2026年選抜2回戦 英明vs東北(8日目第2試合)

2026年

大会8日目第2試合

英明

1 2 3 4 5 6 7 8 9
1 0 0 2 0 3 0 0 0 6
0 0 1 0 0 0 1 1 0 3

東北

 

英明    松本倫

東北    和泉→石崎→金沢→狩野

春夏通じて初の8強入りを狙う四国王者と22年ぶりの選抜8強を狙うみちのくの伝統校の対決は、序盤から英明が主導権を奪って試合をリード。先発・松本倫が東北打線の追撃を3点にとどめ、会心の試合運びでベスト8進出を決めた。

試合

英明は、初戦で先発したエース左腕・富岡ではなく、右腕・松本倫を指名。一方、東北は複数の投手陣の中から右腕・和泉我妻監督は選んだ。

和泉はこの日が甲子園初登板。初戦で4人の投手が登板した東北だったが、あえて指揮官は唯一登板のなかった男を指名した。その立ち上がり、いきなり1番池田にフルカウントから初球のストレートをセンターに打ち返されると、続く2番太田の打席で池田が盗塁を敢行。捕手・荒川も好送球を見せたが、一歩間に合わず、セーフとなる。太田がそのまま四球を選んで1,2塁となると、さらに暴投が飛び出して、池田は3塁へ。3番松原はショートゴロで併殺となるが、その間に池田が生還し、英明が1点を先行する。大会初登板の投手に立ち上がりを攻めた、見事な攻撃であった。

一方、こちらも初登板となる英明・松本倫に対し、東北の1番は注目の好打者・松本。機動力野球を掲げる東北の旗頭がストレートの四球を選び、こちらも得点の香りを漂わせ始める。しかし、続く2番梅田の打席で初球にバスターエンドランを仕掛けるが、これがレフトフライとなって1アウト。さらに、こちらも好打者の3番進藤には強攻策を選択するが、初球のアウトコースのストレートに詰まってしまい、4-6-3の併殺。仕掛ける意図は見えた東北だったが、ここはうまくはまらずに無得点に終わる。

2回を終わって、互いにエースが登板している状況ではなく、この後の投手起用も読みづらい状況。東北・和泉、英明・松本倫とともに右スリークオーターからややサイド気味の投法であり、右打者のインサイドをしっかり突こうという意図が見える。ストライクゾーンの横幅をいっぱいに使った投球で、相手を封じにかかった。

しかし、3回表に英明が先頭の9番前田のヒットを足掛かりに1アウト2塁とチャンスを迎えると、ここで東北・我妻監督はスパッと2番手の石崎にスイッチ。サイド右腕から真っ向投げ下ろしの速球派右腕へ代え、英明打線の目先を変えに行く。石崎は代わった直後こそ四球を与えたものの、3番松原、4番高田と球威で押し込み、ピンチをしのぐ。

すると、直後の3回裏、東北打線が松本倫の乱れにつけ込む。1アウトから8番清水が死球を受けると、続く9番の打席でボークが飛び出し、ランナーは2塁へ。牽制球を落としてしまい、思わぬ形でピンチを広げる。このあたりは、東北打線の機動力を警戒しすぎたゆえかもしれない。さらにがアウトコースやや甘めの速球をうまい右打ちで運ぶと、ここで打席には頼りになる1番主将の松本

1アウト1,3塁となんでもできる場面。何通りも仕掛ける方法があるところだったが、しかし、松本への2球目を投じる前に松本倫が1塁へ速い牽制球!1塁ランナーの笠を刺し、2アウト3塁と局面が変わる。ここは英明サイドの隙の無さを見せていく。ここで凡退すると、英明に流れが行きそうな場面だったが、打席の松本は2球目のアウトコース低めに決まるスライダーをうまく拾ってレフトへ同点タイムリー!主将が味方のミスをカバーする形で試合を振り出しに戻した。

これで波に乗っていきたいのは東北の2番手・石崎だったが、直後の4回表に乱れてしまう。

1アウトから出した振り逃げのランナーはけん制で刺し、いったん2アウトランナーなしとなるが、そこから7番矢野、8番榎本に連続四死球を与えて2アウト1,2塁。特に8番榎本への死球は頭部へのものであり、動揺は隠せなかっただろう。アウトコースよりの配球になるところを9番前田に逆方向へ返され、英明が勝ち越しに成功する。ここで、我妻監督は初戦の帝京長岡戦で先発した左腕・金沢を送るが、この代わり端も1番池田がとらえ、レフトへタイムリー!2塁ランナーの生還は阻止したが、英明が再び主導権を奪い返すことに成功した。

立て続けに投手を繋いできた東北に対し、英明打線の対応力の高さが光る。4回までに5人いるうちの3人目まで引きずり出すことに成功したのは大きい。各打者が好球必打で早いカウントから積極的に打って出た。このリードをもらった松本倫は再び落ち着きを取り戻し、4回裏には再びけん制タッチアウトを今度は2塁で奪って、ピンチを脱出。内外野との連携がしっかり取れており、松本倫自身の投球も、時折抜けるボールはあるものの、打たせて取る投球で5回までを1失点で切り抜ける。

