

追いついてもらった杉本だが、8回裏、神村打線もなんとか突破口を開こうと、1番今井がセーフティバントで出塁する。暴投で2塁へ進むと、ここで迎えるは神村の強力なクリーンアップ。3番梶山は速球を痛烈に右方向へ打ち返すが、これはライトの正面を突き、智辯バッテリーは救われる。4番川崎は警戒して四球で歩かせ、2アウト1,2塁。一打勝ち越しの場面は続き、勝負強い5番国分を迎えた。ここは、智辯バッテリーも細心の注意を払って勝負する。カウント2-2と追い込むと、最後はインコース低めのスライダーを振らせて空振り三振!杉本が渾身の投球で勝ち越し点を与えなかった。

すると、直後の9回表、智辯に絶好のチャンスが訪れる。先頭の6番多井がスライダーをセンターにきれいに返すと、雨の中、不規則なバウンドとなったか、センター川崎が合わせきれずに後逸。多井が一気に3塁を陥れ、勝ち越しのチャンスを迎える。しかし、ここで龍頭は冷静さを失わなかった。7番中川を低めを丁寧についてスライダーで三振に取ると、8番北川、9番八木は連続で初球攻撃をするも、いずれもフライアウトに。初球の入りを決して間違わず、チームメートのミスを救う好投を見せた。

試合はそのまま延長タイブレークへ突入。終盤は智辯学園が押し気味であったが、タイブレークは良くも悪くも、それまでの流れをぶった切る可能性を秘めているのだ。

10回表、何としても勝ち越し点が欲しい智辯学園は、1番角谷から。小阪監督は犠打を指示するが、神村の猛チャージの前になかなか決まらず、2ストライクと追い込まれる。ここでアウトになると、厳しい状況となるだけに、最低でもランナーは進めたいところ。すると、角谷はバスターから神村バッテリーが引っ張らせまいとアウトコースに投じてきたところを強引に1,2塁間へ持っていく。打球はライト前へ抜けるヒットとなり、無死満塁に。2番志村はサードゴロでホーム封殺となったが、3番太田が勝ち越しの犠飛を放ち、智辯が大きな1点を刻みつけた。

主将であり、捕手でもある角谷の機転で奪った1点。攻撃で作った流れは守備でも生きる。今度は、エース杉本を好リードで導く役目だ。

10回裏、犠打で1アウト2,3塁となってから1番今井、2番田中と上位打線に繋がるところだったが、まずは1番今井を速球で詰まらせてセカンドゴロ。さらに、続く2番田中は初戦で横浜・織田から先制タイムリーを放った好打者だったが、バッテリーは最後まで決め球・スライダーの威力を信じ切った。カウント2-1からアウトコースのスライダーを打たせたあたりはレフトへ力なく上がり、途中出場の大西がキャッチしてゲームセット!智辯学園が強敵を制し、5年ぶりのベスト8進出を決めることとなった。

まとめ

智辯学園は苦しい試合をものにし、今大会2勝目をマーク。前半は神村ペースだったが、3回に杉本がピンチをしのいでからは完全に智辯が試合の主導権を握った。好投手・龍頭を前に打たされるケースが多かったが、中盤からは徐々に自分のポイントまで呼び込んで打てるようになり、特に甘く入ったスライダーを確実に仕留めることで、得点へとつなげていった。杉本は力のある速球とスライダーで神村の強力打線を翻弄。この投手を攻略できる打線が、大会出場校中で何校あるか。智辯学園が最激戦ブロックを制し、優勝へまた一歩近づくこととなった。

一方、神村学園も本来の力を発揮し、一歩も引かない試合を展開したが、最後はほんのわずかの決定力の差で惜敗する格好に。龍頭は抜群のコントロールを武器に、手元で動く球質も生かして打ち取っていたが、終盤の数少ない失投を智辯打線がとらえられた。ただ、失点は2で抑えただけに、やはり敗因は攻撃面か。特に中盤はほとんどランナーを出すこともできず、全国屈指の左腕を相手に力負けしてしまった。やはり、上には上がいる。そんな弱肉強食の世界であることを感じさせられた、この日の試合であった。夏へ向け、更なる鍛錬を経て、再び全国制覇へ挑む。

【高校野球 甲子園】 神村学園(鹿児島)vs智弁学園(奈良) 緊迫の投手戦はタイブレーク決着! 【第98回選抜高校野球 2回戦 全打席ハイライト】 2026.3.25 センバツ 智辯学園

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