東北としてはリードして、継投で目先を変えながら逃げ切る展開を作りたかったが、後手に回る前半戦に。後半戦の開始とともに流れを変えたいところだったが、初戦で好投した左腕・金沢も乱れてしまう

6回表、1アウトから8番榎本が死球で出塁すると、続く9番前田の犠打は金沢の悪送球を誘う形となり、無死1,2塁に。続く1番池田が四球でつないで満塁となると、2番太田がきっちり犠飛を打ち上げて1点を追加する。ここで東北ベンチは4番手で本格派右腕の狩野をマウンドへ。昨秋はエース格としてチームを牽引した投手だが、ここで3番松原がインコースやや高めのスライダーを引っ張ると、打球は1塁線を突破するタイムリー2塁打に!1塁ランナーも一気にホームを突き、この回計3点で大きく試合の流れを手繰り寄せた。

5点を追う展開となった東北打線だが、英明・松本倫から6回で3安打1得点とうまく打たせて取られていた。スイングをかけていくボールは間違っていないが、なかなかとらえきることができない。打てそうで打てないという言葉が典型的に当てはまるタイプだ。しかし、終盤戦にはいってようやく攻略の糸口が見えてくる。

7回裏、1アウトから5番矢野が、ショートへの内野安打に悪送球が絡んで2塁へ進むと、6番荒川が初球、やや真ん中寄りのスライダーを引っ張った打球は、広く空いた1線を破るタイムリー2塁打となり、4イニングぶりの得点をたたき出す。さらに、8回裏には頼れる核弾頭の1番松本が真ん中寄りのスライダーをとらえると、打球はレフトスタンドへ飛び込むホームランに!後半に入って各打者のスイングに思い切りが出始め、長打攻勢で得点を重ねていった。

3点差で試合は最終回へ。東北は、4番手の狩野が代わり端こそタイムリーを打たれたものの、その後はランナーを出しながらも英明打線を無失点に抑え、味方の反撃を待ち続けていた。そして、9回裏、東北打線がさらなる反撃を見せる。

先頭の4番佐藤が高めの速球を痛烈な当たりでセンターに返し、出塁。しかし、続く代打・川副は三振に倒れると、6番荒川の打席では投球がワンバウンドとなる間に2塁を狙った佐藤が捕手・高田の好送球で刺されてしまう。これで万事休すかと思われたが、ここから荒川が三遊間深い位置への当たりで気迫のヘッドスライディングを見せ、内野安打をもぎ取る。さらに、途中出場の7番大槻はアウトコースのスライダーを痛烈に引っ張り、サードを強襲する当たりとなって、1,2塁に。攻撃力に自信を持つ東北が選手層の厚さを見せつける形で迫ってくる。

一発出れば同点の場面。最後まで松本倫を苦しめ続けた。だが、最後は代打・日野がアウトコースの速球を打ち上げ、ファーストファウルフライとなってゲームセット。英明が伝統校を退け、春夏通じて初のベスト8進出を決めることとなった。

まとめ

英明は攻守にそつのなさを見せる形で、主導権を握り続け、ベスト8への壁を切り開いた。守っては機動力野球の東北から複数のけん制アウトを奪い、打っては矢継ぎ早に投手をつないでくる東北の継投策に対し、積極打法で次々に攻略していった。以前はどこか粗さも見られるチームカラーだった英明だが、今年のチームは「そつなくしたたか」という言葉がぴったりなチームに様変わりした印象だ。

また、守りの面でのこの日の立役者は、完投勝利の松本倫だろう。決して正確無比なコントロールを持っているわけではないが、ストライクゾーンの中で適度に荒れており、ここというところで決め球のスライダーが低めに集まった。時折抜けるボールはあったが、これが右打者のインサイドへ来るため、かえって相手からすると打ちにくさを増したのだろう。初戦で完投したエース左腕・富岡に加え、右の「投」の柱も得た英明が、学校の歴史を塗り替える勝利を挙げてみせた。

一方、東北としては英明の積極果敢な攻撃の前に、継投を後手に回される形になってしまった。このあたりは、複数の投手を擁するチームの戦い方の難しさであり、継投の成否はうまくいくかいかないかが、流れの中で表裏一体となっているのだ。打線も、松本倫から積極的に打って出たが、けん制アウトを奪われた、ことでなかなか積極的な作戦を仕掛けることもできなくなってしまっただろう。初戦は理想的な戦いを見せたみちのくの伝統校が、2回戦では野球の難しさを味わい、大会を去る形となった。

【高校野球 甲子園】 東北(宮城)vs英明(香川) 【第98回選抜高校野球 2回戦 全打席ハイライト】 2026.3.26 センバツ 

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